見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平

文字の大きさ
85 / 118

勇者の仲間

しおりを挟む
 フードをまぶかにかぶった老人、魔王バモンは操っている霊獣と精霊に号令をかけた。ゾウの霊獣は炎の魔法を、サイの霊獣は風魔法を、水の精霊は水魔法でクリフォードとパンテーラに攻撃をしかけてきた。ジャガーの霊獣パンテーラはすかさず強力な風防御魔法で自らと契約者のクリフォードを守った。クリフォードはパンテーラに礼を言った。

 だがクリフォードは困ってしまった。今クリフォードたちに攻撃をしている霊獣と精霊は魔王バモンによって操られている、いわば被害者なのだ。傷つけるわけにはいかない。だがこの霊獣と精霊を何とかしないとバモンに攻撃など不可能だ。

「早く来んか。ゼノの奴」

 クリフォードの口から思わずグチがもれた。パンテーラはクスリと笑って言った。

『もうすぐだクリフ』

 パンテーラが答えた途端、ドーンという大きな音と共に王の間の壁が大破し大穴が開いた。その穴からヒョッコリと巨大なオウムが覗きこんだ。あの霊獣はバートという若者の契約霊獣だ。オウムの霊獣の頭の上から友が大声で叫ぶ。

「おおい、クリフ!生きとるか?!」

 クリフォードは苦虫を噛みつぶしたような顔をしながら叫び返した。

「当たり前じゃ!生きとるわい!というか遅いぞゼノ」
「これでもパンテーラから連絡をもらってすっ飛んで来たのじゃぞ?!文句を言うでない!」

 頭の上でギャアギャア騒ぐゼノを無視して、オウムの霊獣ポーは危なげなく王の間に降り立った。突然現れた闖入者たちに驚いた霊獣と精霊は、一気に巨大なオウムに攻撃を仕掛けた。だがオウムの霊獣は召喚士ゼノの相棒土の精霊ノーマの鉱物防御魔法で守られているため、攻撃魔法は当たらなかった。オウムの霊獣ポーは、ゼノたちを床におろすと、小さくなりバートの肩にとまった。

 召喚士のゼノとテイマーのバート。それに美しい女性がクリフォードの側に駆けよって来た。あいさつもそこそこにクリフォードは女性に声をかけた。

「お主もしやエイミーか?綺麗になったなぁ。ユリアによく似ている」
「国王陛下ご無沙汰しております」
「堅苦しい事は抜きだ。昔のようにクリフおじいちゃんでいいのだぞ?」
 

 クリフォードは好々爺の表情でゼノの孫エイミーに話し出した。クリフォードが以前エイミーに会った時はユリアに抱っこをされていてとても小さかったのだ。クリフォードがなおもエイミーに話しかけようとすると、ゼノが二人の間にわって入って言った。

「いいかげんにせんかクリフ!お主はいつもいつもマイペースじゃのう!」

 クリフォードとゼノの言い争いをエイミーはクスクス笑って見ていた。テイマーのバートはオロオロとしている。クリフォードはハッと気づいて、ゴホンと咳をしてから言った。

「皆の者手を貸してくれるか?」

 ゼノはクリフォードに目を向けて言った。

「愚問じゃな。皆で力を合わせて魔王バモンを倒すぞ」

 ゼノとゼノの肩に乗ったノーマ。エイミーと、彼女に抱っこされたうさぎの霊獣。バートと、彼の肩に乗ったポーは皆一様にうなずいた。クリフォードとパンテーラは共に微笑んだ。クリフォードたちは孤独ではなかった。共に戦う仲間がいてくれるのだ。ゼノは若い者たちに的確な指示を出す。

「エイミーとピピはサイの霊獣の保護!バートとポーはゾウの霊獣の保護!水の精霊はわしらがやる!」

 若い者たちと霊獣たちは一斉にはい!と返事をした。ゼノはうなずいて視線を魔王バモンにうつした。すると孫娘のエイミーが大声で言った。

「あっ、おじいちゃん!またくちびる舐めてる!おばあちゃんに怒られるわよ」

 クリフォードがゼノを見ると、確かにくちびるを舐めていた。ゼノが緊張した時にする癖だ。昔はヒーラーのユリアがよくゼノに注意していた。今では孫娘がゼノの癖を注意しているのだと知って、クリフォードは笑い出してしまった。

「わはは。ゼノ、今はエイミーに注意されているのか?情けないのぉ」
「うるさいわいクリフ!まったくエイミーの奴こんな所ばかりばあさんに似おって!」

 ゼノの剣幕が面白かったのか、エイミーもピピも笑い出してしまった。その笑いはノーマにもクリフォードにもパンテーラにも伝染してしまい、皆で大笑いした。ただ一人真面目なバートと冷静なポーは苦言をていした。

「皆さん!今は魔王と戦っている最中ですよ?!緊張感を持ってください!」
「そうよ、おしゃべりは敵を倒してからにしてちょうだい!」

 バートとポーにたしなめられてクリフォードとゼノは苦笑いをした。クリフォードはゼノに向き直って言った。

「頼むぞゼノ、ノーマ。お前たちの土魔法は地味じゃが最強じゃ」

 クリフォードの言葉にゼノはニヤリと笑って言った。

「当然じゃ。わしらで死にぞこないの魔王を倒すぞ!」



 
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...