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ジャスティス誕生
第1話 ジャスティス誕生
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「ひゃっほーっ!
魔族は消毒だあ!」
レッドが叫び火炎放射器を構える。
ボワァァァッ!
炎が乾いた夜空を焦がす。
「ぎゃーっ!」
「熱いよう!」
火だるまになる魔族の親子……
「ハッハッハッ!
踊れ踊れ!」
逃げ惑う魔族たちに容赦なくヒーロー戦隊バードラーが襲いかかる。
「この土地には俺たちの保養所を作るんだ!
へっへっへっ。
逃げてもむだなんだよ!
グリーンブーメラン!」
ズシャシャシャシャーン!
「おいどんの怒りは噴火山たい!
イエロー頭突きじゃ~い!」
ゴッツーンッ!
「いいわね!
行くわよ!
それっ!
イヤリング爆弾をお見舞いするわ!」
バッホーンッ!
まさに、やりたい放題である。
一瞬のうちにカスガ村は地獄絵図となった。
「おまえら程々にしておけ。
俺たちは【人間族】の発展という崇高な理念のもとに活動しているんだ。
虐殺が目的ではないんだ!」
「おい、ブルー!
リーダーは俺だ!
理屈こねないで【魔族】を処分してりゃいいんだよ!」
レッドが意見する。
「けっ……
クソ野郎が……」
「なんか言ったか?」
「別にい~……」
奴らも一枚岩ではないようである。
「なんか揉めてるみたいだぞ。
今のうちに逃げるぞ、ライト」
「でも母さんがまだ買い物から帰ってこないよ」
「こんなときのためにルナとは取り決めをしている。
非常事態には研究所で落ち合おうとね。
行くぞ、ライト!」
俺と父さんは脇目も振らず、ただひたすらに研究所がある湖まで走った。
途中、助けを求める村人もいたが心を鬼にしてすり抜けた。
「助けてあげられなくてごめんなさい。
ごめんなさい……」
俺は何度も何度も心の中で叫んだ。
「はぁ……はぁ……ここまで来れば安心だ……」
父さんが息を切らしながら言った。
「父さん……
母さんは無事かな?」
不安そうに俺は尋ねた。
「先に研究所へ入っているかもしれない。
行ってみよう、ライト」
俺たちは【タバス湖】の地下にある鍾乳洞の奥へと足を速めた。
壁には青く光苔がびっしりと生えており、ぼんやりと淡い光で足元を照らしている。
ときおり吹く冷たい風が、俺の頬を撫でていく。
鍾乳洞には地下水脈があり、その突き当たりには地底湖がある。
「――開けゴマ!」
父が叫ぶと池の水面がざわめいた。
次の瞬間、装置が反応し強い磁場が発生、水面が左右へ分かれ、中央から湖底へと続く階段が現れる。
「……これだと奴らに発見されることはないよね?」
俺は少し不安気に父に尋ねた。
「ああ、大丈夫だよ。
この仕掛けは声紋登録している者にしか反応しないからね。
ただし、中に入るときは細心の注意を払うんだ。
周りに誰もいないことを確認するんだよ。
位置を特定されるのもまずいからね」
俺はコクリと頷く。
俺たちが階段を下りると、水面は再び閉じ、何事もなかったかのように静寂を取り戻す。
地下フロアに降りた俺たちは、急いで研究室の扉を開けた。
「母さん!
ここにいるの?」
「ルナ来てるか?」
「とうさん、返事がないね」
バタンッ
そのときデスクに飾っていた家族写真が倒れた。
俺は泣き出しそうな顔をして、父さんを覗き込んだ。
「……心配するな。
母さんはしっかりものだからなあ。
危険を察知してどこかに隠れているんだよ。
タイミングを見て、必ずここにやって来るさ。
少し待つとしよう」
父さんは笑顔で俺の頭を撫でてくれた。
そこから、しばし沈黙が流れる。
父さんは、母さんとお揃いのペンダントをずっと握りしめている。
本当は父さんも心配でたまらないはずなのに……
やっぱり父さんは強い人だ。
しかし……
どうしても空気は重たいままだった。
雰囲気を変えるため、俺は父さんに話しかけてみた。
「さっきの階段装置もそうだけど、ここは不思議な場所だよね」
「そうだね。
ライトがまだ赤ん坊だった頃かな……
狩りの途中で雨宿りした際に、偶然見つけた古代遺跡なんだ。
あの装置は、ほら、この石板に説明が書いてあるだろ?
地底湖の入り口にあったものなんだ。
解読するのに数年かかったんだけどね。
階段が現れたときにはびっくりしたよ」
「古代文字を解読するなんて、凄いね父さん」
「ハハハ。
これでも一応、考古学者だからね。
でも、まだまだここにある石板や装置のほとんどは謎のままなんだよ」
「父さんでもわからないことがあるんだね」
「買いかぶり過ぎだよ、ライト。
世の中は知らないことだらけなんだよ。
日々精進さ」
そうハニカミながら父はひとつの石板を俺に手渡した。
「なに……これ?」
それは大きな装置が描かれた黒い石板だった。
「なにかの装置みたいなんだけど、どこにもそんな装置は見当たらないんだよ」
俺が父さんから石板を受け取った瞬間、頭の上にある二本のツノにカミナリのような衝撃が走った。
ビビビビビビビビッ!
「うわあ!」
たまらず俺はその場にひっくり返り意識を失った。
夢の中で声が聞こえる。
優しくもあり、悲しそうでもあるその声に、なんとなく聞き覚えがある気がする。
「待ってましたよ、ライト……」
「待っていた!?
あなたは誰ですか?」
「私はあなたを見守る者……
そして……
あなたに託す者……」
「なにを言って……」
俺の問を遮るように、謎の声は話を続けた。
「任せましたよ。
装置の使い方はすでにあなたの脳に直接伝授しました」
そのセリフを最後に俺は意識を取り戻す。
「大丈夫かライト。
いきなり倒れたからびっくりしたよ」
父さんは心配そうに俺を抱き起こした。
「突然ツノに衝撃が走ったと思ったら意識が遠のいて、頭の中に謎の声が聞こえてきたんだよ。
うっ……
少し頭が痛い……
俺はどれぐらいの間、気を失っていたの?」
「えっ?
気を失ってたのか?
お前が倒れて抱き起こすまで、ほんの1秒ぐらいだよ」
「ええ!?」
俺が驚いていると、研究所の奥の壁がゆっくりと開き始める。
ファーオンッ ファーオンッ!
ゴゴゴゴゴーッ!
ガッシャーンッ!
そこには石板に描かれている装置と脇にはいくつかの卵が置かれていた。
「石板に描かれている装置じゃないか!?」
「父さん、使い方はわかっているよ。
ここに卵を置いて、赤いレバーを引けばいいだけさ」
俺は銀色卵をひとつ手に取り、金色のお皿の上に置くと、力一杯に赤色のレバーを引いた。
グイッ
ガシャンッ
ゴロゴロゴロ……
管を通り、銀の卵はブラックボックスに吸い込まれる。
ピコン ピコン ピコンッ!
やがて、その先にある人がスッポリ入れるぐらいの白いカプセルがガタガタと震えだした。
グオーン
ガシャガシャッ!
唾をごクリと飲み込んだ瞬間、ネズミ色の煙が立ち込める白いカプセルのガラス扉がゆっくりと開いた。
ウィーン ガシャーンッ!
「あっ!
父さん見てよ!
怪人だ!」
「ハ、ハリネズミの怪人!?」
俺のはしゃぎように相反し、父さんは少し戸惑いを隠せないでいた。
「大首領様と大幹部様におかれましては、ご機嫌麗しゅうございます」
ハリネズミの怪人は俺たちの前にひざまづき最敬礼をした。
「ハハハ!
父さんとライトが大首領と大幹部だってさ!
じゃあこの研究室はさながらアジトってとこかな」
「それじゃあ父さん、どんどん仲間を増やしてヒーロー戦隊たちをやっつけようよ!」
「そうだな。
それにはまず、俺たちの組織に名前をつけようじゃないか。
ヒーローを騙る悪党たちに鉄槌をくだす正しき組織。
まあ、人間族から見たら悪の組織かもしれないんだけれど……
【ジャスティス(正義)】なんてのはどうだろうか?」
俺は瞳を輝かせながら言った。
「うん!
すっごく格好いい!
キミもそう思うよね?」
俺はハリネズミの怪人に尋ねた。
「はい。とても素晴らしいお名前にございます」
「人間族にとっては悪かもしれない。
正義と悪はものの見方や立場によって変わるものなんだよ。
ライトにはまだ難しいかも知れないけれど、自分が信じた道を真っ直ぐ歩いて欲しいと思うんだ」
「わかったよ、父さん。
ジャスティス(正義)には信じた道を進むって思いも込められているんだね」
「その通りさ。
さあ、信じた道を突き進もう!」
俺たち三人はガッチリとスクラムを組んだ。
「ハリネズミの怪人くん!
今後、仲間が増えたときにまとめ役を任せたい。
キミを隊長に任命する!
そうだ……
キミにも名前がいるよね。
トゲトゲくんてのはどうだろう?」
「ありがたき幸せにございます」
こうしてたった三人の小さな組織が誕生した。
名は 【ジャスティス(正義)】
しかしこの小さな始まりが、やがて人間族を震撼させる存在になることは誰一人として、知る由もなかった。
魔族は消毒だあ!」
レッドが叫び火炎放射器を構える。
ボワァァァッ!
炎が乾いた夜空を焦がす。
「ぎゃーっ!」
「熱いよう!」
火だるまになる魔族の親子……
「ハッハッハッ!
踊れ踊れ!」
逃げ惑う魔族たちに容赦なくヒーロー戦隊バードラーが襲いかかる。
「この土地には俺たちの保養所を作るんだ!
へっへっへっ。
逃げてもむだなんだよ!
グリーンブーメラン!」
ズシャシャシャシャーン!
「おいどんの怒りは噴火山たい!
イエロー頭突きじゃ~い!」
ゴッツーンッ!
「いいわね!
行くわよ!
それっ!
イヤリング爆弾をお見舞いするわ!」
バッホーンッ!
まさに、やりたい放題である。
一瞬のうちにカスガ村は地獄絵図となった。
「おまえら程々にしておけ。
俺たちは【人間族】の発展という崇高な理念のもとに活動しているんだ。
虐殺が目的ではないんだ!」
「おい、ブルー!
リーダーは俺だ!
理屈こねないで【魔族】を処分してりゃいいんだよ!」
レッドが意見する。
「けっ……
クソ野郎が……」
「なんか言ったか?」
「別にい~……」
奴らも一枚岩ではないようである。
「なんか揉めてるみたいだぞ。
今のうちに逃げるぞ、ライト」
「でも母さんがまだ買い物から帰ってこないよ」
「こんなときのためにルナとは取り決めをしている。
非常事態には研究所で落ち合おうとね。
行くぞ、ライト!」
俺と父さんは脇目も振らず、ただひたすらに研究所がある湖まで走った。
途中、助けを求める村人もいたが心を鬼にしてすり抜けた。
「助けてあげられなくてごめんなさい。
ごめんなさい……」
俺は何度も何度も心の中で叫んだ。
「はぁ……はぁ……ここまで来れば安心だ……」
父さんが息を切らしながら言った。
「父さん……
母さんは無事かな?」
不安そうに俺は尋ねた。
「先に研究所へ入っているかもしれない。
行ってみよう、ライト」
俺たちは【タバス湖】の地下にある鍾乳洞の奥へと足を速めた。
壁には青く光苔がびっしりと生えており、ぼんやりと淡い光で足元を照らしている。
ときおり吹く冷たい風が、俺の頬を撫でていく。
鍾乳洞には地下水脈があり、その突き当たりには地底湖がある。
「――開けゴマ!」
父が叫ぶと池の水面がざわめいた。
次の瞬間、装置が反応し強い磁場が発生、水面が左右へ分かれ、中央から湖底へと続く階段が現れる。
「……これだと奴らに発見されることはないよね?」
俺は少し不安気に父に尋ねた。
「ああ、大丈夫だよ。
この仕掛けは声紋登録している者にしか反応しないからね。
ただし、中に入るときは細心の注意を払うんだ。
周りに誰もいないことを確認するんだよ。
位置を特定されるのもまずいからね」
俺はコクリと頷く。
俺たちが階段を下りると、水面は再び閉じ、何事もなかったかのように静寂を取り戻す。
地下フロアに降りた俺たちは、急いで研究室の扉を開けた。
「母さん!
ここにいるの?」
「ルナ来てるか?」
「とうさん、返事がないね」
バタンッ
そのときデスクに飾っていた家族写真が倒れた。
俺は泣き出しそうな顔をして、父さんを覗き込んだ。
「……心配するな。
母さんはしっかりものだからなあ。
危険を察知してどこかに隠れているんだよ。
タイミングを見て、必ずここにやって来るさ。
少し待つとしよう」
父さんは笑顔で俺の頭を撫でてくれた。
そこから、しばし沈黙が流れる。
父さんは、母さんとお揃いのペンダントをずっと握りしめている。
本当は父さんも心配でたまらないはずなのに……
やっぱり父さんは強い人だ。
しかし……
どうしても空気は重たいままだった。
雰囲気を変えるため、俺は父さんに話しかけてみた。
「さっきの階段装置もそうだけど、ここは不思議な場所だよね」
「そうだね。
ライトがまだ赤ん坊だった頃かな……
狩りの途中で雨宿りした際に、偶然見つけた古代遺跡なんだ。
あの装置は、ほら、この石板に説明が書いてあるだろ?
地底湖の入り口にあったものなんだ。
解読するのに数年かかったんだけどね。
階段が現れたときにはびっくりしたよ」
「古代文字を解読するなんて、凄いね父さん」
「ハハハ。
これでも一応、考古学者だからね。
でも、まだまだここにある石板や装置のほとんどは謎のままなんだよ」
「父さんでもわからないことがあるんだね」
「買いかぶり過ぎだよ、ライト。
世の中は知らないことだらけなんだよ。
日々精進さ」
そうハニカミながら父はひとつの石板を俺に手渡した。
「なに……これ?」
それは大きな装置が描かれた黒い石板だった。
「なにかの装置みたいなんだけど、どこにもそんな装置は見当たらないんだよ」
俺が父さんから石板を受け取った瞬間、頭の上にある二本のツノにカミナリのような衝撃が走った。
ビビビビビビビビッ!
「うわあ!」
たまらず俺はその場にひっくり返り意識を失った。
夢の中で声が聞こえる。
優しくもあり、悲しそうでもあるその声に、なんとなく聞き覚えがある気がする。
「待ってましたよ、ライト……」
「待っていた!?
あなたは誰ですか?」
「私はあなたを見守る者……
そして……
あなたに託す者……」
「なにを言って……」
俺の問を遮るように、謎の声は話を続けた。
「任せましたよ。
装置の使い方はすでにあなたの脳に直接伝授しました」
そのセリフを最後に俺は意識を取り戻す。
「大丈夫かライト。
いきなり倒れたからびっくりしたよ」
父さんは心配そうに俺を抱き起こした。
「突然ツノに衝撃が走ったと思ったら意識が遠のいて、頭の中に謎の声が聞こえてきたんだよ。
うっ……
少し頭が痛い……
俺はどれぐらいの間、気を失っていたの?」
「えっ?
気を失ってたのか?
お前が倒れて抱き起こすまで、ほんの1秒ぐらいだよ」
「ええ!?」
俺が驚いていると、研究所の奥の壁がゆっくりと開き始める。
ファーオンッ ファーオンッ!
ゴゴゴゴゴーッ!
ガッシャーンッ!
そこには石板に描かれている装置と脇にはいくつかの卵が置かれていた。
「石板に描かれている装置じゃないか!?」
「父さん、使い方はわかっているよ。
ここに卵を置いて、赤いレバーを引けばいいだけさ」
俺は銀色卵をひとつ手に取り、金色のお皿の上に置くと、力一杯に赤色のレバーを引いた。
グイッ
ガシャンッ
ゴロゴロゴロ……
管を通り、銀の卵はブラックボックスに吸い込まれる。
ピコン ピコン ピコンッ!
やがて、その先にある人がスッポリ入れるぐらいの白いカプセルがガタガタと震えだした。
グオーン
ガシャガシャッ!
唾をごクリと飲み込んだ瞬間、ネズミ色の煙が立ち込める白いカプセルのガラス扉がゆっくりと開いた。
ウィーン ガシャーンッ!
「あっ!
父さん見てよ!
怪人だ!」
「ハ、ハリネズミの怪人!?」
俺のはしゃぎように相反し、父さんは少し戸惑いを隠せないでいた。
「大首領様と大幹部様におかれましては、ご機嫌麗しゅうございます」
ハリネズミの怪人は俺たちの前にひざまづき最敬礼をした。
「ハハハ!
父さんとライトが大首領と大幹部だってさ!
じゃあこの研究室はさながらアジトってとこかな」
「それじゃあ父さん、どんどん仲間を増やしてヒーロー戦隊たちをやっつけようよ!」
「そうだな。
それにはまず、俺たちの組織に名前をつけようじゃないか。
ヒーローを騙る悪党たちに鉄槌をくだす正しき組織。
まあ、人間族から見たら悪の組織かもしれないんだけれど……
【ジャスティス(正義)】なんてのはどうだろうか?」
俺は瞳を輝かせながら言った。
「うん!
すっごく格好いい!
キミもそう思うよね?」
俺はハリネズミの怪人に尋ねた。
「はい。とても素晴らしいお名前にございます」
「人間族にとっては悪かもしれない。
正義と悪はものの見方や立場によって変わるものなんだよ。
ライトにはまだ難しいかも知れないけれど、自分が信じた道を真っ直ぐ歩いて欲しいと思うんだ」
「わかったよ、父さん。
ジャスティス(正義)には信じた道を進むって思いも込められているんだね」
「その通りさ。
さあ、信じた道を突き進もう!」
俺たち三人はガッチリとスクラムを組んだ。
「ハリネズミの怪人くん!
今後、仲間が増えたときにまとめ役を任せたい。
キミを隊長に任命する!
そうだ……
キミにも名前がいるよね。
トゲトゲくんてのはどうだろう?」
「ありがたき幸せにございます」
こうしてたった三人の小さな組織が誕生した。
名は 【ジャスティス(正義)】
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