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幸士郎の作戦
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結は桐生家に帰た後、食事と風呂が終わってからイブの部屋に行った。テディベアのココも、イブの姉の桜姫も、アイアンロボも一緒だ。結は穏やかな明るい声で言った。
「イブ?お邪魔していい?」
イブは椅子にもたれかかりながら、ゆっくりとうなずいた。結たちは嬉しそうにイブの座る椅子の側のタタミに座った。するとイブはゆっくりした動作で、椅子から降り、結たちと同じくタタミに座った。
イブは少しずつ結たちに心を開いてくれるようになった。結はイブの悲しい気持ちを無理に聞き出そうとはしなかった。イブが自分から話してくれるまで待つつもりだ。
結はイブに外の景色や、咲いている花の話しをした。イブは結の話しを嬉しそうに聞いている。なごやかな時間を破ったのは、障子の外の声だった。
「結、そこにいるのか?入るぞ」
障子が開き、幸士郎が室内に入って来た。その途端、イブは動きを止めた。幸士郎は、そんなイブの態度を見て、あからさまに顔をしかめて言った。
「ちぇっ。イブは結にしか心を開かない」
結は幸士郎の子供らしい態度にクスクス笑いながら言った。
「ごめんね、幸士郎くん。イブは天賀家でとても怖い目にあったみたいなの。それにね、イブにひどい事をしたのは、男の人形使いだったの。だから、イブは幸士郎くんの事も兼光さんの事も怖いんだと思う」
結が言いにくそうにイブの言葉を代弁すると、幸士郎は大きなため息を吐いてから言った。
「結。お前を襲った人形使いもおそらく天賀家の人間だ」
「?。どうして天賀家だとわかるの?」
「桐生家の人間が結をさらおうとしたら、お父さんが黙っていない。結。お前を襲った人形使いを覚えているか?」
「ううん。暗かったし、男の人ってだけしか。あ、だけどお人形の名前はわかるわ?花雪っていうの」
幸士郎はあごに手を当てて、考えるそぶりをしてから、ポケットのスマートホンを取り出し、何かを調べはじめた。
しばらくしてある画面を結に見せた。そこには結を襲った人形使いの顔写真が載っていた。男の名前は高梨伊織とあった。下の方には花雪という人形の写真も写っている。結は驚いた声で言った。
「この人だわ!」
幸士郎はうなずいて言った。
「人形使いは多くの依頼を受けるため、サイトを作っているんだ。この男は高梨伊織。つい最近天賀家に戻って来た」
「つい最近?それまでどこにいたの?」
「それは知らない。この男は優秀な人形使いで、天賀家の現当主を差し置いて、当主になるのではないかと噂されていた。だが十五歳の時、突然家を出奔した。ところが突然戻って来た人形使いなんだ」
結は幸士郎の話しをふんふん聞いていた。幸士郎は結を見つめて言った。
「なぁ、結。この高梨伊織をおびき出して捕まえないか?」
「イブ?お邪魔していい?」
イブは椅子にもたれかかりながら、ゆっくりとうなずいた。結たちは嬉しそうにイブの座る椅子の側のタタミに座った。するとイブはゆっくりした動作で、椅子から降り、結たちと同じくタタミに座った。
イブは少しずつ結たちに心を開いてくれるようになった。結はイブの悲しい気持ちを無理に聞き出そうとはしなかった。イブが自分から話してくれるまで待つつもりだ。
結はイブに外の景色や、咲いている花の話しをした。イブは結の話しを嬉しそうに聞いている。なごやかな時間を破ったのは、障子の外の声だった。
「結、そこにいるのか?入るぞ」
障子が開き、幸士郎が室内に入って来た。その途端、イブは動きを止めた。幸士郎は、そんなイブの態度を見て、あからさまに顔をしかめて言った。
「ちぇっ。イブは結にしか心を開かない」
結は幸士郎の子供らしい態度にクスクス笑いながら言った。
「ごめんね、幸士郎くん。イブは天賀家でとても怖い目にあったみたいなの。それにね、イブにひどい事をしたのは、男の人形使いだったの。だから、イブは幸士郎くんの事も兼光さんの事も怖いんだと思う」
結が言いにくそうにイブの言葉を代弁すると、幸士郎は大きなため息を吐いてから言った。
「結。お前を襲った人形使いもおそらく天賀家の人間だ」
「?。どうして天賀家だとわかるの?」
「桐生家の人間が結をさらおうとしたら、お父さんが黙っていない。結。お前を襲った人形使いを覚えているか?」
「ううん。暗かったし、男の人ってだけしか。あ、だけどお人形の名前はわかるわ?花雪っていうの」
幸士郎はあごに手を当てて、考えるそぶりをしてから、ポケットのスマートホンを取り出し、何かを調べはじめた。
しばらくしてある画面を結に見せた。そこには結を襲った人形使いの顔写真が載っていた。男の名前は高梨伊織とあった。下の方には花雪という人形の写真も写っている。結は驚いた声で言った。
「この人だわ!」
幸士郎はうなずいて言った。
「人形使いは多くの依頼を受けるため、サイトを作っているんだ。この男は高梨伊織。つい最近天賀家に戻って来た」
「つい最近?それまでどこにいたの?」
「それは知らない。この男は優秀な人形使いで、天賀家の現当主を差し置いて、当主になるのではないかと噂されていた。だが十五歳の時、突然家を出奔した。ところが突然戻って来た人形使いなんだ」
結は幸士郎の話しをふんふん聞いていた。幸士郎は結を見つめて言った。
「なぁ、結。この高梨伊織をおびき出して捕まえないか?」
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