前世で百人殺した殺し屋の俺は地獄行きを回避するため現世で百人助けます

盛平

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当事者の気持ち

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 ドーグはカイルたちを自治区の別な場所に案内してくれた。道すがら女性たちがドーグにエッラの事を心配そうに聞いていた。エッラはトーノマの人々にとても愛されているのだ。ドーグはそのつど心配ないと女性たちを安心させていた。

 道すがら、カイルがドーグを見ると、ふてくされたような顔をしていた。カイルがどうしたのかたずねると、ドーグはぶっきらぼうに答えた。

「モンスは嘘つきだ。モンスが俺に言ったんだ。俺は必ずエッラを守り幸せにするって。でもモンスは約束を破った。姉ちゃんの幸せはトーマスと結婚する事なのに、姉ちゃんを殴って、トーマスとの結婚をジャマする」
「何?モンスはエッラの事を殴ったのか?弱い女を殴るなど、男の風上にもおけん奴だ!」

 カイルはモンスに対して腹が立った。カイルたちの会話を聞いていたサイラスがため息まじりに言った。

「師匠もドーグもお子ちゃまだなぁ」
「何だと?!俺は肉体年齢は十五歳だが、精神年齢は四十をこえてるんだぞ?!」
「ドーグが混乱するからそういう事言うなよ、師匠」

 カイルがカチンときて言い返すと、サイラスは正論で返してきた。小さいサイラスは可愛かったのに、大人になったサイラスは生意気だった。

 カイルを見ていたサイラスが再びため息をついてから、カイルの頬を指でつついて言った。

「師匠。ほっぺたふくらますと、ますますガキみたいだぞ?」

 カイルはサイラスに指摘されてぼう然とした。自分は常にポーカーフェイスだと思っていたのに、不機嫌な顔になっていたのか。カイルとサイラスを困惑顔で見ていたドーグが言った。

「ねぇ、サイラスは何で子供のカイルの事を師匠って呼ぶの?」
「説明が面倒だから言わない」

 カイルはキッパリとドーグに言った。ドーグは視線をカイルからサイラスに移した。サイラスも、カイルが話さない以上話せない。サイラスは仕方なくドーグの頭を撫でて言った。

「ドーグ。人間長い事生きていると色々あるんだよ」

 ドーグは不服そうにだまった。サイラスは苦笑してからカイルとドーグに言った。

「モンスはなぁ、心からエッラの事が好きだったんだ。エッラを嫁さんにして一生守ろうと考えていたのに、突然外国人があらわれて、エッラをさらっていこうしたんだ。怒って当然だろ?」

 サイラスの言葉に、ドーグはよくわからないという顔をしていた。カイルもサイラスの言っている事はよくわからなかった。カイルもドーグと同意見だったからだ。モンスはエッラを守ると宣言したのならば、エッラを殴るのは約束違反だと思った。


 カイルたちはドーグと別れ、領主の屋敷に向かった。もう変身魔法は解除しているので、カイルとサイラスは元の白い肌に戻っていた。

 カイルが領主の屋敷のドアを叩くと、執事が出てきて対応してくれた。カイルがトーマスの名前を出すと、カイルたちはうやうやしく一つの部屋に案内された。しばらくすると、トーマスがやって来た。

 トーマスはカイルたちがおとずれた事を喜び、夕食に招待してくれた。夕食には、何と雇った冒険者も、領主も出席するというのだ。

 

 


 
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