【ユイナーダ王国勇者伝説】天然ボケ猫勇者王子セイマは修行中〜勇者パーティーは回復役は聖人より聖女の方が良い!と言ってますが真の勇者は私です!

砂月ちゃん

文字の大きさ
5 / 35

【閑話】学生時代の思い出

しおりを挟む
私とハーシーはいわゆる幼馴染み。
7歳の時に年齢の近かった彼と城内にある、サイド伯爵の職場付近で知り合いました。


庭で迷子になっていたところを、のがきっかけです。
それからというもの、彼は何かと世話をやいてくれる様になりました。


しかし残念ながら、5歳の時に受けた【最初の祝福】で《聖魔法》が使える事がわかっていたので、10歳になったら神殿に修行に出る事になっていたので、彼と一緒に遊べたのは三年間くらい。



次に彼と会えたのは学園の高等部に入ってからでした。
神殿の修行だけでは将来旅に出た時や、治療院に勤める様になった時に、いろいろと困る事になりますからね。


それに《聖魔法》持ちの人が全員【聖人】【聖女】になれる訳ではありませんし。
中には様々な理由で還俗される方もいらっしゃいます。


ご実家の財力でご自分の治療院を持つ方。
ご実家が代々治療院で治療師になる方。


ご実家の跡を継ぐ為に還俗して【特進科】に入る方。
ご令嬢は【淑女科】に入ってそのまま嫁がれる方がけっこういます。


おそらく私が還俗する事は無いでしょうが……


私は身分的に、学園を卒業しないといけません。
私は三男なので騎士科・文官科・土木・建築科・練金科・魔術科の中から選択します。


【騎士科】は既に兄上が通っているし、騎士を目指している訳ではないから却下。


【文官科】は卒業後は神官になるし、直ぐ下の弟が宰相家に婿入りする為に入る予定なので却下。


各地を旅しながら、治水工事の指揮を取っている神官もいるので、【土木・建築科】を選ぼうとしたら、怒られました。
理由は五男以下が困るから、三男の私は遠慮しなくてはいけないそうです。


【練金科】はそもそも無理……


仕方がないので、【魔術科】を選択しました。
私は《聖魔法》以外の魔法も使えるので、自衛の為にも習う必要があるそうです。


放課後に行われる部活は自衛の為と、《聖魔法》の修行も兼ねて【武術部】に入りました。


【武術部】の部員は卒業後、冒険者を目指す者達がほとんどなので、とにかく実力主義。
私も最初のうちはよく怪我をして、自分で自分の治療をしていました。


そのおかげで、私には棒術と槍術の才能がある事がわかり、今でも凄く助かります。
いくら魔力が多くても、魔法にばかり頼っていては肝心な時に《魔法》が使えなかったら困りますからね。


そんなある日、『練金科で爆発事故が起き、怪我人が大勢出た!』という緊急の知らせが来たのです!


私は嫌な予感がして、すぐさま現場に向かいました。
現場は騒然としており、先に駆けつけていた《聖魔法》を使える学園生や保健医、勇気のある淑女科の学園生が治療にあたっています。


しかし、思いのほか重傷者が多く治療が間に合っていません。
私は倒れている人々を見て、アレを使う決意をしました。


我が血筋だけに伝わる《聖魔法》の秘術、【神降ろし神猫憑き】!!
今回は《癒しの女神ナツキ様》をその身に降ろし、超強力な《聖魔法》エリアパーフェクトヒールを使う!


この秘術を使用すると、暫くたいへんな事になるのですが、そんな事を言っている場合にはありません。


まだ、使い慣れていないので範囲も狭くなるべく重症者の近くで使う必要があります。
その重傷者の中に、私は見つけてしまったのです。


我が心友、ハーシーの姿を!!


私は【神降ろし神猫憑き】を使いました。
彼を死なせる訳にはいかない!


たった一人の心友ですから。


「エリアパーフェクトヒールにゃ!!」


神降ろし神猫憑き】の弊害……
それは…【神降ろし神猫憑き】で降ろした神様が、なかなかお帰りにならない事。
お帰りにならないと、私の身体に猫耳と尻尾が生えたままになってしまうのです。


神々の世界は暇らしく、一度降ろすと満足するまで、私の身体から出て行かれない。


今回は大人しいナツキ様なので、カフェやケーキ屋である程度スイーツを食べると、ご満足頂けるのでまだ良い方でしょう。


前に【神降ろし神猫憑き】でコウメ様を降ろしたら、一週間居座られた上に神殿内で、神官見習いの女性を脅して、不定行為をしようとしていた神官を《教育的指導》という名目で、私の身体を使って叩きのめしてしまったのです。


その時はまだ、私のレベルが低かった為、大した怪我ではなく神官はかすり傷で済みましたけど。


コウメ様はルールを守らない人には厳しい方です。


《法の女神様》ですから。
その直後にご満足頂けたのか、神界にお帰りになりましたがその所為で、状況の説明がとんでもなく面倒くさい事になりました。


因みに件の神官は当然破門されましたよ。
コウメ様に見つかる前にも、何度か同じ様な事を繰り返していた様ですね。


それはともかく、いくら《回復魔法》で傷が治っても、流れた血は元に戻りませんから、安静にしていなければなりません。


後は学園内にある病院にお任せしましょう。
ハーシーの事は心配ですけど、今の私の姿を見せる訳にはいきません……


彼が目覚める前にこの場を離れ様としましたが、どうやら遅かった様ですね。
ハーシーは無意識のうちに、私の尻尾を掴んでいたのです。


痛いからやめてほしい。


彼は無類の猫好きで、特に黒猫や白黒のブチ猫が大のお気に入り。
なので今の私は彼の好みなのです。


ハーシーの所為でナツキ様のご機嫌が悪くなり、『彼の奢りでお腹いっぱいスイーツを食べないと帰らにゃい!!』
そう言われて、10 日も居座られてしまいました。


私は10キロ太りました。


「うぅ…今月の小遣いがぁ~!」


ハーシーは今月分のお小遣いを、全部使い果たしてしまいました。


可哀想なので、私と一緒に食事をする事を条件に、来月のお小遣いが出るまで食事代を出す事にしたのです。


というのは建前で、私のダイエットに付き合わせている状態です。


ハーシーと一緒に居られるのも後約二年……
卒業したら、また暫く会えなくなります。


それまで少しでも一緒に居られますように……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない

中崎実
ファンタジー
いきなり異世界に召喚されて、なんかイケメンに「世界を救ってもらいたい事情」を説明される、よくあるWEBファンタジーあるあるパターンが発生した。 だけどねえ、あなたの言い草が気に食わないのよね?からの、聖女が帰宅するまでのおはなし。 王子「自分達より強い敵をどうにかしてくれる相手を呼ぼう。女なら押し倒してしまえば、思うがままにできる!」 聖女1「有能な人を呼びました、としゃあしゃあと抜かすツラだけ良い男、なぁんか気に入らないのよねえ……」 聖女2「はよ帰ろ~」 聖女3「……」 論破というより爆破してませんか、あなた達?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

私が偽聖女ですって? そもそも聖女なんて名乗ってないわよ!

Mag_Mel
恋愛
「聖女」として国を支えてきたミレイユは、突如現れた"真の聖女"にその座を奪われ、「偽聖女」として王子との婚約破棄を言い渡される。だが当の本人は――「やっとお役御免!」とばかりに、清々しい笑顔を浮かべていた。 なにせ彼女は、異世界からやってきた強大な魔力を持つ『魔女』にすぎないのだから。自ら聖女を名乗った覚えなど、一度たりともない。 そんな彼女に振り回されながらも、ひたむきに寄り添い続けた一人の少年。投獄されたミレイユと共に、ふたりが見届けた国の末路とは――? *小説家になろうにも投稿しています

処理中です...