波間に漂う泡沫の声

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それで、ええんや

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 東尋坊を観光した翌日、私は約束どおり俊介とエミのいる自宅へと向った。
 朝起きた時は体中が痛い、と俊介が訴えたので私はうろたえたが、暫くすると病院から処方されていた薬が効いたのか、痛みはおさまったようだった。
 本当は安静にさせておきたかったが、俊介はどうしてもエミに一目逢いたい、と言って譲らなかったから私が折れてしまった。
 当然、エミにアポは取っていないし、向こうの新しい家族にも了承をもらってないから、声すら掛けることも出来ない。私と息子のこの行動は、お互いが秘密を共有しているからこそ生じる、妙な結束感があった。
 車中で俊介は朝の痛みがまるで嘘だったように元気になっていった。車を運転しながら私は、俊介の容態だけが気がかりで、何度も顔色を見てしまう。
 こうやってずっと元気でいてくれたら良い、などと叶わない願いが私の頭をかすめ、やがて落胆とともに消え去っていく。この瞬間にも、俊介の頭から体じゅうにかけて広く癌が侵攻しているのだ。
 この日は、私と俊介の旅行の最終日でもあった。
 この日を最後にもう二度と息子と二人きりの時間を過ごせないのか、と思うとどんどん自分が追い詰められていくような圧迫感を感じた。ありきたりな言い方だが、死を受け入れる俊介の運命を代わってやれるものなら代わってやりたい、と本心で思う。
 まるで家族を顧みることもなく妻に見放されてしまうような愚かな私が健康で、将来に限りない可能性を秘めた、輝かんばかりの息子が癌だなんて余りにも不公平だ。神の下した沙汰は酷すぎる。
 息子ではなく、私を殺せば良いのだ。せめてあと何日かでもこの旅を延長し、息子と二人きりで語らえる時間をもう少し持ちたいと願うが、それさえも叶わない。
 私たちは海を右手に臨む道を南下し、福井県の三国から敦賀市を目指した。私の思いとは裏腹に晴れ渡った紺碧の空と暖かな日差しが、腹立たしい。
 こんなに良い天気なのに、私は希望を見出せないでいた。途中、海岸沿いにツツジの花が薄紅色に咲き乱れ、公園などに造られた藤棚からは、紫色のフジの花が垂れ下がって春の名残を謳歌している。
 春から初夏への移ろいを感じさせてくれるこの時期の儚い自然の輝きが、俊介の残された僅かな命とオーバーラップして、私はやり切れない気持ちで一杯になった。
「父ちゃん、海が綺麗やな。病院からもこんな風景が見られたらええのにな」
 息子は窓の外に広がる海を愉しそうに眺めて言った。検査に手術を繰り返し、病院のベッドに縛り付けられる毎日にずっと耐えてきた俊介にとって、やはり海の開放感ほど心地良いものはないのだろう。
「そうやな」
 車窓から海を眺める、という、こんな当たり前のことで幸せそうな顔をする息子が、私は不憫でならなかった。だが、息子の前で悲しい表情をする訳にもいかず、私はひたすら笑顔を浮かべようと努力する。
 車は坂井市を抜け、海岸沿いの国道三〇五号線を通って福井市内を通過していた。
 車窓から見える越前の海は私にとって懐かしくあり、また憎々しくもある。
 この海が私とエミを引き合わせてくれた。そしてその出会いは失敗とも言うべきもので、離婚という現実を突きつけられた私からすれば、この海は翻弄される運命への入り口でもあったのだ。
 俊介という掛け替えのない子どもに恵まれたことを考慮に入れてたとしても、良い印象よりは寧ろ悪い方が幾分強い。
 しかし、俊介からすれば私と視点が真逆になってしまう。俊介はこの海を、自分の産まれるきっかけとなった大切な場所だと思っていることだろう。ましてや母親の故郷の海でもあるのだから、私のように憎々しいイメージなどまるでないはずだ。
 血の通った親子と言えど、そのルーツとなった海に思いを共感出来ないというのは寂しいことだ。だが親と子は別の「個」なのだから止むを得ないし、息子を自分のカラーに染めようと強要する勇気は私にはない。
 懐かしくも、憎々しい越前の海。
 しかし憎々しい故に愛しくもある。愛しい故に口惜しくもある。こんな矛盾した雑多な感覚はきっと俊介には分からないものだろう。本来はそれこそが、人間の本質なのだが。
 車は国道三〇五号線をさらに南下し、越前町へと入った。海の水平線をフェリーが横切り、カモメが飛び交っている。
「なあ、父ちゃん。何で母ちゃんと別れたんや?」
 暫く無言のまま海を眺めていた俊介が、ポツリと呟いた。どこまで答えて良いものか、と思案し、躊躇する。
「……色々あってな。俊介には申し訳なかったって思ってる」
「母ちゃんを嫌いになったんか? それとも母ちゃんが父ちゃんを嫌いになったんか?」
「俊介、離婚っていうもんは、好きとか嫌いっていう問題やないんや。お互いがどうやったら自分らしく生きられるか、とか、どうすれば幸せになれるか、とかややこしい考えがいっぱいあって、一口では言えへん」
「じゃあ、母ちゃんは僕のことが嫌いやないの?」
「母ちゃんが俊介を嫌いになる訳がないやろ。まあ、俺は、ひょっとしたら嫌いとまではいかなくても苦手に思われてるかもしれへんけどな」
「ホンマか? 母ちゃんは僕が邪魔やないんやな?」
「当たり前や。自分の大切な息子を嫌う母親なんてこの世には絶対おらん」
「……そやったら、何で今まで僕に逢いに来てくれへんかったの? ちょっとお見舞いに来るくらい、何で出来へんのや?」
「それは……」
 ずっと俊介に黙っていた、エミの置かれている立場を言うべきか、言わざるべきか私は悩んだ。言ったら、俊介は一気に気力を失い、体の具合が急変するかもしれない。だが、黙っていたとしても私たちは今、エミの住む家に向かっているのだから、結局俊介はこの悲しい現実を目の当たりにしてしまう可能性が高いのだ。
「それは、……母ちゃんは忙しいからや、きっと。デザインの仕事で生きていくのは大変やからな」
 とっさの判断で、私はその場凌ぎの返事をした。やはり、ここで言うべきではない。
「忙しいから、僕を見捨てたんか?」
「見捨てたんやない。俊介に逢いたいと思っても、思うようにならないことが大人の世界には一杯あるんや」
「大人の世界って、ずるい。嘘や。そんなん嘘や。大人って皆、都合の悪いことは、そう言って子どもを騙そうとするやん」
 俊介の言葉が、私の心に突き刺さった。
 確かに私は卑怯かもしれない。しかし俊介の置かれている境遇は、本人が意識している以上に過酷で、俊介を守るためには下手に真実を口にしたくなかった。聞くよりは、自分で見た方が良い。
「どっちにしても、これからその母ちゃんの家に行くんやから、ええやないか。母ちゃんは逢いに来てくれへんかったけど、こっちから逢いに行くんやから、結局は同じことや、なあ」
「うん……」
 また私は、エミの新居に行こう、と俊介に誘ったことを後悔し出した。だが、母親に一目も逢う事無くこの世を去らせてしまうのも、父親として余りにも不甲斐ないように思う。
 運命に従い、なるようにしかならないのだ。私は非情な行為を息子に働きかけたのかもしれないが、それでもこうするしかなかった。
 私たちは南越前を抜け、いよいよ敦賀市に入った。エミの新居が近づくに連れて、俊介は段々無口になる。
 エミの家に行っても、ただ気づかれないように遠くから眺めるだけ、という私からの条件に納得出来ないで苦しんでいるようだった。
「……父ちゃん、内緒で母ちゃんの姿を見ても、ホンマにええんやろか? これって母ちゃんは知らないんやろ? ルール違反ちゃうか?」
 暫くして俊介は不安な顔で私に語りかけた。
「……そうかもしれへんな」
「何や、そんなにあっさりとルール違反を認めるんかいな」
「あかんか?」
「あかん、とは言わへんけど、父親なんやから『絶対これが正しい』くらい、バーンと強気に言って欲しかった」
「俺は良い父親やないけど、生きるっていうリアルな感情を良くも悪くもしっかりと教えられる父親ではありたいんやけどな」
「言ってるのが難しくって全然分からへん」
「要するにやな、時には、ルールを破っても良いんやないか。この世の中に、これが絶対正しい、なんていうルールはないんやから」
「そうなんか? 大人の世界には正しいことと悪いこと以外にも、その中間みたいなもんがあるんか?」
「そうや」
「そんなこと、学校でも病院でも教えてくれへんかったで」
「そういうもんなんや。子どもには、良いことと悪いことできっちり区別して教えた方が分かりやすいから、そういう風に教えるんや」
 やっと俊介が明るくなったので、私は安堵した。
 こんな時間がずっと続けば良い。たわいのない、くだらない会話の裏に、贅沢な親子関係の輝きが詰め込まれていた。
 車は国道八号線に沿って進み、気比神宮の手前で右手に折れて敦賀港へと抜けた。敦賀の海は少々荒く、テトラポットに激しい波が打ち寄せる。巨大なクレーンが海岸沿いに置かれ、人工的に開発されていく生々しさを感じた。
 貿易を行う船が何艘も港に停泊し、その船の中から中国や韓国から運ばれてきたオレンジ色のコンテナが次々に積み出されていく。
「わあ、船や、船! 外国みたいや」
 俊介だけが、この船を見て喜びに浸っている。もうそこにエミの家があるというのに。
 子どもは無邪気で良い。私は、俊介にエミの生活を見せることで、子供の特権ともいうべき無邪気さまでも奪おうとしている。やはり、私は過ちを犯そうとしているのかもしれない。酷い仕打ちだ、と死ぬ直前まで俊介は私を憎むかもしれない。だが、もう後戻りは出来ない。
 敦賀港を抜けると、今度は気比の松原が見えてきた。日本三大松原に入る、この松林は海岸沿いに青々とした松の葉を生い茂らせ、その木の幹に遮られた狭いフレームの中にかろうじて真っ青な海面が覗く。
 いよいよ、ここまで来た。エミの新居はこの松が生い茂った公園の東端の、道を挟んだ向かいにある。
 無論、私自身もエミの新居に行くのは初めてだった。離婚してからもエミとは手紙だけはやり取りしていたから、住所は知っていた。昨日民宿で、地図を見ながら場所の確認をしておいたから、近づいてすぐにどの家なのかを把握出来る。松原公園沿いの道を進むと三差路の交差点があり、そこにコンビニエンスストアがある。このコンビニの西隣にある家だ。
「俊介、いよいよだぞ」
「……うん。もう覚悟したよ」
 私の呼びかけに、一瞬、俊介はまた不安の表情を浮かべたが、すぐにその不安をかき消して堂々とした凛々しい顔つきになった。
 私はエミの新しい家族に怪しまれないように、コンビニに車を止めて、俊介と一緒にエミの新居へとゆっくり歩き出す。
 俊介以上に、きっと私の顔の方が強張っていたことだろう。エミの家は小さな昔ながらの一軒家で、家の周りが緑の木々で覆われている。海岸沿いに住む人たちは、こうやって砂が飛来するのを防いでいるようだった。私たちは空き巣を狙う犯罪者のように、その木に身を隠しながら玄関の方へと近づいた。
「まるで悪いことをしてるみたいや」
 俊介は最後までこういう隠密行動をすることに批判的で、私を非難した。
「しっ、仕方ないだろ」
「……母ちゃん、元気かな?」
玄関の前まで行くと、車が見えた。おそらくどこにも出かけないで、この家の中にいるようだ。チラリ、チラリと木の陰から私と俊介は玄関を覗き見た。
「母ちゃん、こんなとこに住んでいたんやなあ。おるんかな? この家の中に母ちゃんはおるんかな?」
 小声で俊介は私の耳元に囁いた。
「さあな。でも多分車があるから、いるようにも思うんだが……」
 その時、突然玄関の引き戸が開いた。エミだ。エミが家の中から一人で出てきた。
「母ちゃんだ!」
「しっ、静かにしろ」
「でも……。でも……」
「こっちから眺めているだけや。約束やったやろ?」
「でも、ちょっと話し掛けるくらいええん。なあ、父ちゃん、ええやろ?」
 母親の姿を目の当たりにして、俊介はもはや制止できないまでに興奮していた。私は俊介を背後から捕まえて、必死に押さえつけていた。俊介は涙を流している。私も身が引き裂かれるように辛い。まだエミは私たちの存在に気づいていなかった。
 やがて非情な光景が目に飛び込んだ。
「ママー!」
 エミと新しい夫の間に出来た子どもが玄関から出てきた。三歳位の男の子だろうか。エミは満面の笑みで振り返り、その子供を愛しそうに抱きかかえた。
 それを見た俊介は、言葉を失った。
「ママ、プリン食べたーい」
「わがまま言うんじゃないの」
「食べたいよ」
「おいおい、まあ良いじゃないか。買ってやろうよ」
 玄関から今度は夫らしき体格の良い大柄の男が出てきた。甘えた顔をしたエミは夫に子どもを託し、その夫はあやすように子どもを抱かかえている。今までエミが私に見せたことのなかった、夫に甘える女らしい仕草を見て、私もやりきれなかった。
「わーい!」
 子どもは嬉しそうに父親にキスをした。
「あなたは甘いのよ」
「さ、早く買い物に行こう」
 そして、エミと夫、そして幼い子どもは玄関前に止めてあった車に乗り込んだ。
 車が玄関から出てきたら、私と俊介が見つかってしまう。
 危険を察知した私は強引に俊介を抱え上げ、その場から逃げた。私はこんなに落胆した俊介の姿を見たことがなかった。俊介は背中に暗い影を落とし、この世の全てから見捨てられた悲愴感に満ちている。私が恐れていた最悪の結果となった。
 私と俊介は松原公園を歩き、波打ち際の砂浜に隣り合わせて腰を下ろした。背後には美しい松の木々があって、落胆した私達の表情を大通りの人たちに見えないように、そっと覆い隠してくれていた。
 暫く私と俊介は海を眺めながら、沈黙が続く。
 この時、私の左側にいた俊介はもう泣いていなかった。ただ呆然と海の地平線の向こう側を見詰め、心の傷を海水で洗い流しているかのようだった。
 だが、海水は傷跡に沁みる。痛みに打ちひしがれながら、それでも逃げようとせずに現実というものを理解しようと懸命になっていたのかもしれない。
「俊介、ごめん。全部、父ちゃんが悪い。俺が悪いんや」
 私の口から出た謝罪の弁は弱々しく、俊介を直視することすら出来なかった。
「ええんや」
 俊介は小声で呟き、また私と俊介に沈黙が続く。ザザア、ザザアと響き渡る波の音に私は吸い込まれてしまいそうだ。
 どのくらい無言のまま時間が過ぎただろうか? 段々太陽が海面に近づいて、辺りが一面セピア色に染まりつつあった。もう悲しみが深すぎて、悲しむことに疲れ果てたのか、突然俊介が立ち上がった。
「母ちゃん、元気そうで良かった」
 俊介は力強く言った。
「そうか……」
 この俊介の結論を聞いて私は複雑な心境になった。
 これは単に私への配慮から発した言葉ではなかろうか? 本心は、とても素直に喜べる筈ではなかった。息子は強がっていた。意地らしいまでに強がっていた。
「もう、それでええんや。父ちゃんと旅行が出来て、良い思い出になった」
 俊介は、苦笑いを浮かべて私に声をかける。
「そうか」
「なあ、父ちゃん。家族って難儀なもんやな。でも、やっぱりええもんや」
 そう言って俊介は涙を目に一杯溜めて笑い、私に抱きついた。私は強く息子を抱き締めるだけで、何も言えなかった。
私は息子の背を叩き、立ち上がった。
「さあ、もうそろそろ病院に帰ろうか?」
「うん」
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