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いさかい2
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『おい、いい加減にこの土地を譲れ。ツノリュウのジジイ。息子もやられっぱなしの腰抜けじゃねぇか』
『ここはわしらの縄張りじゃ。どんな事があっても譲りはせん』
『ふん。ならば力づくで奪うまでだ』
『無抵抗なわしらに対して暴力を行使するというのだな?そうなればリュウ族全体が黙っておらんぞ?それでも良いのか?イクサよ』
長老の言葉に、イクサはググッと黙った。どうやらイクサは長老とゾフを挑発して、戦いに持ち込みたいようだ。だが長老もゾフもイクサの手には乗らなかったようだ。
イクサは悔しそうに顔をゆがめ、フンッと鼻息を鳴らして帰って行った。長老は俺に視線をとめて微笑んで言った。
『エイジ。ゴタゴタした場面を見せてすまなかったな』
「いいえ。先ほどのイクサというジュウキャクリュウはこれで引き下がるでしょうか?」
『いいや。奴らは再びわしらの縄張りにやってくるじゃろう』
「どうしてジュウキャクリュウたちはツノリュウたちの土地を奪おうとするのですか?」
『うむ。わしらは土魔法を使う。じゃから自分たちの食料は自分たちで作る事ができる。じゃがジュウキャクリュウたちはそうはいかん。自分たちで牛や馬などの生き物を狩って食べなければいかん。きっとジュウキャクリュウたちの縄張りの生き物が減っているのだろう』
俺はトップからリュウ族の話しを聞いていた。俺はジュウキャクリュウと呼ばれる肉食恐竜は、トップたち草食恐竜を狩って捕食しているのかと思っていたが、そうではないらしい。
リュウ族は魔法が使えるので、リュウ族同士の戦いはあまりないのだという。お互いに縄張りを持ち、相手に干渉せずに暮らしているらしい。
「ジュウキャクリュウたちの獲物が減った原因は何かあるのですか?」
『ヒト族が増えたせいだ』
俺の質問に答えたのは意外にもトップだった。長老とゾフは幼い後継者を見つめた。俺はトップに聞いた。
「ヒト族が増えて、どうしてジュウキャクリュウの獲物が無くなるんだ?」
トップはチラリと心配そうに俺を見てから言った。
『ヒト族は、最初はわずかな数しかいなかったんだ。だけど、どんどん増え出して、おいらたちの住む土地にまで進出してきた。おいらたちはヒト族に押されるようにこの森まできてしまったんだ』
トップの言葉に俺はがくぜんとした。俺が住んでいた世界でも起こっていた事だ。人間が増えすぎて、自然を破壊し、自然に住む野生動物たちが暮らせなくなっていた。
トップたちの世界でも、人類と野生生物たちの問題が重くのしかかっているのだ。
俺は人間という存在がうらめしくなった。俺自身も人間である事を痛感しながら。
俺がショックを受けている事が顔に出ていたのだろう。長老が穏やかな声で言った。
『トップ、エイジよ。お前たちのヒト族の住まう場所へ行く事を許可する。エイジ、お前の治癒魔法は合格じゃ』
俺とトップは顔を見合わせて笑った。
『ここはわしらの縄張りじゃ。どんな事があっても譲りはせん』
『ふん。ならば力づくで奪うまでだ』
『無抵抗なわしらに対して暴力を行使するというのだな?そうなればリュウ族全体が黙っておらんぞ?それでも良いのか?イクサよ』
長老の言葉に、イクサはググッと黙った。どうやらイクサは長老とゾフを挑発して、戦いに持ち込みたいようだ。だが長老もゾフもイクサの手には乗らなかったようだ。
イクサは悔しそうに顔をゆがめ、フンッと鼻息を鳴らして帰って行った。長老は俺に視線をとめて微笑んで言った。
『エイジ。ゴタゴタした場面を見せてすまなかったな』
「いいえ。先ほどのイクサというジュウキャクリュウはこれで引き下がるでしょうか?」
『いいや。奴らは再びわしらの縄張りにやってくるじゃろう』
「どうしてジュウキャクリュウたちはツノリュウたちの土地を奪おうとするのですか?」
『うむ。わしらは土魔法を使う。じゃから自分たちの食料は自分たちで作る事ができる。じゃがジュウキャクリュウたちはそうはいかん。自分たちで牛や馬などの生き物を狩って食べなければいかん。きっとジュウキャクリュウたちの縄張りの生き物が減っているのだろう』
俺はトップからリュウ族の話しを聞いていた。俺はジュウキャクリュウと呼ばれる肉食恐竜は、トップたち草食恐竜を狩って捕食しているのかと思っていたが、そうではないらしい。
リュウ族は魔法が使えるので、リュウ族同士の戦いはあまりないのだという。お互いに縄張りを持ち、相手に干渉せずに暮らしているらしい。
「ジュウキャクリュウたちの獲物が減った原因は何かあるのですか?」
『ヒト族が増えたせいだ』
俺の質問に答えたのは意外にもトップだった。長老とゾフは幼い後継者を見つめた。俺はトップに聞いた。
「ヒト族が増えて、どうしてジュウキャクリュウの獲物が無くなるんだ?」
トップはチラリと心配そうに俺を見てから言った。
『ヒト族は、最初はわずかな数しかいなかったんだ。だけど、どんどん増え出して、おいらたちの住む土地にまで進出してきた。おいらたちはヒト族に押されるようにこの森まできてしまったんだ』
トップの言葉に俺はがくぜんとした。俺が住んでいた世界でも起こっていた事だ。人間が増えすぎて、自然を破壊し、自然に住む野生動物たちが暮らせなくなっていた。
トップたちの世界でも、人類と野生生物たちの問題が重くのしかかっているのだ。
俺は人間という存在がうらめしくなった。俺自身も人間である事を痛感しながら。
俺がショックを受けている事が顔に出ていたのだろう。長老が穏やかな声で言った。
『トップ、エイジよ。お前たちのヒト族の住まう場所へ行く事を許可する。エイジ、お前の治癒魔法は合格じゃ』
俺とトップは顔を見合わせて笑った。
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