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美奈子
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加奈子は河川敷の芝生の上に座っていた。この場所は、姉の美奈子との思い出深い場所だった。そのため、美奈子が亡くなってからは立ち寄る事は無くなった。
加奈子が小学生の頃、好きな男の子の事を姉の美奈子に打ち明けた時。テストでひどい点数をとって、母に怒られるのが怖くて家に帰れない加奈子を美奈子が迎えにきてくれた時。
加奈子はこの場所での、美奈子との思い出をつらつらと思い出していた。加奈子が姉の死と共に、一番許せなかったのは、他でもない加奈子自身だった。姉の美奈子との最後の記憶は喧嘩で終わっていた。
原因は、当時の加奈子の彼氏の事だ。加奈子が十九歳の時に、友達の紹介で知り合った。彼は加奈子の三つ年上で、大学生だった。腕にはロレックスの腕時計、服はブランド物を着込み、話題はインテリな話が豊富だった。その時の加奈子には彼が素敵な男性に思えた。
だが姉の美奈子は、加奈子の彼氏を見た途端、気にくわない顔をした。美奈子が以前にもよく言っていた、加奈子の彼氏は心が無いと言われたのだ。加奈子はカチンときて、美奈子に反発した。確かに加奈子の彼は、加奈子に髪を伸ばせ、女らしい格好をしろだの、注文がうるさい事に辟易していたのだが、美奈子への反発心から別れずにいた。美奈子の事故の当日も、会社に行く前の美奈子に、加奈子の彼氏の話をされて、加奈子はカッとなって言ってしまったのだ。
「お姉ちゃんうるさい!」
その時の美奈子の寂しそうな顔が、今でも頭から離れない。加奈子は言い過ぎたと思い仲直りしようと、姉の好きなプリンを買って、美奈子の帰りを待っていた。
だが美奈子は二度と家に帰って来なかった。当時付き合っていた彼氏は、加奈子が姉の死でふさぎ込んでいるのにも関わらず、俺の誕生日忘れてんじゃねぇよ。という言葉を残し去って行った。
美奈子の言う通り、心が無い男だったのだ。加奈子が姉の言葉に従い、彼氏と早く別れていれば、最後の会話は穏やかなものだったのだろうか。後悔してもしきれない。加奈子はハンドバッグから美奈子の手紙を取り出し開く。
『十年後の私はバリバリのキャリアウーマンです。そして渉くんと結婚して、子供は二人、女の子と男の子。とっても可愛いです。』
美奈子の能天気な文字が続く。加奈子は段々腹がたってきた。
「お姉ちゃんのバカ!残された私たちの気持ちも知らないで!」
加奈子は美奈子の手紙をギュッと力を入れて掴んだ。カサリ、何かの音に加奈子は手紙を見直す。一枚だと思われていた手紙は、実は二枚だったのだ。大雑把な美奈子らしく、二枚手紙を書いて、一度に便箋を切り離したから、二枚が一緒にくっついていたのだ。恐る恐る便箋をめくると、そこには。
『世の中何があるかわからない、たがら家族に手紙を書きます。勿論十年後何もなければ処分するけどね、いわば保険です。』
加奈子はあっと小さく叫んだ。美奈子が加奈子たちに宛てて書いた手紙だ。
『まずはパパ、いつも私たちのために一生懸命働いてくれてありがとう。パパは女三人に囲まれて肩身が狭いよね、でも私はパパが私たちの事とっても大事にしてくれている事知ってます。加奈が産まれた時、みんな加奈にべったりで私がふてくされてたら、パパ言ってくれたね。パパは美奈の事が一番大好きだよって言ってくれたね。パパ、私の事大切にしてくれてありがとう。』
加奈子は父の事を思った。父は強い女三人の家庭で、無口で黙っている存在だった。加奈子が幼稚園の時、ラムネやキャンディーの包み紙を集めるのが好きだった。カラフルなセロファンを日にすかすとキラキラして綺麗だったからだ。加奈子は粘土を小さく丸めて、包み紙で包んでキャンディーを作って遊んでいた。その時、何を思ったのか加奈子は粘土のキャンディーを口に入れた。母は慌てて止めようとしたのか、はたまた虫の居所が悪かったのか、加奈子の頬っぺたをひっぱたいた。加奈子は頬がカァッと熱くなった事にびっくりして、火がついたように泣き出した。
当時加奈子たちはアパートに住んでいたので、夜に子供が泣き出すと近所迷惑になる。父は仕事から帰って疲れているのにも関わらず、加奈子をおんぶして、夜の散歩に出た。
父は加奈子に何も言わず、静かな遊歩道を歩いていた。ふと、父が立ち止まり、空を見上げた。つられて加奈子も空を見上げる。そこには青白く輝く満月があった。加奈子は父の背中の温かさもあり、そのまま寝てしまった。父は分け隔てなく美奈子と加奈子に愛情を注いでくれていたのだ。
『次にママ、いつも美味しいお料理を作ってくれてありがとう。私が高校受験の時、よく夜食を差し入れてくれたね。夜中にコーヒーを入れるためにリビングに行ったら、ママよく起きててくれたね。加奈には内緒だよって、美味しいお菓子食べさせてくれたね。ママどんな時も私の味方でいてくれてありがとう。』
加奈子はこれを読んで、顔から火が出そうになった。何故なら母は、高校受験の時加奈子にも同じ事をしてくれたからだ。夜食の差し入れ、加奈子にはココアを入れてくれた。しかし加奈子は受験勉強を教えてくれている姉の美奈子に、ママは私がちゃんと勉強してるか監視している、嫌な感じ。と言っていた。その時の姉は困ったような笑顔を浮かべていた。受け取り方が変わるとこうも変わるのか。加奈子は母の気持ちにちっとも気づいていなかった。
『最後に加奈、このものまね子猿。いっつも私の真似ばかりして。』
モノマネ子猿とは姉が加奈子によく言っていた言葉だ。加奈子は五歳年上の美奈子と同じがよくて、いつも真似をしていた。持ち物から、洋服まで何でも同じにしたがった。加奈子にとって美人で頭のいい姉の美奈子は、理想であり、ライバルでもあったのだ。
『でも加奈はすごい頑張り屋な事良く知ってる。私の行った高校に行きたいっていってくれて本当は嬉しかった。』
美奈子の通っていた高校は、加奈子の学力では難しいかった。しかし加奈子はどうしても姉と同じ高校に進学したかった。受験の当日、加奈子は緊張でどうにかなってしまいそうだった。もし受験に落ちたら、私立の高校に通わなければならない。親の負担を考えると、どうしても公立に受からなければならない。そんな時美奈子に声をかけられた。美奈子は加奈子の胸に手を伸ばす。
「加奈、すごい音。心臓ドキドキしてるでしょ?」
美奈子は高校受験に向かう加奈子の手をおもむろに掴むと、美奈子の胸に当てた。
「私の心臓の音わかる?この速さだよ」
トクトク。美奈子から感じる穏やかな心臓の音、加奈子は気持ちが穏やかになっていくのを感じた。加奈子は姉と同じ高校に合格した。姉がいなければ合格できなかっただろう。
『加奈、幸せになりな。加奈の幸せはパパとママの幸せなんだからね。パパとママを頼んだよ。』
加奈子は限界だった。ここが外だという事も忘れて、大声をあげて泣き出した。お姉ちゃん。お姉ちゃん。まるで小学生の頃に戻ったように大声で泣いた。途端、加奈子の側に、フワリと暖かな気配があった。お姉ちゃん?それは懐かしい姉のようだった。加奈子は涙も止まり呆然とした。
辺りはすでに暗くなっていた。加奈子は急に空腹を感じて、ポケットからキャンディーを取り出した。先ほど渉からもらったものだ。キャンディーを口の中に放り込むと、甘酸っぱい香りが口中にひろがった。
加奈子がイチゴが好きになったのは、美奈子が好きだったからだ。親にドロップ缶を買ってもらった時も、加奈子は姉にイチゴ味をねだった。美奈子はしぶりながらも加奈子にイチゴ味を譲ってくれた。加奈子は微笑んで立ち上がった、早く家に帰ろう。
両親は会社に行ったはずの加奈子が、泣きはらした目で帰って来た事に驚いていた。加奈子は説明も省いて父と母に美奈子の家族に宛てた手紙を読ませた。泣くことができなかった父と母も、声を上げて泣いていた。
『最後に、私はパパとママと加奈の家族でとても幸せです。』
加奈子たち家族を悲しみのどん底につき落としたのは美奈子だったが、家族を悲しみから救ったのも美奈子だった。それから加奈子は長かった髪をバッサリと切った。化粧も限りなくすっぴんにした。以前にあった美奈子の面影が少なくなった。少し不安に思いながらも、信子に髪を切った写真を送った。信子は可愛いと絶賛してくれた。加奈子は信子とよく会うようになった。そして、いずれは恵梨香もこの会に呼ぼうと考えている。
加奈子が小学生の頃、好きな男の子の事を姉の美奈子に打ち明けた時。テストでひどい点数をとって、母に怒られるのが怖くて家に帰れない加奈子を美奈子が迎えにきてくれた時。
加奈子はこの場所での、美奈子との思い出をつらつらと思い出していた。加奈子が姉の死と共に、一番許せなかったのは、他でもない加奈子自身だった。姉の美奈子との最後の記憶は喧嘩で終わっていた。
原因は、当時の加奈子の彼氏の事だ。加奈子が十九歳の時に、友達の紹介で知り合った。彼は加奈子の三つ年上で、大学生だった。腕にはロレックスの腕時計、服はブランド物を着込み、話題はインテリな話が豊富だった。その時の加奈子には彼が素敵な男性に思えた。
だが姉の美奈子は、加奈子の彼氏を見た途端、気にくわない顔をした。美奈子が以前にもよく言っていた、加奈子の彼氏は心が無いと言われたのだ。加奈子はカチンときて、美奈子に反発した。確かに加奈子の彼は、加奈子に髪を伸ばせ、女らしい格好をしろだの、注文がうるさい事に辟易していたのだが、美奈子への反発心から別れずにいた。美奈子の事故の当日も、会社に行く前の美奈子に、加奈子の彼氏の話をされて、加奈子はカッとなって言ってしまったのだ。
「お姉ちゃんうるさい!」
その時の美奈子の寂しそうな顔が、今でも頭から離れない。加奈子は言い過ぎたと思い仲直りしようと、姉の好きなプリンを買って、美奈子の帰りを待っていた。
だが美奈子は二度と家に帰って来なかった。当時付き合っていた彼氏は、加奈子が姉の死でふさぎ込んでいるのにも関わらず、俺の誕生日忘れてんじゃねぇよ。という言葉を残し去って行った。
美奈子の言う通り、心が無い男だったのだ。加奈子が姉の言葉に従い、彼氏と早く別れていれば、最後の会話は穏やかなものだったのだろうか。後悔してもしきれない。加奈子はハンドバッグから美奈子の手紙を取り出し開く。
『十年後の私はバリバリのキャリアウーマンです。そして渉くんと結婚して、子供は二人、女の子と男の子。とっても可愛いです。』
美奈子の能天気な文字が続く。加奈子は段々腹がたってきた。
「お姉ちゃんのバカ!残された私たちの気持ちも知らないで!」
加奈子は美奈子の手紙をギュッと力を入れて掴んだ。カサリ、何かの音に加奈子は手紙を見直す。一枚だと思われていた手紙は、実は二枚だったのだ。大雑把な美奈子らしく、二枚手紙を書いて、一度に便箋を切り離したから、二枚が一緒にくっついていたのだ。恐る恐る便箋をめくると、そこには。
『世の中何があるかわからない、たがら家族に手紙を書きます。勿論十年後何もなければ処分するけどね、いわば保険です。』
加奈子はあっと小さく叫んだ。美奈子が加奈子たちに宛てて書いた手紙だ。
『まずはパパ、いつも私たちのために一生懸命働いてくれてありがとう。パパは女三人に囲まれて肩身が狭いよね、でも私はパパが私たちの事とっても大事にしてくれている事知ってます。加奈が産まれた時、みんな加奈にべったりで私がふてくされてたら、パパ言ってくれたね。パパは美奈の事が一番大好きだよって言ってくれたね。パパ、私の事大切にしてくれてありがとう。』
加奈子は父の事を思った。父は強い女三人の家庭で、無口で黙っている存在だった。加奈子が幼稚園の時、ラムネやキャンディーの包み紙を集めるのが好きだった。カラフルなセロファンを日にすかすとキラキラして綺麗だったからだ。加奈子は粘土を小さく丸めて、包み紙で包んでキャンディーを作って遊んでいた。その時、何を思ったのか加奈子は粘土のキャンディーを口に入れた。母は慌てて止めようとしたのか、はたまた虫の居所が悪かったのか、加奈子の頬っぺたをひっぱたいた。加奈子は頬がカァッと熱くなった事にびっくりして、火がついたように泣き出した。
当時加奈子たちはアパートに住んでいたので、夜に子供が泣き出すと近所迷惑になる。父は仕事から帰って疲れているのにも関わらず、加奈子をおんぶして、夜の散歩に出た。
父は加奈子に何も言わず、静かな遊歩道を歩いていた。ふと、父が立ち止まり、空を見上げた。つられて加奈子も空を見上げる。そこには青白く輝く満月があった。加奈子は父の背中の温かさもあり、そのまま寝てしまった。父は分け隔てなく美奈子と加奈子に愛情を注いでくれていたのだ。
『次にママ、いつも美味しいお料理を作ってくれてありがとう。私が高校受験の時、よく夜食を差し入れてくれたね。夜中にコーヒーを入れるためにリビングに行ったら、ママよく起きててくれたね。加奈には内緒だよって、美味しいお菓子食べさせてくれたね。ママどんな時も私の味方でいてくれてありがとう。』
加奈子はこれを読んで、顔から火が出そうになった。何故なら母は、高校受験の時加奈子にも同じ事をしてくれたからだ。夜食の差し入れ、加奈子にはココアを入れてくれた。しかし加奈子は受験勉強を教えてくれている姉の美奈子に、ママは私がちゃんと勉強してるか監視している、嫌な感じ。と言っていた。その時の姉は困ったような笑顔を浮かべていた。受け取り方が変わるとこうも変わるのか。加奈子は母の気持ちにちっとも気づいていなかった。
『最後に加奈、このものまね子猿。いっつも私の真似ばかりして。』
モノマネ子猿とは姉が加奈子によく言っていた言葉だ。加奈子は五歳年上の美奈子と同じがよくて、いつも真似をしていた。持ち物から、洋服まで何でも同じにしたがった。加奈子にとって美人で頭のいい姉の美奈子は、理想であり、ライバルでもあったのだ。
『でも加奈はすごい頑張り屋な事良く知ってる。私の行った高校に行きたいっていってくれて本当は嬉しかった。』
美奈子の通っていた高校は、加奈子の学力では難しいかった。しかし加奈子はどうしても姉と同じ高校に進学したかった。受験の当日、加奈子は緊張でどうにかなってしまいそうだった。もし受験に落ちたら、私立の高校に通わなければならない。親の負担を考えると、どうしても公立に受からなければならない。そんな時美奈子に声をかけられた。美奈子は加奈子の胸に手を伸ばす。
「加奈、すごい音。心臓ドキドキしてるでしょ?」
美奈子は高校受験に向かう加奈子の手をおもむろに掴むと、美奈子の胸に当てた。
「私の心臓の音わかる?この速さだよ」
トクトク。美奈子から感じる穏やかな心臓の音、加奈子は気持ちが穏やかになっていくのを感じた。加奈子は姉と同じ高校に合格した。姉がいなければ合格できなかっただろう。
『加奈、幸せになりな。加奈の幸せはパパとママの幸せなんだからね。パパとママを頼んだよ。』
加奈子は限界だった。ここが外だという事も忘れて、大声をあげて泣き出した。お姉ちゃん。お姉ちゃん。まるで小学生の頃に戻ったように大声で泣いた。途端、加奈子の側に、フワリと暖かな気配があった。お姉ちゃん?それは懐かしい姉のようだった。加奈子は涙も止まり呆然とした。
辺りはすでに暗くなっていた。加奈子は急に空腹を感じて、ポケットからキャンディーを取り出した。先ほど渉からもらったものだ。キャンディーを口の中に放り込むと、甘酸っぱい香りが口中にひろがった。
加奈子がイチゴが好きになったのは、美奈子が好きだったからだ。親にドロップ缶を買ってもらった時も、加奈子は姉にイチゴ味をねだった。美奈子はしぶりながらも加奈子にイチゴ味を譲ってくれた。加奈子は微笑んで立ち上がった、早く家に帰ろう。
両親は会社に行ったはずの加奈子が、泣きはらした目で帰って来た事に驚いていた。加奈子は説明も省いて父と母に美奈子の家族に宛てた手紙を読ませた。泣くことができなかった父と母も、声を上げて泣いていた。
『最後に、私はパパとママと加奈の家族でとても幸せです。』
加奈子たち家族を悲しみのどん底につき落としたのは美奈子だったが、家族を悲しみから救ったのも美奈子だった。それから加奈子は長かった髪をバッサリと切った。化粧も限りなくすっぴんにした。以前にあった美奈子の面影が少なくなった。少し不安に思いながらも、信子に髪を切った写真を送った。信子は可愛いと絶賛してくれた。加奈子は信子とよく会うようになった。そして、いずれは恵梨香もこの会に呼ぼうと考えている。
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