12 / 35
サイド領にて ④ 【勇者】とは……
しおりを挟む
次の目的地で最後です。
目的地の名前はマウンテンサイド。
山の側にある集落だそうです。
山の側ね……
私にはどう見ても山の中…というか外輪山に囲まれたその昔、火山の火口だった場所にしか見えないんですけど!
やっぱり初代サイド伯爵って……
しかも此処に辿り着くまでがたいへんでした。
街道から外れ険しい山道を2日間、馬車で越えなければなりませんでした。
此処って何かの隠れ里か何かですか?
えっ?当たり!?
此処は領地境で、以前は大規模な盗賊団のアジトがあり、辺り一帯(サイド領とライブラ侯爵領)を荒らし回ってたいへん困っていたそうです
そこでサイド家の寄親でもある隣領のライブラ侯爵家と共同で盗賊団を討伐し、現在は町中で出来ない魔道具や魔法の実験場として使っているのだそうです。
しかし毎年この時期になるとその盗賊団の霊が現れ、実験の邪魔をするので除霊して欲しいという事です。
除霊かぁ…あんまり得意じゃないんだけどなぁ……
そうなると降ろすのはミーチ様か。
ちゃんと仕事してくれると思うけど、問題はその後ですね。
ミーチ様はハーシーが大好きだから、いなかったら直ぐに帰ってくれますが、見つけたら最後、なかなか帰ってくれないんです。
今日は休んで明日、除霊する事にしましょう。
研究所の人達が、歓迎会をしてくれるというので、参加しました。
研究員の中には稀人や自称転生者の方もいらっしゃいました。
その中で酔いの勢いもあったのでしょう。
こんな質問をして来た、研究員が居ました。
「あ…あの…わたし、ハルカって言います。セイマ様にご質問が!」
顔をほんのり赤く染めて、ちょっと興奮気味だ。
これが女性なら色っぽくて良いのですが、残念ながら30代くらいの男性でした。
確か…こちらに来る前は向こうで《こんぴゅーたーぷろぐらまー》なる職業に就いていたと聴きました。
だからと言って、邪険にする訳じゃありませんよ。
「ご質問ですか?私に答えられる事なら、お答えしますよ。」
「セイマ様は【勇者】といわれてますけど、こちらには【勇者】という職業は無いと聞いています。
どういう事なのでしょうか?」
稀人や自称転生者の方の、よくある質問ですね。
「はい、職業ではありませんよ。
この世界でいう【勇者】というのは国や神殿、人々から認められ、更に神々から認められて初めて付く称号です。
ですから、ステータスにするとこんな感じになりますね。」
そう言って、公開されている私のステータスを見せました。
『名前 セイマ・フォン・ユイナーダ
年齢 26歳
職業 神官
称号【聖人】【勇者】 』
「とこんな感じで、ちゃんと神々から認められていないと、ステータスに【勇者】と入らないんです。
もちろん、自称【勇者】という方は沢山いらっしゃいますけどね。
因みにステータスは先程のところまでなら、開示可能です。
もちろんステータスの改竄はできませんよ。
非公開にはできますけど。
ですから勝手に【勇者】という称号をステータスに入れる事はできません。」
私の説明でハルカ研究員はそちらの方は納得してもらえました。
「でも我々稀人に、あまりその話しは伝わっていませんよ。」
「えっ!?そうなんですか?
王都の《稀人支援制度》のマニュアルにはきちんと書いてあるハズなんですけどねぇ~。」
明日の朝、王太子を通して確認してもらいましょう。
今日はもう遅いですし……
その後ハルカ研究員は他愛ない話しをして、仲間の所に帰って行きました。
そう…ステータスは改竄は出来ませんが非公開には出来るんです。
実は私、他にも職業と称号があるんです。
『名前 セイマ・フォン・ユイナーダ
年齢 26歳
職業 神官 賢者
称号【聖人】【勇者】
【神々の依代】 』
もちろん、非公開ですよ。
そういえば…此処の地名は初代伯爵が付けたのではありませんでした。
付けたのは現伯爵だとか……
やっぱりネーミングセンスは無いようです。
目的地の名前はマウンテンサイド。
山の側にある集落だそうです。
山の側ね……
私にはどう見ても山の中…というか外輪山に囲まれたその昔、火山の火口だった場所にしか見えないんですけど!
やっぱり初代サイド伯爵って……
しかも此処に辿り着くまでがたいへんでした。
街道から外れ険しい山道を2日間、馬車で越えなければなりませんでした。
此処って何かの隠れ里か何かですか?
えっ?当たり!?
此処は領地境で、以前は大規模な盗賊団のアジトがあり、辺り一帯(サイド領とライブラ侯爵領)を荒らし回ってたいへん困っていたそうです
そこでサイド家の寄親でもある隣領のライブラ侯爵家と共同で盗賊団を討伐し、現在は町中で出来ない魔道具や魔法の実験場として使っているのだそうです。
しかし毎年この時期になるとその盗賊団の霊が現れ、実験の邪魔をするので除霊して欲しいという事です。
除霊かぁ…あんまり得意じゃないんだけどなぁ……
そうなると降ろすのはミーチ様か。
ちゃんと仕事してくれると思うけど、問題はその後ですね。
ミーチ様はハーシーが大好きだから、いなかったら直ぐに帰ってくれますが、見つけたら最後、なかなか帰ってくれないんです。
今日は休んで明日、除霊する事にしましょう。
研究所の人達が、歓迎会をしてくれるというので、参加しました。
研究員の中には稀人や自称転生者の方もいらっしゃいました。
その中で酔いの勢いもあったのでしょう。
こんな質問をして来た、研究員が居ました。
「あ…あの…わたし、ハルカって言います。セイマ様にご質問が!」
顔をほんのり赤く染めて、ちょっと興奮気味だ。
これが女性なら色っぽくて良いのですが、残念ながら30代くらいの男性でした。
確か…こちらに来る前は向こうで《こんぴゅーたーぷろぐらまー》なる職業に就いていたと聴きました。
だからと言って、邪険にする訳じゃありませんよ。
「ご質問ですか?私に答えられる事なら、お答えしますよ。」
「セイマ様は【勇者】といわれてますけど、こちらには【勇者】という職業は無いと聞いています。
どういう事なのでしょうか?」
稀人や自称転生者の方の、よくある質問ですね。
「はい、職業ではありませんよ。
この世界でいう【勇者】というのは国や神殿、人々から認められ、更に神々から認められて初めて付く称号です。
ですから、ステータスにするとこんな感じになりますね。」
そう言って、公開されている私のステータスを見せました。
『名前 セイマ・フォン・ユイナーダ
年齢 26歳
職業 神官
称号【聖人】【勇者】 』
「とこんな感じで、ちゃんと神々から認められていないと、ステータスに【勇者】と入らないんです。
もちろん、自称【勇者】という方は沢山いらっしゃいますけどね。
因みにステータスは先程のところまでなら、開示可能です。
もちろんステータスの改竄はできませんよ。
非公開にはできますけど。
ですから勝手に【勇者】という称号をステータスに入れる事はできません。」
私の説明でハルカ研究員はそちらの方は納得してもらえました。
「でも我々稀人に、あまりその話しは伝わっていませんよ。」
「えっ!?そうなんですか?
王都の《稀人支援制度》のマニュアルにはきちんと書いてあるハズなんですけどねぇ~。」
明日の朝、王太子を通して確認してもらいましょう。
今日はもう遅いですし……
その後ハルカ研究員は他愛ない話しをして、仲間の所に帰って行きました。
そう…ステータスは改竄は出来ませんが非公開には出来るんです。
実は私、他にも職業と称号があるんです。
『名前 セイマ・フォン・ユイナーダ
年齢 26歳
職業 神官 賢者
称号【聖人】【勇者】
【神々の依代】 』
もちろん、非公開ですよ。
そういえば…此処の地名は初代伯爵が付けたのではありませんでした。
付けたのは現伯爵だとか……
やっぱりネーミングセンスは無いようです。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない
中崎実
ファンタジー
いきなり異世界に召喚されて、なんかイケメンに「世界を救ってもらいたい事情」を説明される、よくあるWEBファンタジーあるあるパターンが発生した。
だけどねえ、あなたの言い草が気に食わないのよね?からの、聖女が帰宅するまでのおはなし。
王子「自分達より強い敵をどうにかしてくれる相手を呼ぼう。女なら押し倒してしまえば、思うがままにできる!」
聖女1「有能な人を呼びました、としゃあしゃあと抜かすツラだけ良い男、なぁんか気に入らないのよねえ……」
聖女2「はよ帰ろ~」
聖女3「……」
論破というより爆破してませんか、あなた達?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
私が偽聖女ですって? そもそも聖女なんて名乗ってないわよ!
Mag_Mel
恋愛
「聖女」として国を支えてきたミレイユは、突如現れた"真の聖女"にその座を奪われ、「偽聖女」として王子との婚約破棄を言い渡される。だが当の本人は――「やっとお役御免!」とばかりに、清々しい笑顔を浮かべていた。
なにせ彼女は、異世界からやってきた強大な魔力を持つ『魔女』にすぎないのだから。自ら聖女を名乗った覚えなど、一度たりともない。
そんな彼女に振り回されながらも、ひたむきに寄り添い続けた一人の少年。投獄されたミレイユと共に、ふたりが見届けた国の末路とは――?
*小説家になろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる