【第4章】🦝ウチで雇ってるバイトがタヌキって言ったら、誰か信じる❓🦝

砂月ちゃん

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第1章 アルバイト始めました

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「えっと、どう言う事?」


徳タヌキのセリフで、私は術にかかったフリをするのをやめた。


「なんじゃと?ワシの苦労がぁ~。」


すると、満月タヌキは益々落ち込んでしまった。
そんな満月タヌキをよそに、徳タヌキは呑気に思い出を語り出したの。


「あれは5年前の夏の暑い日じゃった。
溜め池の近くでワシが涼んでおったら、お嬢が1人で網を持って、虫を追いかけとった。

暫く見ておったら、お嬢が足を滑らせ土手から溜め池に落っこちてしもうてのぅ~。
ワシ…泳げんから、人間に化けて棒か何かで助け様思うたんじゃが、探しとる間に沈んでしもうちゃどうしょうもないけん神通力で助けたんじゃ。」

「つまりその時に《忘却の術》を使ってしまったって事?
5年前って事はの姿の時よね? 」

「そうじゃのぅ。」

「はぁ~。それじゃ見た事あるはずよね~。同じ人?タヌキだったんだから…… 
しかもこの感じだとその《忘却の術》って言うの効きが悪かったんじゃない?」

「そうかもしれんのぅ。長い事つこうとらんかったし。
さて、この話はまた後での…… 」


そう言って徳タヌキは、人間の姿に化け戻った。
どうやったら、そんな事が出来るのか謎だけど……


「その方がいい……
そろそろ戻らないと本当にマズいぞ。
ほら、満月も機嫌直して行こう!」


満月タヌキは不満気な顔をしながらも、化け戻り、店の方に向かった。


「ワシの苦労がぁ~ 。」


とブツブツ言いながら……
これは、後で揉めそうです。
幸いにも留守中、店には誰も来てなかった。
戻った途端、お客さんが来た。


「「「いらっしゃいませ。」」」

「こちらのお席にどうぞ。」


やって来たのは時々、仕事帰りに寄ってくれるお客さんだった。


「ねぇ聞いた?とうとう警察が動くらしいわよ。」

「聞いたわよ!でも大丈夫かしら?
噂じゃ相手は人間じゃないって話だし…… 」

「オバケなんでしょ?怖いわよね~。
誰かなんとかしてくれないかしら?
例えばホラ!オニレンみたいな人が来て、『セィヤー!』ってやっつけてくれるとか!?」

「流石にそれは、テレビの見過ぎよ~。」

「冗談だってば~。流石に警察が出て来たら、捕まるでしょ?」

「そうよねー。」


お客さんはコーヒーを飲みながら、そんな話をして帰って行った。
りくが閉店準備を手伝ってくれたので、いつもより早く仕事が終わり、夕食後にまた食料庫で落ち合う事にした。


夕食の支度を手伝っていたら、私が緊張していたのが分かったみたいで、


「あら?理子どうしたの?そんなにソワソワして。
明日の入学式そんなに楽しみ?」


お母さんに言われて思い出した!
そう言えば明日、高校の入学式だったわ!
一応、準備は事前に済ませてあるから大丈夫だと思うけど……


「そ、そうなのよ~。かおるちゃんと同じクラスになれると良いなぁ~。
とか考えてたの。」


と私が言うとお母さんは、不思議そうな顔をしてこう言った。


「あら?理子って寛現寺かんげんじかおるちゃんとそんなに仲良かった?」

「ほ、ほら今、町に現れてる【謎の暴走族】、『実はオバケじゃないか?』って今日来たお客さん達が言ってたから、寛現寺で退治してくれないかなぁ~。
なんて思ってたから…… 」

「確かにあそこのお寺はこの辺りじゃ『そういうのには強い!』と昔から言われてるわ。
けど流石に、薫ちゃんには無理でしょ。」

「あははっ!そ、そうよねー!」

「はい、出来た。じゃあコレ並べてくれる?」

「はぁい。」


因みに寛現寺っていうのは、私の住んでる地区を開いた【勝屋右京しょうやうきょう】っていう平安末期の武将が開いたお寺と言われているの。
かつては京の都で主君と共に【ぬえ】退治をしたという、現代風に言うと勇者の従者を務めた人物だとか……
で、その子孫が寛現寺の勝屋薫ちゃん。


瑞稀みずきに言わせると、【厨二病】らしい……











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