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5巻
5-3
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「はぁああああああ! 食らいな、ドラゴニックブレイブ!! この先には一歩も行かせないんだよ!」
それは竜のごとく勇ましい心を持つ女将軍ミネルバに相応しい必殺の技だ。
そしてその威力は、普段よりも遥かに増している。
見事な一刀が縦に切り裂くと、繭は炎を上げる。
そんなミネルバとレイアの姿を見て、ロザミアも剣を構えた。
「私は主殿に救われた。それだけじゃない、アルフレッド殿下のことも闇から救ってくれた。主殿は私にとって誰よりも大事な人だ」
彼女が兄と慕った翼人の王子アルフレッドは荒み切っていたが、レオンに敗北したことで高潔な武人の魂を取り戻した。
ロザミアは、仲間のために一心に祈るアクアリーテを見つめる。
「そして、ティアナは戦うことしか知らない私に色々なことを教えてくれた」
子供たちと触れ合い、楽しく笑って一緒にご飯を食べる。そんな生活がロザミアにとってはとても幸せだったのだ。
ティアナと一緒に握ったおむすびのことが、ロザミアには忘れられない。
料理と呼ぶにはあまりにも簡易なものではあるが、それでも幼い頃から剣の修業だけに明け暮れてきたロザミアにとってはかけがえのない出来事だった。
心を込めて握ったそれをアルフレッドが美味しそうに食べてくれた時のことを思うと、暖かい気持ちになっていく。
「ティアナ……」
ロザミアはティアナの力を感じた。
アクアリーテの姿になった彼女が描いた青い魔法陣が、ロザミアたちにも力を与えてくれている。
レイアやミネルバが限界以上の力を発揮することが出来たのは、彼女たちの素質の高さはもちろんだが、この魔法陣の力も大きいだろう。
ロザミアは魔法陣に込められた祈りと願いを感じながら大きく白い翼を広げた。
「約束したのだ。ティアナとまた一緒におむすびを握ると。みんなで笑顔でそれを一緒に食べるのだ!」
それだけでいい。そんな日常が彼女にとって一番の幸せなのだから。
ロザミアの切なる願いが、彼女自身の力を覚醒させる。
広げた翼が強烈な光を纏っていく。
同じ白い翼を持つアルフレッドの翼の輝きに勝るとも劣らないその力、それはまさしく白翼人に秘められた力だ。
翼の輝きが最大限に高まった瞬間、ロザミアの姿がその場から掻き消える。
そして、同時に幾つものロザミアの姿が舞うように現れた。
「はぁあああああ! 白翼天舞!!」
それはロザミアの新たなる力だ。
華麗に宙を舞う姿はまさに剣を持つ天使だ。
だが、その可憐さとは裏腹に、凄まじい速さの斬撃が同時に幾つかの繭を切り裂いて、塵に帰していく。
そんな彼女たちの姿を眺めながら、ゼキレオス王は頷いた。
「三人とも見事なものよ。そして、水の女神の助力に感謝する!」
そう言うと彼も手にした剣を構え、目の前の繭を一刀両断した。
「ぬぅうううん!」
騎士王と称えられた男の剣は見事に繭を切り裂くと、その闘気が燃やし尽くした。
国王は返す刀でもう一つ繭を切り裂く。
すると、中から零れ出た何かが、ゼキレオスの闘気で焼かれながらも声を上げた。
「ギギギィイ!!」
無機質な目をしたそれは、邪悪な瘴気を放ちながら燃え尽きていく。
まだ不完全で、何かになる前の姿をしているように見えるそれはおぞましく、オリビアはその場に思わず嘔吐した。
「見るでない、リヴィ」
娘のことを気遣う父親に、オリビアは首を横に振った。
「お父様、私のことは気になさらないで! それよりも少しでも早く、全ての繭を……」
オリビアは先ほど感じた瘴気に背筋が寒くなった。
(あんなものが成長して地上へと溢れたら。きっとこの世界は、今までとは全く違うものになってしまう)
ジュリアンが言うようにまさにこの世の終わりだろう。
オリビアはそう思った。
そんな王女の懸念を払拭せんと、ロザミアやミネルバたちは国王と共に周囲の繭を切り裂いていく。
その姿を上空から見て、フレアやシルフィは希望の光を見出したような声を上げた。
「見て、シルフィ! ロザミアたちが!」
「ええ! ロザミア、ミネルバ、レイア、それにゼキレオス! そうよフレア、戦っているのは私たちだけじゃない!!」
ジークたちや精霊たちではなく、眼下に見える巨大な地下庭園の中で全身全霊の力を込めて剣を振るう仲間たちの姿に、フレアとシルフィは奮い立つ。
精霊たちに対峙しているジュリアンは、ミネルバたちを眺めながら笑みを浮かべた。
「ふふ、あの繭を切り裂くほどの力に目覚めるとは、見事なものですね。もし彼女たちで人魔錬成の実験をしていたのならば、邪龍と化したレオナールよりも遥かにいい結果が得られたでしょうに。実に残念です」
それを聞いてシルフィが牙を剥いた。
「実験ですって! そのおぞましい実験で一体どれほどの命を犠牲にしてきたの!?」
フレアは怒りに満ちた目でジュリアンに言い放つ。
「ロザミアたちが私に勇気をくれたわ! 私たちは負けない! ジュリアン、貴方はここで私たちが倒す!!」
神獣オベルティアスも精霊たちと共にジュリアンを取り囲んでいる。
「この命が尽きたとしてもな!」
ジュリアンはそんな彼らに問いかけた。
「出来ますか? 最後まで足掻くその姿は美しい。ですが、レディンが言ったように、貴方たちを待つのは逃れられない死です」
「黙りなさい! ジュリアン!!」
目の前の男に対する怒りがフレアの可憐な顔を怒りに染める。
そして、その背に湧き上がった炎は輝きを増し、白い光と化していく。
「ほむら! 私にもう一度未来を拓く力を!!」
フレアの右手の薙刀が白い炎に包まれていった。
その輝きが頂点に達した時、フレアの体にヤマトの古の神の力が宿る。
美しい後光が華奢な体の後ろで輝くと、フレアはジュリアンに向かって一直線に突き進む。
「鬼神霊装アマテラス! 陽光滅魔の太刀!!」
オベルティアスはその輝きを見て思わず目を見開く。
初めて自分と戦った時のフレアとは比べ物にならない力だ。
(あの小娘がよくここまでの力を、見事なものだ。これならばジュリアンといえど滅するしかあるまい!)
その考えが正しいことを証明するかのように、フレアが鮮やかに振るった刃がジュリアンの法衣の胸元を大きく切り裂いた。
だが、ジュリアンの目はフレアの動きをしっかりと捉えている。
法衣から覗く女性のような美しく白い肌には、浅く切り傷が刻まれていた。
「やりますね。まさか、四英雄以外にこの私の体に傷をつける者がいるとは。フレアと言いましたね、貴方は本当に素晴らしい」
ジュリアンは自分の懐に飛び込んできたフレアをそのまま優雅に抱き留める。
思いがけないその行動に、フレアは一瞬動きを止めた。
すると強烈な力がフレアの体を拘束する。
「うっ! うぁあああああ!!」
彼女の体を拘束したのは、いつの間にかジュリアンの腰から生えてきた龍の尾だ。
それが、巨大な鞭のようにフレアの体をからめとっている。
神龍の尾が華奢な体を締め上げ、フレアに悲鳴を上げさせる。
「うぁああああ!!!」
「いかん!」
「フレア!!!」
彼女の苦しげな姿を見て、シルフィとオベルティアスがジュリアンへと襲い掛かる。
ジュリアンは強烈な力を放つ尾の先をフレアの細い首に巻きつかせ、シルフィたちに言う。
「いいのですか? それ以上動けば、この娘の首をへし折りますよ?」
嫣然と笑みを浮かべながらも、その目は冷酷そのものだ。
もし従わなければ、言葉通りフレアの命はないと悟り、シルフィとオベルティアスは身を翻し後ろへと下がる。
「おのれ、卑劣な!」
「ジュリアン!!」
怒りに満ちたシルフィの表情を眺めながら、ジュリアンはフレアに顔を寄せる。
自分が仲間の足かせになっていることに、フレアは唇を噛み締める。
ジュリアンを睨み、掠れ声を上げた。
「こ、殺しなさい……ジークやみんなのためならこの命、惜しくなんかないわ!」
「いい覚悟です。その誇り高さが私の興味をそそらせる」
そう言うと、ジュリアンはフレアの瞳を覗き込み、まるで悪魔が囁くように彼女の耳元で妖艶な唇を開く。
「そんな貴方がもし、仲間を裏切って彼らに刃を向けるようなことになればどうでしょう? ふふ、貴方にとっては死ぬよりも受け入れがたいことでしょうね」
「ふざけないで! 誰がそんな!」
龍の尾で首を締め上げられながらも、フレアは怒りの眼差しでそう答える。
当然だろう。真っすぐで誰よりも仲間思いのフレアが、彼らを裏切ることなどあり得ない。
このまま首をへし折られるとしても受け入れるはずがない話だ。
だが──
「言ったはずですよ。賢者の石の力を甘く見ない方がいいと」
ジュリアンの目が妖しい光を帯びると、額の賢者の石が光を放ち始める。
そして自分の額をフレアの額に近づけた。
(何をするつもりなの!?)
フレアは必死に体をよじるが、凄まじい力で拘束されているため身動きが出来ない。
ジュリアンはそんなフレアに語り掛ける。
「ふふ、せいぜい抵抗してみせてください。その方が私は楽しめる」
その瞬間、フレアは自分の中に何かが入り込もうとしているのを感じた。
自分の中を何かが侵食していくおぞましい感覚に身を震わせる。
「──!!!」
フレアは自分の意志を塗り替えられていくような気がして、声も出せずに大きく体を反らす。
それはかつて、ジュリアンの差し金によって、ミネルバが黒い宝玉に支配された時の状況によく似ている。
だが、賢者の石はそれよりも遥かに強い力でフレアを支配しようと、精神への侵食を続けた。
「素晴らしい。貴方が必死に抵抗しているのが分かりますよ。これほどの意志の強さを持つ者は少ない。貴方の仲間たちへの思いを感じます。そんな貴方だからこそ闇に染まっていく姿は美しい」
「うっ! ぐぅううう!!!」
フレアの顔が苦悶に歪み、手足が激しく痙攣する。
鬼の血を引く証である手の爪が伸び、額の角が大きくなっていく。
そして、彼女が纏う炎が次第に黒く染まっていった。
「殺せ! 殺してぇええ!!」
そんなフレアの姿を見てシルフィは叫んだ。
「フレア!!!」
そして、彼女を締め上げている龍の尾を見て絶望する。
(どうすれば、一体どうすればいいの? もし、あの男が言うようにフレアが……)
フレアを助けに飛び込めば、彼女の首は神龍の尾によってへし折られる。
だが、このまま何もしなければ、ジュリアンに支配されたフレアと戦うことになるかもしれない。
シルフィは悲痛な思いでフレアを見つめる。
(そうなったら、私に出来るの? フレアに牙を向けるなんて)
シルフィにとってフレアは妹も同然だ。
牙を剥き、ましてや命を奪うなどあり得ない。
シルフィの葛藤する表情にフレアは涙を流す。
だが、ジュリアンの支配がそんなフレアを容赦なく侵食し、彼女の纏う炎を完全に黒く染め上げていった。
心の中に制御出来ない怒りが湧き上がっていく。
幼い頃、鬼の血を引く者として理不尽に祖父母に殴られ殺されそうになったこと。
そして、たった一人で森の奥に入って泣きながら暮らしたこと。
その怒りが、悲しみが、フレアの心を闇に染めていく。
「いや……ほむら、ジーク……シルフィ」
自分を悲しみと寂しさから救い出してくれたほむらの手を、ジークやシルフィたちとの大切な思い出を全て闇に塗りつぶされていくような感覚に、フレアは叫んだ。
「いやぁああああああああ!!!」
血の涙を流しながらその体は黒く染まっていく。
そして、自分の中の温かい心が死んでいく気がして絶望した。
その瞬間──
フレアは何者かが突如現れ、ジュリアンの龍の尾を切り裂くのを見た。
そして優しく彼女をその腕に抱きかかえる。
その顔を見てフレアは涙を流す。
「ジーク……」
ジュリアンでさえフレアの首の骨を折ることが出来ないほどの速さで、彼女を救い出したのはジークだ。
あの状況でこんな真似が出来るのは彼しかいないだろう。
「フレア」
優しく彼女を見つめるジークの瞳を見て、フレアは呟いた。
「どうして……」
フレアの目から大粒の涙が零れ出た。
時の流れがまるでスローモーションのように感じる。
今、ジークが自分の傍にいるということは、レディンと戦うジークたちの絶対防御の布陣が崩れたことを意味する。
それがもたらす結果が何なのかをよく知るフレアは、全身が凍り付く思いだった。
龍の尾を切り落とされただけで、辛うじて後方へ逃れたジュリアンが、笑みを浮かべる。
「ふふ、世界より仲間を選んだようですね。獅子王ジーク、貴方らしい。ですがこれで終わりです」
フレアは、ジークが彼女をその腕から離すのを感じた。
彼がフレアを突き放したのは、彼女を守るためだ。
フレアはそれを悟って悲鳴を上げた。
「いやぁああああ!! ジークぅうううう!!!」
その悲鳴と同時にジークの胸を鋭い刃が貫いていた。
フレアはジークに向かって手を伸ばした。
ジークを貫いたのは、レディンの背から長く伸びた翼の一枚だ。
その光景にシルフィは思わず声を失い、オベルティアスは息を呑んだ。
地上にいるゼキレオスたちもあまりの出来事に呆然と立ち尽くした。
レディンの声が響く。
「倒魔流秘奥義、陽炎。くくく、どうだジーク、己の奥義で葬られる気分は」
陽炎を使いジークの背後、それもエルフィウスにとっても死角になる位置に現れたレディンの翼は、ジークを貫いたまま地面へと串刺しにする。
一方でエルフィウスもレディンの翼で肩口を貫かれ、まるで磔にされるがごとく地下庭園の壁に打ち付けられていた。
「主よ!!」
オベルティアスが悲痛な叫び声を上げる。
絶体絶命の状況の中、ジークは体を貫かれたまま再び剣を握る手に力を込めた。
「ぐぅうう!」
壁に磔にされたエルフィウスも最後の力を振り絞るように、剣を握り締めている。
彼らを見下ろしながらレディンは高慢な笑みを浮かべた。
「ほう、急所を外したか、しぶとい連中だ。だが丁度いい。ジーク、そのままそこで水の女神が死ぬのを眺めているがいい」
その瞬間、レディンの残りの四枚の翼がアクアリーテに襲い掛かる。
それはまるで白と黒の死神の鎌だ。
「ふふ、ふはは! 死ぬが良い!!」
翼は無残にも、祈りを捧げる彼女の両手を吹き飛ばし、同時に胴と首をも刎ね飛ばした。
シルフィとフレアは絶望に目を見開く。
「そんな!」
「いやぁあああ!!!」
あまりにも凄惨な光景に、皆息を呑み、オリビアは悲鳴を上げてその場に崩れ落ちる。
そして、ロザミアが絶叫した。
「ティアナぁああああああ!!!」
その悲痛な声は、彼らの敗北を告げるかのように辺りに響き渡っていった。
2 水の女神
ロザミアさんの声が聞こえる。
私はレディンによって切り裂かれた自分の体を見つめていた。
私はティアナ。そして二千年前、アクアリーテと呼ばれていた。
幼い頃に父と母が流行病で死んでしまった後、私は一人でエルフの森の奥の洞窟に住んでいた。
母はエルフの長老の息子からの求婚を断り、父と結婚した。
それがきっかけで母たちは村を追われ、森の奥の洞窟でひっそりと暮らしながら私を産んだと聞いた。
母は亡くなる前、幼い私の手を握り締めて言った。
「アクアリーテ、エルフの村へ行きなさい。罪を犯したのは私たちだけ。貴方には罪はないわ。きっと長老たちも貴方を受け入れてくれる」
「やだもん……アクア、お母さんとお父さんとずっと一緒にいるもん!」
父が優しく私の髪を撫でる。
「許してくれ、アクア。私たちのせいでお前までこんなところで……だが、お前がいてくれたことでどれだけ幸せだったか」
「お父さん、死なないで……お母さん」
私は両親の傍でただずっと手を握っていることしか出来なかった。
気が付くと二人の体は冷たくなっていた。私はとても悲しくなって二人の体に身を寄せて大声を上げて泣いた。
ずっとずっと泣いて、何日か経った後、私は小さな手で一生懸命に二人のお墓を掘った。
前に母と一緒に飼っていた小鳥が亡くなった時に、母から教わった。
亡くなった後はこうして土に還してあげるのだと。
そして、悲しくなったらそこにやってきて話しかけるのだと。
「お母さん、お父さん……」
こうして土に還してあげたら、二人は私に答えてくれるだろうか。
話しかけたらいつものように笑ってくれるだろうか。
私はボロボロと涙を零した。
傷だらけになった両手で、病気のせいでやせ細った両親の亡骸を引きずるように運ぶと、二人を土に還すために洞窟の傍に埋めた。
そして、洞窟近くの泉の畔に転がる小さな白い石を、幾つも運んでお墓の上に飾り付けた。
エルフの村の人たちが見たら、お墓とは呼べないようなみすぼらしい墓標と笑うかもしれない。
でも、それがまだ六歳だった私に出来る精一杯だった。
私は二人の声が聞きたくて、毎日お墓に花を手向けた。
そんなある日、一人の老人が私のところへやってきた。
彼はエルフの村の長老だと名乗った。
「アクアリーテよ、村に来るが良い。掟ゆえにそなたの両親を村に入れることは叶わなかったが、そなたには罪はない。幼子がこのような場所で暮らすのは辛かろう」
私は彼の言葉に首を横に振った。
だって、私のお母さんとお父さんがいるのはここだから。ここだけだから。
頑なに首を横に振り続ける私を見て、立ち尽くす長老の後ろから一人の背の高いエルフがやってくる。
私を見下ろすと冷たい眼差しで言った。
それは竜のごとく勇ましい心を持つ女将軍ミネルバに相応しい必殺の技だ。
そしてその威力は、普段よりも遥かに増している。
見事な一刀が縦に切り裂くと、繭は炎を上げる。
そんなミネルバとレイアの姿を見て、ロザミアも剣を構えた。
「私は主殿に救われた。それだけじゃない、アルフレッド殿下のことも闇から救ってくれた。主殿は私にとって誰よりも大事な人だ」
彼女が兄と慕った翼人の王子アルフレッドは荒み切っていたが、レオンに敗北したことで高潔な武人の魂を取り戻した。
ロザミアは、仲間のために一心に祈るアクアリーテを見つめる。
「そして、ティアナは戦うことしか知らない私に色々なことを教えてくれた」
子供たちと触れ合い、楽しく笑って一緒にご飯を食べる。そんな生活がロザミアにとってはとても幸せだったのだ。
ティアナと一緒に握ったおむすびのことが、ロザミアには忘れられない。
料理と呼ぶにはあまりにも簡易なものではあるが、それでも幼い頃から剣の修業だけに明け暮れてきたロザミアにとってはかけがえのない出来事だった。
心を込めて握ったそれをアルフレッドが美味しそうに食べてくれた時のことを思うと、暖かい気持ちになっていく。
「ティアナ……」
ロザミアはティアナの力を感じた。
アクアリーテの姿になった彼女が描いた青い魔法陣が、ロザミアたちにも力を与えてくれている。
レイアやミネルバが限界以上の力を発揮することが出来たのは、彼女たちの素質の高さはもちろんだが、この魔法陣の力も大きいだろう。
ロザミアは魔法陣に込められた祈りと願いを感じながら大きく白い翼を広げた。
「約束したのだ。ティアナとまた一緒におむすびを握ると。みんなで笑顔でそれを一緒に食べるのだ!」
それだけでいい。そんな日常が彼女にとって一番の幸せなのだから。
ロザミアの切なる願いが、彼女自身の力を覚醒させる。
広げた翼が強烈な光を纏っていく。
同じ白い翼を持つアルフレッドの翼の輝きに勝るとも劣らないその力、それはまさしく白翼人に秘められた力だ。
翼の輝きが最大限に高まった瞬間、ロザミアの姿がその場から掻き消える。
そして、同時に幾つものロザミアの姿が舞うように現れた。
「はぁあああああ! 白翼天舞!!」
それはロザミアの新たなる力だ。
華麗に宙を舞う姿はまさに剣を持つ天使だ。
だが、その可憐さとは裏腹に、凄まじい速さの斬撃が同時に幾つかの繭を切り裂いて、塵に帰していく。
そんな彼女たちの姿を眺めながら、ゼキレオス王は頷いた。
「三人とも見事なものよ。そして、水の女神の助力に感謝する!」
そう言うと彼も手にした剣を構え、目の前の繭を一刀両断した。
「ぬぅうううん!」
騎士王と称えられた男の剣は見事に繭を切り裂くと、その闘気が燃やし尽くした。
国王は返す刀でもう一つ繭を切り裂く。
すると、中から零れ出た何かが、ゼキレオスの闘気で焼かれながらも声を上げた。
「ギギギィイ!!」
無機質な目をしたそれは、邪悪な瘴気を放ちながら燃え尽きていく。
まだ不完全で、何かになる前の姿をしているように見えるそれはおぞましく、オリビアはその場に思わず嘔吐した。
「見るでない、リヴィ」
娘のことを気遣う父親に、オリビアは首を横に振った。
「お父様、私のことは気になさらないで! それよりも少しでも早く、全ての繭を……」
オリビアは先ほど感じた瘴気に背筋が寒くなった。
(あんなものが成長して地上へと溢れたら。きっとこの世界は、今までとは全く違うものになってしまう)
ジュリアンが言うようにまさにこの世の終わりだろう。
オリビアはそう思った。
そんな王女の懸念を払拭せんと、ロザミアやミネルバたちは国王と共に周囲の繭を切り裂いていく。
その姿を上空から見て、フレアやシルフィは希望の光を見出したような声を上げた。
「見て、シルフィ! ロザミアたちが!」
「ええ! ロザミア、ミネルバ、レイア、それにゼキレオス! そうよフレア、戦っているのは私たちだけじゃない!!」
ジークたちや精霊たちではなく、眼下に見える巨大な地下庭園の中で全身全霊の力を込めて剣を振るう仲間たちの姿に、フレアとシルフィは奮い立つ。
精霊たちに対峙しているジュリアンは、ミネルバたちを眺めながら笑みを浮かべた。
「ふふ、あの繭を切り裂くほどの力に目覚めるとは、見事なものですね。もし彼女たちで人魔錬成の実験をしていたのならば、邪龍と化したレオナールよりも遥かにいい結果が得られたでしょうに。実に残念です」
それを聞いてシルフィが牙を剥いた。
「実験ですって! そのおぞましい実験で一体どれほどの命を犠牲にしてきたの!?」
フレアは怒りに満ちた目でジュリアンに言い放つ。
「ロザミアたちが私に勇気をくれたわ! 私たちは負けない! ジュリアン、貴方はここで私たちが倒す!!」
神獣オベルティアスも精霊たちと共にジュリアンを取り囲んでいる。
「この命が尽きたとしてもな!」
ジュリアンはそんな彼らに問いかけた。
「出来ますか? 最後まで足掻くその姿は美しい。ですが、レディンが言ったように、貴方たちを待つのは逃れられない死です」
「黙りなさい! ジュリアン!!」
目の前の男に対する怒りがフレアの可憐な顔を怒りに染める。
そして、その背に湧き上がった炎は輝きを増し、白い光と化していく。
「ほむら! 私にもう一度未来を拓く力を!!」
フレアの右手の薙刀が白い炎に包まれていった。
その輝きが頂点に達した時、フレアの体にヤマトの古の神の力が宿る。
美しい後光が華奢な体の後ろで輝くと、フレアはジュリアンに向かって一直線に突き進む。
「鬼神霊装アマテラス! 陽光滅魔の太刀!!」
オベルティアスはその輝きを見て思わず目を見開く。
初めて自分と戦った時のフレアとは比べ物にならない力だ。
(あの小娘がよくここまでの力を、見事なものだ。これならばジュリアンといえど滅するしかあるまい!)
その考えが正しいことを証明するかのように、フレアが鮮やかに振るった刃がジュリアンの法衣の胸元を大きく切り裂いた。
だが、ジュリアンの目はフレアの動きをしっかりと捉えている。
法衣から覗く女性のような美しく白い肌には、浅く切り傷が刻まれていた。
「やりますね。まさか、四英雄以外にこの私の体に傷をつける者がいるとは。フレアと言いましたね、貴方は本当に素晴らしい」
ジュリアンは自分の懐に飛び込んできたフレアをそのまま優雅に抱き留める。
思いがけないその行動に、フレアは一瞬動きを止めた。
すると強烈な力がフレアの体を拘束する。
「うっ! うぁあああああ!!」
彼女の体を拘束したのは、いつの間にかジュリアンの腰から生えてきた龍の尾だ。
それが、巨大な鞭のようにフレアの体をからめとっている。
神龍の尾が華奢な体を締め上げ、フレアに悲鳴を上げさせる。
「うぁああああ!!!」
「いかん!」
「フレア!!!」
彼女の苦しげな姿を見て、シルフィとオベルティアスがジュリアンへと襲い掛かる。
ジュリアンは強烈な力を放つ尾の先をフレアの細い首に巻きつかせ、シルフィたちに言う。
「いいのですか? それ以上動けば、この娘の首をへし折りますよ?」
嫣然と笑みを浮かべながらも、その目は冷酷そのものだ。
もし従わなければ、言葉通りフレアの命はないと悟り、シルフィとオベルティアスは身を翻し後ろへと下がる。
「おのれ、卑劣な!」
「ジュリアン!!」
怒りに満ちたシルフィの表情を眺めながら、ジュリアンはフレアに顔を寄せる。
自分が仲間の足かせになっていることに、フレアは唇を噛み締める。
ジュリアンを睨み、掠れ声を上げた。
「こ、殺しなさい……ジークやみんなのためならこの命、惜しくなんかないわ!」
「いい覚悟です。その誇り高さが私の興味をそそらせる」
そう言うと、ジュリアンはフレアの瞳を覗き込み、まるで悪魔が囁くように彼女の耳元で妖艶な唇を開く。
「そんな貴方がもし、仲間を裏切って彼らに刃を向けるようなことになればどうでしょう? ふふ、貴方にとっては死ぬよりも受け入れがたいことでしょうね」
「ふざけないで! 誰がそんな!」
龍の尾で首を締め上げられながらも、フレアは怒りの眼差しでそう答える。
当然だろう。真っすぐで誰よりも仲間思いのフレアが、彼らを裏切ることなどあり得ない。
このまま首をへし折られるとしても受け入れるはずがない話だ。
だが──
「言ったはずですよ。賢者の石の力を甘く見ない方がいいと」
ジュリアンの目が妖しい光を帯びると、額の賢者の石が光を放ち始める。
そして自分の額をフレアの額に近づけた。
(何をするつもりなの!?)
フレアは必死に体をよじるが、凄まじい力で拘束されているため身動きが出来ない。
ジュリアンはそんなフレアに語り掛ける。
「ふふ、せいぜい抵抗してみせてください。その方が私は楽しめる」
その瞬間、フレアは自分の中に何かが入り込もうとしているのを感じた。
自分の中を何かが侵食していくおぞましい感覚に身を震わせる。
「──!!!」
フレアは自分の意志を塗り替えられていくような気がして、声も出せずに大きく体を反らす。
それはかつて、ジュリアンの差し金によって、ミネルバが黒い宝玉に支配された時の状況によく似ている。
だが、賢者の石はそれよりも遥かに強い力でフレアを支配しようと、精神への侵食を続けた。
「素晴らしい。貴方が必死に抵抗しているのが分かりますよ。これほどの意志の強さを持つ者は少ない。貴方の仲間たちへの思いを感じます。そんな貴方だからこそ闇に染まっていく姿は美しい」
「うっ! ぐぅううう!!!」
フレアの顔が苦悶に歪み、手足が激しく痙攣する。
鬼の血を引く証である手の爪が伸び、額の角が大きくなっていく。
そして、彼女が纏う炎が次第に黒く染まっていった。
「殺せ! 殺してぇええ!!」
そんなフレアの姿を見てシルフィは叫んだ。
「フレア!!!」
そして、彼女を締め上げている龍の尾を見て絶望する。
(どうすれば、一体どうすればいいの? もし、あの男が言うようにフレアが……)
フレアを助けに飛び込めば、彼女の首は神龍の尾によってへし折られる。
だが、このまま何もしなければ、ジュリアンに支配されたフレアと戦うことになるかもしれない。
シルフィは悲痛な思いでフレアを見つめる。
(そうなったら、私に出来るの? フレアに牙を向けるなんて)
シルフィにとってフレアは妹も同然だ。
牙を剥き、ましてや命を奪うなどあり得ない。
シルフィの葛藤する表情にフレアは涙を流す。
だが、ジュリアンの支配がそんなフレアを容赦なく侵食し、彼女の纏う炎を完全に黒く染め上げていった。
心の中に制御出来ない怒りが湧き上がっていく。
幼い頃、鬼の血を引く者として理不尽に祖父母に殴られ殺されそうになったこと。
そして、たった一人で森の奥に入って泣きながら暮らしたこと。
その怒りが、悲しみが、フレアの心を闇に染めていく。
「いや……ほむら、ジーク……シルフィ」
自分を悲しみと寂しさから救い出してくれたほむらの手を、ジークやシルフィたちとの大切な思い出を全て闇に塗りつぶされていくような感覚に、フレアは叫んだ。
「いやぁああああああああ!!!」
血の涙を流しながらその体は黒く染まっていく。
そして、自分の中の温かい心が死んでいく気がして絶望した。
その瞬間──
フレアは何者かが突如現れ、ジュリアンの龍の尾を切り裂くのを見た。
そして優しく彼女をその腕に抱きかかえる。
その顔を見てフレアは涙を流す。
「ジーク……」
ジュリアンでさえフレアの首の骨を折ることが出来ないほどの速さで、彼女を救い出したのはジークだ。
あの状況でこんな真似が出来るのは彼しかいないだろう。
「フレア」
優しく彼女を見つめるジークの瞳を見て、フレアは呟いた。
「どうして……」
フレアの目から大粒の涙が零れ出た。
時の流れがまるでスローモーションのように感じる。
今、ジークが自分の傍にいるということは、レディンと戦うジークたちの絶対防御の布陣が崩れたことを意味する。
それがもたらす結果が何なのかをよく知るフレアは、全身が凍り付く思いだった。
龍の尾を切り落とされただけで、辛うじて後方へ逃れたジュリアンが、笑みを浮かべる。
「ふふ、世界より仲間を選んだようですね。獅子王ジーク、貴方らしい。ですがこれで終わりです」
フレアは、ジークが彼女をその腕から離すのを感じた。
彼がフレアを突き放したのは、彼女を守るためだ。
フレアはそれを悟って悲鳴を上げた。
「いやぁああああ!! ジークぅうううう!!!」
その悲鳴と同時にジークの胸を鋭い刃が貫いていた。
フレアはジークに向かって手を伸ばした。
ジークを貫いたのは、レディンの背から長く伸びた翼の一枚だ。
その光景にシルフィは思わず声を失い、オベルティアスは息を呑んだ。
地上にいるゼキレオスたちもあまりの出来事に呆然と立ち尽くした。
レディンの声が響く。
「倒魔流秘奥義、陽炎。くくく、どうだジーク、己の奥義で葬られる気分は」
陽炎を使いジークの背後、それもエルフィウスにとっても死角になる位置に現れたレディンの翼は、ジークを貫いたまま地面へと串刺しにする。
一方でエルフィウスもレディンの翼で肩口を貫かれ、まるで磔にされるがごとく地下庭園の壁に打ち付けられていた。
「主よ!!」
オベルティアスが悲痛な叫び声を上げる。
絶体絶命の状況の中、ジークは体を貫かれたまま再び剣を握る手に力を込めた。
「ぐぅうう!」
壁に磔にされたエルフィウスも最後の力を振り絞るように、剣を握り締めている。
彼らを見下ろしながらレディンは高慢な笑みを浮かべた。
「ほう、急所を外したか、しぶとい連中だ。だが丁度いい。ジーク、そのままそこで水の女神が死ぬのを眺めているがいい」
その瞬間、レディンの残りの四枚の翼がアクアリーテに襲い掛かる。
それはまるで白と黒の死神の鎌だ。
「ふふ、ふはは! 死ぬが良い!!」
翼は無残にも、祈りを捧げる彼女の両手を吹き飛ばし、同時に胴と首をも刎ね飛ばした。
シルフィとフレアは絶望に目を見開く。
「そんな!」
「いやぁあああ!!!」
あまりにも凄惨な光景に、皆息を呑み、オリビアは悲鳴を上げてその場に崩れ落ちる。
そして、ロザミアが絶叫した。
「ティアナぁああああああ!!!」
その悲痛な声は、彼らの敗北を告げるかのように辺りに響き渡っていった。
2 水の女神
ロザミアさんの声が聞こえる。
私はレディンによって切り裂かれた自分の体を見つめていた。
私はティアナ。そして二千年前、アクアリーテと呼ばれていた。
幼い頃に父と母が流行病で死んでしまった後、私は一人でエルフの森の奥の洞窟に住んでいた。
母はエルフの長老の息子からの求婚を断り、父と結婚した。
それがきっかけで母たちは村を追われ、森の奥の洞窟でひっそりと暮らしながら私を産んだと聞いた。
母は亡くなる前、幼い私の手を握り締めて言った。
「アクアリーテ、エルフの村へ行きなさい。罪を犯したのは私たちだけ。貴方には罪はないわ。きっと長老たちも貴方を受け入れてくれる」
「やだもん……アクア、お母さんとお父さんとずっと一緒にいるもん!」
父が優しく私の髪を撫でる。
「許してくれ、アクア。私たちのせいでお前までこんなところで……だが、お前がいてくれたことでどれだけ幸せだったか」
「お父さん、死なないで……お母さん」
私は両親の傍でただずっと手を握っていることしか出来なかった。
気が付くと二人の体は冷たくなっていた。私はとても悲しくなって二人の体に身を寄せて大声を上げて泣いた。
ずっとずっと泣いて、何日か経った後、私は小さな手で一生懸命に二人のお墓を掘った。
前に母と一緒に飼っていた小鳥が亡くなった時に、母から教わった。
亡くなった後はこうして土に還してあげるのだと。
そして、悲しくなったらそこにやってきて話しかけるのだと。
「お母さん、お父さん……」
こうして土に還してあげたら、二人は私に答えてくれるだろうか。
話しかけたらいつものように笑ってくれるだろうか。
私はボロボロと涙を零した。
傷だらけになった両手で、病気のせいでやせ細った両親の亡骸を引きずるように運ぶと、二人を土に還すために洞窟の傍に埋めた。
そして、洞窟近くの泉の畔に転がる小さな白い石を、幾つも運んでお墓の上に飾り付けた。
エルフの村の人たちが見たら、お墓とは呼べないようなみすぼらしい墓標と笑うかもしれない。
でも、それがまだ六歳だった私に出来る精一杯だった。
私は二人の声が聞きたくて、毎日お墓に花を手向けた。
そんなある日、一人の老人が私のところへやってきた。
彼はエルフの村の長老だと名乗った。
「アクアリーテよ、村に来るが良い。掟ゆえにそなたの両親を村に入れることは叶わなかったが、そなたには罪はない。幼子がこのような場所で暮らすのは辛かろう」
私は彼の言葉に首を横に振った。
だって、私のお母さんとお父さんがいるのはここだから。ここだけだから。
頑なに首を横に振り続ける私を見て、立ち尽くす長老の後ろから一人の背の高いエルフがやってくる。
私を見下ろすと冷たい眼差しで言った。
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