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大怪獣決戦 ③
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たいへんお待たせしました!
今回はいつもより長いです。
----------------
外に出た勇者シルバーは神々しいふくよかなお猫様に貰った、謎のスクロールを咥えている。
《ニャワッ!!》
一声鳴いたかと思うと、勇者シルバーは突然【ピンクギドラ】と同じくらいの大きさに変化した。
「「「おぉ~!?勇者シルバーが巨大に!!神の奇跡だ!!」」」
「ウ…ウ◯トラニャ◯!!」
(因みに本物は巨大化しない。)
ハッ!?しまった!!
慌てて周囲を見廻したが、今回は皆んな巨大シルバーの方に気を取られていて、私の失言を誰も聴いていなかった。
セーフ!!
あのドローンモドキの最後の1機からの映像は、かなりの解析度だった。
中華鍋型の反射装置は使えなくなったが、中継カメラとしてはかなり使える。
そのおかげで、外の様子がよくわかるのだが、一つ問題が……
長時間モニターを…というか【ピンクギドラ】を見続ける事が出来ないのだ。
前世でいう北欧系に近い容姿の我々ユイナーダ人は眼の色素が薄く、ああいうドギツイ色はかなりしんどい。
眼がチカチカする……
なんなんだあの《パッションピンクにエメラルドグリーンの水玉模様》って!!
ふとリョウ達の方を見ると、何故か眼鏡が牛乳瓶底から、何処かのスパイの様なサングラスに変わっていた。
お前らいつの間に!
「おいリョウ!そのサングラスこっちにも寄越せ!モニターが見辛くて敵わん!!」
とリョウにサングラスを請求すると、
ニヤリと笑って
「なるほど…【サングラス】か良いネーミングだ!
まだ正式な名前を決めてなかったから、それ採用♪
用意させるからちょっと待ってて。」
と言って部下に指示をだした。
「皆さんの分の黒眼鏡…もといサングラスもお持ちして!」
と部下にサングラスを持って来る様に言っている。
しまった!つい前世の品名を……
後にこの黒眼鏡…サングラスはユイナーダ王国だけでなく、他国の色素の薄い眼を持つ人々にも大流行。
後のユイナーダ王国国王アラン・D・ユイナーダ王の名も、命名者として広く知られる事になるが、それはまた別の話し……
暫くして研究員が大量のサングラスを持って来た。
あるんなら最初から、持って来いよ!
ああコレで見やすくなったな。
さて、外の様子だが……
「「「………… 。」」」
勇者シルバーは身だしなみを整えていた。
おい!猫の毛繕いより【ピンクギドラ】の方を写せ!
これじゃただのアニマル映像だろう!
私が睨みつけると、カメラの操作担当者は慌ててカメラを【ピンクギドラ】の方に向ける。
するとモニターを見ていた数名が、残念がっているのが、見て取れた。
お前ら国防の危機だぞ!
う~ん…どっちみちカメラ1台じゃ厳しそうだな。
だが、解決方法はある。
私の予想が確かなら……
「お猫様。お猫様にお願いが。
このままでは戦いの様子がよくわからないので、カメラをもう何台か増やしてもらえませんか?」
神々しいふくよかなお猫様に、お願いすると、気前よく7台カメラを増やしてくれた。
しかも自動で撮影してくれる、優れ物だ!
しかも中華鍋型の反射板も、復活しているではないか!!
さて、【ピンクギドラ】の方はどうなっているかな?
おぉ!冒険者パーティーがまだ頑張っている!!
勇者シルバーの方はようやく、気持ちがある程度、落ち着いた様だ。
尻尾が地面をバンバン叩く度に、土埃が舞う。
(☆猫は自分の気持ちを落ち着かせる為に、毛繕いをします。
☆猫が尻尾をバンバンしている時は、機嫌の悪い時です。)
おっ!行くか!?
身体を低くして、冒険者パーティーに気を取られている、【ピンクギドラ】に慎重に近づいて行く勇者シルバー。
囮りとして頑張っていた、冒険者パーティーは流石に疲れて来た様だ。
だが何かを察したのか、猛スピードで勇者シルバーの横を擦り抜け、王都を覆う結界の近くに墜落していた、ドローンモドキの反射板の後ろに隠れた。
勇者シルバーはまず、【ピンクギドラ】を威嚇した。
『なあぁぁぁぁぁあおぉぉあぅぅ!!』
黒い毛を逆立て、尻尾も膨らませている。
それを見て、【ピンクギドラ】は怖気づいたのか、少し距離を取った。
【ピンクギドラ】の方も威嚇して来た。
『G a-O-------u!!』
「「「おぉ~!!よし行け!勇者シルバー!!」」」
皆んな大興奮しているが、私には大きさが違うだけで、アニマル映像にしか見えない。
勇者シルバーの飼い主である、ケイト嬢も『なんだコレ?』といった表情で、モニターを見ている。
勇者シルバーが軽く【ピンクギドラ】に猫パンチを何度かいれた!
猫の狩としてはまぁ普通の行動か……
【ピンクギドラ】の方も、三つの首を活かして、勇者シルバーに噛みつこうとしているが、リーチの差で噛みつく事ができない。
同じぐらいの大きさでも、首より猫の手の方がわずかに長いのだ。
そしてその動きはけっこう素早い!
【ピンクギドラ】は地上で戦うのを諦め、わずかな隙を突いて空へと舞い上がった。
マズいな……
「「「あぁ!【ピンクギドラ】め、卑怯だぞ!降りて来い!!」」」
羽があるんだから、そりゃ飛ぶだろ。
空を飛ぶ【ピンクギドラ】は勝ち誇ったように咆哮をあげ、地上にいる勇者シルバーに向けて口からビームを放った。
それに対して勇者シルバーは器用に避け続けている。
このままでは拉致が開かない……
すると神々しいふくよかなお猫様の作り出した方のドローンモドキが、【ピンクギドラ】のビームを跳ね返して反撃をしたのだ!
しかも何処かの黒い勇者ロボットの仲間が使った、複数の反射板によるビーム反射攻撃だ!!
お猫様ナイスアシスト!
ビームを放つ度に反射され、【ピンクギドラ】はかなり焦っている。
しかもこれを、たった5機でやっているのだから凄い。
(2機は撮影用)
その間に勇者シルバーは態勢を整えていた。
アレは殺る気だ!
そう猫は飛べないが、跳ぶ事はできる!!
勇者シルバーは大きく跳躍し、更にドローンモドキカメラを踏み台に【ピンクギドラ】より高い位置まで跳んだかと思うと、そこから強力な猫パンチを繰り出し【ピンクギドラ】を地上に叩き落した!
バチコーン!!
「「「おぉう!流石は勇者シルバー!!」」」
ガッシャーン!!
皆んなが喜ぶ中、リョウとターク嬢は落ち込んでいた。
何故なら先程勇者シルバーが、二度目の跳躍をする為に足場にしたドローンモドキカメラがその衝撃で墜落してしまったからだ。
それは神々しいふくよかなお猫様の作った方ではなく、彼らの作った最後の1機だった。
その直後に新たにドローンモドキカメラが何台か増えたので、モニターを見る分には問題はない。
「「私(僕)のアヤツレールカメラがぁ!!」」
泣き崩れるサイド兄妹。
お前ら仲良いな……
最後の1機がやられたので、魔道具研究所の仕事はなくなった。
普段なら直ぐ撤収するところだが、流石にここまで来て帰る者はいなかった。
さて…話しを戻そう。
勇者シルバーは叩き落した【ピンクギドラ】の上に見事に着地し、その勢いで攻撃を仕掛けた。
尻尾をバンバンさせながら、三つの首のうち、両サイドの首を前足で抑え込み真ん中の首に噛みついたのだ!
『ふうぉ-----う!』
その様子を見て、ケイト嬢が……
「不味そう…… 」
と小声で呟いたのは聞かなかった事にした。
【ピンクギドラ】の方も、必死に抵抗し真ん中の首からビームを放つ。
ビームを避ける為に、前足の力を緩めた隙に、勇者シルバーの下から抜け出し、再び飛ぼうとした。
だが【ピンクギドラ】が飛ぼうとした時、先程自分が放ったビームがドローンモドキの反射板をかいして、跳ね返され右の羽を貫いたのだ!
『Gu- Ooooo~!!』
「「「す…凄い!これでもうヤツは飛べないぞ!!」」」
「「「流石は勇者シルバー!!」」」
いや…今のはこの神々しいふくよかなお猫様のアシストだからな!
あぁほら!お猫様が悲しそうな目で、私の方を見てるじゃないか!!
解ってます!お猫様のお陰だという事は、よく解ってますからそんな目で見ないでください!
と…とにかくコレで地上戦が得意な、勇者シルバーが有利になった。
飛ぶ事が出来なければ、【ピンクギドラ】の機動力はかなり落ちる!
何しろ【ピンクギドラ】は身体構造的なバランスが悪い。
三つの首が重く足が短いので、地上を歩くのが苦手なのだ。
【ピンクギドラ】は勇者シルバーとドローンモドキの攻撃で、三つの首のうち真ん中の首は半分喰い千切られ、右羽の付根は反射されたビームで焼き切られて満身創痍。
コレはいける!!
と…ここで【ピンクギドラ】と対峙していた勇者シルバーに異変が!?
『カッコ!カッコ!カッコ!』
ま…まさか…アレは!?
「「「おぉ~!ついに勇者シルバーが熱線を!!」」」
その様子を見た神々しいふくよかなお猫様は、目の玉をかっぴらき慌ててドローンモドキカメラに指示を出した。
『げぇぇぇぇー』
一瞬で画面が切り替わり、モニターには綺麗なお花畑と猫の天使がラッパを拭いている映像と、《音声のみお届けしています。しばらくお待ちください。》というテロップがww
まさかの【放送事故】扱いww
笑いたい…しかし皆んなが真剣に勇者シルバーの勇姿を見ている中、笑うわけにはいかない!
私は顔を引き締め(笑いたいのを堪えて)画面を見つめた。
ケイト嬢は扇で口元を隠していたが、私の位置からだと、その口元が笑いたいのを堪えてピクついているのが見えた。
数秒後、画面は勇者シルバーが決まり悪そうに、カメラの方を見ている映像に切り替わった。
「「「………… 。吐いたのか?」」」
吐いた~!ゲロったよネコぉぉ~!!
巨大化した時に盛大に毛の手入れしてたから、やるとは思ったけどここでかぁ~。
『クッチャ、クッチャ…… 』
(勇者シルバー口直し中…… )
前世で飼ってた猫も、たまにやってたな……
知らずに踏んで酷い目にあった。
となると、直撃を受けた【ピンクギドラ】は……
『『Ge-Roooo!!』』(貰いゲロ)
またもや一瞬で画面はお花畑と猫の天使がラッパを拭いている映像と《しばらくお待ちください》というテロップに切り替わる。
今度は音声も消したようだ……
数秒後、画面が【ピンクギドラ】に切り替わりどうやら何かを吐き出したようだ。
ん?何だアレは??
何かを吐き出した途端、【ピンクギドラ】は急激に縮み始め、仕舞いには18m殆どの大きさになったところを、巨大化したままの勇者シルバーの猫パンチ一発で、息絶えた。
「「「ウォ~!やったぞ!
我々の、いや勇者シルバーの勝利だ!!バンザ~イ!!」」」
確かに勇者シルバーは勝った……
だが、問題はこれからだ!!
誰が猫ゲロ&ピンクギドラゲロを片付けるんだよ!?
今回はいつもより長いです。
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外に出た勇者シルバーは神々しいふくよかなお猫様に貰った、謎のスクロールを咥えている。
《ニャワッ!!》
一声鳴いたかと思うと、勇者シルバーは突然【ピンクギドラ】と同じくらいの大きさに変化した。
「「「おぉ~!?勇者シルバーが巨大に!!神の奇跡だ!!」」」
「ウ…ウ◯トラニャ◯!!」
(因みに本物は巨大化しない。)
ハッ!?しまった!!
慌てて周囲を見廻したが、今回は皆んな巨大シルバーの方に気を取られていて、私の失言を誰も聴いていなかった。
セーフ!!
あのドローンモドキの最後の1機からの映像は、かなりの解析度だった。
中華鍋型の反射装置は使えなくなったが、中継カメラとしてはかなり使える。
そのおかげで、外の様子がよくわかるのだが、一つ問題が……
長時間モニターを…というか【ピンクギドラ】を見続ける事が出来ないのだ。
前世でいう北欧系に近い容姿の我々ユイナーダ人は眼の色素が薄く、ああいうドギツイ色はかなりしんどい。
眼がチカチカする……
なんなんだあの《パッションピンクにエメラルドグリーンの水玉模様》って!!
ふとリョウ達の方を見ると、何故か眼鏡が牛乳瓶底から、何処かのスパイの様なサングラスに変わっていた。
お前らいつの間に!
「おいリョウ!そのサングラスこっちにも寄越せ!モニターが見辛くて敵わん!!」
とリョウにサングラスを請求すると、
ニヤリと笑って
「なるほど…【サングラス】か良いネーミングだ!
まだ正式な名前を決めてなかったから、それ採用♪
用意させるからちょっと待ってて。」
と言って部下に指示をだした。
「皆さんの分の黒眼鏡…もといサングラスもお持ちして!」
と部下にサングラスを持って来る様に言っている。
しまった!つい前世の品名を……
後にこの黒眼鏡…サングラスはユイナーダ王国だけでなく、他国の色素の薄い眼を持つ人々にも大流行。
後のユイナーダ王国国王アラン・D・ユイナーダ王の名も、命名者として広く知られる事になるが、それはまた別の話し……
暫くして研究員が大量のサングラスを持って来た。
あるんなら最初から、持って来いよ!
ああコレで見やすくなったな。
さて、外の様子だが……
「「「………… 。」」」
勇者シルバーは身だしなみを整えていた。
おい!猫の毛繕いより【ピンクギドラ】の方を写せ!
これじゃただのアニマル映像だろう!
私が睨みつけると、カメラの操作担当者は慌ててカメラを【ピンクギドラ】の方に向ける。
するとモニターを見ていた数名が、残念がっているのが、見て取れた。
お前ら国防の危機だぞ!
う~ん…どっちみちカメラ1台じゃ厳しそうだな。
だが、解決方法はある。
私の予想が確かなら……
「お猫様。お猫様にお願いが。
このままでは戦いの様子がよくわからないので、カメラをもう何台か増やしてもらえませんか?」
神々しいふくよかなお猫様に、お願いすると、気前よく7台カメラを増やしてくれた。
しかも自動で撮影してくれる、優れ物だ!
しかも中華鍋型の反射板も、復活しているではないか!!
さて、【ピンクギドラ】の方はどうなっているかな?
おぉ!冒険者パーティーがまだ頑張っている!!
勇者シルバーの方はようやく、気持ちがある程度、落ち着いた様だ。
尻尾が地面をバンバン叩く度に、土埃が舞う。
(☆猫は自分の気持ちを落ち着かせる為に、毛繕いをします。
☆猫が尻尾をバンバンしている時は、機嫌の悪い時です。)
おっ!行くか!?
身体を低くして、冒険者パーティーに気を取られている、【ピンクギドラ】に慎重に近づいて行く勇者シルバー。
囮りとして頑張っていた、冒険者パーティーは流石に疲れて来た様だ。
だが何かを察したのか、猛スピードで勇者シルバーの横を擦り抜け、王都を覆う結界の近くに墜落していた、ドローンモドキの反射板の後ろに隠れた。
勇者シルバーはまず、【ピンクギドラ】を威嚇した。
『なあぁぁぁぁぁあおぉぉあぅぅ!!』
黒い毛を逆立て、尻尾も膨らませている。
それを見て、【ピンクギドラ】は怖気づいたのか、少し距離を取った。
【ピンクギドラ】の方も威嚇して来た。
『G a-O-------u!!』
「「「おぉ~!!よし行け!勇者シルバー!!」」」
皆んな大興奮しているが、私には大きさが違うだけで、アニマル映像にしか見えない。
勇者シルバーの飼い主である、ケイト嬢も『なんだコレ?』といった表情で、モニターを見ている。
勇者シルバーが軽く【ピンクギドラ】に猫パンチを何度かいれた!
猫の狩としてはまぁ普通の行動か……
【ピンクギドラ】の方も、三つの首を活かして、勇者シルバーに噛みつこうとしているが、リーチの差で噛みつく事ができない。
同じぐらいの大きさでも、首より猫の手の方がわずかに長いのだ。
そしてその動きはけっこう素早い!
【ピンクギドラ】は地上で戦うのを諦め、わずかな隙を突いて空へと舞い上がった。
マズいな……
「「「あぁ!【ピンクギドラ】め、卑怯だぞ!降りて来い!!」」」
羽があるんだから、そりゃ飛ぶだろ。
空を飛ぶ【ピンクギドラ】は勝ち誇ったように咆哮をあげ、地上にいる勇者シルバーに向けて口からビームを放った。
それに対して勇者シルバーは器用に避け続けている。
このままでは拉致が開かない……
すると神々しいふくよかなお猫様の作り出した方のドローンモドキが、【ピンクギドラ】のビームを跳ね返して反撃をしたのだ!
しかも何処かの黒い勇者ロボットの仲間が使った、複数の反射板によるビーム反射攻撃だ!!
お猫様ナイスアシスト!
ビームを放つ度に反射され、【ピンクギドラ】はかなり焦っている。
しかもこれを、たった5機でやっているのだから凄い。
(2機は撮影用)
その間に勇者シルバーは態勢を整えていた。
アレは殺る気だ!
そう猫は飛べないが、跳ぶ事はできる!!
勇者シルバーは大きく跳躍し、更にドローンモドキカメラを踏み台に【ピンクギドラ】より高い位置まで跳んだかと思うと、そこから強力な猫パンチを繰り出し【ピンクギドラ】を地上に叩き落した!
バチコーン!!
「「「おぉう!流石は勇者シルバー!!」」」
ガッシャーン!!
皆んなが喜ぶ中、リョウとターク嬢は落ち込んでいた。
何故なら先程勇者シルバーが、二度目の跳躍をする為に足場にしたドローンモドキカメラがその衝撃で墜落してしまったからだ。
それは神々しいふくよかなお猫様の作った方ではなく、彼らの作った最後の1機だった。
その直後に新たにドローンモドキカメラが何台か増えたので、モニターを見る分には問題はない。
「「私(僕)のアヤツレールカメラがぁ!!」」
泣き崩れるサイド兄妹。
お前ら仲良いな……
最後の1機がやられたので、魔道具研究所の仕事はなくなった。
普段なら直ぐ撤収するところだが、流石にここまで来て帰る者はいなかった。
さて…話しを戻そう。
勇者シルバーは叩き落した【ピンクギドラ】の上に見事に着地し、その勢いで攻撃を仕掛けた。
尻尾をバンバンさせながら、三つの首のうち、両サイドの首を前足で抑え込み真ん中の首に噛みついたのだ!
『ふうぉ-----う!』
その様子を見て、ケイト嬢が……
「不味そう…… 」
と小声で呟いたのは聞かなかった事にした。
【ピンクギドラ】の方も、必死に抵抗し真ん中の首からビームを放つ。
ビームを避ける為に、前足の力を緩めた隙に、勇者シルバーの下から抜け出し、再び飛ぼうとした。
だが【ピンクギドラ】が飛ぼうとした時、先程自分が放ったビームがドローンモドキの反射板をかいして、跳ね返され右の羽を貫いたのだ!
『Gu- Ooooo~!!』
「「「す…凄い!これでもうヤツは飛べないぞ!!」」」
「「「流石は勇者シルバー!!」」」
いや…今のはこの神々しいふくよかなお猫様のアシストだからな!
あぁほら!お猫様が悲しそうな目で、私の方を見てるじゃないか!!
解ってます!お猫様のお陰だという事は、よく解ってますからそんな目で見ないでください!
と…とにかくコレで地上戦が得意な、勇者シルバーが有利になった。
飛ぶ事が出来なければ、【ピンクギドラ】の機動力はかなり落ちる!
何しろ【ピンクギドラ】は身体構造的なバランスが悪い。
三つの首が重く足が短いので、地上を歩くのが苦手なのだ。
【ピンクギドラ】は勇者シルバーとドローンモドキの攻撃で、三つの首のうち真ん中の首は半分喰い千切られ、右羽の付根は反射されたビームで焼き切られて満身創痍。
コレはいける!!
と…ここで【ピンクギドラ】と対峙していた勇者シルバーに異変が!?
『カッコ!カッコ!カッコ!』
ま…まさか…アレは!?
「「「おぉ~!ついに勇者シルバーが熱線を!!」」」
その様子を見た神々しいふくよかなお猫様は、目の玉をかっぴらき慌ててドローンモドキカメラに指示を出した。
『げぇぇぇぇー』
一瞬で画面が切り替わり、モニターには綺麗なお花畑と猫の天使がラッパを拭いている映像と、《音声のみお届けしています。しばらくお待ちください。》というテロップがww
まさかの【放送事故】扱いww
笑いたい…しかし皆んなが真剣に勇者シルバーの勇姿を見ている中、笑うわけにはいかない!
私は顔を引き締め(笑いたいのを堪えて)画面を見つめた。
ケイト嬢は扇で口元を隠していたが、私の位置からだと、その口元が笑いたいのを堪えてピクついているのが見えた。
数秒後、画面は勇者シルバーが決まり悪そうに、カメラの方を見ている映像に切り替わった。
「「「………… 。吐いたのか?」」」
吐いた~!ゲロったよネコぉぉ~!!
巨大化した時に盛大に毛の手入れしてたから、やるとは思ったけどここでかぁ~。
『クッチャ、クッチャ…… 』
(勇者シルバー口直し中…… )
前世で飼ってた猫も、たまにやってたな……
知らずに踏んで酷い目にあった。
となると、直撃を受けた【ピンクギドラ】は……
『『Ge-Roooo!!』』(貰いゲロ)
またもや一瞬で画面はお花畑と猫の天使がラッパを拭いている映像と《しばらくお待ちください》というテロップに切り替わる。
今度は音声も消したようだ……
数秒後、画面が【ピンクギドラ】に切り替わりどうやら何かを吐き出したようだ。
ん?何だアレは??
何かを吐き出した途端、【ピンクギドラ】は急激に縮み始め、仕舞いには18m殆どの大きさになったところを、巨大化したままの勇者シルバーの猫パンチ一発で、息絶えた。
「「「ウォ~!やったぞ!
我々の、いや勇者シルバーの勝利だ!!バンザ~イ!!」」」
確かに勇者シルバーは勝った……
だが、問題はこれからだ!!
誰が猫ゲロ&ピンクギドラゲロを片付けるんだよ!?
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