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忍び
しおりを挟むルイに促され保健室のベッドから起き上がり今日初めて着たブレザーを羽織り保健室をあとにした。
その時保健室の先生がニッコニコだったのを隠すようにルイの前に立って帰った。
帰り道ルイは今日の入学式の話を一生懸命にしてくれた。
校長先生がハゲてたとか教頭先生の一同礼の言い方が個性的だとか担任がデブでサスペンダーをつけてメガネをかけてB’zが好きとか大事な話は1つもなかった。
自分の入った学校は本当に大丈夫なのかと思うほどに。
そして2つ隣の別の家へ帰る。
家に入ると毎週のように嗅ぐカレーの匂い。
もう他の人が家に入ったらいつでもカレーの匂いがするのではないかと思うほどに。
それを横目に綺麗な部屋着に着替えベッドに横になってお腹に手を当てゆっくりと呼吸をした。
今日の事を考えるでもなく何も考えず目を閉じ真っ暗なで無音の中、呼吸だけ意識をした。
静か過ぎてキーンっと耳鳴りのような音が聞こえるほど静まり返った家の中で玄関からガチャっと小さな音が聞こえた。
泥棒のように玄関からゆっくり歩いて自分のところに向かってくる足音。
抜き足差し足と言わんばかりにゆっくりと歩いているが古い団地の床は面白いほどに立派な軋む音を立てていた。
そして自分の部屋の前で音は、止まり少し間が空いたあとに扉を思いっきり開けた。
「アキ遊ぼー!」
俺を驚かそうと玄関からニコニコして入ってきて笑いを堪えて一気に扉を開けたところまでが安易に想像できた。
想像できてしまっているもんだから反応の薄い俺を見てルイはとても不服そうだった。
「はいはい…わー驚いた!これでいい?」俺がそう言うとまた一段と不服そうな顔をした。
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