白犬物語〜しくじりヒロインと愉快な仲間たち【ユイナーダ王国シリーズ外伝】

ライバル令嬢 編

お勉強は大事だと思います。

現騎士団長の嫡男、アラシ様はいわゆる脳筋です。


リク殿下の側近候補の中では、頭半分くらい背が高く、鍛えているから体格も良いです。
耳の先がちょっとだけ茶色いのが、特徴ですわね。


これで剣技が優れているとか、カリスマ性があるとか、リーダー犬の資質が有れば、次の次くらいには騎士団長に成れたかも知れませんが、キクカ様に言わせれば、『無理。馬鹿だから。』だそうですわ。


アラシ様はとても素直で、騎士団に入る為に一生懸命に従騎士見習いとして頑張っておられます。


一生懸命なのは良いですが、見張っていないと勉強を放り出して、直ぐに鍛錬しに行ってしまうので、困っているとキクカ様はおっしゃっていました。


ある日、王城でお見かけしましたので、アラシ様に勉強の大切さをお伝えすることにしました。


「まぁ、アラシ様ごきげんよう。
ところで何故、今の時間ここにいらっしゃるの？
アラシ様は今、リク殿下や側近候補の方々とお勉強の時間ではありませんでしたか？」

「将来、殿下の騎士になる為に身体を鍛へているのだ！」


あゝやはりキクカ様の言う通り、お馬鹿さんなんですね。


「アラシ様…リク殿下の側近候補に残りたいのでしたら、直ぐにお部屋にお戻りになって、お勉強をしてください。
学園に入学した時に同じクラスに入れなければ、候補から外されますわよ。」


何、ポカンとした顔をしているのですか？


「学力の足りないお方を、リク殿下の側近に出来る訳が有りませんでしょう。
それに騎士に成りたいと言っても、ある程度の学力がないと成れないのですわよ。
騎士団の入団試験には武術試験だけでなく筆記試験という物があるのです。」


アラシ様は数分間考えた後、ようやくご自分の行動がいかに不味いか理解された様で、顔を真っ青にし慌てて勉強部屋に向かわれました。


後日、キクカ様にお聞きしたところ…アラシ様は今までお勉強をサボっていたのが団長にバレて、現在キクカ様のお家で必死にお勉強しているそうですわ。