31 / 64
作戦
しおりを挟む
エッラは自分の部屋にカイルとサイラスを泊めようと提案してくれた。エッラは弟のドーグの部屋で寝るから心配ないというのだ。
だがカイルはそれに反対した。族長の娘であるエッラの部屋にガンドル国の男二人がいたら、もうしひらきができない。
問答の結果、カイルとサイラスはドーグの部屋で休ませてもらう事になった。ドーグの部屋もそれなりに大きかったが、エッラの部屋との差はれきぜんだった。トーノマ族の中で、族長の長子がどれほどの存在かわかるようだ。
カイルとサイラスは二人で狭いベッドに入ったが、狭い狭いと押し合いが続いた。何とか自分の場所を確保してから、サイラスがカイルに聞いた。
「なぁ、師匠。これからどうするんだ?俺たちが仲裁に入るったって、聞き入れるような奴らじゃなさそうだぜ?」
「ああ。まずはお互いの言い分と真意を確認しなければな。明日トーノマ族の奴らの話しと、領主の話しを聞きに行く」
「ええっ?トーノマの奴らが俺たちに話してくれるわけないだろ?俺たちは嫌われてるガンドル人なんだぜ?」
「サイラス、うるさい。俺に考えがあるからもう寝ろ」
サイラスはチェッと言って、背中を向けてしまった。カイルは天井を見上げながらため息をついた。カイルの足元にはレッドアイが丸くなって眠っていた。
翌日エッラが用意した朝食を食べた後、カイルはドーグに案内を頼みトーノマ自治区内を歩く事にした。
頼まれたドーグは困惑顔だ。自治区内がピリピリしている中で、ガンドル人のカイルたちにウロウロされたくないのだろう。カイルはサイラスに言った。
「サイラス、変身魔法の応用だ。俺のやる通りにしろ」
カイルはサイラスにそれだけ言うと、呪文を唱えた。すると、カイルの白い肌が褐色に変化した。カイルは黒い髪と瞳なので、肌の色が褐色に変わると、トーノマの人々と区別がつかなくなった。サイラスは指をパチンと鳴らしてから、呪文を唱えた。
サイラスの金髪の髪と青い瞳は黒くなり、白い肌も褐色になった。それを見たエッラとドーグは驚きの声をあげた。
カイルたちはトーノマ族の集会所に足を運んだ。ここでの近頃の議題は、いかにしてエッラとガンドル人の婚約を解消させるかだ。穏健派と強硬派がけんけんがくがくの話し合いをしていた。
その最中に、ドーグがカイルたちを連れて来た。前に立ってげきを飛ばしていた若い男がドーグをギロリとにらんで言った。
「ドーグ、誰だそいつらは?」
「モンス、父上が呼んだんだ。国境近くのヨーラから来たサイラスとカイルだ」
ドーグは事前に打ち合わせをしていた話しをした。トーノマ族は自治区にいる人々がすべてではない。ガンドル国の国境の外にもいるのだ。カイルたちはそこから来たトーノマ族という事になっている。
ドーグは若い男をモンスと呼んだ。エッラの元婚約者だ。モンスはカイルたちを疑わしそうににらんだ。それきり、カイルたちに興味を失ったようで、ドーグに視線を戻して言った。
「ドーグ、エッラは大人しくしているのか?」
「ああ、可哀想に毎日泣いて暮らしてるよ。モンスが姉ちゃんを殴ったからだ!」
「ふんっ、当然だ。俺はエッラの夫になる男なんだからな」
モンスはそれだけ言うと、ドーグを無視して集会所にいる男たちに叫んだ。
「この前届いた領主からの手紙には、もうしばらく時間がほしいと書いてあった。だが俺たちは充分待った。もう武力行使に踏み切る時だ!」
トーノマの男たちは、ワァッとモンスの言葉に同調した。カイルはサイラスとドーグに目で合図して集会所から出た。
もはや一刻のゆうよもなさそうだ。モンスは近々領主の屋敷に殴り込みに行くに違いない。そして憎き恋敵のトーマスを殺そうとするはずだ。
だがカイルはそれに反対した。族長の娘であるエッラの部屋にガンドル国の男二人がいたら、もうしひらきができない。
問答の結果、カイルとサイラスはドーグの部屋で休ませてもらう事になった。ドーグの部屋もそれなりに大きかったが、エッラの部屋との差はれきぜんだった。トーノマ族の中で、族長の長子がどれほどの存在かわかるようだ。
カイルとサイラスは二人で狭いベッドに入ったが、狭い狭いと押し合いが続いた。何とか自分の場所を確保してから、サイラスがカイルに聞いた。
「なぁ、師匠。これからどうするんだ?俺たちが仲裁に入るったって、聞き入れるような奴らじゃなさそうだぜ?」
「ああ。まずはお互いの言い分と真意を確認しなければな。明日トーノマ族の奴らの話しと、領主の話しを聞きに行く」
「ええっ?トーノマの奴らが俺たちに話してくれるわけないだろ?俺たちは嫌われてるガンドル人なんだぜ?」
「サイラス、うるさい。俺に考えがあるからもう寝ろ」
サイラスはチェッと言って、背中を向けてしまった。カイルは天井を見上げながらため息をついた。カイルの足元にはレッドアイが丸くなって眠っていた。
翌日エッラが用意した朝食を食べた後、カイルはドーグに案内を頼みトーノマ自治区内を歩く事にした。
頼まれたドーグは困惑顔だ。自治区内がピリピリしている中で、ガンドル人のカイルたちにウロウロされたくないのだろう。カイルはサイラスに言った。
「サイラス、変身魔法の応用だ。俺のやる通りにしろ」
カイルはサイラスにそれだけ言うと、呪文を唱えた。すると、カイルの白い肌が褐色に変化した。カイルは黒い髪と瞳なので、肌の色が褐色に変わると、トーノマの人々と区別がつかなくなった。サイラスは指をパチンと鳴らしてから、呪文を唱えた。
サイラスの金髪の髪と青い瞳は黒くなり、白い肌も褐色になった。それを見たエッラとドーグは驚きの声をあげた。
カイルたちはトーノマ族の集会所に足を運んだ。ここでの近頃の議題は、いかにしてエッラとガンドル人の婚約を解消させるかだ。穏健派と強硬派がけんけんがくがくの話し合いをしていた。
その最中に、ドーグがカイルたちを連れて来た。前に立ってげきを飛ばしていた若い男がドーグをギロリとにらんで言った。
「ドーグ、誰だそいつらは?」
「モンス、父上が呼んだんだ。国境近くのヨーラから来たサイラスとカイルだ」
ドーグは事前に打ち合わせをしていた話しをした。トーノマ族は自治区にいる人々がすべてではない。ガンドル国の国境の外にもいるのだ。カイルたちはそこから来たトーノマ族という事になっている。
ドーグは若い男をモンスと呼んだ。エッラの元婚約者だ。モンスはカイルたちを疑わしそうににらんだ。それきり、カイルたちに興味を失ったようで、ドーグに視線を戻して言った。
「ドーグ、エッラは大人しくしているのか?」
「ああ、可哀想に毎日泣いて暮らしてるよ。モンスが姉ちゃんを殴ったからだ!」
「ふんっ、当然だ。俺はエッラの夫になる男なんだからな」
モンスはそれだけ言うと、ドーグを無視して集会所にいる男たちに叫んだ。
「この前届いた領主からの手紙には、もうしばらく時間がほしいと書いてあった。だが俺たちは充分待った。もう武力行使に踏み切る時だ!」
トーノマの男たちは、ワァッとモンスの言葉に同調した。カイルはサイラスとドーグに目で合図して集会所から出た。
もはや一刻のゆうよもなさそうだ。モンスは近々領主の屋敷に殴り込みに行くに違いない。そして憎き恋敵のトーマスを殺そうとするはずだ。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる