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大怪獣決戦 ④
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先程セイマによる結界が解かれたのを確認したので、安全は確保された。
ここから先は私が指示しなくても大丈夫だ。
私は我慢の限界を迎えていた。
もう限界だ……
これ以上は耐えられない。
「後を頼む…私は少し休ませてもらうぞ。
それからボルネオール侯爵令嬢も、疲れているだろうから、部屋を用意して休ませてやってくれ。」
「ハッ!承知致しました。直ぐその様に手配致します。」
「兄上、お疲れ様でした!後は私にお任せください。」
「うむ…任せたぞ。」
そう副官や第一騎士団長に命令し、ケイト嬢より一足先に会議室を出る事にした。
何故か神々しいふくよかなお猫様が、当然の様に付いて来た。
「アラン殿下…(笑いたいのを我慢している)私のご心配までして頂き、ありがとうございます。」
扇で口元を隠したケイト嬢から、申し訳なさそうに礼を言われた。
「何の一緒に笑いたいのを我慢した同士ではないか。
部屋でゆっくり思い切り笑うと良い。
では、私は先に失礼する。」
国王代理として国防の危機を乗り越え、立派にその役目を果たした王太子の姿は威厳に満ち、『流石は次期国王。』とその場にいる者達の尊敬を集めていた。
ある一部の者達を除いて……
『『あぁっ!殿下達ずるいです!!
ご自分とボルネオール侯爵令嬢だけ抜け駆けするなんて!!
我々だって笑いたいのを我慢しているのに!!』』
それはドローンモドキカメラで、勇者シルバーの毛繕い映像に癒されていた猫好き達であった。
彼らも今すぐ、この部屋を出て笑いたかった。
しかしここでそんな事をすれば、顰蹙を買うのは必死、まるで某年末番組状態である。
さてその頃、自室に戻った私と王城の客室に案内されたケイト嬢はそれぞれの部屋で……
「「ぷっ!あはははっ!!おっかしぃ~ww
大事なところで吐くとか、ありえねぇだろう(ありえないでしょ~)www
しかも【ピンクギドラ】貰いゲロで、弱体化ってwww」」
大笑いしていた……
「あ~もう笑い過ぎて腹痛て~ゲホッく…苦しいwww」
「ヤダもう~お腹痛いwww」
数分後…私とケイト嬢は笑い過ぎて腹痛と呼吸困難を起こし、動けなくなっているところを、それぞれの従者とメイドに発見され、介抱されるという醜態を晒していた。
王太子と侯爵令嬢…とてもこんな姿は人に見せられない。
人払いして置いて良かった。
『『あぁ、おいたわしや殿下(お嬢様)……』』
(アランの従者&ケイトの専属メイド)
神々しいふくよかなお猫様は、馬鹿騒ぎを物ともせず、王太子アランの最高級ベットの上で、気持ち良さそうに寝ている。
------------------
(シルバーside)
いつの間にか、元に戻っていた勇者シルバーは、飼い主のケイトを探して王城内を彷徨っていた。
『なぁぁうおぉう~…なぁぁうおぉう~!』
ウロウロ……
広い王宮の中、飼い主を探して歩き回る黒トラ猫。
暗がりで光るシルバーの目を見て驚いた、王城の使用人達は悲鳴をあげていた。
そして更に悲劇は続く……
『なぁおおぉぉぉう…』
…。
…。
カコッ…カコッ…カコッ…
クッチャクッチャ
《猫ゲロ地雷…設置。》
…。
『なぁ~おぉう… 』
ザッシュ、ザッシュ
(砂を掛けねば…… )
だが王城の廊下に砂はない。
なので掛けたつもりである。
しかしそれで満足してしまうのが、猫の習性。
この行動ですっきりと気分を良くしたシルバーは、また飼い主を探し始めたのであった。
『なぁぁうおぉう~…なぁぁうおぉう~。』
運悪く猫ゲロ地雷それを踏んでしまったのは、何と客室で先に休んでいるケイトを訪ねて来たタークであった。
「うっぎゃ~!嘘でしょ~!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(王太子side)
その日王城の各所で、《腹痛と呼吸困難で動けなくなっている者が複数人発見され、神殿と第一騎士団が動くという騒ぎになった。》と報告があった。
《【ピンクギドラ】の呪いでは?》と言われたが、回復した者達の供述で『シルバーの勇姿がツボに嵌まった猫好き達による、単なる笑い過ぎによるもの』であった事が判明。
だろうな…私もアレには苦しんだ。
何にせよ人騒がせな事である。
またこの事件の映像は後日、魔道具研究所と騎士団が資料映像として編集した物とは別に、有志による編集がなされた物が一般的に出回り、猫好きだけでなく稀人達の間でも大人気になった。
中には数人の自称転生者も含まれていたのだが、ここで問題が発生した。
なんと今まで自称転生者として振る舞っていた者達の多くが、この映像を視ても稀人達と同じ様な反応を示さなかったのだ。
それにより、多くの自称転生者が実は偽物であった事が判明するという副作用が起こった。
コレは使えるかもしれない。
ここ数年、【転生者】を名乗る者が多過ぎ、これまで現れた稀人達の知識を利用して擬装する者まで現れた。
あの映像を見せた時の反応を見れば、ある程度本物と偽物の区別がつく。
ちょうどセイマから怪しい人物が居ると相談を受けているし、どんな反応をするか先ずは其奴で試して見るか………
ここから先は私が指示しなくても大丈夫だ。
私は我慢の限界を迎えていた。
もう限界だ……
これ以上は耐えられない。
「後を頼む…私は少し休ませてもらうぞ。
それからボルネオール侯爵令嬢も、疲れているだろうから、部屋を用意して休ませてやってくれ。」
「ハッ!承知致しました。直ぐその様に手配致します。」
「兄上、お疲れ様でした!後は私にお任せください。」
「うむ…任せたぞ。」
そう副官や第一騎士団長に命令し、ケイト嬢より一足先に会議室を出る事にした。
何故か神々しいふくよかなお猫様が、当然の様に付いて来た。
「アラン殿下…(笑いたいのを我慢している)私のご心配までして頂き、ありがとうございます。」
扇で口元を隠したケイト嬢から、申し訳なさそうに礼を言われた。
「何の一緒に笑いたいのを我慢した同士ではないか。
部屋でゆっくり思い切り笑うと良い。
では、私は先に失礼する。」
国王代理として国防の危機を乗り越え、立派にその役目を果たした王太子の姿は威厳に満ち、『流石は次期国王。』とその場にいる者達の尊敬を集めていた。
ある一部の者達を除いて……
『『あぁっ!殿下達ずるいです!!
ご自分とボルネオール侯爵令嬢だけ抜け駆けするなんて!!
我々だって笑いたいのを我慢しているのに!!』』
それはドローンモドキカメラで、勇者シルバーの毛繕い映像に癒されていた猫好き達であった。
彼らも今すぐ、この部屋を出て笑いたかった。
しかしここでそんな事をすれば、顰蹙を買うのは必死、まるで某年末番組状態である。
さてその頃、自室に戻った私と王城の客室に案内されたケイト嬢はそれぞれの部屋で……
「「ぷっ!あはははっ!!おっかしぃ~ww
大事なところで吐くとか、ありえねぇだろう(ありえないでしょ~)www
しかも【ピンクギドラ】貰いゲロで、弱体化ってwww」」
大笑いしていた……
「あ~もう笑い過ぎて腹痛て~ゲホッく…苦しいwww」
「ヤダもう~お腹痛いwww」
数分後…私とケイト嬢は笑い過ぎて腹痛と呼吸困難を起こし、動けなくなっているところを、それぞれの従者とメイドに発見され、介抱されるという醜態を晒していた。
王太子と侯爵令嬢…とてもこんな姿は人に見せられない。
人払いして置いて良かった。
『『あぁ、おいたわしや殿下(お嬢様)……』』
(アランの従者&ケイトの専属メイド)
神々しいふくよかなお猫様は、馬鹿騒ぎを物ともせず、王太子アランの最高級ベットの上で、気持ち良さそうに寝ている。
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(シルバーside)
いつの間にか、元に戻っていた勇者シルバーは、飼い主のケイトを探して王城内を彷徨っていた。
『なぁぁうおぉう~…なぁぁうおぉう~!』
ウロウロ……
広い王宮の中、飼い主を探して歩き回る黒トラ猫。
暗がりで光るシルバーの目を見て驚いた、王城の使用人達は悲鳴をあげていた。
そして更に悲劇は続く……
『なぁおおぉぉぉう…』
…。
…。
カコッ…カコッ…カコッ…
クッチャクッチャ
《猫ゲロ地雷…設置。》
…。
『なぁ~おぉう… 』
ザッシュ、ザッシュ
(砂を掛けねば…… )
だが王城の廊下に砂はない。
なので掛けたつもりである。
しかしそれで満足してしまうのが、猫の習性。
この行動ですっきりと気分を良くしたシルバーは、また飼い主を探し始めたのであった。
『なぁぁうおぉう~…なぁぁうおぉう~。』
運悪く猫ゲロ地雷それを踏んでしまったのは、何と客室で先に休んでいるケイトを訪ねて来たタークであった。
「うっぎゃ~!嘘でしょ~!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(王太子side)
その日王城の各所で、《腹痛と呼吸困難で動けなくなっている者が複数人発見され、神殿と第一騎士団が動くという騒ぎになった。》と報告があった。
《【ピンクギドラ】の呪いでは?》と言われたが、回復した者達の供述で『シルバーの勇姿がツボに嵌まった猫好き達による、単なる笑い過ぎによるもの』であった事が判明。
だろうな…私もアレには苦しんだ。
何にせよ人騒がせな事である。
またこの事件の映像は後日、魔道具研究所と騎士団が資料映像として編集した物とは別に、有志による編集がなされた物が一般的に出回り、猫好きだけでなく稀人達の間でも大人気になった。
中には数人の自称転生者も含まれていたのだが、ここで問題が発生した。
なんと今まで自称転生者として振る舞っていた者達の多くが、この映像を視ても稀人達と同じ様な反応を示さなかったのだ。
それにより、多くの自称転生者が実は偽物であった事が判明するという副作用が起こった。
コレは使えるかもしれない。
ここ数年、【転生者】を名乗る者が多過ぎ、これまで現れた稀人達の知識を利用して擬装する者まで現れた。
あの映像を見せた時の反応を見れば、ある程度本物と偽物の区別がつく。
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