恐竜世界に転移した俺に懐いたちっちゃ可愛いドラゴンたちが最強だった

魔法の訓練

　タップは得意げに顔をあげて言った。

『エイジ。耳の穴かっぽじってよく聞けよ？まずは自然界に存在する四つのエレメントが存在する。この世界は火、水、風、土のエレメントによって形作られているんだ』
「四つのエレメント？」
『ああ。おいらたちツノリュウが使うのは土のエレメント、土魔法だ。だけど、ジュウキャクリュウは火のエレメント、カイリュウは水のエレメント、ヨクリュウは風のエレメントを使って魔法を使うんだ』

　トップの説明を好々爺の表情で聞いていた長老は一つうなずいて言った。

『うむ、エイジ。ここからは実際に見た方が早い。これからわしとトップが魔法の模擬戦を行う。心して学ぶがよい』

　俺はゴクリとツバを飲み込んでうなずいた。

　長老とトップは広い距離を取って向かい合った。最初に動いたのはトップだった。トップの足元からたくさんのツタ植物が生え出した。トップ得意の植物魔法だ。

　トップの操るツタは、長老に巻きつこうとした。長老はたくさんの鉄の刃を作り出し、トップのツタを切り裂いてしまった。

　次にトップはたくさんの鉱物の刃を作り出した。黒曜石だろうか。先端がナイフのように鋭利になっている。

　たくさんの黒曜石のナイフが長老に襲いかかる。長老はクリスタルの防御ドームを自身の周りに張って、黒曜石のナイフから身を守った。

『ふふん。じいちゃん、甘いぞ。それくらいの防御魔法、おいらが破壊してやる！』

　トップのひたいの二本のツノが輝き出す。トップが何かの魔法を使ったのだろう。トップは長老の防御ドームに突進していった。

　トップのツノが防御ドームに突き刺さった。だが防御ドームは破壊される事無く、トップは身動きが取れなくなってバタバタしている。

　長老はため息を吐きながら防御ドームの魔法を解除した。

『トップ。何度も言っているだろう。魔法戦は距離を保てと。近距離になって身動きが取れなければ負けてしまうぞ？』
『だって、じいちゃん。おいらにはこんなにカッコいいツノがあるのに。何で攻撃に使っちゃいけないんだよ？』
『わしの防御ドームに突っ込んで身動きとれなくなったからに決まっているじゃろう。もっと精進せい。トップ、わしのいつも言っている言葉は覚えているか？』
『うん。戦闘においてまんしんせず、常に冷静でいる事。だろ？』
『うむ。そうじゃ』
『ところでじいちゃん。まんしんって何？』

　トップの質問に長老はぐったりと下を向いた。俺は仕方なくトップに向かって言った。

「トップ。慢心ていうのはな、相手をなめちゃいけないって事だよ。トップはすごい攻撃魔法が使えるだろ？だけど、トップがこれから戦う相手は、見た目はトップよりも弱そうに見えて、トップより強いかもしれない。だから、どんな相手と戦う時も、決して油断しちゃいけないって事だよ」
『なんだぁ、そういう事か。じいちゃんもそう言ってくれればいいのに』

　キャッキャと笑っているトップに対して、長老はげんなりしている。