202 / 212
パティ対マフサ
しおりを挟む
パティは走りながらマフサの構えを見た。左手で剣を持っているとはいえ、ひどい構えだ。
剣の重さに耐えきれず、上体がそっている。右腕が使えないとしても、マフサの剣技はお粗末なものだった。
おそらく自身の魔法に陶酔し、剣の鍛錬をおろそかにしていたのだろう。このような者にパティは負ける気はしなかった。
パティはマックスたちを守るため、血のにじむ努力をして杖の訓練をしたのだ。
パティがマフサの剣の間合いに入ると、マフサは歪んだ笑みを浮かべて剣を振り下ろした。パティは弱々しい剣の打ち込みを杖で払いのけ、激しい突きをマフサの胸元に打ち込んだ。
マフサは吹っ飛んで頭を強く打って気絶した。
実にあっけない戦いだった。パティはマフサにいとも簡単に勝利したのだ。
小さい頃のパティにとって、マフサという存在はとても恐ろしいものだった。
身体が大きく常に大声でどなり、気に食わない事があるとパティをけったり殴ったりした。
ドミノ村の中ではマフサは強者にはいったのだろう。だが広い世界に出てしまえば、マフサは矮小で惨めな人間だったのだ。
「チャーミー。マフサをツタでしばって」
「ニャッ」
チャーミーは土植物ツタ魔法でマフサをグルグル巻きにした。
パティはすぐさまジョナサン神父たちの防御ドームに近づこうとすると、村人に剣を向けている盗賊たちが叫んだ。
「そこを動くな!小娘!お前が一歩動けば村人たちが死ぬぞ?!」
パティはそこで初めてドミノ村の人たちが盗賊たちに制圧されている事に気づいた。だが何の感情も湧かなかった。パティにとってはドミノ村の人々などどうでもいいのだ。
真っ青な顔のドミノ村の人々を、パティは無感情にながめた。
「パティ!お願いだよ!助けて!」
ゴンゾのおかみさんが叫ぶ。ゴンゾのおかみさんは、夫共々パティへの当たりがひどかった。
ゴンゾのおかみさんはパティをいじめる事が大好きだったらしく、よく足をひっかけられて転ばされた。
「パティ!俺は学校でお前の面倒を見てやったよな?!なぁ、助けてくれ!」
パティが通っていた学校の男性教師が叫ぶ。男性教師は、パティが学校に通う間徹底的に無視をきめこんでいた。
パティがマフサに殴られている時も、遠目に眺めているだけだった。
パティがぼんやりと村人たちを見ていると、ゴンゾが叫んだ。
「パティ!神父とチコリを連れて逃げてくれ!俺たちはお前にひどい事をした。これは俺たちが受ける報いだ」
ゴンゾは何故か血だらけの服を着ていた。だがケガをしているようにはみえなかった。もしかしたらジョナサン神父が治癒させたのかもしれない。
パティは一つため息をついた。ざっと広場を見渡すと、盗賊たちの数はぜんぶで九人。制圧するのに大した時間はかからなさそうだった。
パティが足元を見ると、マックスとチャーミーがキラキラした目でパティを見上げていた。肩にはピンキーがとまり、しきりにパティの頬にすり寄っている。
ショルダーバッグからはアクアが顔を出してパティを見上げている。
パティはクスリと笑った。パティがどんな表情を浮かべても、友達にはすべてお見通しなのだ。
「マックス。剣を持っている盗賊たちの肩にファイヤーアロー」
「ワン!」
剣を振り上げ、パティを威かくしていた盗賊たちは、マックスのファイヤーアローに肩を射抜かれ叫んでいた。
「アクア。村の人たちを水防御ドームで保護」
「プクプク」
九箇所にまとめられていた村人たちは、アクアの防御ドームによって守られた。
剣の重さに耐えきれず、上体がそっている。右腕が使えないとしても、マフサの剣技はお粗末なものだった。
おそらく自身の魔法に陶酔し、剣の鍛錬をおろそかにしていたのだろう。このような者にパティは負ける気はしなかった。
パティはマックスたちを守るため、血のにじむ努力をして杖の訓練をしたのだ。
パティがマフサの剣の間合いに入ると、マフサは歪んだ笑みを浮かべて剣を振り下ろした。パティは弱々しい剣の打ち込みを杖で払いのけ、激しい突きをマフサの胸元に打ち込んだ。
マフサは吹っ飛んで頭を強く打って気絶した。
実にあっけない戦いだった。パティはマフサにいとも簡単に勝利したのだ。
小さい頃のパティにとって、マフサという存在はとても恐ろしいものだった。
身体が大きく常に大声でどなり、気に食わない事があるとパティをけったり殴ったりした。
ドミノ村の中ではマフサは強者にはいったのだろう。だが広い世界に出てしまえば、マフサは矮小で惨めな人間だったのだ。
「チャーミー。マフサをツタでしばって」
「ニャッ」
チャーミーは土植物ツタ魔法でマフサをグルグル巻きにした。
パティはすぐさまジョナサン神父たちの防御ドームに近づこうとすると、村人に剣を向けている盗賊たちが叫んだ。
「そこを動くな!小娘!お前が一歩動けば村人たちが死ぬぞ?!」
パティはそこで初めてドミノ村の人たちが盗賊たちに制圧されている事に気づいた。だが何の感情も湧かなかった。パティにとってはドミノ村の人々などどうでもいいのだ。
真っ青な顔のドミノ村の人々を、パティは無感情にながめた。
「パティ!お願いだよ!助けて!」
ゴンゾのおかみさんが叫ぶ。ゴンゾのおかみさんは、夫共々パティへの当たりがひどかった。
ゴンゾのおかみさんはパティをいじめる事が大好きだったらしく、よく足をひっかけられて転ばされた。
「パティ!俺は学校でお前の面倒を見てやったよな?!なぁ、助けてくれ!」
パティが通っていた学校の男性教師が叫ぶ。男性教師は、パティが学校に通う間徹底的に無視をきめこんでいた。
パティがマフサに殴られている時も、遠目に眺めているだけだった。
パティがぼんやりと村人たちを見ていると、ゴンゾが叫んだ。
「パティ!神父とチコリを連れて逃げてくれ!俺たちはお前にひどい事をした。これは俺たちが受ける報いだ」
ゴンゾは何故か血だらけの服を着ていた。だがケガをしているようにはみえなかった。もしかしたらジョナサン神父が治癒させたのかもしれない。
パティは一つため息をついた。ざっと広場を見渡すと、盗賊たちの数はぜんぶで九人。制圧するのに大した時間はかからなさそうだった。
パティが足元を見ると、マックスとチャーミーがキラキラした目でパティを見上げていた。肩にはピンキーがとまり、しきりにパティの頬にすり寄っている。
ショルダーバッグからはアクアが顔を出してパティを見上げている。
パティはクスリと笑った。パティがどんな表情を浮かべても、友達にはすべてお見通しなのだ。
「マックス。剣を持っている盗賊たちの肩にファイヤーアロー」
「ワン!」
剣を振り上げ、パティを威かくしていた盗賊たちは、マックスのファイヤーアローに肩を射抜かれ叫んでいた。
「アクア。村の人たちを水防御ドームで保護」
「プクプク」
九箇所にまとめられていた村人たちは、アクアの防御ドームによって守られた。
44
あなたにおすすめの小説
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる