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王都
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プリシラとタップは王都に隣接する城下町にいた。プリシラが暮らすウィード国は広大な領土を持つ大国だ。城下町はとても活気があり賑やかだった。
プリシラは、元の大きさに戻ったタップを抱っこしながらキョロキョロと辺りを見回した。周りを埋めつくす人だかり。店々は客を呼び込もうと大声をあげている。
「さぁさぁ、見て行ってくんな!今朝採れたての果物だよ!」
「さぁ!新鮮な魚だよ!」
プリシラの腕の中のタップは楽しそうに言った。
『プリシラ!ここは面白いところだな!あの果物美味しそうだぞ!』
「そうね、タップ。だけど私、お金持ってないの。だから早く仕事を探してお金を稼がなきゃいけないのよ」
『何?!プリシラは無一文なのか?!』
「うん。召喚士養成学校のお金だけは両親が払ってくれたけど、卒業したからにはもう自分でお金を稼いで生活しなければいけないの」
『それはゆゆしき事態だ。早く仕事とやらを探そう。プリシラ、どうやって仕事を探すんだ?』
「・・・。それがわからないの」
『おいおい。そんなんじゃあ一生仕事なんて見つからねぇぞ?まぁ、いいや。プリシラ、とりあえず歩け』
タップのアドバイスにしたがい、プリシラはたくさんの人々が行き来する大通りを四苦八苦しながら歩き出した。
しばらく歩くと、何やらどなり声が聞こえてきた。ケンカだろうか?声のする方向に歩いていってみると、黒山の人だかりができていた。
プリシラは好奇心で、人の輪の中に入っていった。そこには大きくでガラの悪い二人の男たちと、十二歳くらいの少年がいた。
「さっきから謝ってんだろ?!ぶつかって悪かったって」
「おい、ガキ。謝罪だけで事がすむわけねぇだろ。でなきゃ騎士団なんていらねぇんだよ!見てみろ、弟が可哀想に、お前にぶつけられてケガしてしまったじゃねぇかよ!慰謝料よこせって言ってんだよ!」
プリシラは状況を理解した。どうやら少年は、タチの悪い連中になんくせをつけられて、お金を巻き上げられているようだ。
周りにいる大人たちは、誰も少年を助けようとはしなかった。だが彼らの動向に興味はあるらしく、野次馬たちは固唾を飲んで見守っていた。
プリシラは抱っこしているタップに話しかけた。
「ねぇ、タップ。あの二人組の男たちを風魔法で吹っ飛ばす事できる?」
『ああ、勿論楽勝だぜ。二人組の男たちだけなんてケチな事言わねぇで、ここら一帯吹っ飛ばしてやるよ』
「・・・、それはまずいわ。タップ、ちょっと待ってて?私、あの男の子助けに行ってくる」
『?。プリシラ、一人で大丈夫か?』
「ええ。困っている子供を見過ごせないわ」
プリシラはモルモットのタップを、果物売りの店の横に積み上げてある木箱の上にちょこんと乗せた。
プリシラは、元の大きさに戻ったタップを抱っこしながらキョロキョロと辺りを見回した。周りを埋めつくす人だかり。店々は客を呼び込もうと大声をあげている。
「さぁさぁ、見て行ってくんな!今朝採れたての果物だよ!」
「さぁ!新鮮な魚だよ!」
プリシラの腕の中のタップは楽しそうに言った。
『プリシラ!ここは面白いところだな!あの果物美味しそうだぞ!』
「そうね、タップ。だけど私、お金持ってないの。だから早く仕事を探してお金を稼がなきゃいけないのよ」
『何?!プリシラは無一文なのか?!』
「うん。召喚士養成学校のお金だけは両親が払ってくれたけど、卒業したからにはもう自分でお金を稼いで生活しなければいけないの」
『それはゆゆしき事態だ。早く仕事とやらを探そう。プリシラ、どうやって仕事を探すんだ?』
「・・・。それがわからないの」
『おいおい。そんなんじゃあ一生仕事なんて見つからねぇぞ?まぁ、いいや。プリシラ、とりあえず歩け』
タップのアドバイスにしたがい、プリシラはたくさんの人々が行き来する大通りを四苦八苦しながら歩き出した。
しばらく歩くと、何やらどなり声が聞こえてきた。ケンカだろうか?声のする方向に歩いていってみると、黒山の人だかりができていた。
プリシラは好奇心で、人の輪の中に入っていった。そこには大きくでガラの悪い二人の男たちと、十二歳くらいの少年がいた。
「さっきから謝ってんだろ?!ぶつかって悪かったって」
「おい、ガキ。謝罪だけで事がすむわけねぇだろ。でなきゃ騎士団なんていらねぇんだよ!見てみろ、弟が可哀想に、お前にぶつけられてケガしてしまったじゃねぇかよ!慰謝料よこせって言ってんだよ!」
プリシラは状況を理解した。どうやら少年は、タチの悪い連中になんくせをつけられて、お金を巻き上げられているようだ。
周りにいる大人たちは、誰も少年を助けようとはしなかった。だが彼らの動向に興味はあるらしく、野次馬たちは固唾を飲んで見守っていた。
プリシラは抱っこしているタップに話しかけた。
「ねぇ、タップ。あの二人組の男たちを風魔法で吹っ飛ばす事できる?」
『ああ、勿論楽勝だぜ。二人組の男たちだけなんてケチな事言わねぇで、ここら一帯吹っ飛ばしてやるよ』
「・・・、それはまずいわ。タップ、ちょっと待ってて?私、あの男の子助けに行ってくる」
『?。プリシラ、一人で大丈夫か?』
「ええ。困っている子供を見過ごせないわ」
プリシラはモルモットのタップを、果物売りの店の横に積み上げてある木箱の上にちょこんと乗せた。
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