37 / 212
会議
しおりを挟む
パティたちがアクアの水防御ドームに近づくと、パティたちが入れるくらいの入り口ができた。
パティたちが水防御ドームの中に入ると、デイジーが駆け寄ってパティを抱きしめた。
「パティ!大丈夫?!ケガは無い?!」
「大丈夫よ。デイジー」
パティはデイジーの背中に手を回して答えた。デイジーは腕をといてパティを見つめて言った。
「パティ、ありがとう。貴女たちのおかげで助かったわ」
パティの側にトグサがやってきて手に乗ったアクアを差し出した。パティはアクアを受け取ると、優しく抱きしめた。
「パティ、皆ありがとう。君たちのおかげで助かった」
トグサの感謝の言葉に、パティは激しく首を振って否定した。
「トグサさんたちこそ、私たちの事を助けようとしてくれてありがとうございます。でも、私たちはトグサさんのパーティに入れてもらった。私たちは、トグサさんの仲間なんですよね?!なら、私たちも一緒に戦わせてください!」
トグサは困ったような笑顔でパティに言った。
「ああ、勿論だ。パティたちは私たちの大切な仲間だ。だが、先ほどのパティたちの戦いを見ていると、君たちは盗賊を追い払うだけだった。君たちは人を傷つける覚悟がまだできていない。そのような心構えの君たちを戦闘に参加させるわけにはいかない」
パティはすぐさま否定しようとしたが、ググッと息を飲んで黙ってしまった。トグサの言う通りだったからだ。パティがマックスたちに指示したのは、あくまでも盗賊たちをこの場から退ける事。パティには盗賊たちを傷つけて戦闘不能にする事ができなかったのだ。
トグサは腰をかがめてパティの目線に合わせると、優しい笑顔で言った。
「パティ、君は冒険者になりたての新人だ。これからゆっくり成長していけばいいんだ。さぁ、パティたちはここから離れるんだ。いずれ盗賊たちが大人数でここに押し寄せる。デイジー、パティたちを安全なところに連れて行ってくれ」
「ええ、わかったわ」
トグサは視線をパティからデイジーに向けた。デイジーは深くうなずいてパティの側に近寄って手を出した。パティは身をよじって抵抗した。
「いや!私がここを離れたら、皆死ぬ気なんでしょ?!デイジーは、私のお姉さんになってくれたのに、私たちを安全な場所に連れて行ったらここに戻るつもりなんでしょ?!私は絶対にいや!私は皆から離れない!」
パティは大声を出しているうちに、涙がボロボロこぼれ落ちてきた。村を出て、パティに優しくしてくれた人たち。パティが大好きな人たちが死んでしまうかもしれない。そう考えたら涙があふれて仕方なかった。
「大丈夫だよ?パティ。俺たちだって冒険者だ。そう簡単に負けたりしないよ?」
エリオが明るい声で言った。パティは泣いている事が恥ずかしくて、手のこうで涙をふきながらエリオを見た。エリオは笑顔でパティの頭を撫でながら言った。
「まぁ、パティの魔法に比べて、俺たちのレベルの低い魔法じゃあ勝つのは難しいがな」
「違います!エリオさんたちの魔法はレベルが低いんじゃありません!私の《フレンド》だって、マックスたちだって、最初からすごい魔法が使えたわけじゃないんです!私は冒険者を志してから五年間、マックスたちと必死に魔法を特訓したんです。だから今冒険者としてここにいるんです!神さまから授かった力の限界を自分で決めるのはおかしいです!エリオさんたちの魔法はもっともっとすごいんです!」
パティは早口で言い終えると、ハァッと息を整えた。
パティたちが水防御ドームの中に入ると、デイジーが駆け寄ってパティを抱きしめた。
「パティ!大丈夫?!ケガは無い?!」
「大丈夫よ。デイジー」
パティはデイジーの背中に手を回して答えた。デイジーは腕をといてパティを見つめて言った。
「パティ、ありがとう。貴女たちのおかげで助かったわ」
パティの側にトグサがやってきて手に乗ったアクアを差し出した。パティはアクアを受け取ると、優しく抱きしめた。
「パティ、皆ありがとう。君たちのおかげで助かった」
トグサの感謝の言葉に、パティは激しく首を振って否定した。
「トグサさんたちこそ、私たちの事を助けようとしてくれてありがとうございます。でも、私たちはトグサさんのパーティに入れてもらった。私たちは、トグサさんの仲間なんですよね?!なら、私たちも一緒に戦わせてください!」
トグサは困ったような笑顔でパティに言った。
「ああ、勿論だ。パティたちは私たちの大切な仲間だ。だが、先ほどのパティたちの戦いを見ていると、君たちは盗賊を追い払うだけだった。君たちは人を傷つける覚悟がまだできていない。そのような心構えの君たちを戦闘に参加させるわけにはいかない」
パティはすぐさま否定しようとしたが、ググッと息を飲んで黙ってしまった。トグサの言う通りだったからだ。パティがマックスたちに指示したのは、あくまでも盗賊たちをこの場から退ける事。パティには盗賊たちを傷つけて戦闘不能にする事ができなかったのだ。
トグサは腰をかがめてパティの目線に合わせると、優しい笑顔で言った。
「パティ、君は冒険者になりたての新人だ。これからゆっくり成長していけばいいんだ。さぁ、パティたちはここから離れるんだ。いずれ盗賊たちが大人数でここに押し寄せる。デイジー、パティたちを安全なところに連れて行ってくれ」
「ええ、わかったわ」
トグサは視線をパティからデイジーに向けた。デイジーは深くうなずいてパティの側に近寄って手を出した。パティは身をよじって抵抗した。
「いや!私がここを離れたら、皆死ぬ気なんでしょ?!デイジーは、私のお姉さんになってくれたのに、私たちを安全な場所に連れて行ったらここに戻るつもりなんでしょ?!私は絶対にいや!私は皆から離れない!」
パティは大声を出しているうちに、涙がボロボロこぼれ落ちてきた。村を出て、パティに優しくしてくれた人たち。パティが大好きな人たちが死んでしまうかもしれない。そう考えたら涙があふれて仕方なかった。
「大丈夫だよ?パティ。俺たちだって冒険者だ。そう簡単に負けたりしないよ?」
エリオが明るい声で言った。パティは泣いている事が恥ずかしくて、手のこうで涙をふきながらエリオを見た。エリオは笑顔でパティの頭を撫でながら言った。
「まぁ、パティの魔法に比べて、俺たちのレベルの低い魔法じゃあ勝つのは難しいがな」
「違います!エリオさんたちの魔法はレベルが低いんじゃありません!私の《フレンド》だって、マックスたちだって、最初からすごい魔法が使えたわけじゃないんです!私は冒険者を志してから五年間、マックスたちと必死に魔法を特訓したんです。だから今冒険者としてここにいるんです!神さまから授かった力の限界を自分で決めるのはおかしいです!エリオさんたちの魔法はもっともっとすごいんです!」
パティは早口で言い終えると、ハァッと息を整えた。
215
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる