見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平

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勇者の称号

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 あかりたちは旅の疲れを癒すため、トランド国王の好意で城内にとどまる事になった。そこであかりの身にとんでもない事が起こった。正確には、あかりだけでなくアスランやグリフにも起こったのだ。

 あかりたちはフードの魔物バモンを倒した功績により、勇者の称号を授与されたのだ。最初その話をトランド国王の宰相ガロアから聞いた時、言葉の意味を理解する事ができなかった。あかりはただポカンと口を開けたままだった。

 あかりは、自分か旅に出た時の事をぼんやりと思い出していた。あかりは小さい頃から冒険がしたかった。そしてテイマーという職業につきたかった。それはアスランと出会った事により運命が動き出した。アスランは勇者の称号を必要としていた。あかりはアスランが勇者の称号を得る手助けをしたかった、あかりには霊獣のティグリスとドラゴンのグラキエースという心強い友達がいたからだ。あかりはトランド国王の依頼により東を目指した。それは東で魔物の動きがあったからだ。あかりたちはひたすら東を目指した。途中で魔法使いのグリフと共に旅をする事になり、う余曲折の末気がついたらアスランとヴイヴィアンが魔王バモンを倒していたのだ。バモンに関してはあかりは何もしていない。ただドラゴンのフローラを助けたくて必死になっていただけだ。第一あかりは勇者ではなくただの村娘だ。そんな自分が勇者の称号を授与されるなど何かの間違いではないのか。あかりはその気持ちが消えないまま授与式の日を迎えてしまった。

 王の間にあかりたちはいた。玉座にはトランド国王が笑みをたたえながら座している。今回勇者の称号を授与されるのは、アスラン、グリフ、ヴイヴィアン、それに召喚士のエイミー、テイマーのバート、そしてあかりの六人だ。宰相のガロアは神妙な顔で、真っ赤なベルベットの布でできたクッションの上から勇者の称号を手渡していく。あかりは震える手で勇者の称号を受け取った。それはトランド国の紋章で、前脚を高く上げ、二本足で立つ横向きの雄々しいライオンと、二本の剣がクロスされたレリーフがかたどられた、手のひらに乗るくらいのエンブレムだった。横のヴイヴィアンがコソリと教えてくれた。雄ライオンの胸元にある紅い宝石に指を当てろと。このエンブレムは魔法具になっていて、持ち主の生体認証を行うそうだ。これは盗難防止のためらしい。あかりの横でうやうやしくエンブレムを受け取ったヴイヴィアンは、これで三つの勇者の称号を獲得した事になるのだ。

 あかりがおそるおそる真紅の宝石に右手の人差し指を当てると、エンブレムが輝き出した。このエンブレムがあかりを認識したのだ。その後トランド国王があかりたちに勇者になった事に対する喜びと心構えをせつせつと語ってくれたが、あかりは緊張し過ぎて上の空だった。

 緊張の連続だった勇者の称号授与式を終えたあかりは、割り当てられた自室でくつろいでいた。最初の数日は豪華すぎる室内に緊張していたが、次第にリラックスできるようになった。あかりはエイミーと同じ部屋だった。エイミーはあかりに紅茶を淹れてくれた。温かな紅茶を一口飲むと、緊張していた身体がゆっくりほどけていくのを感じた。エイミーの契約霊獣のうさぎのピピと、あかりの契約霊獣の子虎のティグリスは部屋の中でじゃれあって遊んでいる。小さなドラゴンのグラキエースは、あかりのベッドの上で丸くなって眠っていた。

 あかりたちの部屋をノックする音が聞こえた。エイミーがドアを開けると、そこにはアスランが立っていた。エイミーは気を利かせてピピとティグリスを部屋の外に連れ出してくれた。あかりはアスランにイスをすすめた。アスランは礼を言って腰をかけた。そしてあかりの顔をジッと見て言った。

「メリッサ、勇者の称号授与おめでとう」

 アスランにそう言われてあかりはハッとした。あかりの方こそアスランにそう言わなければいけなかった。アスランは勇者の称号をとても欲しがっていたのだから。あかりは焦りながら答えた。

「ありがとうアスラン。でも私が勇者になっただなんて今でも信じられないわ。私からも言わせて?アスラン、おめでとう貴方は立派な勇者だわ」
「ありがとうメリッサ。君にそう言ってもらえる事が一番嬉しい」

 アスランは微笑みを絶やさずあかり見つめていた。あかりは気づいた、アスランが勇者の称号を得たという事は、アスランは冒険者を辞めて召喚士ゼノの元で霊獣の保護のために働く事になるのだ。もうあかりはアスランと冒険する事はできないのだ。アスランは穏やかな声で言った。

「もう一つおめでとう。メリッサ、君は王立のテイマーの学校に入学できる」
「えっ?でも私まだ学費分のお金を稼いでいないわ?」
「もうお金は必要ないんだよ?勇者の称号を得れば、色々な特権を受けられる。城への入場許可書にもなるし、公的施設にも無料で入る事ができる。それに、学校に入学したければもちろん無料で入る事ができるんだ」

 あかりはアスランの言葉をぼう然としながら聞いていた。あかりはテイマーの学校に入るために冒険者をしてお金を稼いでいた。だが勇者の称号を獲得した事により、あかりは冒険者でいる必要がなくなった。あかりの冒険は、あっけなく終わってしまったのだ。
 
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