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正義の心

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 天王寺長官が、ナニワレンジャーの元に駆けつけたときには、五人は、傷と疲労で意識がもうろうとしていた。
「御堂筋君、よく頑張ってくれた。」
長官は、御堂筋を激励すると、
「天王寺さん、俺たちは、これからどうすれば…」
疲れでもうろうする中、御堂筋は、ナニワレンジャーになって初めて弱音を吐いた。
「まずは、君たちが回復しなければ。」
長官は、そう言って、急いで病院を手配した。

 回復が早かったのは、御堂筋だった。他の四人は、命には別状なかったが、それでも、三日は回復に時間がかかると言われた。
「長官、どないすれば。こうしとる間にも、ワニ軍団の作戦が…」
御堂筋は、正義の心が宿ったのか、長官に懸念を投げ掛けた。
「とりあえず、今は作戦は進んでいない。それに、君たちの戦いのおかげで、敵のアジトが特定出来たんだ。」
長官は、ナニワレンジャーが働きかければ、ワニ軍団の壊滅も近いことを伝えた。
「そやけど、メカは?」
御堂筋が、再び問いただすと、
「メカを鉄道形にしたのは、理由があるんだ。破壊されても、すぐに代替メカが製作できるように。だから、新しいメカは、既に整備済みなんだ。」
と、長官は、御堂筋も安心するような実態を教えた。
「みんなが回復するまでに、もし作戦が進んでも、俺は戦います!」
御堂筋は、誓いの言葉を口にすると、梅田のお好み焼き屋へ戻った。

 翌日。束の間の平和も、長くは続かなかった。ワニ軍団は、巨大化した魔人を利用して、大阪の街を破壊していった。
「遂に、現れよった。天王寺さん!」
御堂筋は、長官に一人で向かわせてもらうよう、願った。その時、
「御堂筋!俺たちも行くで!」
一番傷が深かった、堺筋が応答した。
「堺筋、大丈夫なのか?」
御堂筋が心配すると、
「大丈夫や!それに、街が破壊されとるのに、呑気に寝とる場合やない!」
と、堺筋も、正義の心を掴んだようであった。それは、他の三人も同じだった。こうして、五人は、再び魔人の元へ、戦いを挑みに向かった。

 ナニワレンジャーは、ナニワキングに乗り込み、魔人の前に再び姿を現した。
「ナニワレンジャー、死んでいなかったのか?だが、何度来ても同じことだ!」
長官は、魔人の攻撃が始まる前に、四ツ橋に指示した。
「四ツ橋君。君のメカに、分析コンピュータを搭載した。魔人の弱点とかが、それで分析できるはずだ!」
「分かりました。やってみます。」
そして、魔人の攻撃が始まった。
「まずい!バリア!」
四ツ橋は、咄嗟に攻撃をガードした。そして、魔人の弱点を調べると、
「分かった。魔人は、長官が生み出したビームに弱いんや!」
と、御堂筋に答えた。
「ホンマか?よし、一気に行くで!」
御堂筋は、必殺ビームを発射するスタンバイを整えるよう、指示した。
「必殺!ナニワビーム!」
そして、魔人は、ビームを浴びると、戦闘能力がなくなり、爆破した。

様子を伺っていたジェファー王子とカリブ王女は、倒れた魔人の近くでうろたえた。
「ジェファー王子、カリブ王女。貴様らは、仲間でない。追放だ!」
ナイル王は、ジェファー王子とカリブ王女から、ワニ軍団として戦った力を全て奪い取った。そこへ、ナニワレンジャーが、戦いを挑んだ。
「俺たちには、もう希望はない。ナニワレンジャー諸とも、地獄行きだ!」
ジェファー王子は、ミドウスジレンジャーへ、カリブ王女は、ヨツバシレンジャーへ最期の刃を向けた。
「成敗や!」
しかし、ミドウスジレンジャーとヨツバシレンジャーは、
「必殺!ファイヤーセイバー!」
「必殺!プレスハンマー!」
それぞれ、必殺技でジェファー王子とカリブ王女を成敗した。

 魔人と二人の幹部を倒したナニワレンジャーは、長官の元へ戻った。
「みんな、よくやった。あとは、アジトを破壊して、陰謀を打ち砕くだけだ。」
長官は、そう言って、アジトの場所を特定した。場所は、一年前から予兆があった、大阪の中心部の地中だった。いよいよ、この戦いの決着がつく日も近づいていた。  
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