ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

盛平

文字の大きさ
112 / 298

修行2

しおりを挟む
 フィンの修行は続いた。バレットは、次はじっせんだと言って、手に真剣を持った。そして最後までしぶっていたアレックスも、剣を手に取りフィンに斬りかかって来た。

 バレットとアレックスは何のちゅうちょも無くフィンに次々に剣を打ち込んで来た。フィンが手甲で真剣を受け止めると、ものすごい力がフィンの手甲にかかり押しつぶされそうになった。そこでバレットのゲキが飛ぶ。

「フィン!真っ向から剣を受けるな!剣の力の方向を変えて相手の間合いに入り込め!」

 バレットの言葉の意味はよく分かる。だが説明を聞いて、はいそうですかと言って身体が動けば練習なんていらない。フィンはバレットとアレックスの剣にほんろうされて、彼らに反撃する所ではなかった。上半身にばかり意識がいっていると。すかさずバレットが足をひっかけて来て、フィンは何度も転んでしまった。バレットは倒れたままのフィンに剣を突き刺そうとする。フィンはバレットのくれた魔法具のペンダントに軽く触れた。するとフィンのまわりに強力な風防御魔法が張られ、フィンを剣から守ってくれた。

 バレットの特訓はとても厳しかった。それはフィンの特訓の時間が限られているからだ。冒険者のバレットもアレックスもとても忙しい。そのためフィンの特訓はひたすら反復練習を繰り返した。バレットたちの特訓を終えた後、自分で修行を続けるためだ。

 フィンはバレットたちに感謝しつつがむしゃらに修行を続けた。しばらくして休憩時間になった。アレックスは契約霊獣のドロップと一緒に川に魚を獲りに行っていた。フィンの契約霊獣のブランは木陰で昼寝をしていたので、フィンはバレットと二人で休憩をしていた。二人は取り止めの無い話をしていた。そこでフィンは何げなくバレットに話しかけた。

「ねぇバレット。アレックスは弟だけじゃなく奥さんもいるんだね?」

 するとバレットは、驚いたようにフィンを見つめてからその視線を空に向けてからポツリと答えた。

「フィン、アレックスの奥さんはおそらく死んでる」

 フィンはヒュッと息を飲んで黙ってしまった。バレットは空を見上げたまま話を続けた。

「アレックスは。多分無意識なんだろうけど、弟の話をする時は俺の目を見て話す。だが奥さんの話になると、決まって空を見上げながら話すんだ」

 フィンは慌ててバレットに言った。

「どうしようバレット。僕はアレックスを傷つけちゃったんだね」

 フィンの言葉に、バレットは視線を空からフィンに戻して驚いたような顔をした。そして、とても穏やかな笑顔で答えた。

「フィン、肉体は死んでも心は死なないんだよ。アレックスの奥さんはアレックスの側にずっといるよ?」

 フィンはバレットの言葉の意味がわからず首をかしげた。バレットは自分の意思がフィンにうまく伝わらなかった事に気づいたようだ。バレットは微笑んだまま、自分の手を胸に当てて言った。

「フィン。俺のじいちゃんもレオリオもシンシアも、ずっと俺の中にいるんだ」

 フィンは驚いてバレットを見つめた。以前のバレットは、失った養父のゾラたちの事を話した時とても怒っていたからだ。ゾラとレオリオとシンシアが、もうこの世にいない事に悲しみいきどおり、バレットはとても怒っていた。だが今のバレットには怒りや強い悲しみの感情は読み取れなかった。バレットはとても穏やかにもうこの世にはいないゾラたちの事を語っていた。フィンはその事がとても不思議に思えた。

 しばらくして沢山の魚を獲ってきたアレックスが戻って来た。そこでバレットとの話は中断された。フィンはアレックスに失言の詫びをするきっかけがつかめず、口をつぐんだ。バレットは何事もなくアレックスと共に夕食の支度を始めた。その日の夕食は野菜のスープと焼き魚だった。味はとても美味しかったが、フィンはどこか上の空で夕食を口に運んだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

処理中です...