究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

解放

　デイジーは泣きわめく誘拐犯たちに興味をなくしたようにパティを振り向いて言った。

「パティ、お疲れ様。さぁ、早く貴女のお姉さんを防御ドームから出してあげなさい？」

　デイジーの言葉にパティはハッとしてマイラに振り向いた。パティが肩にとまっているピンキーにお願いすると、マイラを守っていた風防御ドームが消え失せた。

　マイラはパティに抱きついて、頬を赤く染めて言った。

「パティすごいわ！悪い奴らをすぐに倒しちゃうんだもの！それにマックスもチャーミーもピンキーもすごかったわ！」

　マイラの賛辞にパティとマックスたちはおもはゆい気持ちになった。マイラはパティにこの場にいないアクアの行方をたずねた。アクアはパティの友達であるセーラとジェシカ、誘拐された少女たちを守ってくれているのだ。

　パティは心の中でアクアに水防御ドームを解くように伝えた。しばらくすると、ゾロゾロときらびやかな美しい少女たちがパティたちのもとにやって来た。

「パティ！悪い奴らはどうなったの？」
「パティ！ケガはない？！」

　セーラとジェシカがパティに飛びついてきた。パティは彼女たちの肩を軽くポンポン叩いて答えた。

「セーラ、悪い奴らは捕まって転がっているわ。ジェシカ、私は大丈夫よ」

　セーラとジェシカはホッと笑顔を浮かべた。セーラは手のひらに乗せていたアクアをゆっくりとパティの手に乗せた。

　パティは友達のセーラとジェシカを守る事ができたのだ。パティはホォッと身体から力が抜けていくような感覚を覚えた。それほど緊張していたからだ。

　ジェシカがパティを見て、思いついたように言った。

「あら、パティ。貴女のドレス穴が空いているわ。まるで火が当たったみたい」

　パティは驚いて自分のドレスを見た。ジェシカの指摘通り、火で焼かれたような穴が点々とできていた。おそらく御者の男の火魔法の攻撃をマックスが撃退した時に火の粉がはねたのだろう。

　パティは自分のドレスに空いた穴をぼう然と見つめた。

「マイラとデイジーが作ってくれた、私のドレス・・・」
「薄いシルクだから、すぐに燃えてしまったんだね。まぁ、戦闘中だったから仕方ないわよ」
「パティがそのドレスにそでを通してくれたんだもの。私たちはそれだけで満足よ？」

　デイジーとマイラは笑顔でパティを慰めてくれた。だがパティのショックは相当なものだった。姉たちが初めて自分に贈ってくれたプレゼント。それをダメにしてしまった。

　パティは美少女コンテストに出席した緊張から、突然誘拐され、友達を守ろうと必死になり、怒りに任せて誘拐犯を攻撃してしまった。

　短い間に目まぐるしく感情が揺さぶられ、それが限界を超えてしまった。

「ふぇっ、マイラとデイジーが作ってくれたドレスに穴が空いちゃったよぉ。わぁんわぁん！」

　パティは小さな子供みたいに泣き出してしまった。それを見た姉たちは驚いて、パティを慰めようとやっきになった。

「大丈夫よパティ！あたしがお金稼いでまたドレス作ってあげる」
「そうよ、パティ！こんどはもっともっと綺麗なドレス作ってあげる！」
「嫌だぁ！このドレスがいいのぉ！マイラとデイジーが一生懸命作ってくれたこのドレスがいいのぉ！」

　泣き出したパティを見て、皆が困っている。マックスたちも心配してる。早く泣き止まなければと思うのたが、パティの涙はなかなか止まらなかった。

「大丈夫よ、パティ」

　アクアを乗せたパティの手を、セーラが包み込んだ。パティのドレスが輝き出す。それまで空いていた焼け焦げた穴が綺麗に戻ってしまった。

「あ、ありがとう。セーラ」
「こちらこそ、ありがとうパティ。ママの作ったドレスを大事にしてくれて」

　パティはそれまで泣いていた事が恥ずかしくなって、照れ隠しに笑った。パティの笑いに皆もつられたように笑った。