究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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パティの武器

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 パティは大きくなったピンキーに乗って王都を目指していた。ちょうど依頼が終わった頃、マイラから連絡があったのだ。

 トグサたちが城下町に戻ってきたので、一緒に食事をしようと誘われたのだ。パティは二つ返事で了解した。

 いつもの食堂に行くと、姉のデイジーとマイラが手を振っている。パティはピンキーを肩に乗せ、マックスたちをショルダーバックにいれて彼らの席に急いだ。

 テーブルにはたくさんの美味しそうな食事が所狭しと並んでいた。マックスたちのためにだろう新鮮な野菜や果物も用意されている。《ボイス》の魔法が使えるマイラが、パティの到着に合わせてオーダーしてくれたのだろう。

 パティが席につくと、食事が始まった。ビーフシチューにローストビーフ、熱々のグラタンもあった。

 しばらくは食事に舌つづみをうち、食欲が満たされてから、皆の近況報告が始まった。

 トグサたちは冒険者レベルが上がった事により、難しい依頼を多くこなすようになっていた。そのためパティは中々トグサたちに会う事ができなかった。

 今日は久しぶりに皆がそろったのだ。トグサのそつのない話しに、エリオとコジモがチャチャをいれ、デイジーが二人を注意する。

 なごやかな時間が過ぎていく。デイジーはパティの近況を聞きたがった。パティはマックスたちとの依頼の事を話した。

 教会建設のお手伝いに畑の手伝いなどだ。それを聞いたマイラが声をかけた。

「あらパティ。剣の先生に剣を習っているんでしょ?その話しを皆にしてあげなさいよ」

 パティは《ボイス》の魔法で、マイラと定期的に話しをしているのだ。マイラの発言に、デイジーたちは驚きの声をあげた。

「えっ!パティに剣の先生ができたの?!あたしが剣を教えてあげるっていったのにぃ」

 デイジーが悔しそうに言った。パティは慌てて返事をする。

「ええ、勿論よ!デイジーにもたくさん剣を教えてほしいわ!だけどね、私。先生に剣は向いていないって。それでね私、杖(じょう)を習う事にしたの」
「?。じょう、って何?パティ」

 パティは足元におろしていたリュクサックから杖を取り出した。杖を見てもデイジーは何と言っていいかわからないようだ。

「ほう、杖か。パティはいい武器を選択したんだな!」
「エリオ!あんたこれが何だかわかるの?!」
「当たり前だろ!俺は武闘家さまだぜ!あらゆる武器が使えるんだ!」

 驚きの声を上げたデイジーに、エリオは得意そうに答えた。パティは驚いてエリオに質問した。

「えっ?!エリオさんは槍だけじゃなく杖も使えるんですか?!」
「ああ。俺はどんな武器だって使えるぜ?杖は東の国から伝わった武器だ。剣を持った相手を制圧する事にたけてるんだ」

 エリオはデイジーから杖を受け取るとしげしげと眺めた。

「おい、コジモ。これ何だかわかるか?」

 エリオはとなりに座りいまだに豪快に食べ物を食べているコジモにたずねた。

「何だろ?黒いシミだね」
「これはパティの血だ」
「ええ?!こんなに真っ黒になるくらいパティは練習していたの?!」

 パティはハッとして席から立ち上がった。

「ご、ごめんなさい!食事中にそんな物出して!汚いですよね!」

 パティが慌ててエリオの持っている杖を受け取ろうとすると、エリオは軽く手で制して答えた。

「いや、汚くなんかねぇよ。これはパティの覚悟の証だ。俺は、パティがマックスたちを守るために剣を学びたいと言った時、本心では賛成しかねた。剣を持つという事は、同時に剣で斬り殺されても文句は言えねぇって事だ。生半可な気持ちで武器を持つくらいなら、素直にマックスたちに守ってもらったほうがいいって考えてた」

 エリオもエラルドと同じ考えを持っていたのだ。パティは黙ってエリオの次の言葉を待った。

「だがパティは手を血だらけにして努力している。可愛い妹にこんな事されたら、兄である俺たちも黙っているわけにいかないだろ!」
「う、うん!そうだね!僕もパティの役に立ちたいよ。だけどエリオ、これから何するの?」

 エリオの宣言に、となりのコジモはタジタジしながら質問した。

「決まってんだろ?これからパティの特訓だ!」


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