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1巻
1-3
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「クソガキが! 喰らえやぁああ!!」
逆上して、怒声を上げるガルフ。
俺が腰から提げた剣を抜くと、右手の紋章が再び光を放つ。
「おぉおおおおお!!」
俺の気合と共に闘気で真紅に染まっていく刀身。
次の瞬間ガルフが振り下ろした剣は、俺の体に届く前に、真っ二つに切り裂かれて地に落ちた。
そして俺の剣が、奴の喉元に突きつけられていた。
真紅の闘気に包まれた剣が揺らめいている。
「まだ続けるか? 確か、死なない程度にいたぶってくれるんだったよな。なら、俺もお前らにそうしても構わないってわけだ」
この手の連中は、こうして実力の差をハッキリさせておかないと、またすぐに調子に乗る。
王宮にいた時、父の顔を立てて大人しくしていたが、結局それでミハエルたちがあんな態度になったからな。同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。
こうやって脅しておくのは有効だろう。
「どうする?」
俺は剣を引き、構えた。
「ひっ! ひい!!」
ガルフが情けない声を上げて尻もちをつくと、取り巻きの連中も悲鳴を上げる。
「ば、化け物!」
「か、勘弁してくれ!」
「ひぃいいいいい!!」
ようやく事態が呑み込めたのだろう。
ガルフたちは腰を抜かして、呆然としながら首を横に振っていた。
「ああ、別に謝ってもらう必要はないぞ。それよりも約束通り、金貨を一枚貰おうか? ――それから一応言っとくが、このことでティアナに嫌がらせをしようなんて思うなよ? 俺に喧嘩を売ってるって判断するからな」
俺は地面に転がっているガルフの戦斧の刃を拾い上げると、それをポンと放り投げてから闘気を纏った剣を振るった。
切り刻まれた鉄の塊が、パラパラと地面に落ちる。
「忠告はした。二度目はない、分かってるよな?」
俺がそう言って睨むと、連中は土下座をして金貨が入った布袋を俺に差し出した。
「ひ!」
「わ、分かりました!」
「に、二度と手を出したりしません!」
「か、金ならここに!!」
俺はガルフが差し出した布袋を受け取り、金貨を一枚取り出してティアナに渡した。
「ほらよ、ティアナ。約束の金貨一枚だ。元々ティアナの稼いだ金なんだから遠慮することはない。そうだよな?」
俺の言葉にガルフたちはコクコクと頷く。
弱い者には強い、強い者には弱い。
ミハエルたちと同じである。
あいつらも父が生きている時は、俺に手なんて出せなかったからな。
嫌になる程よく似てやがる。
俺は用済みになった布袋を、ガルフに投げて返す。
全部巻き上げたらこいつらと同じだ、そんな真似をするつもりはない。
連中はそれを受け取ると、慌てて逃げ去っていった。
「やれやれ、忙しい連中だ」
俺は肩をすくめた。
ティアナが大きな瞳に涙を浮かべて俺を見つめている。
「レオンさん、ありがとうございます! 本当にありがとうございます!!」
「別に礼なんていいって。言っただろ? 元々それはティアナの金なんだからな」
俺はニーナさんに尋ねた。
「ニーナさん、これでBランクということでいいですかね?」
「え? ええ! もちろんです。凄かったです!! レオンさんなら、きっとすぐにAランク以上に上がれます!」
俺は見届け人をしてくれたニーナさんに頭を下げる。
「助かりますよ。何しろ、今日泊まる宿もないんで、すぐに金がいるんです」
「あら? それほどの腕があるのに信じられないわ」
俺の軽口を聞いて、少し砕けた口調になるニーナさん。
クスクスと笑って俺を見つめる。
「はは、まあ色々こっちにも事情がありまして」
その時、俺の右手がギュッと握られる。
「ん?」
ティアナが何か言いたそうな顔で、俺の手をしっかりと握りしめていた。
「あ、あの!」
「どうしたティアナ? 金貨はもう手に入っただろ。俺に気を使う必要はないぞ、用事があるんじゃないのか?」
あんな連中に盾突くほど、あの金が必要だったわけだからな。
それなりの事情があるはずだ。
「俺はこれから仕事をするつもりだからさ、ここでお別れだな」
ティアナはそれを聞いて、俺の手をもう一度しっかり握りしめる。
そして勇気を振り絞ったように俺を見つめた。
「あ、あの! レオンさん、私と一緒に来てください! お礼がしたいんです」
冒険者ギルドを出てティアナに連れてこられたのは、街はずれにある、貧しい人々が暮らしている区画だった。
街の中央のような華やかさはそこにはなく、生活感の溢れる雑多な雰囲気が漂っている。
そこを慣れた様子で歩くティアナ。
「おいおい、どこまで行くんだよ? ティアナ」
「は、はい。もう少しで着きますから」
そう言って笑顔を見せる。
彼女は、俺にどうしてもお礼がしたいと言っていた。
それから、今日寝る場所がないなら、それを提供するとも言ってくれたのだ。
そう言われたら断れないよな。
断られてしょんぼりするティアナの顔が目に浮かぶ。
まあ、俺としても、寝床が出来るのはありがたい。
とりあえず寝床があるなら仕事は明日からでもいいしな。
ニーナさんは俺に仕事を紹介出来なくて残念そうだったが、明日また顔を出すと言ったらニッコリと微笑んでくれた。
そして一つ、忠告をしてくれた。
最近、夜になると妙な魔物が現れることがあるらしい。
見た目は普通の魔物と変わらないのだが、額に変わった魔石をはめ込まれているそうだ。
驚くほどの強さで、腕利きの冒険者が数名命を落としたとか。
国から正式な依頼が来て、Sランク以上の冒険者が調査にあたっているとのことだ。
「――レオンさんほどの腕があればぜひ調査隊に加わって欲しいんですけど、流石にBランクのままでは推薦が出来ませんから」
「はは、そうでしょうね」
「ええ、ですから、沢山依頼を受けてランクアップしてくださいね」
そんな会話を、ギルドを出る前にしてきた。
そして今、俺の首には、Bランクの冒険者の証がかけられている。
これは特殊な魔法がかかったネームタグで、ギルドだけではなく冒険者が使う施設で身分証明書代わりに使えるそうだ。
ニーナさんが親切に俺の首にかけてくれて、外まで見送ってくれた。
そんなことを思い出しつつ歩いていると、辺りの住人たちがティアナを見て、気さくに話しかけてくる。
「よう、ティアナ! そいつは彼氏かい?」
「ち、違います! 彼氏だなんて、レオンさんに迷惑です……レオンさんは恩人なんです」
話しかけてきた男はそれを聞くと、俺にも笑顔で言った。
「ティアナの恩人なら、覚えておかねえとな。俺たちにとっても大事な客人だぜ」
それを聞いてコクリと頷くティアナ。
道中、そんなやりとりが何度か繰り返された。
「ティアナ、結構顔がきくんだな」
俺が感心してそう言うと、ティアナは恥ずかしそうに笑って答える。
「そんなんじゃありません。この地区は色々な事情がある人たちが集まっているんです。助け合わないと生きていけませんから、みんな顔見知りなだけですよ。あ、あのレオンさんここです」
そう言ってティアナが指さしたのは、こぢんまりとしている古びた教会だ。
敷地に入ると、庭で遊んでいた子供たちが、ティアナの姿を見て一斉に駆けてくる。
「ティアナお姉ちゃん!」
「おかえりなさい!」
「お姉ちゃん! おかえり!」
あっという間に子供たちに囲まれたティアナは、嬉しそうに笑っている。
へえ……
元々ティアナは美人なのだが、子供たちに向ける笑顔は特別な美しさがあるように感じた。
純粋さと清楚さ、それに母性的な優しさだ。
それがシスター姿によく似合っていた。
俺はその時、ふと昔の仲間の一人を思い出した。
水の紋章を持ち、水の女神と呼ばれたエルフのアクアリーテ。
聖女とも呼ばれた彼女も、多くの孤児たちを育てていた。
アクアリーテが四英雄として戦っていた理由は、その子供たちだったっけ。
同じエルフ族ということもあるのだろう、ティアナの姿がかつての仲間に少し重なって見えた。
あいつは、この時代に生まれ変わったのだろうか。そうだとしたら、今はどうしているんだろうか?
思わずそんな考えが浮かび、ぼうっとティアナたちを眺めていると、子供の一人が俺の脚を蹴飛ばしてきた。
七歳ぐらいの男の子だ。
「何だこいつ? ティアナお姉ちゃんを見てデレッとしてたぞ!」
「ティアナお姉ちゃんに酷いことしたら許さない!」
「許さないです!」
「何しに来たですか?」
そしてあっという間に、四人の幼い子供たちに囲まれてしまった。
男の子一人と、女の子三人だ。
皆、五歳から七歳ぐらいといったところだろう。
ティアナはそれを見て、慌てたように子供たちに説明した。
「キールやめて! ミーアもリーアもレナも聞いて頂戴。レオンさんは私たちの恩人なの、大切なお客様よ」
俺は子供たちを眺める。
「お客さんって、本当か? ティアナお姉ちゃん」
キールというのが先程俺を蹴って、今も首を傾げている七歳ぐらいの男の子で、どうやら獣人か半獣人のようだ。
見た目はほとんど人間と変わらないが、大きな犬耳と尻尾がある。
「お客さんですか?」
「ごめんなさいです……」
可愛らしく項垂れる二人は双子なのかよく似ている。
とはいえ、大きな猫耳と髪や尻尾の色が違うので区別がつく。
さっきのティアナの言葉への反応からすると、赤毛なのがミーアで、白い毛をしたのがリーアだろう。
まだ五歳ぐらいかな。
「ま、紛らわしい時に来るからだわ。もうすぐあいつらが来るだろうし」
そうツンとした様子で言うのが、レナだろう。
ティアナと同じハーフエルフで、年齢はキールぐらい。
整った顔立ちで、少し気が強そうな少女だ。
「おいおい、俺のせいかよ。それに、あいつらって誰のことだ?」
俺の問いに、ティアナは少し困った顔で微笑んだ。
「心配しないでください。レオンさんのお蔭で何とかなりそうですから」
「……そうか? 何だかよく分からないけど良かったな。それにしてもこの子供たちは一体何なんだ。お前の兄弟ってわけじゃないだろ?」
ハーフエルフのレナはともかく、それ以外の子供たちは獣人族だからな。
ティアナは子供たちの頭を撫でながら俺に言った。
「ここは私が育った孤児院なんです。この子たちとは血は繋がってないですけど、私は本当の弟と妹だと思っています」
ティアナの言葉にキールが胸を張る。
「そうだぜ! ティアナ姉ちゃんは俺の本当の姉ちゃんだ!」
双子の猫耳姉妹もコクリと頷く。
「お姉ちゃんです!」
「ティアナお姉ちゃん、大好きです!」
レナは俺を睨むと腕を組んだ。
「そうよ、私たちはみんな本当の姉弟だわ!」
俺はそれを見て頭を掻いた。
そして、子供たちに詫びる。
「悪かったな……そうだな、血が繋がっていたって、兄弟なんて呼べないような連中もいるからな」
実の弟を殺そうとする兄たちだって、世の中にはいる。
ティアナが、俺の言葉に不思議そうに首を傾げた。
「レオンさん?」
「はは、何でもないさ。こっちの話だ」
それからティアナに聞いたところによると、この教会の神父が孤児院をやっていたのだが、先月亡くなってしまったそうだ。
それで一番年長のティアナが、代わりにこの子たちを育てているようだ。
金はその為か?
四人の子供の母親代わりともなれば、金はいくらあっても足りないだろうからな。
しかし、それにしては切羽詰まった様子だったけどな。
俺がそんなことを考えていると、後ろから野太い声が聞こえてきた。
3 奴隷商人
振り返ると、教会の門をくぐり数人の男たちがこちらにやってくるのが見える。
「相変わらずぼろい教会だな、なあゼザム」
「ああ、しけてやがるぜ。とっととガキを追い出してぶっ壊しちまえばいいのによ、なあバザム」
その声を聞いて、ティアナと子供たちの顔に緊張が走る。
やってきたのは二人……いや、三人の男たちだった。
まずは長身でガラの悪そうな、顔がそっくりな男が二人、こちらに歩いてくる。
軍人……いや傭兵崩れか?
二人とも、人を殺したことがある奴の目をしている。
歩き方一つ見ても、ガルフのようなこけおどしではない。
特殊な訓練を積んだ者の動きだ。
その後ろには、高価そうな服を着た恰幅のいい男が一人立っていた。
ちょび髭で腹がでっぷりと出た、四十歳ぐらいの商人風の男。
前を歩く二人はこの男の用心棒だろうか。
ガラの悪い男たちは商人風の男に向かって言う。
「ゼバルドの旦那。わざわざ、こんな薄汚い場所に来ることはねえんですぜ。なあゼザム」
「どうせ金は作れてねえはずだ。あの女なら、俺たちが屋敷まで引っ張っていきますからよ。なあバザム」
そう言って、下卑た笑いを浮かべた男たち――ゼザムとバザムがこちらを見る。
会話の終わりに、互いに相手の名を呼んでいるのが不気味である。
商人風の男、ゼバルドの方はといえば、値踏みするような目でこちらを眺めていた。
太りすぎているせいで、せっかくの豪華な衣装がはち切れんばかりである。
「ぐふふ、荒っぽいお前たちに任せていたら、ティアナの美しい体にアザを作ってしまうかもしれん。この女は、大事な商品になるのだからな」
ねちっこい喋り方も相まって、暑苦しい男だ。
それよりも、今こいつ、ティアナのことを商品って言っていたな。
どういうことだ?
用心棒たちはこちらに歩いてくると俺を見下ろす。
「何だてめえ? こんなところで何してやがる? なあゼザム」
「ああ、怪しい野郎だ、なあバザム」
よく言うぜ、お前らの方がよっぽど怪しいだろうが。
一方で、ティアナの周りには子供たちが集まって怯えた顔をしている。
しかし、キールはティアナを守るように前に立ち、ガラの悪い男たちに叫んだ。
「帰れ! お前たちみたいな気持ち悪い奴らに、ティアナお姉ちゃんを連れていかせたりなんか絶対にするもんか!!」
「「何だと! このクソガキが!!」」
キールの襟首を掴もうと、手を伸ばすゼザム。
ティアナが叫んだ。
「やめて! 子供たちには手を出さないで! 利息分のお金は用意しましたから!!」
そう言って、キールを抱きかかえるティアナ。
俺はティアナの前に立ち、ゼザムの手を払った。
ゼザムは、「ほう」と俺を見下ろす。
「小僧、やる気か? その動き、少しは出来るようだが」
俺の首には、冒険者ギルドで貰ったBランクのネームタグがかけられている。
それを確認したのだろう、ゼバルドが嘲るように口を開いた。
「何だ貴様は? ぐふふ、見たところBランクの冒険者のようだが、先の戦争で死神と恐れられた双子の傭兵、ゼザムバザム兄弟を知らんのか? お前が勝てるような相手ではないぞ」
死神? 全く知らないな。
先の戦争というのは、半年ほど前にアルファリシアが隣国との間に起こした戦争のことだろう。
どうやらやはり傭兵崩れの連中のようだ。
俺は連中を見上げると答える。
「悪いが知らないな、この町には来たばかりなんでね」
ゼバルドはちょび髭を触りながら、俺のことを嘲笑うように言った。
「はっ、愚かな小僧だ、余計なことに口を挟みおって。痛い目に遭いたいのか?」
ゼバルドの言葉にティアナが叫んだ。
「やめて、レオンさんは関係ないわ! お金なら作りました、今渡しますから帰ってください!!」
ティアナはそう言うと、金貨を大切そうに取り出してゼバルドに差し出す。
それを見て、ゼバルドは驚いた表情になる。
そして、忌々しげに呟いた。
「ちっ……馬鹿な、どうなっておる。ガルフの奴、何をやっておったのだ、あの役立たずめ」
ティアナには聞こえなかっただろうが、俺の耳は誤魔化せない。
妙な話だ。
どうして、こいつがガルフを知っている?
奴の言葉が聞こえなかっただろう彼女は、ゼバルドに言った。
「ハーフエルフの私に、冒険者のお仕事を紹介してくださったことは感謝しています。や、約束の金貨一枚です! だ、だからもう帰って!」
勇気を振り絞ったようにそう言って、金を差し出すティアナ。
俺はゼバルドを眺める。
……なるほどな、黒幕はこいつか。
今の話から考えるに、金に困ったティアナに冒険者の仕事やガルフを紹介したのはこいつだろう。
それは厚意などではなく、借金の期限までに他の方法で金を作らせないようにするためだ。
金貨一枚貰えると安心させて、最後はガルフに金を支払わせない。
回りくどいやり方だが、そうなれば金を借りた方は打つ手がないし心も折れる。
そうしてそれを理由に迫れば、素直に言うことを聞く……というわけだ。
それに、ティアナのことを『大事な商品』だと言っていた。
こいつは、恐らく金貸しを装った奴隷商人で、ガルフもグルなのだろう。
人に金を貸して、返せなければ借りた人間やその子供を奴隷として売り払うのだ。
つまるところ、こいつらの目的はティアナなのだろう。
この手の連中は二千年前にもいた。
こんなところは、今も昔も変わらない。
ティアナは震えながらも、ゼバルドをしっかりと睨みつけて言った。
「これからも、毎週きちんとお金は払うつもりです。だから、もう帰って!」
しかしゼバルドは邪悪な顔で笑った。
「ぐふふ、いいだろうティアナ。だが来週は金貨九枚だ、元金もろとも、全てを支払ってもらうぞ」
「そ、そんな! 金貨九枚だなんて! 毎週一枚ずつでいいって約束でお借りしたはずです!!」
ティアナの言葉に、ゼバルドは襟元から何やら紙を取り出しながら答える。
「ん? 知らんなぁ、そんなことがこの証文のどこに書いてある? 文句なら、金のかかる病にかかって死んだ神父に言え。元々借金は金貨七枚に利子を含めて、金貨十枚だ」
「そんな! 教会に来てくれていた人が聞いているはずです! 証人だっているわ!!」
「ほう。ならば、役人にでも訴えてみるのだな」
汚い野郎だな。
この手の連中のことだ、役人を買収してもおかしくない。
安上がりだと踏んでガルフたちを使ったんだろうが、失敗した現状、手段を選ばないだろうからな。
訴えたところで、ティアナの言い分が通じるかどうか。
ゼバルドが取り出した紙は借用書のようで、そこに書かれていることによると、親代わりだった神父の治療のため、金を借りたらしい。
逆上して、怒声を上げるガルフ。
俺が腰から提げた剣を抜くと、右手の紋章が再び光を放つ。
「おぉおおおおお!!」
俺の気合と共に闘気で真紅に染まっていく刀身。
次の瞬間ガルフが振り下ろした剣は、俺の体に届く前に、真っ二つに切り裂かれて地に落ちた。
そして俺の剣が、奴の喉元に突きつけられていた。
真紅の闘気に包まれた剣が揺らめいている。
「まだ続けるか? 確か、死なない程度にいたぶってくれるんだったよな。なら、俺もお前らにそうしても構わないってわけだ」
この手の連中は、こうして実力の差をハッキリさせておかないと、またすぐに調子に乗る。
王宮にいた時、父の顔を立てて大人しくしていたが、結局それでミハエルたちがあんな態度になったからな。同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。
こうやって脅しておくのは有効だろう。
「どうする?」
俺は剣を引き、構えた。
「ひっ! ひい!!」
ガルフが情けない声を上げて尻もちをつくと、取り巻きの連中も悲鳴を上げる。
「ば、化け物!」
「か、勘弁してくれ!」
「ひぃいいいいい!!」
ようやく事態が呑み込めたのだろう。
ガルフたちは腰を抜かして、呆然としながら首を横に振っていた。
「ああ、別に謝ってもらう必要はないぞ。それよりも約束通り、金貨を一枚貰おうか? ――それから一応言っとくが、このことでティアナに嫌がらせをしようなんて思うなよ? 俺に喧嘩を売ってるって判断するからな」
俺は地面に転がっているガルフの戦斧の刃を拾い上げると、それをポンと放り投げてから闘気を纏った剣を振るった。
切り刻まれた鉄の塊が、パラパラと地面に落ちる。
「忠告はした。二度目はない、分かってるよな?」
俺がそう言って睨むと、連中は土下座をして金貨が入った布袋を俺に差し出した。
「ひ!」
「わ、分かりました!」
「に、二度と手を出したりしません!」
「か、金ならここに!!」
俺はガルフが差し出した布袋を受け取り、金貨を一枚取り出してティアナに渡した。
「ほらよ、ティアナ。約束の金貨一枚だ。元々ティアナの稼いだ金なんだから遠慮することはない。そうだよな?」
俺の言葉にガルフたちはコクコクと頷く。
弱い者には強い、強い者には弱い。
ミハエルたちと同じである。
あいつらも父が生きている時は、俺に手なんて出せなかったからな。
嫌になる程よく似てやがる。
俺は用済みになった布袋を、ガルフに投げて返す。
全部巻き上げたらこいつらと同じだ、そんな真似をするつもりはない。
連中はそれを受け取ると、慌てて逃げ去っていった。
「やれやれ、忙しい連中だ」
俺は肩をすくめた。
ティアナが大きな瞳に涙を浮かべて俺を見つめている。
「レオンさん、ありがとうございます! 本当にありがとうございます!!」
「別に礼なんていいって。言っただろ? 元々それはティアナの金なんだからな」
俺はニーナさんに尋ねた。
「ニーナさん、これでBランクということでいいですかね?」
「え? ええ! もちろんです。凄かったです!! レオンさんなら、きっとすぐにAランク以上に上がれます!」
俺は見届け人をしてくれたニーナさんに頭を下げる。
「助かりますよ。何しろ、今日泊まる宿もないんで、すぐに金がいるんです」
「あら? それほどの腕があるのに信じられないわ」
俺の軽口を聞いて、少し砕けた口調になるニーナさん。
クスクスと笑って俺を見つめる。
「はは、まあ色々こっちにも事情がありまして」
その時、俺の右手がギュッと握られる。
「ん?」
ティアナが何か言いたそうな顔で、俺の手をしっかりと握りしめていた。
「あ、あの!」
「どうしたティアナ? 金貨はもう手に入っただろ。俺に気を使う必要はないぞ、用事があるんじゃないのか?」
あんな連中に盾突くほど、あの金が必要だったわけだからな。
それなりの事情があるはずだ。
「俺はこれから仕事をするつもりだからさ、ここでお別れだな」
ティアナはそれを聞いて、俺の手をもう一度しっかり握りしめる。
そして勇気を振り絞ったように俺を見つめた。
「あ、あの! レオンさん、私と一緒に来てください! お礼がしたいんです」
冒険者ギルドを出てティアナに連れてこられたのは、街はずれにある、貧しい人々が暮らしている区画だった。
街の中央のような華やかさはそこにはなく、生活感の溢れる雑多な雰囲気が漂っている。
そこを慣れた様子で歩くティアナ。
「おいおい、どこまで行くんだよ? ティアナ」
「は、はい。もう少しで着きますから」
そう言って笑顔を見せる。
彼女は、俺にどうしてもお礼がしたいと言っていた。
それから、今日寝る場所がないなら、それを提供するとも言ってくれたのだ。
そう言われたら断れないよな。
断られてしょんぼりするティアナの顔が目に浮かぶ。
まあ、俺としても、寝床が出来るのはありがたい。
とりあえず寝床があるなら仕事は明日からでもいいしな。
ニーナさんは俺に仕事を紹介出来なくて残念そうだったが、明日また顔を出すと言ったらニッコリと微笑んでくれた。
そして一つ、忠告をしてくれた。
最近、夜になると妙な魔物が現れることがあるらしい。
見た目は普通の魔物と変わらないのだが、額に変わった魔石をはめ込まれているそうだ。
驚くほどの強さで、腕利きの冒険者が数名命を落としたとか。
国から正式な依頼が来て、Sランク以上の冒険者が調査にあたっているとのことだ。
「――レオンさんほどの腕があればぜひ調査隊に加わって欲しいんですけど、流石にBランクのままでは推薦が出来ませんから」
「はは、そうでしょうね」
「ええ、ですから、沢山依頼を受けてランクアップしてくださいね」
そんな会話を、ギルドを出る前にしてきた。
そして今、俺の首には、Bランクの冒険者の証がかけられている。
これは特殊な魔法がかかったネームタグで、ギルドだけではなく冒険者が使う施設で身分証明書代わりに使えるそうだ。
ニーナさんが親切に俺の首にかけてくれて、外まで見送ってくれた。
そんなことを思い出しつつ歩いていると、辺りの住人たちがティアナを見て、気さくに話しかけてくる。
「よう、ティアナ! そいつは彼氏かい?」
「ち、違います! 彼氏だなんて、レオンさんに迷惑です……レオンさんは恩人なんです」
話しかけてきた男はそれを聞くと、俺にも笑顔で言った。
「ティアナの恩人なら、覚えておかねえとな。俺たちにとっても大事な客人だぜ」
それを聞いてコクリと頷くティアナ。
道中、そんなやりとりが何度か繰り返された。
「ティアナ、結構顔がきくんだな」
俺が感心してそう言うと、ティアナは恥ずかしそうに笑って答える。
「そんなんじゃありません。この地区は色々な事情がある人たちが集まっているんです。助け合わないと生きていけませんから、みんな顔見知りなだけですよ。あ、あのレオンさんここです」
そう言ってティアナが指さしたのは、こぢんまりとしている古びた教会だ。
敷地に入ると、庭で遊んでいた子供たちが、ティアナの姿を見て一斉に駆けてくる。
「ティアナお姉ちゃん!」
「おかえりなさい!」
「お姉ちゃん! おかえり!」
あっという間に子供たちに囲まれたティアナは、嬉しそうに笑っている。
へえ……
元々ティアナは美人なのだが、子供たちに向ける笑顔は特別な美しさがあるように感じた。
純粋さと清楚さ、それに母性的な優しさだ。
それがシスター姿によく似合っていた。
俺はその時、ふと昔の仲間の一人を思い出した。
水の紋章を持ち、水の女神と呼ばれたエルフのアクアリーテ。
聖女とも呼ばれた彼女も、多くの孤児たちを育てていた。
アクアリーテが四英雄として戦っていた理由は、その子供たちだったっけ。
同じエルフ族ということもあるのだろう、ティアナの姿がかつての仲間に少し重なって見えた。
あいつは、この時代に生まれ変わったのだろうか。そうだとしたら、今はどうしているんだろうか?
思わずそんな考えが浮かび、ぼうっとティアナたちを眺めていると、子供の一人が俺の脚を蹴飛ばしてきた。
七歳ぐらいの男の子だ。
「何だこいつ? ティアナお姉ちゃんを見てデレッとしてたぞ!」
「ティアナお姉ちゃんに酷いことしたら許さない!」
「許さないです!」
「何しに来たですか?」
そしてあっという間に、四人の幼い子供たちに囲まれてしまった。
男の子一人と、女の子三人だ。
皆、五歳から七歳ぐらいといったところだろう。
ティアナはそれを見て、慌てたように子供たちに説明した。
「キールやめて! ミーアもリーアもレナも聞いて頂戴。レオンさんは私たちの恩人なの、大切なお客様よ」
俺は子供たちを眺める。
「お客さんって、本当か? ティアナお姉ちゃん」
キールというのが先程俺を蹴って、今も首を傾げている七歳ぐらいの男の子で、どうやら獣人か半獣人のようだ。
見た目はほとんど人間と変わらないが、大きな犬耳と尻尾がある。
「お客さんですか?」
「ごめんなさいです……」
可愛らしく項垂れる二人は双子なのかよく似ている。
とはいえ、大きな猫耳と髪や尻尾の色が違うので区別がつく。
さっきのティアナの言葉への反応からすると、赤毛なのがミーアで、白い毛をしたのがリーアだろう。
まだ五歳ぐらいかな。
「ま、紛らわしい時に来るからだわ。もうすぐあいつらが来るだろうし」
そうツンとした様子で言うのが、レナだろう。
ティアナと同じハーフエルフで、年齢はキールぐらい。
整った顔立ちで、少し気が強そうな少女だ。
「おいおい、俺のせいかよ。それに、あいつらって誰のことだ?」
俺の問いに、ティアナは少し困った顔で微笑んだ。
「心配しないでください。レオンさんのお蔭で何とかなりそうですから」
「……そうか? 何だかよく分からないけど良かったな。それにしてもこの子供たちは一体何なんだ。お前の兄弟ってわけじゃないだろ?」
ハーフエルフのレナはともかく、それ以外の子供たちは獣人族だからな。
ティアナは子供たちの頭を撫でながら俺に言った。
「ここは私が育った孤児院なんです。この子たちとは血は繋がってないですけど、私は本当の弟と妹だと思っています」
ティアナの言葉にキールが胸を張る。
「そうだぜ! ティアナ姉ちゃんは俺の本当の姉ちゃんだ!」
双子の猫耳姉妹もコクリと頷く。
「お姉ちゃんです!」
「ティアナお姉ちゃん、大好きです!」
レナは俺を睨むと腕を組んだ。
「そうよ、私たちはみんな本当の姉弟だわ!」
俺はそれを見て頭を掻いた。
そして、子供たちに詫びる。
「悪かったな……そうだな、血が繋がっていたって、兄弟なんて呼べないような連中もいるからな」
実の弟を殺そうとする兄たちだって、世の中にはいる。
ティアナが、俺の言葉に不思議そうに首を傾げた。
「レオンさん?」
「はは、何でもないさ。こっちの話だ」
それからティアナに聞いたところによると、この教会の神父が孤児院をやっていたのだが、先月亡くなってしまったそうだ。
それで一番年長のティアナが、代わりにこの子たちを育てているようだ。
金はその為か?
四人の子供の母親代わりともなれば、金はいくらあっても足りないだろうからな。
しかし、それにしては切羽詰まった様子だったけどな。
俺がそんなことを考えていると、後ろから野太い声が聞こえてきた。
3 奴隷商人
振り返ると、教会の門をくぐり数人の男たちがこちらにやってくるのが見える。
「相変わらずぼろい教会だな、なあゼザム」
「ああ、しけてやがるぜ。とっととガキを追い出してぶっ壊しちまえばいいのによ、なあバザム」
その声を聞いて、ティアナと子供たちの顔に緊張が走る。
やってきたのは二人……いや、三人の男たちだった。
まずは長身でガラの悪そうな、顔がそっくりな男が二人、こちらに歩いてくる。
軍人……いや傭兵崩れか?
二人とも、人を殺したことがある奴の目をしている。
歩き方一つ見ても、ガルフのようなこけおどしではない。
特殊な訓練を積んだ者の動きだ。
その後ろには、高価そうな服を着た恰幅のいい男が一人立っていた。
ちょび髭で腹がでっぷりと出た、四十歳ぐらいの商人風の男。
前を歩く二人はこの男の用心棒だろうか。
ガラの悪い男たちは商人風の男に向かって言う。
「ゼバルドの旦那。わざわざ、こんな薄汚い場所に来ることはねえんですぜ。なあゼザム」
「どうせ金は作れてねえはずだ。あの女なら、俺たちが屋敷まで引っ張っていきますからよ。なあバザム」
そう言って、下卑た笑いを浮かべた男たち――ゼザムとバザムがこちらを見る。
会話の終わりに、互いに相手の名を呼んでいるのが不気味である。
商人風の男、ゼバルドの方はといえば、値踏みするような目でこちらを眺めていた。
太りすぎているせいで、せっかくの豪華な衣装がはち切れんばかりである。
「ぐふふ、荒っぽいお前たちに任せていたら、ティアナの美しい体にアザを作ってしまうかもしれん。この女は、大事な商品になるのだからな」
ねちっこい喋り方も相まって、暑苦しい男だ。
それよりも、今こいつ、ティアナのことを商品って言っていたな。
どういうことだ?
用心棒たちはこちらに歩いてくると俺を見下ろす。
「何だてめえ? こんなところで何してやがる? なあゼザム」
「ああ、怪しい野郎だ、なあバザム」
よく言うぜ、お前らの方がよっぽど怪しいだろうが。
一方で、ティアナの周りには子供たちが集まって怯えた顔をしている。
しかし、キールはティアナを守るように前に立ち、ガラの悪い男たちに叫んだ。
「帰れ! お前たちみたいな気持ち悪い奴らに、ティアナお姉ちゃんを連れていかせたりなんか絶対にするもんか!!」
「「何だと! このクソガキが!!」」
キールの襟首を掴もうと、手を伸ばすゼザム。
ティアナが叫んだ。
「やめて! 子供たちには手を出さないで! 利息分のお金は用意しましたから!!」
そう言って、キールを抱きかかえるティアナ。
俺はティアナの前に立ち、ゼザムの手を払った。
ゼザムは、「ほう」と俺を見下ろす。
「小僧、やる気か? その動き、少しは出来るようだが」
俺の首には、冒険者ギルドで貰ったBランクのネームタグがかけられている。
それを確認したのだろう、ゼバルドが嘲るように口を開いた。
「何だ貴様は? ぐふふ、見たところBランクの冒険者のようだが、先の戦争で死神と恐れられた双子の傭兵、ゼザムバザム兄弟を知らんのか? お前が勝てるような相手ではないぞ」
死神? 全く知らないな。
先の戦争というのは、半年ほど前にアルファリシアが隣国との間に起こした戦争のことだろう。
どうやらやはり傭兵崩れの連中のようだ。
俺は連中を見上げると答える。
「悪いが知らないな、この町には来たばかりなんでね」
ゼバルドはちょび髭を触りながら、俺のことを嘲笑うように言った。
「はっ、愚かな小僧だ、余計なことに口を挟みおって。痛い目に遭いたいのか?」
ゼバルドの言葉にティアナが叫んだ。
「やめて、レオンさんは関係ないわ! お金なら作りました、今渡しますから帰ってください!!」
ティアナはそう言うと、金貨を大切そうに取り出してゼバルドに差し出す。
それを見て、ゼバルドは驚いた表情になる。
そして、忌々しげに呟いた。
「ちっ……馬鹿な、どうなっておる。ガルフの奴、何をやっておったのだ、あの役立たずめ」
ティアナには聞こえなかっただろうが、俺の耳は誤魔化せない。
妙な話だ。
どうして、こいつがガルフを知っている?
奴の言葉が聞こえなかっただろう彼女は、ゼバルドに言った。
「ハーフエルフの私に、冒険者のお仕事を紹介してくださったことは感謝しています。や、約束の金貨一枚です! だ、だからもう帰って!」
勇気を振り絞ったようにそう言って、金を差し出すティアナ。
俺はゼバルドを眺める。
……なるほどな、黒幕はこいつか。
今の話から考えるに、金に困ったティアナに冒険者の仕事やガルフを紹介したのはこいつだろう。
それは厚意などではなく、借金の期限までに他の方法で金を作らせないようにするためだ。
金貨一枚貰えると安心させて、最後はガルフに金を支払わせない。
回りくどいやり方だが、そうなれば金を借りた方は打つ手がないし心も折れる。
そうしてそれを理由に迫れば、素直に言うことを聞く……というわけだ。
それに、ティアナのことを『大事な商品』だと言っていた。
こいつは、恐らく金貸しを装った奴隷商人で、ガルフもグルなのだろう。
人に金を貸して、返せなければ借りた人間やその子供を奴隷として売り払うのだ。
つまるところ、こいつらの目的はティアナなのだろう。
この手の連中は二千年前にもいた。
こんなところは、今も昔も変わらない。
ティアナは震えながらも、ゼバルドをしっかりと睨みつけて言った。
「これからも、毎週きちんとお金は払うつもりです。だから、もう帰って!」
しかしゼバルドは邪悪な顔で笑った。
「ぐふふ、いいだろうティアナ。だが来週は金貨九枚だ、元金もろとも、全てを支払ってもらうぞ」
「そ、そんな! 金貨九枚だなんて! 毎週一枚ずつでいいって約束でお借りしたはずです!!」
ティアナの言葉に、ゼバルドは襟元から何やら紙を取り出しながら答える。
「ん? 知らんなぁ、そんなことがこの証文のどこに書いてある? 文句なら、金のかかる病にかかって死んだ神父に言え。元々借金は金貨七枚に利子を含めて、金貨十枚だ」
「そんな! 教会に来てくれていた人が聞いているはずです! 証人だっているわ!!」
「ほう。ならば、役人にでも訴えてみるのだな」
汚い野郎だな。
この手の連中のことだ、役人を買収してもおかしくない。
安上がりだと踏んでガルフたちを使ったんだろうが、失敗した現状、手段を選ばないだろうからな。
訴えたところで、ティアナの言い分が通じるかどうか。
ゼバルドが取り出した紙は借用書のようで、そこに書かれていることによると、親代わりだった神父の治療のため、金を借りたらしい。
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