22 / 51
第2章 コンビニの訪問者
10
しおりを挟む
私達の前には巨大な木がある。予定通りなら私はもうロープで釣り上げられているはずだったんだけど……
「誰かこの中に木登りが得意な人とか?」
「俺、運動神経はいい方だけどこんな高い木登れねーよ。」
と坂野君…ですよね~。この木、何mあるんだろう?
六も無理だろうし……
と思いながら、チラッとそっちを見たけど、あっさり否定された。
「俺も無理だな。」
「もっと早く言ってくれれば、鳶の知り合いに頼めたのに……
もう日が沈んでるから無理だな。」
「徳さんって本当に顔が広いんですね。鳶職の知り合いまでいるなんて!」
いや、たぶん徳さん(キツネ)の言ってるトビは鳶職じゃなくて、鳥の方の鳶だと思うよ……
「なんとかその人に、頼めないんですか?」
「鳥眼だからなぁ……
暗いと無理なんだよねー。」
「まいったなぁ……
他に使える奴居ないのかよ?早くしないと時間が無くなるぞ!」
坂野君の言う通り、あまり遅くなると三波さんが呼び出しに、応じてくれなくなる可能性がある。
「あれ?そのロープをあそこの枝に引っ掛かけて、こっちに垂らせばいいんだよな?」
今まで黙っていた田口さんが、何か思いついたらしい。
「そうだけど?何かいい方法思いついたんですか?田口さん。」
「【見越し入道】にロープを投げてもらえば良くないか?」
えっ!?ちょっと何言ってるのよ?
そんな妖怪の名前出したら!?
「その見越さんってきっと大きいんですね!」
どうやら薫ちゃんは【入道】はあだ名だと、勘違いしてくれたらしい。
良かったぁ!
【見越し入道】って確か見上げれば見上げるだけ高くなる妖怪だったわよね?
アレから私も、少しは妖怪の事を勉強したから少しぐらいは解る様になったのよ!
「準備出来たら呼ぶから、君達は向こうで田口と一緒に、呼び出しの電話してくれるかな?同時進行でやらないと間に合わないよ!」
確かに急がないと、時間的にマズいと思う。なんとか薫ちゃんと坂野君をその場から遠ざけて、【見越し入道】を呼ばないといけない。
「あ、お嬢ちゃんも向こう行っててね。流石に本来のアイツの仕事と、違う事を頼むんだから会わない方がいい。念の為だけど…… 」
徳さん(キツネ)の言う通り、会わない方がいいのかもしれない。
それに田口さんの、《声帯模写》の方にも興味がある。
「じゃあ、私向こうに行ってるね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お待たせ!どう上手く行きそう?」
「これから電話掛けるところ。皆んな静かにしててねー。」
そう言って、田口さんは三波さんに電話を掛けた。
プルル プルル
「〔こんばんは、三波さん…実は折り入って君に話があるんだ。電話じゃ無くて直接話がしたい……
【寛現寺】の裏の林に7時に来てくれるかな?
待ってるから…… 〕」
「××××!」
プツン
「すげぇ!マジで倉本先輩みてぇだ!」
「彼女、来るってさ。凄く嬉しそうだったよ。」
「よく呼び出しに応じたわね。」
という薫ちゃんの疑問に、田口さんは……
「種明かしは後でね。あの様子だと時間より前に来そうだから、準備に掛かった方がいい。」
「そ、そうね!じゃ、皆んな宜しく!」
「任せとけって!行くぞ山根!!」
「了解!じゃあ薫ちゃんも説得頑張ってね!」
「任せといて!」
こうして私達はようやく作戦を決行する事が出来たんだけど……
「「「「「「せーーの!!」」」」」
皆んなで力を合わせて、ロープに繋がれた私を引き上げる。
思ってたより私がぶら下がってる位置が高くて、少しでも風が吹くと揺れて安定しない。
やっとの事で引っ張り上げられたけど、辺りが暗くて不気味なのよね。だからって灯りを付ける訳にいかないし……
直ぐ近くに皆んな居るんだけど、三波さんに見つかるとマズいので、息を殺し気配を消している。
「センパ~イ!何処ですかぁ~?貴方のマサエはココですよ~♪」
あ、三波さんだ!というか、『貴方のマサエ』とか寒っ!!
「誰かこの中に木登りが得意な人とか?」
「俺、運動神経はいい方だけどこんな高い木登れねーよ。」
と坂野君…ですよね~。この木、何mあるんだろう?
六も無理だろうし……
と思いながら、チラッとそっちを見たけど、あっさり否定された。
「俺も無理だな。」
「もっと早く言ってくれれば、鳶の知り合いに頼めたのに……
もう日が沈んでるから無理だな。」
「徳さんって本当に顔が広いんですね。鳶職の知り合いまでいるなんて!」
いや、たぶん徳さん(キツネ)の言ってるトビは鳶職じゃなくて、鳥の方の鳶だと思うよ……
「なんとかその人に、頼めないんですか?」
「鳥眼だからなぁ……
暗いと無理なんだよねー。」
「まいったなぁ……
他に使える奴居ないのかよ?早くしないと時間が無くなるぞ!」
坂野君の言う通り、あまり遅くなると三波さんが呼び出しに、応じてくれなくなる可能性がある。
「あれ?そのロープをあそこの枝に引っ掛かけて、こっちに垂らせばいいんだよな?」
今まで黙っていた田口さんが、何か思いついたらしい。
「そうだけど?何かいい方法思いついたんですか?田口さん。」
「【見越し入道】にロープを投げてもらえば良くないか?」
えっ!?ちょっと何言ってるのよ?
そんな妖怪の名前出したら!?
「その見越さんってきっと大きいんですね!」
どうやら薫ちゃんは【入道】はあだ名だと、勘違いしてくれたらしい。
良かったぁ!
【見越し入道】って確か見上げれば見上げるだけ高くなる妖怪だったわよね?
アレから私も、少しは妖怪の事を勉強したから少しぐらいは解る様になったのよ!
「準備出来たら呼ぶから、君達は向こうで田口と一緒に、呼び出しの電話してくれるかな?同時進行でやらないと間に合わないよ!」
確かに急がないと、時間的にマズいと思う。なんとか薫ちゃんと坂野君をその場から遠ざけて、【見越し入道】を呼ばないといけない。
「あ、お嬢ちゃんも向こう行っててね。流石に本来のアイツの仕事と、違う事を頼むんだから会わない方がいい。念の為だけど…… 」
徳さん(キツネ)の言う通り、会わない方がいいのかもしれない。
それに田口さんの、《声帯模写》の方にも興味がある。
「じゃあ、私向こうに行ってるね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お待たせ!どう上手く行きそう?」
「これから電話掛けるところ。皆んな静かにしててねー。」
そう言って、田口さんは三波さんに電話を掛けた。
プルル プルル
「〔こんばんは、三波さん…実は折り入って君に話があるんだ。電話じゃ無くて直接話がしたい……
【寛現寺】の裏の林に7時に来てくれるかな?
待ってるから…… 〕」
「××××!」
プツン
「すげぇ!マジで倉本先輩みてぇだ!」
「彼女、来るってさ。凄く嬉しそうだったよ。」
「よく呼び出しに応じたわね。」
という薫ちゃんの疑問に、田口さんは……
「種明かしは後でね。あの様子だと時間より前に来そうだから、準備に掛かった方がいい。」
「そ、そうね!じゃ、皆んな宜しく!」
「任せとけって!行くぞ山根!!」
「了解!じゃあ薫ちゃんも説得頑張ってね!」
「任せといて!」
こうして私達はようやく作戦を決行する事が出来たんだけど……
「「「「「「せーーの!!」」」」」
皆んなで力を合わせて、ロープに繋がれた私を引き上げる。
思ってたより私がぶら下がってる位置が高くて、少しでも風が吹くと揺れて安定しない。
やっとの事で引っ張り上げられたけど、辺りが暗くて不気味なのよね。だからって灯りを付ける訳にいかないし……
直ぐ近くに皆んな居るんだけど、三波さんに見つかるとマズいので、息を殺し気配を消している。
「センパ~イ!何処ですかぁ~?貴方のマサエはココですよ~♪」
あ、三波さんだ!というか、『貴方のマサエ』とか寒っ!!
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる