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第7話 夕食だニャン♡
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「避難してください。
これは映画ではございません。
現実です。
昨日に引き続き、ここ猫ヶ原駅前に巨大怪獣が現れました。
繰り返します。
近隣住民は速やかに避難してください」
「現場からです。
ご覧ください。
今まさに、壮絶な戦いが繰り広げられております。
突然現れた巨大生物に、セーラー服を着た女性たちが立ち向かっているのです」
「昨日は巨大なタコ、今日は巨大なミミズが、ここ猫ヶ原市の駅前で暴れております」
各チャンネルは軒並み、この戦いを生中継していた。
「ミミズ~ンッギャッ~ッ!」
ボカボカッボッカーンッ!
「「この世に悪の栄えたためしなし……
……ニャン♡」」
「ニャンノアール!」
「ニャンルージュ!」
決めポーズまでもが、バッチリとテレビ画面に映る。
こんな非常事態でも、マスコミは容赦しない。
いや……
こんなときだからこそだ。
先ほどまで遠巻きから撮影していた報道カメラが、へたり込むノアールへと、我先にと突撃してくる。
「あわわわわ……」
狼狽えるノアールに、ルージュが大きな声をかけた。
「ノアールちゃん!
こっちよ!」
空中でルージュが手招きしている。
「えいっ!」
ノアールは地面を蹴り、空へ飛んだ。
「とりあえず、この場を離れなきゃ」
ルージュの言葉にノアールは頷いた。
「さあ、行くわよ。
ついてらっしゃい!」
ビューン
ふたりは天高く舞い上がり、雲の切れ間に消えてゆく。
「ちょっと待ってよ~っ!」
慌ててヤマトもあとを追った。
その様子を、各報道局のカメラは最後まで捉え、全国に映像を流すのであった。
***
「ここまでくれば安心ね」
駅から少し離れた、猫ヶ原小学校の裏山に逃れたふたりは、すぐに変身を解いた。
「元気だったかしらルージュちゃん。
いや、雪乃ちゃん」
ピンクのボブがニコリと笑う。
「マッキー!
お久しぶり~!」
私はギュッと抱きついた。
彼女の名前は藤春牧夫。
ファンタジスタで一緒に戦った仲間だ。
「すっかり大人になっちゃって。
今はなにしてるの?」
「食品メーカーのOLよ。
マッキーは?」
「私は相変わらずLLよ。
なんでやねん!」
「なにノリツッコミしてんのさ。
アハハハ」
「職業柄、お笑いの血が騒ぐのよ。
今は念願の夢が叶って、新宿二丁目でおかまバーのママをやってるわ」
「うわぁ、夢が叶ったのね!
やったあ」
雪乃はマッキーの手を取り、自分のことのように喜んだ。
「まあ、ママっていっても、小さな店だし、経営するのも、なかなか大変なのよ……
…って、大変といえばヤバいことになってるわよね。
タコちゃんの次はミミズちゃんでしょ?
次はナメクジちゃんかしら?」
「ちょ…
マッキー!
余計なこと言ったらフラグが立つでしょ!」
「ハハハハハ、ごめんなさい」
そのとき、上空から声が聞こえる。
「お~い!
雪乃~!
マッキー!」
シュタッ
「ヤマト」
「あら~、ヤマトちゃん」
「もう!
ふたりとも!
僕を忘れないでよね!」
ヤマトが少し口を尖らせていると、大木の影から声がした。
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
人呼んで……」
「あんた、なに嘘言ってんのよ。
あんたが生まれ育ったのはファンタジスタでしょうに!
映画の見すぎよ!」
マッキーが声の主にツッコミをいれる。
「もう、雰囲気だってば!
雰囲気!」
そこには一匹の茶トラが立っていた。
「あっ!
フウテン!」
雪乃が駆け寄る。
「久しぶりだね。
雪乃。
元気だったかい?」
「私は元気だったわ。
少し、まだ記憶は曖昧なところがあるけどね。
そういえば、マッキーの記憶は?」
「ああ、私は記憶の封印は頼まなかったからね。
だって、あんな美味しい体験、商売に生かさない手はないからね」
さすがマッキー。
逞しいわ。
「それにしても、大変な事態になってるわよね。
昨日の夜中、ヤマトに無理やりオホーツク海に連れて行かれて、【魔魂(まだま)】はなんとか封印したけれど…
あとどれぐらい怪獣が残っているのかしら?」
「それについては、このあいだから、僕とフウテンで調査しているんだ。
暴れ出す前には大きく魔素が乱れるからわかるんだけれども…
それまでは、なかなか発見するのは厳しいってのが現実なんだ」
ヤマトは申し訳なさそうに語った。
「ねえ、マッキー、フウテン。
今から少し時間あるかな?
ご飯まだでしょ?
作戦会議しながらどうかな?
明日は土曜日だし、会社お休みなのよ」
「そうね。
こんな事態で、いつ私も出張らないといけないかわからないし、しばらくお店は、チーママに任せているのよ。
今日は雪乃ちゃんのお家にお泊まりさせていただくわ」
「そうと決まれば……」
プルルル
突然スマホが震えた。
「もしもし」
「ちょっと~っ、先輩!
どこにいるんですか!
焼肉っ!
焼肉はどうなってるんですか!」
あっ……
ワルツのこと忘れてた(笑)
「ごめん、ごめん。
あんたのことすっかり忘れてたわ」
「ひっど~い!
あのあと大変だったんですからね。
先輩たちがどっかいっちゃうから、私が報道陣に囲まれちゃって」
「あんた、余計なことしゃべってないでしょうね?」
「当たり前ですよ。
そこら辺は心得てますよ。
たまたま助けてもらったってことにしてますから」
「いい子ね。
上出来よ」
「エッヘン」
ワルツが電話の向こうで胸を張る。
「で、あんたは今どこにいるの?」
「どこって?
雪乃先輩のお家でお茶飲みながら、お煎餅食べてますよ」
「あんたねえ!
どっから入ったのよ!」
「ああ、勝手口の横にヤマトちゃん専用の小さな扉があるじゃないですかあ」
「あんた、よくあんな小さなとこから入れたわね」
「私、昔、気功術やったことがあって、関節外せるんですよね」
「そ、それは凄いわね」
「エッヘン」
「い、いや…
褒めてるわけじゃないんだけれども…
まあ、いいわ。
あんたはおとなしくそこで待ってなさい。
すぐに帰るから」
「焼肉は?」
「こんな状況で無理言わないの!
そのかわり、オーバーイートで好きなもの注文していいから」
「やったあ!
じゃあ早く帰ってきてくださいね」
ワルツは嬉しそうにスマホを切った。
「ほんとにマイペースな子だわ」
私はフーッとため息をついた。
「ハハハハハ、なかなかの大物じゃないのさ」
マッキーは私を見て楽しそうに笑った。
「いい子なんだけどねえ。
ずっとあのテンションだから、ついていくのが大変なときがあるのよねえ。
アハハ…
まあ、妹みたいな子なんだけれども」
「フフフ、いい関係じゃない。
それじゃあ、そのかわいい後輩ちゃんが待っているわよ。
急ぎましょう」
私たちは、ワルツが待つ自宅に急いで帰ることにした。
***
「ワルツーッ!」
「へっ?」
家に帰るとコーラを片手に、フライドチキンを頬張るワルツの姿があった。
テーブルの上には、ピザの空き箱やポテトの袋が散乱している。
「あっ、お帰りなさい。
ムシャムシャムシャ。
先輩たちもどうぞ」
「どうぞって…
ほとんど、あんたひとりでたいらげてるじゃないのさ。
フライドチキンの骨を渡されても、どこを食べろってのよ!」
「ハハハハハ、ついつい美味しくって。
でも大丈夫ですよ。
さっき追加注文しときましたから」
ピンポーン
「ほら来た。
は~い」
ワルツはフライドチキンを咥えながら、スキップで玄関に向かう。
「いったい、ここは誰の家なんだか」
しばらくすると、山ほどの食べ物を抱えたワルツが部屋に戻ってきた。
「あっ、そうそう。
雪乃先輩、オーバーイートの代金は私が立て替えておきましたから。
はい、領収書どうぞ」
「さ、三万二千円……
ワルツ~ッ!」
近所中に私の声が響き渡った。
これは映画ではございません。
現実です。
昨日に引き続き、ここ猫ヶ原駅前に巨大怪獣が現れました。
繰り返します。
近隣住民は速やかに避難してください」
「現場からです。
ご覧ください。
今まさに、壮絶な戦いが繰り広げられております。
突然現れた巨大生物に、セーラー服を着た女性たちが立ち向かっているのです」
「昨日は巨大なタコ、今日は巨大なミミズが、ここ猫ヶ原市の駅前で暴れております」
各チャンネルは軒並み、この戦いを生中継していた。
「ミミズ~ンッギャッ~ッ!」
ボカボカッボッカーンッ!
「「この世に悪の栄えたためしなし……
……ニャン♡」」
「ニャンノアール!」
「ニャンルージュ!」
決めポーズまでもが、バッチリとテレビ画面に映る。
こんな非常事態でも、マスコミは容赦しない。
いや……
こんなときだからこそだ。
先ほどまで遠巻きから撮影していた報道カメラが、へたり込むノアールへと、我先にと突撃してくる。
「あわわわわ……」
狼狽えるノアールに、ルージュが大きな声をかけた。
「ノアールちゃん!
こっちよ!」
空中でルージュが手招きしている。
「えいっ!」
ノアールは地面を蹴り、空へ飛んだ。
「とりあえず、この場を離れなきゃ」
ルージュの言葉にノアールは頷いた。
「さあ、行くわよ。
ついてらっしゃい!」
ビューン
ふたりは天高く舞い上がり、雲の切れ間に消えてゆく。
「ちょっと待ってよ~っ!」
慌ててヤマトもあとを追った。
その様子を、各報道局のカメラは最後まで捉え、全国に映像を流すのであった。
***
「ここまでくれば安心ね」
駅から少し離れた、猫ヶ原小学校の裏山に逃れたふたりは、すぐに変身を解いた。
「元気だったかしらルージュちゃん。
いや、雪乃ちゃん」
ピンクのボブがニコリと笑う。
「マッキー!
お久しぶり~!」
私はギュッと抱きついた。
彼女の名前は藤春牧夫。
ファンタジスタで一緒に戦った仲間だ。
「すっかり大人になっちゃって。
今はなにしてるの?」
「食品メーカーのOLよ。
マッキーは?」
「私は相変わらずLLよ。
なんでやねん!」
「なにノリツッコミしてんのさ。
アハハハ」
「職業柄、お笑いの血が騒ぐのよ。
今は念願の夢が叶って、新宿二丁目でおかまバーのママをやってるわ」
「うわぁ、夢が叶ったのね!
やったあ」
雪乃はマッキーの手を取り、自分のことのように喜んだ。
「まあ、ママっていっても、小さな店だし、経営するのも、なかなか大変なのよ……
…って、大変といえばヤバいことになってるわよね。
タコちゃんの次はミミズちゃんでしょ?
次はナメクジちゃんかしら?」
「ちょ…
マッキー!
余計なこと言ったらフラグが立つでしょ!」
「ハハハハハ、ごめんなさい」
そのとき、上空から声が聞こえる。
「お~い!
雪乃~!
マッキー!」
シュタッ
「ヤマト」
「あら~、ヤマトちゃん」
「もう!
ふたりとも!
僕を忘れないでよね!」
ヤマトが少し口を尖らせていると、大木の影から声がした。
「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
人呼んで……」
「あんた、なに嘘言ってんのよ。
あんたが生まれ育ったのはファンタジスタでしょうに!
映画の見すぎよ!」
マッキーが声の主にツッコミをいれる。
「もう、雰囲気だってば!
雰囲気!」
そこには一匹の茶トラが立っていた。
「あっ!
フウテン!」
雪乃が駆け寄る。
「久しぶりだね。
雪乃。
元気だったかい?」
「私は元気だったわ。
少し、まだ記憶は曖昧なところがあるけどね。
そういえば、マッキーの記憶は?」
「ああ、私は記憶の封印は頼まなかったからね。
だって、あんな美味しい体験、商売に生かさない手はないからね」
さすがマッキー。
逞しいわ。
「それにしても、大変な事態になってるわよね。
昨日の夜中、ヤマトに無理やりオホーツク海に連れて行かれて、【魔魂(まだま)】はなんとか封印したけれど…
あとどれぐらい怪獣が残っているのかしら?」
「それについては、このあいだから、僕とフウテンで調査しているんだ。
暴れ出す前には大きく魔素が乱れるからわかるんだけれども…
それまでは、なかなか発見するのは厳しいってのが現実なんだ」
ヤマトは申し訳なさそうに語った。
「ねえ、マッキー、フウテン。
今から少し時間あるかな?
ご飯まだでしょ?
作戦会議しながらどうかな?
明日は土曜日だし、会社お休みなのよ」
「そうね。
こんな事態で、いつ私も出張らないといけないかわからないし、しばらくお店は、チーママに任せているのよ。
今日は雪乃ちゃんのお家にお泊まりさせていただくわ」
「そうと決まれば……」
プルルル
突然スマホが震えた。
「もしもし」
「ちょっと~っ、先輩!
どこにいるんですか!
焼肉っ!
焼肉はどうなってるんですか!」
あっ……
ワルツのこと忘れてた(笑)
「ごめん、ごめん。
あんたのことすっかり忘れてたわ」
「ひっど~い!
あのあと大変だったんですからね。
先輩たちがどっかいっちゃうから、私が報道陣に囲まれちゃって」
「あんた、余計なことしゃべってないでしょうね?」
「当たり前ですよ。
そこら辺は心得てますよ。
たまたま助けてもらったってことにしてますから」
「いい子ね。
上出来よ」
「エッヘン」
ワルツが電話の向こうで胸を張る。
「で、あんたは今どこにいるの?」
「どこって?
雪乃先輩のお家でお茶飲みながら、お煎餅食べてますよ」
「あんたねえ!
どっから入ったのよ!」
「ああ、勝手口の横にヤマトちゃん専用の小さな扉があるじゃないですかあ」
「あんた、よくあんな小さなとこから入れたわね」
「私、昔、気功術やったことがあって、関節外せるんですよね」
「そ、それは凄いわね」
「エッヘン」
「い、いや…
褒めてるわけじゃないんだけれども…
まあ、いいわ。
あんたはおとなしくそこで待ってなさい。
すぐに帰るから」
「焼肉は?」
「こんな状況で無理言わないの!
そのかわり、オーバーイートで好きなもの注文していいから」
「やったあ!
じゃあ早く帰ってきてくださいね」
ワルツは嬉しそうにスマホを切った。
「ほんとにマイペースな子だわ」
私はフーッとため息をついた。
「ハハハハハ、なかなかの大物じゃないのさ」
マッキーは私を見て楽しそうに笑った。
「いい子なんだけどねえ。
ずっとあのテンションだから、ついていくのが大変なときがあるのよねえ。
アハハ…
まあ、妹みたいな子なんだけれども」
「フフフ、いい関係じゃない。
それじゃあ、そのかわいい後輩ちゃんが待っているわよ。
急ぎましょう」
私たちは、ワルツが待つ自宅に急いで帰ることにした。
***
「ワルツーッ!」
「へっ?」
家に帰るとコーラを片手に、フライドチキンを頬張るワルツの姿があった。
テーブルの上には、ピザの空き箱やポテトの袋が散乱している。
「あっ、お帰りなさい。
ムシャムシャムシャ。
先輩たちもどうぞ」
「どうぞって…
ほとんど、あんたひとりでたいらげてるじゃないのさ。
フライドチキンの骨を渡されても、どこを食べろってのよ!」
「ハハハハハ、ついつい美味しくって。
でも大丈夫ですよ。
さっき追加注文しときましたから」
ピンポーン
「ほら来た。
は~い」
ワルツはフライドチキンを咥えながら、スキップで玄関に向かう。
「いったい、ここは誰の家なんだか」
しばらくすると、山ほどの食べ物を抱えたワルツが部屋に戻ってきた。
「あっ、そうそう。
雪乃先輩、オーバーイートの代金は私が立て替えておきましたから。
はい、領収書どうぞ」
「さ、三万二千円……
ワルツ~ッ!」
近所中に私の声が響き渡った。
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