究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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ロレーナの思い

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 ロレーナはひたすら天井を見つめていた。何かに意識を集中させていないと、呼吸ができない恐怖に襲われるからだ。

 ロレーナは生まれた頃から病弱だった。医者の話しでは生まれつき心臓が悪いのだとか。両親はロレーナの事を心配し、働きづめの毎日だった。

 ロレーナたちには希望があった。十歳になれば神から魔法を授かる事ができる。魔法で健康な身体を授かれば、ロレーナは野山を自由にかけまわる事だってできるのだ。

 だがロレーナの両親は、ロレーナが魔法を授かる前に死んでしまった。自分のせいだ。ロレーナは己れの罪深さにせんりつした。

 ロレーナを守る責務はそのまま兄のエラルドに引き継がれた。エラルドは妹のロレーナから見ても立派な人だった。エラルドだとて両親を失って悲しいはずなのに、涙を見せずにロレーナの事を気づかってくれた。

 ロレーナの家族はエラルドだけになってしまった。ロレーナの最大の恐怖は、自分の病が悪化する事ではなく、兄を失ってひとりぼっちになってしまう事だった。

 ロレーナは両親との約束をやぶって魔法を願った。

 私の愛するものをお守りください。

 ロレーナの胸に響いてきた魔法は《ガーディアン》だった。

 兄のエラルドは、ロレーナの魔法の加護により、あらゆる厄災から守られるようになった。

 エラルドはロレーナの薬代を稼ぐために、危険な仕事をするようになった。エラルドはどんな危険な目にあっても命を失う事はないだろう。ロレーナが死ぬまでは。

 ロレーナは、自分が早く死んでしまえばいいと常々考えていた。自分さえ死んでしまえば、兄はこれ以上危険な目にあわなくて済むのだ。

 しかしそれと同時に別な考えも浮かぶ。兄のエラルドはロレーナのためだけに生きてきたのだ。ロレーナがいなくなったら兄はどうなるのだろうか。

 いや、考える必要はない。エラルドは妹のロレーナから見てもハンサムだ。きっと素敵な女性があらわれて、幸せに暮らすだろう。

 万一にもエラルドがロレーナの死に罪悪感を抱く事があってはいけない。

 ロレーナは天井を見ながら、つらつらと考え事をしていた。もうそろそろ兄が帰ってくるかもしれない。

 エラルドが帰ってきたら、とびきりの笑顔で出迎えよう。エラルドが今後ロレーナを思い出すたびに、笑った自分を思い出してほしいからだ。

 控えめなノックの音。続いて兄の柔らかな声が聞こえる。ロレーナは息苦しさをぐっと我慢して、声をあげた。

「お兄ちゃん、お帰りなさい」
 
 
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