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ロレーナの思い2
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ロレーナの部屋に入ってきたのは兄だけではなかった。黒髪の美しい少女がいた。
「わぁ、お姫さまみたい」
ロレーナは思わず呟いた。小さい頃、母が読んでくれた童話のお姫さまのように綺麗だったからだ。
お姫さまはパティといった。とても優しい少女で、ロレーナに気さくに声をかけてくれ、友達だという子犬と子猫と子ガメとインコを紹介してくれた。
動物たちはまるでロレーナにあいさつしてくれているように、キャンキャン、ミャーミャー、プクプク、ピィピィ鳴いていた。
ロレーナは初対面のパティに、兄にすら言えない事を話してしまった。
自分なんて生まれてこなければ良かった。自分さえいなければ、両親と兄は幸せに暮らしていたのだ、と。
ロレーナの懺悔に、パティは悲しそうに微笑んでから自分の話しをしてくれた。
パティは捨て子で、村人からはうとまれて育ったという。唯一優しく接してくれたのが、ジョナサン神父とチコリおばあさんだけだった。
パティは、お前がいない方がジョナサン神父は幸せだという村人の言葉をまに受けて、死ぬ覚悟をした事があると言った。
そこでパティは気づいたのだという。パティをおとしめる村人の言葉ではなく、パティを愛するジョナサン神父とチコリおばあさんの言葉を尊重しなければいけないのだと。
ロレーナはハッとした。ロレーナが信じるべきは、心無い言葉をいう村のおばさんたちではない。
ロレーナを最後まで愛してくれた両親と、ロレーナを支え続けてくれている兄の言葉を信じなければいけないのだ。
その時ロレーナの気持ちに変化が起きた。
ロレーナは、両親と兄が愛してくれているロレーナ自身を愛さなければいけない、と。
ロレーナの身体が輝き、ロレーナの授かった《ガーディアン》が発動した。不思議な感覚だった。それまでロレーナを苦しめていた息苦しさがすっかり消えてしまったのだ。
重だるくて仕方なかった身体が、羽のように軽くなった。ロレーナは不思議そうにベッドから起き上がった。
ベッドの上に乗っていた子犬と子猫と子ガメがすり寄ってきて、インコが肩に止まった。途端にロレーナの身体が輝きだす。
ロレーナが不思議そうにパティを見ると、彼女は笑顔で答えた。
「マックスたちが回復魔法をしてくれたの」
ロレーナは自分がとても空腹な事に気づいた。しばらく感じた事のない感覚だった。
台所から美味しそうなスープの匂いがする。ロレーナのお腹がグウッと鳴った。
「わぁ、お姫さまみたい」
ロレーナは思わず呟いた。小さい頃、母が読んでくれた童話のお姫さまのように綺麗だったからだ。
お姫さまはパティといった。とても優しい少女で、ロレーナに気さくに声をかけてくれ、友達だという子犬と子猫と子ガメとインコを紹介してくれた。
動物たちはまるでロレーナにあいさつしてくれているように、キャンキャン、ミャーミャー、プクプク、ピィピィ鳴いていた。
ロレーナは初対面のパティに、兄にすら言えない事を話してしまった。
自分なんて生まれてこなければ良かった。自分さえいなければ、両親と兄は幸せに暮らしていたのだ、と。
ロレーナの懺悔に、パティは悲しそうに微笑んでから自分の話しをしてくれた。
パティは捨て子で、村人からはうとまれて育ったという。唯一優しく接してくれたのが、ジョナサン神父とチコリおばあさんだけだった。
パティは、お前がいない方がジョナサン神父は幸せだという村人の言葉をまに受けて、死ぬ覚悟をした事があると言った。
そこでパティは気づいたのだという。パティをおとしめる村人の言葉ではなく、パティを愛するジョナサン神父とチコリおばあさんの言葉を尊重しなければいけないのだと。
ロレーナはハッとした。ロレーナが信じるべきは、心無い言葉をいう村のおばさんたちではない。
ロレーナを最後まで愛してくれた両親と、ロレーナを支え続けてくれている兄の言葉を信じなければいけないのだ。
その時ロレーナの気持ちに変化が起きた。
ロレーナは、両親と兄が愛してくれているロレーナ自身を愛さなければいけない、と。
ロレーナの身体が輝き、ロレーナの授かった《ガーディアン》が発動した。不思議な感覚だった。それまでロレーナを苦しめていた息苦しさがすっかり消えてしまったのだ。
重だるくて仕方なかった身体が、羽のように軽くなった。ロレーナは不思議そうにベッドから起き上がった。
ベッドの上に乗っていた子犬と子猫と子ガメがすり寄ってきて、インコが肩に止まった。途端にロレーナの身体が輝きだす。
ロレーナが不思議そうにパティを見ると、彼女は笑顔で答えた。
「マックスたちが回復魔法をしてくれたの」
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