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盛平

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暖かな食卓

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 グリフはすぐさま行動を開始した、あかりもグリフについていく。グリフは早足で外に出ると、ぼんやりと外で立って待っていたアスランに怒鳴った。

「何ボサッとしてんだアスラン!すぐに薪を割れ!」

 グリフはアスランに、家の裏手にある薪小屋の薪割りを命ずると、畑まで出て行き、土魔法を発動させた。すると畑から沢山の植物が伸びてきた。グリフは次々と野菜を収穫していった。じゃが芋、にんじん、カブ、ほうれん草。収穫はあかりも手伝った。収穫した野菜を見てグリフが首をかしげる。あかりはどうしたのか質問した。グリフは土を手ですくいながら答えた。

「土の質がとても悪い」

 あかりもグリフに習い、手で土をすくってにおいを嗅いだ。あかりは小さな頃からずっと畑で野菜を作って暮らしていた。野菜にはどんな土が良いのかもわかっている。野菜作りには多くの有機物を含む土が必要なのだ。そのためあかりと両親たちは一生懸命肥料を撒き、良い土を作っていた。良い土はとてもいい匂いがするのだ。だがラナの畑の土はパサパサで乾いた匂いがした。グリフは眉根を寄せながら話す。

「ラナの話では以前は作物がよく採れて、食事には事欠かなかったと言っていた。だがこの土ではいい作物は育たない。ラナの母親は、娘だけに食事を食べさせて自分はあまり食事を取らなかったんだろう」

 グリフはそう呟いてから、水魔法で収穫した野菜を綺麗に洗った。そしてラナの家の台所で野菜を細かくきざんだ。あかりも慣れない手つきで手伝うが、グリフの包丁さばきはとても早かった。アスランが割った薪に炎の魔法で火をつけて、グリフは大鍋でスープを作った。グリフは袋から干し肉や干し魚を刻んでスープに入れた。スープからは食欲をくすぐるいい香りがしてきた。

 ラナは久しぶりのキチンとした食事らしく、とてもはしゃいでいた。グリフは、あかりとラナとアスランをテーブルにつかせ、スープとゆでたじゃが芋で夕食をとらせた。アポロンとティグリスとグラキエースは外でにんじんやりんごを食べている。あかりはグリフに一緒に食べないのかとたずねるが、グリフは後で食べると言って、ラナの母親に食事をとらせるために寝室に入っていった。

 グリフは母親の食事が終わると、りんごをソテーしてシナモンをかけたデザートを作ってくれた。これにはラナも大喜びで喜んで食べていた。グリフは袋から薬草を取り出すと、すり鉢ですりつぶし、何かの薬を作っていた。あかりが何の薬か聞くと、母親の滋養の薬だと答えた。そしてとても苦いのだと付け加えた。あかりは何故グリフがりんごのソテーを作ったのか理解した。母親に薬を飲ませた後、口直しに食べさせるのだろう。

 しばらくしてあかりはグリフに寝室に呼ばれた。母親の身体を拭いてあげてほしいと頼まれたのだ。あかりは快諾して、お湯をはったタライとタオルを持って母親の寝室に入った。母親は食事をとったためか少し顔色が良くなっていた。あかりは母親の寝巻きを脱がせて驚いた、ラナの母親は驚くほど痩せていた。あかりは絞ったタオルで母親の身体を拭きながら、おずおずとたずねた。

「あの、お母さんはラナにだけご飯を食べさせて、自分は食べなかったんですか?」

 ラナの母親は弱々しげに笑いながら答えた。

「ええ、ラナと一緒に食事をする振りをして実際は残しておいて、次のラナの食事に回したの。でもこんな事長くは続かないってわかってたわ。事実私は倒れてしまいラナを育てられなくなってしまったわ」

 涙を流しながら自分を責める母親に、たまらず声をかけた。

「それは違うわ。貴女がラナを守ったから、ラナが薬草を探しに森に行って、私たちと出会ったのよ?貴女の行動は正しかったんだわ」

 母親は涙を流しながら、小さくありがとうと言った。あかりはグリフが土魔法で作った新しい寝巻きを母親に着せ寝かしつけた。

 グリフはそれからもラナと母親のために料理と薬を作り続け、母親の体調はゆっくりと回復していった。グリフはラナの家の畑を土魔法で改善させた。そして長期保存がきく野菜を沢山育てた。そしてラナが喜ぶようにりんごやプルーン、イチジクなどの果物をドライフルーツにした。ラナと母親が生活に困らないようにするためだ。

 あかりたちがラナの家を辞する時、ラナは寂しそうにしていた。ラナはグリフにとても懐いていた。

「グリフおじちゃん、また来てくれる?」

 グリフは優しく笑って答えた。

「ああまた来るよ。そうだラナ、この人形をもらってくれるかい?」

 グリフはそう言うと、腰の袋から可愛らしい人形を取り出して言った。

「これはおじちゃんの娘が昔遊んでいたんだ。この子をラナのお友達にして可愛がってくれるかい?」

 ラナはグリフから受け取った人形をキラキラした目で見つめると、あかりの顔を見た。グリフはあかりの事をラナたちに、自分の娘だと紹介していた。そのためラナはこの人形の持ち主をあかりだと思ったのだろう。あかりはラナに言った。

「私はもう大きくなっちゃったから、あまりこの子と遊んであげられないの。ラナが大切にしてくれたら嬉しいわ」

 ラナは笑顔でありがとうと言って、人形をギュッと抱きしめた。
 



 
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