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魔王バモン
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日の光が一筋も入らない真っ暗闇の洞窟の中にそのモノはいた。ローブをまぶかに被り、唯一出ている肌は筋ばったガリガリの両手だけだった。そのモノは自らの痩せこけた節だらけの手を見つめしわがれた声で言った。
「おのれぇ忌々しい人間めぇ、身体を修復するのに五十年の歳月がかかってしまったわ」
そのモノ、魔王バモンは憎々しげに呟いた。
「修復するためにはもっともっと魔に魅入られた人間の魂が必要なのだ」
魔王バモンは自らの身体の修復を進めるために、強欲な人間を見つけてはそそのかし魔物との契約を結ばせていた。人間は欲深いのですぐにバモンの甘い言葉に食いついた。魔物と契約した人間は寿命を待たずに自滅するのだ。そうすればその人間の魂はバモンの糧となる。
だがここ最近糧となる魂を得る事が出来ないのだ。考えられる事は、魔物と契約した人間が自滅する前に殺された場合だ。自滅する前に死んでしまってはバモンが魂を得る事はできない。自滅する前に死んだ人間の魂は自由になり天国か地獄、然るべき魂の場所に帰ってしまうのだ。
だがそこで一つ疑問が残る。バモンが強欲な人間に与えた魔物の力は絶大だ。弱々しい人間風情がおいそれと勝てる相手では到底ない。一体どんな人間が魔物との契約者を倒したのだろうか。そこでバモンはある考えに思いいたる。魔界の王であるバモンを倒した人間、勇者クリフとその仲間たち。
だが、と再び考えを改める。人間の寿命は魔物よりはるかに短い、勇者クリフとその仲間は寿命ですでに死んでいるのではないか。すると勇者クリフたちの他に魔物との契約者と戦える人間がいるという事になる。バモンは節くれだった手をアゴにあて考える。そこである事を思い出した。勇者クリフとその仲間の召喚士は、霊獣と精霊と契約していた。人間は霊獣と精霊と契約すると人間本来の寿命より長く生きながらえる事ができる。
もしかすると憎っくき勇者クリフとその仲間はまだ生きながらえているかもしれない。だが人間にとって五十年という歳月は短くない、きっとバモンと対峙した時よりもはるかに弱っているだろう。バモンはそこで良い事を考えた。きっと勇者クリフたちは魔王バモンを倒したと思って安穏と暮らしているだろう。そこにバモンが姿を現わせばさぞや驚愕するだろう。老いさらばえた勇者クリフの無様な姿を見に行くのも一興に思えた。
バモンの肉体はまだ完全に復活したとは言いがたい。だが老いた勇者クリフをなぶり殺すくらいの魔力は回復している。それに、バモンはそこでニヤリと笑みを浮かべる。バモンは強力な支配力を持つ槍の魔法を駆使して、霊獣や精霊を支配下においたのだ。
この槍の魔法は霊獣と精霊が死ななければ決して解除されないのだ。霊獣と精霊を兵士として使えば五十年前の戦いよりも兵力が上になる。バモンが負ける可能性は無いに等しかった。バモンはおかしくなって笑い出した。その笑いはいつしか大きくなり、洞窟の中にこだました。
「おのれぇ忌々しい人間めぇ、身体を修復するのに五十年の歳月がかかってしまったわ」
そのモノ、魔王バモンは憎々しげに呟いた。
「修復するためにはもっともっと魔に魅入られた人間の魂が必要なのだ」
魔王バモンは自らの身体の修復を進めるために、強欲な人間を見つけてはそそのかし魔物との契約を結ばせていた。人間は欲深いのですぐにバモンの甘い言葉に食いついた。魔物と契約した人間は寿命を待たずに自滅するのだ。そうすればその人間の魂はバモンの糧となる。
だがここ最近糧となる魂を得る事が出来ないのだ。考えられる事は、魔物と契約した人間が自滅する前に殺された場合だ。自滅する前に死んでしまってはバモンが魂を得る事はできない。自滅する前に死んだ人間の魂は自由になり天国か地獄、然るべき魂の場所に帰ってしまうのだ。
だがそこで一つ疑問が残る。バモンが強欲な人間に与えた魔物の力は絶大だ。弱々しい人間風情がおいそれと勝てる相手では到底ない。一体どんな人間が魔物との契約者を倒したのだろうか。そこでバモンはある考えに思いいたる。魔界の王であるバモンを倒した人間、勇者クリフとその仲間たち。
だが、と再び考えを改める。人間の寿命は魔物よりはるかに短い、勇者クリフとその仲間は寿命ですでに死んでいるのではないか。すると勇者クリフたちの他に魔物との契約者と戦える人間がいるという事になる。バモンは節くれだった手をアゴにあて考える。そこである事を思い出した。勇者クリフとその仲間の召喚士は、霊獣と精霊と契約していた。人間は霊獣と精霊と契約すると人間本来の寿命より長く生きながらえる事ができる。
もしかすると憎っくき勇者クリフとその仲間はまだ生きながらえているかもしれない。だが人間にとって五十年という歳月は短くない、きっとバモンと対峙した時よりもはるかに弱っているだろう。バモンはそこで良い事を考えた。きっと勇者クリフたちは魔王バモンを倒したと思って安穏と暮らしているだろう。そこにバモンが姿を現わせばさぞや驚愕するだろう。老いさらばえた勇者クリフの無様な姿を見に行くのも一興に思えた。
バモンの肉体はまだ完全に復活したとは言いがたい。だが老いた勇者クリフをなぶり殺すくらいの魔力は回復している。それに、バモンはそこでニヤリと笑みを浮かべる。バモンは強力な支配力を持つ槍の魔法を駆使して、霊獣や精霊を支配下においたのだ。
この槍の魔法は霊獣と精霊が死ななければ決して解除されないのだ。霊獣と精霊を兵士として使えば五十年前の戦いよりも兵力が上になる。バモンが負ける可能性は無いに等しかった。バモンはおかしくなって笑い出した。その笑いはいつしか大きくなり、洞窟の中にこだました。
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