誰かのヒーローになりたい俺の第一歩

よーじろー

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第二章

第十四話

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 顎先から汗が落ちる。額に浮かぶ大粒の汗をハンカチでふき取り空を見上げる。
 雲ひとつない晴天。
 一月の二週目。
 冬だというのに異様に暑い。
 ここ数年、異常気象が加速している気がするのは俺だけじゃないだろう。
 このまま進めば日本の四季はなくなってしまうのではないだろうか、と意味のない心配をしてしまう。
 そんな取り留めのないことに思いを馳せながら前に視線を戻すと、相変わらずの馬鹿でかいリュックサックが視界の約八割を占める。
 俺は前を歩く小学生のような体躯の少女、明楽あかりに連れられて新しく俺が働くことになる〝悩み買い取り屋、桜〟という会社の事務所に向かっていた。
 具体的な仕事の内容などの詳細はいまだに謎に包まれたままである。
 あかりが根っからのサプライズ好きなのは理解したのだが、時と場合を見て使い分けてほしいものである。

「……まだ着かないんですか?」
「お前はせっかちだな。そんなんじゃ、女にモテないぞ」
「それは前も聞きましたよ」
「ん? そうだったっけか?」

 事務所に向かっているはずなのだが、なぜか俺は山を登らされていた。
 いくら聞いても『いいから私についてこい』とだけしか伝えてくれないことからも何かおかしいとは感じていたが、まさかこんなことをさせられるとは露にも思わなかった。
 これから毎日この道を歩かなければいけないのか、と思うと頭が痛くなり眩暈がしてくる。
 天気は良く空気は澄んでいるため、歩いていて気持ちが良いことは良いのだが、普段、体を動かすことがほとんどない俺にとってかなりきつい。
 電車に揺られ一時間、見知らぬ駅を降りてかれこれ二時間以上歩いているので、合計三時間以上になる。
 三十分程前から呼吸する回数が増えており、踏み出す足も少しずつ重くなってきた。
 しかし、それでも前を歩く少女の前進は止まらない。
 ドアを軽々と破壊する力といい、その小さな身体のどこに化け物染みた体力と筋力が収納されているのだろうか……人体の謎である。
 歩く道が少し前からより一層険しくなってきており、注意しないと躓いてしまう。
 しかも、ここには毒蛇がいるらしいのでそれにも注意しなくてはいけない。
 そう思い下に集中しながら歩いていると、突然、あかりが止まった。
 無論、前の集中を疎かにしていた俺が反応できることはなく、額がリュックサックにぶつかった。

「急に止まらないでくださいよ」
「着いたぞ」

 リュックサックの横から前を覗いてみると、そこにあったのは木で作られた大きなコテージだった。
 高級な別荘が立ち並ぶ避暑地にあっても遜色はないほど立派である。
 都内にこんな自然があったことすら驚きなのに、ここが働く場所だとは到底思えない。
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