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メリッサの決意
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次の日の朝、あかりが目を覚ますとアスランはもう起きていた。アスランの顔色を見ると、昨日よりは大分マシになっていた。アスランとグリフとあかりは朝食の準備をした。アスランとグリフが土魔法で野菜を作ってくれるので食べ物に困る事はなかった。アポロンにはニンジン、ティグリスとグラキエースはりんごを用意してもらった。朝食は野菜スープだ。あかりとグリフは完食したが、アスランは食欲がなくあかりを心配させた。簡単な朝食をとった後、あかりはアスランに言った。
「ねぇアスラン、私剣を習いたいの。アスラン教えて?」
あかりの言葉にアスランは驚いているようだった。あかりは昨日の盗賊との戦いを、ひどく後悔していた。あかりが足手まといにならなければ、もっと違った結果になっていたのではないかと考えずにはいられなかった。このパーティはアスランもグリフもティグリスもグラキエースもアポロンも皆強力な魔法が使えるのに、あかりだけが無力だ。もしまた敵に遭遇した時、一番弱いあかりが狙われて、皆がまた危険にさらされてしまうかもしれない。
昨夜あかりはグリフに魔法を教えてくれと頼んだ。だがグリフは言いにくそうに、あかりには魔力がわずかしかないので、魔法を使うのは難しいだろうと言われてしまった。転生の女神がくれた、動物とお話ができる能力は、どうやら魔法とは無関係のようだ。そこであかりは、アスランに剣を習おうとしたのだ。困惑しているアスランに変わり、グリフが言う。
「メリッサ、剣なら俺が教えてやるぜ」
グリフはそう言うと、アスランを立たせて話しだす。
「女の剣はお色気なんだよ」
そう言ってグリフはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、アスランの首に腕をまわし、アスランの胸に自分の胸を押し付け、足をアスランの足にすりつける。アスランの顔が目に見えて青くなる。グリフはあかりに顔を向けて言った。
「男が鼻を伸ばしている時に首をかき切れば、相手はお陀仏さ。あっ、メリッサには色気なんてなかったな!」
アスランはわけのわからない叫び声をあげて、グリフに殴りかかった。グリフはその拳をヒョイッと軽く避ける。あかりは、失礼ね!とグリフに叫んだ。だが同時に安堵もしていた。グリフはアスランに対して昨日と変わらずに接してくれているのだ。アスランとグリフはなおもケンカを続けていた。
アスランが落ち着いた頃、あかりはアスランとグリフ二人に剣を習うという事に落ち着いた。アスランは土魔法であかり用の模擬刀を作ってくれた。アスランはまずあかりに、剣の構え方、素振りの仕方を教えた。そしてとてもいい笑顔で言った。
「じゃあメリッサ、今教えた素振り五百回やってみて?」
横で聞いていたグリフが慌てて言う。
「なに言ってんだ、ぼんくら!そんな事したらメリッサが疲れちまうだろ?!」
アスランはキョトンとした顔でグリフに言う。
「何かおかしいかい?僕は二歳の頃から剣の素振りは一万回やっていたよ」
「お前ん家の特殊な家庭の話なんかいいんだよ!メリッサは女の子なんだぞ?!」
グリフはあかりのために抗議をしてくれた。だがあかりはグリフを制してアスランにお辞儀をして言った。
「よろしくおねがいします」
あかりは東への道を進む途中途中で剣の稽古をつけてもらっていた。五百回の素振りは肩も腕も棒のようになり辛かった。だがあかりはどうしても強くなりたかった。もしまた魔物と契約した人間に出会ったら、あかりたちはその人を救わなければいけない。たとえその人の命を奪う事になったとしても。
そしてアスランだけにその責務を負わせるわけにはいかない。アスランは自身が傷ついても、他人を傷つける事ができない優しい人だ。しろうとのあかりが剣を練習してどのくらい上達するのか不明だが、あかりが今できる事はこれしか思いつかない、目の前にある道をひたすら突き進むしかないのだ。
あかりはどちらかといえば不器用な方だ。アスランとグリフが丁寧に剣術を教えてくれても中々思うように上達しない。だがあかりは、一つの事に集中したらそれだけに一直線になる性格だった。周りからは、融通がきかないとやゆされる事もあったが、あかりはこの集中力は自身の特技だと思っている。
あかりはひたすら剣の素振りを続けた。アスランは、剣技とは咄嗟に反応しなければ意味をなさないと言っていた。頭で考えて動いては間に合わないのだ。そのためひたすら剣の動作を反復練習して、その動作を無意識のうちでも再現できるようにしなければいけないのだ。
アスランは度々あかりの剣の素振りの姿勢を直してくれる。そうすると、数十回に一度くらいは良い打ち込みができる時がある。だがしばらくするとまたしっくりこない素振りになってしまうのだ。あかりはアスランが直してくれる姿勢を思い出しながらひたすら素振りを続けた。
「ねぇアスラン、私剣を習いたいの。アスラン教えて?」
あかりの言葉にアスランは驚いているようだった。あかりは昨日の盗賊との戦いを、ひどく後悔していた。あかりが足手まといにならなければ、もっと違った結果になっていたのではないかと考えずにはいられなかった。このパーティはアスランもグリフもティグリスもグラキエースもアポロンも皆強力な魔法が使えるのに、あかりだけが無力だ。もしまた敵に遭遇した時、一番弱いあかりが狙われて、皆がまた危険にさらされてしまうかもしれない。
昨夜あかりはグリフに魔法を教えてくれと頼んだ。だがグリフは言いにくそうに、あかりには魔力がわずかしかないので、魔法を使うのは難しいだろうと言われてしまった。転生の女神がくれた、動物とお話ができる能力は、どうやら魔法とは無関係のようだ。そこであかりは、アスランに剣を習おうとしたのだ。困惑しているアスランに変わり、グリフが言う。
「メリッサ、剣なら俺が教えてやるぜ」
グリフはそう言うと、アスランを立たせて話しだす。
「女の剣はお色気なんだよ」
そう言ってグリフはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら、アスランの首に腕をまわし、アスランの胸に自分の胸を押し付け、足をアスランの足にすりつける。アスランの顔が目に見えて青くなる。グリフはあかりに顔を向けて言った。
「男が鼻を伸ばしている時に首をかき切れば、相手はお陀仏さ。あっ、メリッサには色気なんてなかったな!」
アスランはわけのわからない叫び声をあげて、グリフに殴りかかった。グリフはその拳をヒョイッと軽く避ける。あかりは、失礼ね!とグリフに叫んだ。だが同時に安堵もしていた。グリフはアスランに対して昨日と変わらずに接してくれているのだ。アスランとグリフはなおもケンカを続けていた。
アスランが落ち着いた頃、あかりはアスランとグリフ二人に剣を習うという事に落ち着いた。アスランは土魔法であかり用の模擬刀を作ってくれた。アスランはまずあかりに、剣の構え方、素振りの仕方を教えた。そしてとてもいい笑顔で言った。
「じゃあメリッサ、今教えた素振り五百回やってみて?」
横で聞いていたグリフが慌てて言う。
「なに言ってんだ、ぼんくら!そんな事したらメリッサが疲れちまうだろ?!」
アスランはキョトンとした顔でグリフに言う。
「何かおかしいかい?僕は二歳の頃から剣の素振りは一万回やっていたよ」
「お前ん家の特殊な家庭の話なんかいいんだよ!メリッサは女の子なんだぞ?!」
グリフはあかりのために抗議をしてくれた。だがあかりはグリフを制してアスランにお辞儀をして言った。
「よろしくおねがいします」
あかりは東への道を進む途中途中で剣の稽古をつけてもらっていた。五百回の素振りは肩も腕も棒のようになり辛かった。だがあかりはどうしても強くなりたかった。もしまた魔物と契約した人間に出会ったら、あかりたちはその人を救わなければいけない。たとえその人の命を奪う事になったとしても。
そしてアスランだけにその責務を負わせるわけにはいかない。アスランは自身が傷ついても、他人を傷つける事ができない優しい人だ。しろうとのあかりが剣を練習してどのくらい上達するのか不明だが、あかりが今できる事はこれしか思いつかない、目の前にある道をひたすら突き進むしかないのだ。
あかりはどちらかといえば不器用な方だ。アスランとグリフが丁寧に剣術を教えてくれても中々思うように上達しない。だがあかりは、一つの事に集中したらそれだけに一直線になる性格だった。周りからは、融通がきかないとやゆされる事もあったが、あかりはこの集中力は自身の特技だと思っている。
あかりはひたすら剣の素振りを続けた。アスランは、剣技とは咄嗟に反応しなければ意味をなさないと言っていた。頭で考えて動いては間に合わないのだ。そのためひたすら剣の動作を反復練習して、その動作を無意識のうちでも再現できるようにしなければいけないのだ。
アスランは度々あかりの剣の素振りの姿勢を直してくれる。そうすると、数十回に一度くらいは良い打ち込みができる時がある。だがしばらくするとまたしっくりこない素振りになってしまうのだ。あかりはアスランが直してくれる姿勢を思い出しながらひたすら素振りを続けた。
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