【第4章】🦝ウチで雇ってるバイトがタヌキって言ったら、誰か信じる❓🦝

砂月ちゃん

文字の大きさ
39 / 51
第3章 噂の真相

4

しおりを挟む
「理子ちゃん、知らないで慌ててたの?【猿猴えんこう】って言うのは【河童】の一種で、猿に似てるって言われてるの。」

「えっ?【河童】?」

「世間一般で知られてる【河童】とは、だいぶ違うと思うわ。絵を見た方が早いかな?」


そう言って、大谷さんがタブレットで見せてくれたのは、《薄茶色で毛深く、猿に河童のお皿を乗せた様な姿をした、不気味な妖怪の姿》だった。


「へぇ~コレが【猿猴】かぁ。」

「全国的に有名な【河童】のイメージは、たぶん【遠野】の【河童】のイメージね。」

「大谷さんって妖怪とか詳しいんですか?」

「職業柄いろいろ調べたりしてるから。
ところで、ここ裏口は大丈夫なの?」

「裏口なら、たぶん大丈夫だと思いますよ。坂野君が戻って来る前に、満月が出て行きましたから。」


と徳さんが言って直ぐの事、満月が裏口から入って来た。どうやら誰か連れて来た様ね。


「お前ら何やってんだ?黒瀬さん店に入れなくて困ってたぞ。」

「どうも~。こんにちわ黒瀬です。」

「「「こんにちわ…… 」」」

「「いらっしゃい黒瀬さん。」」


黒瀬さんは最近、家が立ち退きになった為に、この辺りに引越して来たオネエさん。何時もサングラスにマスク、キャスケットにロングスカート姿で、だいたいこのくらいの時間にやって来るお客さん。


「アレ?その声…もしかして、さっき坂野君に、落とし物届け様としてたのって?」

「あ!そうそう、はい坊ちゃん落とし物。」


そう言って、落とし物を渡そうとする黒瀬さん。ところが、坂野君は……


「いや、それ俺んじゃねぇし!!しかも、びしょ濡れじゃないか!」


黒瀬さんが差し出したのは、びしょ濡れのビニール袋に包まれた黒いバッグみたいだった。


「えー違うの?じゃあどうしよう?」

「とりあえず、中身確認してみたら?何か手掛かりがあるかもしれないわよ?テンプレだと、大量の現金とか金塊とか死体とか白骨だったりするのよね~♪」


確かに大谷さんの言う通り、開けて見れば解る。どうか後ろの2つじゃありません様に……


万が一を考えて、ビニール袋を開ける為に、皆んなで近くの空き地に移動する事になった。と言ってもお店に誰も居ないと困るから満月と徳さんはお留守番。


びしょ濡れの床も掃除しないと行けないし……


ホントは、何かあった時に身元の怪しい2人が居ると、話がややこしくなるからなんだけどね。


黒瀬さんも『せっかくコーヒー飲みに来たのに、もし変な物が見つかったら飲む時間が無くなるし、この後仕事だから…… 』と言って来なかった。


どうやら黒瀬さんの職業は、夜のお仕事らしい。


「そう言えば、大谷さんと黒瀬さんって背格好似てますよね?」


移動する途中で、薫ちゃんが少し前を歩く大谷さんを見てそんな事を言い出した。確かにさっきは気が付かなかったけど、ぱっと見は似ているかも……


どちらも似たようなサングラスにマスク、ロングスカートだし。違いは黒瀬さんがいつも被っているキャスケットくらいかな?


「そう言えばそうかも……
まぁ似た様な格好の人なんかたくさん居るわよ。」


そうこうしている間に、目的地の空き地に着いた。


「この辺でいいか?じゃあ開けるからな!」


坂野君がウチから持って来たハサミで、ビニール袋に巻いてあったテープを切ってバッグを取り出す。


ビニール袋に入れてあったから、バッグは濡れて無かった。慎重にバッグを取り出し、そっと開けてみる。


皆んなで中身を確認すると、中にはテンプレ通り大量の現金が!!


「「「「マジ!?」」」」

「冗談で言ったのに、ホントに現金入ってた!」

「どうしよう?山分け???」

「阿保か!!そんな事したら、俺達まで捕まるかもしれないだろ!!
落とし主が現れなかったら、その時山分けにすればいいだろ!!」

「「なるほど!!」」

「ちょっと、皆んな何言ってるのよ!とりあえず警察呼ばないと!!」


その後直ぐ、通報で駆けつけた警察に、バッグとそれを包んでいたびしょ濡れのビニール袋は回収された。


「君達ねぇ…こういう時は直ぐ警察に、知らせてくれないと…… 」

「「「「は~い!次から気をつけま~す!」」」」

「次からって、君達ねぇ…… 」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(その頃ストロベリームーンでは…… )


「オイ、黒瀬!!わりゃ何やっとるんじゃ!?」

「えっ?何って???」

「「『何』じゃないわ!この馬鹿タレが!」」

「なんじゃこの【ずぶ濡れの幽霊の目撃情報】の数は!?ほぼ毎回見られとるじゃないか!!」

「あれほど『見つからん様に、気いつけぇ!』言うたのに!!」

「えーだって、あそこ隠れる所無いし……
この時間に出て支度しないと、仕事に間に合わないんだよー。」

「お前の所為で、あの池は暫く住めなくなるぞ!」

「えぇっ!?何で~???せっかく住み慣れて来たのに~!」

「お前があがぁな※1もん拾うて来たから、この後あの池は警察が見張りを立てたり、池さらいするに決まっとるじゃろ!!」

「警察が来る前にサッサと引越しせぇ!!」

「そんなぁ~。」

「早う行かんと、荷物を取りに行く時間が無うなるぞ!」

「うわぁー大変!急がなきゃ!!」 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そう言って黒瀬さんは、慌てて【猿池】に帰って行ったそうです。


黒瀬さんの正体……
それは…一部地域を騒がす【ずぶ濡れの幽霊】猿猴だった。
近くの運送会社で、夜勤専門の事務員をしているんだそうです。


何それ?私聞いて無いわよ!!


そして、あのずぶ濡れのビニール袋を拾ったのは、いつの間にか坂野君という事になっていた。


どうやら豆狸タヌキが、何かやったらしい。


数日後…あのお金の出所を警察より早く、薫ちゃんから知らされた。


「バッグの中身は【2カ月前に空き巣に盗まれた、現金と宝石】だったそうよ……  」

「それって、もしかして?」

「まぁ、時期的に考えても犯人はたぶん三盛※2の親じゃね?」

「たぶん、今日のお昼のニュースの時間には警察から発表があると思うわ。」


流石は薫ちゃん!情報早いわね!それにしても、ここで三盛さんの両親に繋がるとは思わなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

♪♪♪砂月ちゃんのミニ広島弁コーナー♪♪♪

※1

《あがぁな》→『あんな』

バリエーションとして

《そがぁな》→『そんな』

《こがぁな》→『こんな』


というのもあります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※2

第2章参照。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

処理中です...