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若い兵士
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プリシラとドワーフの側に一人の兵士が近寄って来た。ドワーフを殺そうとして、プリシラを斬った兵士だ。兵士はプリシラに向きなおって言った。
「お嬢さん、すみませんでした。貴女を殺そうとしてしまって」
「私は生きています。どうか気になさらないでください。どうしてドワーフさんを殺そうとしたんですか?」
兵士はキッとドワーフをにらんでから答えた。
「それは、このドワーフが俺の親友を殺したからです。俺はこのドワーフと戦っていました。だけど、劣勢になって。俺はこのドワーフの斧で殺される事を覚悟しました。その時、親友が俺をかばって死んだのです。ちょうど、貴女がドワーフをかばったように。教えてください、何故貴女は敵であるドワーフをかばったのですか?」
プリシラは、この若い兵士が心の底から悲しんでいる事を知った。プリシラは動きづらい身体を動かして、兵士の顔をしっかり見てから答えだ。
「私にも大切なお友達がいます。その子たちのためなら、命を投げ出してもいいくらい。そして、その子たちが死んでしまったら、私は頭がおかしくなってしまうくらい。だから、私は貴方の気持ちも、貴方をかばって死んでしまった親友の気持ちもよくわかります。だけど、皆そうではないでしょうか。貴方にも大切な友達がいるように、私にも大切な友達がいるように、ドワーフさんにもいるのではないでしょうか?」
プリシラの言葉に、若い兵士はギクリと身体を震わせた。プリシラはしばらく黙ってから、再び話し出した。
「私がドワーフさんをかばったのは、ドワーフさんにも大切な人たちがいて、ドワーフさんが死んでしまったら、とても悲しむ人たちがいると思ったからです」
若い兵士はヒュッと息を飲むと、うめくようにむせび泣いた。別な兵士が若い兵士をうながして、どこかに連れて行った。
プリシラはどうすれば、本来の森の住人たちであるドワーフとエルフに、森を返す事ができるのか必死に考えた。だがどうしても良い案は浮かばなかった。
考え込んでいるプリシラの側に、ドリスがやって来た。
「プリシラ。タップはドワーフの言葉がわかるのか?」
「はい、ドリスさま。タップは数百年を生きる霊獣です。ドワーフの言葉を知っているのです」
「ならば、わたくしにドワーフの言葉を通訳しなさい」
プリシラは四苦八苦しながら、ドリスにタップから聞いた話しを伝えた。ドワーフの言葉をタップが訳し、タップの霊獣語をプリシラが訳す。まるで伝言ゲームだ。ドリスはジッとプリシラの言葉を聞いてから口を開いた。
「あいわかった。この森は、古くから住むドワーフとエルフの森に相違ない。この森を侵略しようとしているお父さまに道理はない。プリシラ、ドワーフたちのリーダーと話しがしたい。ドワーフに伝えてくれ」
「ドリスさま。ありがとうございます」
ドリスはウィード国の王女だ。彼女が味方してくれれば、事態は好転するかもしれない。プリシラは安どした。
「お嬢さん、すみませんでした。貴女を殺そうとしてしまって」
「私は生きています。どうか気になさらないでください。どうしてドワーフさんを殺そうとしたんですか?」
兵士はキッとドワーフをにらんでから答えた。
「それは、このドワーフが俺の親友を殺したからです。俺はこのドワーフと戦っていました。だけど、劣勢になって。俺はこのドワーフの斧で殺される事を覚悟しました。その時、親友が俺をかばって死んだのです。ちょうど、貴女がドワーフをかばったように。教えてください、何故貴女は敵であるドワーフをかばったのですか?」
プリシラは、この若い兵士が心の底から悲しんでいる事を知った。プリシラは動きづらい身体を動かして、兵士の顔をしっかり見てから答えだ。
「私にも大切なお友達がいます。その子たちのためなら、命を投げ出してもいいくらい。そして、その子たちが死んでしまったら、私は頭がおかしくなってしまうくらい。だから、私は貴方の気持ちも、貴方をかばって死んでしまった親友の気持ちもよくわかります。だけど、皆そうではないでしょうか。貴方にも大切な友達がいるように、私にも大切な友達がいるように、ドワーフさんにもいるのではないでしょうか?」
プリシラの言葉に、若い兵士はギクリと身体を震わせた。プリシラはしばらく黙ってから、再び話し出した。
「私がドワーフさんをかばったのは、ドワーフさんにも大切な人たちがいて、ドワーフさんが死んでしまったら、とても悲しむ人たちがいると思ったからです」
若い兵士はヒュッと息を飲むと、うめくようにむせび泣いた。別な兵士が若い兵士をうながして、どこかに連れて行った。
プリシラはどうすれば、本来の森の住人たちであるドワーフとエルフに、森を返す事ができるのか必死に考えた。だがどうしても良い案は浮かばなかった。
考え込んでいるプリシラの側に、ドリスがやって来た。
「プリシラ。タップはドワーフの言葉がわかるのか?」
「はい、ドリスさま。タップは数百年を生きる霊獣です。ドワーフの言葉を知っているのです」
「ならば、わたくしにドワーフの言葉を通訳しなさい」
プリシラは四苦八苦しながら、ドリスにタップから聞いた話しを伝えた。ドワーフの言葉をタップが訳し、タップの霊獣語をプリシラが訳す。まるで伝言ゲームだ。ドリスはジッとプリシラの言葉を聞いてから口を開いた。
「あいわかった。この森は、古くから住むドワーフとエルフの森に相違ない。この森を侵略しようとしているお父さまに道理はない。プリシラ、ドワーフたちのリーダーと話しがしたい。ドワーフに伝えてくれ」
「ドリスさま。ありがとうございます」
ドリスはウィード国の王女だ。彼女が味方してくれれば、事態は好転するかもしれない。プリシラは安どした。
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