93 / 108
北の大地
しおりを挟む
レオンとアルスは乗り合い馬車を乗り継ぎ、ひたすら北を目指した。その期間はゆうに二ヶ月を超えた。レオンたちは依頼の報酬を貯めていたので、路銀には苦労しなかった。だが小さなアルスを連れているため、時には野宿ではなく宿屋に泊まった。
レオンは北に進むにつれ、街の様子が気になった。レオンは馬車から見える景色を見ているアルスに聞いた。
「ねぇ、アル。なんか北に進むにつれて、街がさびれてきている感じがしない?王都ほどじゃないけど、大きな街はどこも活気があると思っていたよ」
「そうじゃな。馬車道から見えている店も、閉まっておる店が多いのう」
馬車の客は、レオンとアルスしかいなかった。アルスは座席からぴょこんと飛び降りると、馬車を運転している運転手に声をかけた。
「これ、運転手。北の街はいつからこんなにさびれているのじゃ」
「どうもこうもあるかよ!魔物のせいに決まってるじゃねぇか。金持ちは皆王都に逃げちまった。残ってるのは逃げられねぇ貧乏人だけだよ!俺だって金がありゃ、こんな恐ろしい所にいたくねぇよ。ところで、お前たちはどこに行くんだよ?」
馬車の運転手は自身の悲哀を訴えた後、レオンたちの目的を聞いた。レオンは正面を向いたままの運転手の頭に向かって話した。
「僕たち人を探しているんです。運転手さん、魔物を倒している冒険者の話し、聞いた事ありませんか?」
「はぁ?冒険者がいくら束になったって、魔物になんかかないっこねぇよ!」
運転手は舌打ちしながら答えると、しばらく考え込んでから口を開いた。
「これはあくまでもウワサだぜ?魔物を倒す、すげぇ強ぇ冒険者の話しを聞いた事がある。そいつらは二人組で、めっぽう剣が強いんだと」
「!。その冒険者たちの名前と居場所はわかりますか?!僕らの探している人たちなんです」
「ウワサって言ってんだろ?知らねぇよ。冒険者協会に行って聞いてみるんだな。まだ機能してればだけどよ」
馬車の運転手の話しでは、北にある冒険者協会は、軒並み機能しなくなってしまっているようだ。冒険者たちは、恐ろしい魔物に太刀打ち出来ず、依頼を受けてくれないらしい。
レオンとアルスがあまりにもしつこいので、馬車の運転手はレオンたちをやっているであろう冒険者協会で降ろしてくれた。
北の外れにある冒険者協会は、とてもさびれていて、人けがなかった。レオンはアルスの手をつないで、恐る恐るドアを開いた。
室内はガランとしていて、人がいるようには思えなかった。壁側には、棚に置かれた依頼書のファイルが横倒しになっていた。
このありさまでは、この冒険者協会はやっていないのかもしれない。レオンがあきらめかけた時、しわがれた声がした。
「誰じゃ?」
レオンはどこから声がするのかと、辺りをキョロキョロすると、どうやら受付のカウンターの下からのようだ。レオンがカウンターの中をのぞき込むと、そこには並べたイスに横になっている老人がいた。レオンは驚きながら老人に質問した。
「おじいさんが、この冒険者協会の受付さんなんですか?」
「いかにも」
老人はおっくうそうにイスから起き上がると、身体が痛いのか、肩をさすりながら答えた。
レオンは北に進むにつれ、街の様子が気になった。レオンは馬車から見える景色を見ているアルスに聞いた。
「ねぇ、アル。なんか北に進むにつれて、街がさびれてきている感じがしない?王都ほどじゃないけど、大きな街はどこも活気があると思っていたよ」
「そうじゃな。馬車道から見えている店も、閉まっておる店が多いのう」
馬車の客は、レオンとアルスしかいなかった。アルスは座席からぴょこんと飛び降りると、馬車を運転している運転手に声をかけた。
「これ、運転手。北の街はいつからこんなにさびれているのじゃ」
「どうもこうもあるかよ!魔物のせいに決まってるじゃねぇか。金持ちは皆王都に逃げちまった。残ってるのは逃げられねぇ貧乏人だけだよ!俺だって金がありゃ、こんな恐ろしい所にいたくねぇよ。ところで、お前たちはどこに行くんだよ?」
馬車の運転手は自身の悲哀を訴えた後、レオンたちの目的を聞いた。レオンは正面を向いたままの運転手の頭に向かって話した。
「僕たち人を探しているんです。運転手さん、魔物を倒している冒険者の話し、聞いた事ありませんか?」
「はぁ?冒険者がいくら束になったって、魔物になんかかないっこねぇよ!」
運転手は舌打ちしながら答えると、しばらく考え込んでから口を開いた。
「これはあくまでもウワサだぜ?魔物を倒す、すげぇ強ぇ冒険者の話しを聞いた事がある。そいつらは二人組で、めっぽう剣が強いんだと」
「!。その冒険者たちの名前と居場所はわかりますか?!僕らの探している人たちなんです」
「ウワサって言ってんだろ?知らねぇよ。冒険者協会に行って聞いてみるんだな。まだ機能してればだけどよ」
馬車の運転手の話しでは、北にある冒険者協会は、軒並み機能しなくなってしまっているようだ。冒険者たちは、恐ろしい魔物に太刀打ち出来ず、依頼を受けてくれないらしい。
レオンとアルスがあまりにもしつこいので、馬車の運転手はレオンたちをやっているであろう冒険者協会で降ろしてくれた。
北の外れにある冒険者協会は、とてもさびれていて、人けがなかった。レオンはアルスの手をつないで、恐る恐るドアを開いた。
室内はガランとしていて、人がいるようには思えなかった。壁側には、棚に置かれた依頼書のファイルが横倒しになっていた。
このありさまでは、この冒険者協会はやっていないのかもしれない。レオンがあきらめかけた時、しわがれた声がした。
「誰じゃ?」
レオンはどこから声がするのかと、辺りをキョロキョロすると、どうやら受付のカウンターの下からのようだ。レオンがカウンターの中をのぞき込むと、そこには並べたイスに横になっている老人がいた。レオンは驚きながら老人に質問した。
「おじいさんが、この冒険者協会の受付さんなんですか?」
「いかにも」
老人はおっくうそうにイスから起き上がると、身体が痛いのか、肩をさすりながら答えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる