71 / 118
荒れる畑
しおりを挟む
あかりたちはラナと出会った森を後にし、歩き続けた。すると大きな畑が広がる村に出た。だが畑を見てみると作物は作られておらず、荒れはてた印象だった。あかりは畑を見回して言った。
「こんなに広い畑なのに、みんな荒れはててるわ」
あかりは畑を開墾する大変さを知っている。それなのにここまで手をかけて作った畑は何も作物を育てる事をしていないのだ。もの悲しい気持ちであかりは畑が続く道を歩いた。すると一人の男性が畑を所在なげに歩いていた。アスランが男性に声をかけた。
「もし、どうしてこの畑は荒れているのですか」
アスランの問いに男は疲れきった表情で答えた。
「ここ最近作物がまったく育たなくなったんだ」
「それまでは作物が育っていたんですか?」
アスランの質問に男性はうなずく。その時、男性を呼ぶ声がした。どうやらここの村人らしい。男性が振り向いて、何事かと質問する。慌てて走って来た村人は大声で叫んだ。
「村長が帰ってきた。大ケガをしている、早くきてくれ!」
男性は血相を変えて村人について走っていってしまった。あかりはアスランとグリフを見た。二人ともうなずいている。ケガ人ならばあかりたちにも何か手伝いができるかもしれない。あかりたちは走っていった男性の後を追った。
広大な畑の先には大きな村があった。その村の大通りに人だかりができていた。あかりたちは人だかりをかき分けて、その中に入った。そこには木の板に乗せられている老人がいた。全身傷だらけだった。
先ほどの男性が、父さんと声をかけている。どうやらこの男性は村長の息子らしい。グリフは男性の肩を掴むと、後ろに下がらせた。そして傷だらけの村長に治癒魔法をほどこした。村長の身体は光に包まれると、傷が見る間に治っていった。村長は目を覚まし、男性は喜んで村長を抱き起こした。村長は弱々しい声で話し出した。
「すまない、皆の衆。やはり納期は待ってもらえなかった。もし作物を納めなけければ、いつものように生け贄を十人よこせと言っていた」
集まった村人たちがザワザワとしだした。村長はグリフに目を向けると、ケガを治してくれた礼を言った。グリフは村長に問うた。
「これは一体どういう事なんだよ。話し合いに行った村長さんが大ケガして帰って来るなんて尋常じゃないぜ」
村長はうなだれながらあかりたちに話し出した。この村はサラエと言って、以前は作物が良く取れ豊かな村だった。だがある時、この村を含む一体を治める領主が変わったのだ。以前この一体を治めていた領主はとても温和で、季節により作物の育ちが悪ければ年貢を減らし、作物の育ちが良ければその時に年貢を多く納めるようにと領民の事をおもんばかってくれていた。
だがその領主が亡くなると、次に継いだ息子はあまりいい領主とはいえなかった。しかも田舎暮らしを嫌っており、ついには領主の権限を他人に売って、自分は王都に行ってしまったのだ。次に領主になった人間は、最低の人間だった。村長があかりたちに話しをしていると、村人たちがささやき出した。
「ゼキーグの奴め」
「ゼキーグのせいでこの村はめちゃくちゃだ」
あかりは村長にたずねた。
「ゼキーグって?」
村長は深いため息をついて答えた。
「ゼキーグという男は、もともとこの村の者じゃった。傲慢でウソつきで、村の鼻つまみ者じゃ。だがゼキーグはある時からおかしなほど金まわりが良くなったのじゃ。畑仕事もろくにせずフラフラしていたのに、大きな家を建て、男爵の爵位を金で買い、ついには領主の立場まで金で買ってしまった。ゼキーグが領主となってから、このサラエの畑で作物がとれなくなってしまったのじゃ」
村長はそこで大きくため息をついてから再び話し出した。
「ゼキーグは月に一度の重い税を課した。そしてその支払いが滞るときは、生け贄として村人を差し出せというのだ」
あかりは驚いてしまった。生け贄とは穏やかではない。グリフが村長に聞く。
「生け贄って、そのゼキーグにどういう目に合わされるんだ?」
「それはわしにもわからん。今日ゼキーグに支払いを伸ばしてほしいと嘆願しに行ったのじゃ。だが期日は伸ばせんかった。それに生け贄として拘束された者の安否を聞いたが・・・、まだ生きている者は牢獄にいて、責め苦に耐えかねた者は自ら命を絶ったそうじゃ」
村長を囲んでいた村人の何人かが悲鳴をあげた。きっと家族が生け贄になった者たちなのだろう。村人たちを重苦しい空気が包む。その空気をうち破った者がいた、村長の息子だ。村長の息子はグリフに懇願した。
「魔法使いさま!この村には病人が沢山いるのです。どうか力をおかしください」
グリフはあかりたちに目線を向けてからうなずいた。
「こんなに広い畑なのに、みんな荒れはててるわ」
あかりは畑を開墾する大変さを知っている。それなのにここまで手をかけて作った畑は何も作物を育てる事をしていないのだ。もの悲しい気持ちであかりは畑が続く道を歩いた。すると一人の男性が畑を所在なげに歩いていた。アスランが男性に声をかけた。
「もし、どうしてこの畑は荒れているのですか」
アスランの問いに男は疲れきった表情で答えた。
「ここ最近作物がまったく育たなくなったんだ」
「それまでは作物が育っていたんですか?」
アスランの質問に男性はうなずく。その時、男性を呼ぶ声がした。どうやらここの村人らしい。男性が振り向いて、何事かと質問する。慌てて走って来た村人は大声で叫んだ。
「村長が帰ってきた。大ケガをしている、早くきてくれ!」
男性は血相を変えて村人について走っていってしまった。あかりはアスランとグリフを見た。二人ともうなずいている。ケガ人ならばあかりたちにも何か手伝いができるかもしれない。あかりたちは走っていった男性の後を追った。
広大な畑の先には大きな村があった。その村の大通りに人だかりができていた。あかりたちは人だかりをかき分けて、その中に入った。そこには木の板に乗せられている老人がいた。全身傷だらけだった。
先ほどの男性が、父さんと声をかけている。どうやらこの男性は村長の息子らしい。グリフは男性の肩を掴むと、後ろに下がらせた。そして傷だらけの村長に治癒魔法をほどこした。村長の身体は光に包まれると、傷が見る間に治っていった。村長は目を覚まし、男性は喜んで村長を抱き起こした。村長は弱々しい声で話し出した。
「すまない、皆の衆。やはり納期は待ってもらえなかった。もし作物を納めなけければ、いつものように生け贄を十人よこせと言っていた」
集まった村人たちがザワザワとしだした。村長はグリフに目を向けると、ケガを治してくれた礼を言った。グリフは村長に問うた。
「これは一体どういう事なんだよ。話し合いに行った村長さんが大ケガして帰って来るなんて尋常じゃないぜ」
村長はうなだれながらあかりたちに話し出した。この村はサラエと言って、以前は作物が良く取れ豊かな村だった。だがある時、この村を含む一体を治める領主が変わったのだ。以前この一体を治めていた領主はとても温和で、季節により作物の育ちが悪ければ年貢を減らし、作物の育ちが良ければその時に年貢を多く納めるようにと領民の事をおもんばかってくれていた。
だがその領主が亡くなると、次に継いだ息子はあまりいい領主とはいえなかった。しかも田舎暮らしを嫌っており、ついには領主の権限を他人に売って、自分は王都に行ってしまったのだ。次に領主になった人間は、最低の人間だった。村長があかりたちに話しをしていると、村人たちがささやき出した。
「ゼキーグの奴め」
「ゼキーグのせいでこの村はめちゃくちゃだ」
あかりは村長にたずねた。
「ゼキーグって?」
村長は深いため息をついて答えた。
「ゼキーグという男は、もともとこの村の者じゃった。傲慢でウソつきで、村の鼻つまみ者じゃ。だがゼキーグはある時からおかしなほど金まわりが良くなったのじゃ。畑仕事もろくにせずフラフラしていたのに、大きな家を建て、男爵の爵位を金で買い、ついには領主の立場まで金で買ってしまった。ゼキーグが領主となってから、このサラエの畑で作物がとれなくなってしまったのじゃ」
村長はそこで大きくため息をついてから再び話し出した。
「ゼキーグは月に一度の重い税を課した。そしてその支払いが滞るときは、生け贄として村人を差し出せというのだ」
あかりは驚いてしまった。生け贄とは穏やかではない。グリフが村長に聞く。
「生け贄って、そのゼキーグにどういう目に合わされるんだ?」
「それはわしにもわからん。今日ゼキーグに支払いを伸ばしてほしいと嘆願しに行ったのじゃ。だが期日は伸ばせんかった。それに生け贄として拘束された者の安否を聞いたが・・・、まだ生きている者は牢獄にいて、責め苦に耐えかねた者は自ら命を絶ったそうじゃ」
村長を囲んでいた村人の何人かが悲鳴をあげた。きっと家族が生け贄になった者たちなのだろう。村人たちを重苦しい空気が包む。その空気をうち破った者がいた、村長の息子だ。村長の息子はグリフに懇願した。
「魔法使いさま!この村には病人が沢山いるのです。どうか力をおかしください」
グリフはあかりたちに目線を向けてからうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる