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第一章 リラクゼーションの男
修羅場
しおりを挟む気付けば、世間は冬休みになっていた。
街にはクリスマスの装飾が施され、どこへ行っても賑やかだった。
「クリスマスの予定は?」
「なんもないよ。」
「だろうね。なにかするー?」
「なにかするって、なにするの?」
「んー。わかんない。」
「なんだそれ。」
そんな他愛もない会話をしながら、幼馴染といつも通りの日常が流れていく。
「元カノと寄りを戻すかもしれない。」
僕がそう言うと、幼馴染は驚きもせず、興味なさそうに答えた。
「へぇー。良いんじゃない。」
"そりゃ、別に今さら興味ないか。"
そう思って僕はそれ以上この話をしなかった。
クリスマスは最初から何もなかったかのように過ぎ去り、あっという間に年末を迎えた。
年越しは幼馴染と一緒に過ごす予定でいたが、特に詳しいことは決めていなかった。
しかし、12月30日の夕方、僕の携帯にメールが届いた。
「今から会えますか?」
元カノからだった。
約束通り元カノは、けりをつけてきたのだと思った。
その瞬間、自分の胸が躍っているのがわかった。
「うん。準備できたらまた連絡する。」
僕はそう返信して、すぐに出かける支度をした。
1時間後。
支度を終えた僕は、"今から向かうね。"とメールをして、自転車に跨った。
ペダルを漕ぐ足は心なしか軽やかで、自然とスピードが上がっていく。
"あの角を曲がったら元カノの家だ。"
鼓動が強くなっていくのがわかった。
角を曲がると、家の前で既に元カノが待っていた。
「お待たせ。」
僕が自転車から降りてそう言うと、元カノは笑顔で言った。
「ううん。全然待ってないよ。」
僕も笑顔になった。
それから元カノは続けて話し始めた。
「石原さんと別れた。ずっと忘れられなかった。あなたとやり直したい。もう浮気はしない。」
僕は元カノの顔を見て、嘘はついていないと分かった。
僕は元カノ、いや彼女を抱きしめながら答えた。
「ばーか。一生許さないから。」
彼女は泣きながら謝っていた。
「ごめんなさい。ごめん。」
僕は彼女の頭を撫でて、そして彼女にキスをした。
これでハッピーエンドだ。
少し寄り道してしまったが、2人でまたやり直せば良い。
2人ならやり直せる。
それから幼馴染にもメールで報告をした。
メールはすぐに返ってきて、一言"良かったね!"とだけ書かれていた。
すると彼女は無邪気な顔で言った。
「一緒に年越したい!」
僕もできればそうしたいと思ったが、幼馴染と一緒に過ごす約束をしていたし、楽しみにもしていた。
「幼馴染と3人でもいい?」
僕がそう聞くと彼女はすぐに返事をした。
「うん!幼馴染にも久しぶりに会いたい。」
それから、幼馴染にもメールで確認し、3人で年越しをすることになった。
翌日。12月31日。
夕方に集まった僕らは、とりあえずファミレスで作戦会議をすることにした。
なぜなら、どこで年越しをするか何も決めていなかったからだ。
彼女が口火を切った。
「浅草は?浅草寺。」
僕も続いた。
「浅草だったら車で行けるし、そんなに遠くないね。」
幼馴染も特に異論はないようだった。
「良いよー。そうしたら1回帰ってコンタクト外そうかな。朝帰りになりそうだし。」
幼馴染がそう言うと彼女も続けて言った。
「私も1回家帰りたい。私もコンタクト取りたいし、朝帰りになるなら途中でメイク落としたい。」
「じゃあ1人ずつ車で送っていくから家の前で降ろすよ。幼馴染が準備して戻ってきたら、次は彼女の家にみんなで行く感じで。」
それから僕らはすぐにファミレスを出た。
そして、まず初めに幼馴染の家へと車を走らせた。
僕が家の前に車を停めると、幼馴染は助手席から降りて家の中へ入っていった。
幼馴染の支度は意外と早かった。
10分後くらいにメガネ男子となって家から出てきた幼馴染は、ほんの少しだけ格好良く見えた。
「意外と早かったな。」
僕がそう言うと、幼馴染はなぜか誇らしげに答えた。
「メガネにしてきただけだからね。」
そうして、僕らは次の目的地。
彼女の家へと車を走らせた。
彼女の家の前に到着し、車から降りた彼女は家の中へ入っていった。
それから、幼馴染と車の中で煙草を吸いながら、彼女が戻ってくるのを待っていた。
「なんか1年あっという間だったなー。」
幼馴染が煙を吐き出しながら、そう呟いた。
「僕はいろいろあったけどね。」
僕が自虐的に言うと、幼馴染は笑っていた。
すると、正面から1台の車がこちらに近付いてくるのが見えた。
徐々に近付いてくる車を見て、僕は目を疑った。
それは、あの夜ファミレスに停まっていたワーゲン。
"いや、まさか、そんなはずはない。"
しかし、そのワーゲンは僕らの斜め向かいに止まった。
そして運転席には、石原さんが乗っていた。
「やばい。やばい。」
僕が取り乱していると、幼馴染が驚いた表情でこちらを見ていた。
「え?なに?どうしたの?」
僕は、幼馴染に状況を説明しなければ。と思った。
この後、何が起こるか分からなかったからだ。
「あの人!浮気相手!やばい。なんでここにいるんだ。え、どうしよう。やばいって。」
石原さんは車から降りると、こちらを見ることなく、真っ直ぐ彼女の家へ向かった。
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