【第4章】🦝ウチで雇ってるバイトがタヌキって言ったら、誰か信じる❓🦝

砂月ちゃん

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第3章 噂の真相

タヌキと僕

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僕の名前は山根瑞稀みずき


僕は今、タヌキと一緒に泥にハマってる。


何故こんな事になっているかと言うと、遡る事10分くらい前……


友達の家からの帰りに、田んぼの畦道あぜみちを歩いていたら、ウチの庭に来る黒っぽいタヌキが泥田にハマって居るのを発見してしまった。


ちょうど雨上がりで長靴を履いていたし、畦道から2~3歩くらいの場所だった。だから大丈夫だと思って田んぼの中に入ったら、意外と深かったみたい。ズッポリと長靴がハマって、出れなくなった。


しかも、手を伸ばしてもタヌキに微妙に届かない距離……


おまけにタヌキはせっかく助けに来たのにコチラの方を見て、『何しに来たんだ?』という様な顔をしている。


スマホは落とすとマズいと思って、荷物と一緒に畦道に置いて来たから手元に無い……


更にこの時間、農家の人達も外に居ない。民家も遠い、呼んでも聞こえないから誰も来ないんだよね。


つまり詰んでる。


それから暫くすると、何故かタヌキは泥の中に寝転んで身体中に泥を浴び始めた。


えっ?動けたの?


おまけに泥まみれのタヌキは、僕の方に来ずに斜め上の畦道に向かった。そしてプルプルと盛大に体を振って泥を落とした。


その勢いで僕の方にまで、泥が飛んで来たほどだ。


「うわぁっ!ちょっと辞めっ!?」


そういえばタヌキって泥浴び※1するんだった!!


助けようとして田んぼに入った僕は、余計なお世話だったって事?
そしてタヌキは僕の方をチラッと見た後、僕の荷物を漁り何故かスマホを咥えてウチの方に向かって歩き出した……


「ちょっ、ちょっとタヌキ!待って待って!置いて行かないで~!!
というかそのスマホは置いてって~!!」


という僕の叫びも虚しく、タヌキは何処かに行ってしまった。


「嘘でしょ?僕、誰かが通りかかるまでこのままなの?」


身動きが取れないまま、ずっと立っているのがこんなに辛いとは!?


そろそろ限界かと思っていた時に、ようやく遠くに人影が見えた。やっと誰か来た!!


「助けてください!足が泥にハマって抜けないんです!!」


僕の声を聞きつけて、助けに来てくれたのは何とウチでバイトをしている満月さんだった。


「瑞稀君!大丈夫かい!?」

「大丈夫じゃないです!助けてください!!」


満月さんに引っ張り上げてもらって、ようやく僕は田んぼから救出され、スマホも受け取った。
時間を確かめたら、30分くらいは経っていた。
暫く動けそうにない……


「満月さん、ありがとう!満月さんが来てくれなかったら、危なかったよ!
でもどうしてここに?」

「あはははっ♪いつも庭に来るタヌキが、泥だらけで瑞稀君のスマホ咥えてお店に来たから、もしかしてと思ってよく泥浴びしてるここへ来て見たんだ……  」

「へぇ~あのタヌキ、一応助けを呼びに行ってくれたんだ。けっこう賢いんだね。」

「そ…そうなんだよ。あはははっ。」

「そういえば満月さん、今日はバイト休みでしょ?
どうしてお店に居たの?」


そう僕が質問すると、満月さんはちょっと焦り気味に……


「き…昨日、お店に忘れ物しちゃってね!明日、朝イチで提出しないといけないレポートなんだ!!」


なんだか言い訳っぽい事を言い出した。別に隠さなくてもいいのになぁ。


その後、僕は満月さんと一緒にウチまで歩いて帰った。泥だらけで家に入れない僕を、満月さんが外の蛇口に繋いだホースで洗って、バスタオルで拭いてくれた。


ちょっと冷たかったけど仕方ない。


部屋に帰った後スマホ見てみたら、ビデオ映像が入っていた。タヌキが咥えてハフハフしながら歩き、時々疲れたのか引き摺っているみたい。
(鼻息と地面スレスレに影が映っている。)


ああ、だから返して貰った携帯が傷だらけだったんだね。


どうやらタヌキが咥えた拍子に、スイッチが入ってしまったらしい。
タヌキはスマホを咥えたまま、店の裏にある倉庫に入ったようだ。携帯を床に落とした様で、尻尾が映っている。


ボフンと言う音が聞こえ、満月さんが覗き込んで拾い上げる。ポケットに入れたらしく、音声のみになった。


《「まさか泥浴び中に来るとは……
瑞稀、ありゃ出られんのぅ。仕方ない、助けに行っちゃるか。」》


と、ここでスイッチ切れた。


アレ?なんだか違和感を感じるぞ??
タヌキが落としてから、満月さんが拾うまで時差が無さすぎない?それに、この話し方…何かおかしいし……


おかしいとは思うけど、それを満月さんに確かめるのもなんだかなぁ~。


まさか満月さんの正体が、タヌキとかあり得ないよね?
まさか、まさかねーwww


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(満月視点)


ここ数日…バイトをしている時、視線を感じるんじゃ……


ちょっと席を外した時や、倉庫に食材を取りに行くと必ず瑞稀が着いて来て、振り向くと明後日の方向を見たり、隠れたりしているんじゃが、まったく誤魔化しきれとらん。


急にどうしたんじゃろうか?


それからまた、3日ほど経った店の定休日……
久しぶりの晴れ間に、ワシはタヌキ姿で気持ち良く日向ぼっこをしとった。


引越して来た頃に、理子の両親がワシらの為に作ってくれたこの庭は、日当たりも良くて最高じゃ♪


せっかく気持ち良く寝とったのに、学校から帰って来た瑞稀が……


つんつんっ!


何故かそこらに落ちとった棒でワシをつつき始めたんじゃ。


つんつんっ!


「なぁ?お前ほんとは満月さんなんだろ?正体現せよ!」


つんつんっ!


地味に痛いんじゃが……


「おい!何とか言えってば~!」


しつこいのぅ~。流石に、如何に優しいワシでも怒るぞ瑞稀よ!


「おや?瑞稀君、タヌキと遊んでたの?」


その声にビックリして、首を起こして振り向くと、そこにはが立っていた。


「えっ!?満月さん?」


瑞稀もを見てビックリしたようじゃ。


「何で満月さんがここに?」

「あぁ、ちょっと忘れ物取りに来ただけだよ。そしたら理子ちゃんに…… 」

「なんだ、ここに満月さんが居るって事は、僕の思い違いかぁ~。」


そう言って、瑞稀は部屋に戻って行った。


「じゃあね!」


やれやれ…助かったわい……


「油断しすぎじゃぞ、満月!お嬢が知らせてくれんかったら、危ないところじゃった。貸し一つじゃな。」


の姿のあんちゃんがジト目で睨みつけて来た。


『すまん…次から気をつける。それにしても、何でバレたんじゃ?』

「お嬢の話じゃスマホに、何か映っとるんじゃないかと……
じゃが、決定的な瞬間は映ってなかったんじゃろう。」

『ああ…あの時か…… 
なんかの拍子に、スイッチが入ってしもうたんかのぅ?』

「今回は上手く誤魔化せたが、スマホの方を何とかせにゃならん。」

『こういう時はの…… 』

「こういう時は、どうするんじゃ?」:

『神頼みじゃ!』


そう言って、ワシはこの前助けた神様の住処に向かって手を合わせてお願いをした。


『スクモ様、スクモ様。どうかワシの願いを叶えてくだされ!
《瑞稀のスマホに映っとる、ワシの映像をどうにかしてつかぁさい!》お願いします!!』

「神頼みってスクモ様?しかも『どうにか』って…… 」


徳は呆れとるが、ワシは真剣じゃ!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(瑞稀視点)

アレ?そうすると、この前のビデオは?
よし、確認してみるか……   


ドラマの【科学捜査班※2】みたいに音量を上げたら、何か聞き取れるかも知れない!


タヌキがスマホを咥えて歩いているところは、問題無し。


「問題はこの後…… 」


《「お!?タヌキ泥だらけじゃん!アレ?お前が持ってるそれ瑞稀のスマホじゃないか?
勝手に持って来ちゃったのか?」


満月さんの声が聞こえて、だんだんタヌキに近づいて来た。》


「アレ?前に聞いた時にこんな声、聞こえなかったんだけどなぁ…… 」


《「まさか泥浴び中に来るとは……
瑞稀、ありゃ出られんのぅ。仕方ない、助けに行っちゃるか。」》


と、ここでスイッチが切れる。


「あ~あ、やっぱり僕の勘違いだったって事かぁ……
なぁんだ残念…タヌキが満月さんだったら面白かったのに…… 」


結局、勘違いで田んぼにハマるわ、タヌキにスマホを傷だらけにされるわで、散々な目にあっちゃったなぁ。


今度タヌキが田んぼの中に居ても、もう助けてやらないんだからな!


僕は傷だらけのスマホを机の上に放り出し、ベッドで昼寝することにした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※1

身体についたダニや寄生虫を落とす為に、野生動物がわざと泥まみれになる行為。


※2

【科学捜査班】
警視庁科学捜査班のメンバーが活躍する、ミステリードラマ。












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