追放王子の英雄紋! 追い出された元第六王子は、実は史上最強の英雄でした

雪華慧太

文字の大きさ
表紙へ
67 / 91
5巻

5-3

しおりを挟む
「はぁああああああ! 食らいな、ドラゴニックブレイブ!! この先には一歩も行かせないんだよ!」

 それは竜のごとく勇ましい心を持つ女将軍ミネルバに相応しい必殺の技だ。
 そしてその威力は、普段よりも遥かに増している。
 見事な一刀が縦に切り裂くと、繭は炎を上げる。
 そんなミネルバとレイアの姿を見て、ロザミアも剣を構えた。

「私は主殿に救われた。それだけじゃない、アルフレッド殿下でんかのことも闇から救ってくれた。主殿は私にとって誰よりも大事な人だ」

 彼女が兄としたった翼人の王子アルフレッドはすさみ切っていたが、レオンに敗北したことで高潔な武人の魂を取り戻した。
 ロザミアは、仲間のために一心に祈るアクアリーテを見つめる。

「そして、ティアナは戦うことしか知らない私に色々なことを教えてくれた」

 子供たちと触れ合い、楽しく笑って一緒にご飯を食べる。そんな生活がロザミアにとってはとても幸せだったのだ。
 ティアナと一緒に握ったおむすびのことが、ロザミアには忘れられない。
 料理と呼ぶにはあまりにも簡易なものではあるが、それでも幼い頃から剣の修業だけに明け暮れてきたロザミアにとってはかけがえのない出来事だった。
 心を込めて握ったそれをアルフレッドが美味おいしそうに食べてくれた時のことを思うと、暖かい気持ちになっていく。

「ティアナ……」

 ロザミアはティアナの力を感じた。
 アクアリーテの姿になった彼女が描いた青い魔法陣が、ロザミアたちにも力を与えてくれている。
 レイアやミネルバが限界以上の力を発揮することが出来たのは、彼女たちの素質の高さはもちろんだが、この魔法陣の力も大きいだろう。
 ロザミアは魔法陣に込められた祈りと願いを感じながら大きく白い翼を広げた。

「約束したのだ。ティアナとまた一緒におむすびを握ると。みんなで笑顔でそれを一緒に食べるのだ!」

 それだけでいい。そんな日常が彼女にとって一番の幸せなのだから。
 ロザミアの切なる願いが、彼女自身の力を覚醒させる。
 広げた翼が強烈な光を纏っていく。
 同じ白い翼を持つアルフレッドの翼の輝きに勝るともおとらないその力、それはまさしく白翼人に秘められた力だ。
 翼の輝きが最大限に高まった瞬間、ロザミアの姿がその場から掻き消える。
 そして、同時に幾つものロザミアの姿が舞うように現れた。

「はぁあああああ! 白翼天舞はくよくてんぶ!!」

 それはロザミアの新たなる力だ。
 華麗に宙を舞う姿はまさに剣を持つ天使だ。
 だが、その可憐かれんさとは裏腹に、凄まじい速さの斬撃が同時に幾つかの繭を切り裂いて、塵に帰していく。
 そんな彼女たちの姿を眺めながら、ゼキレオス王は頷いた。

「三人とも見事なものよ。そして、水の女神の助力に感謝する!」

 そう言うと彼も手にした剣を構え、目の前の繭を一刀両断した。

「ぬぅうううん!」

 騎士王とたたえられた男の剣は見事に繭を切り裂くと、その闘気が燃やし尽くした。
 国王は返す刀でもう一つ繭を切り裂く。
 すると、中からこぼれ出た何かが、ゼキレオスの闘気で焼かれながらも声を上げた。

「ギギギィイ!!」

 無機質な目をしたそれは、邪悪な瘴気しょうきを放ちながら燃え尽きていく。
 まだ不完全で、何かになる前の姿をしているように見えるそれはおぞましく、オリビアはその場に思わず嘔吐おうとした。

「見るでない、リヴィ」

 娘のことを気遣う父親に、オリビアは首を横に振った。

「お父様、私のことは気になさらないで! それよりも少しでも早く、全ての繭を……」

 オリビアは先ほど感じた瘴気に背筋が寒くなった。

(あんなものが成長して地上へと溢れたら。きっとこの世界は、今までとは全く違うものになってしまう)

 ジュリアンが言うようにまさにこの世の終わりだろう。
 オリビアはそう思った。
 そんな王女の懸念けねん払拭ふっしょくせんと、ロザミアやミネルバたちは国王と共に周囲の繭を切り裂いていく。
 その姿を上空から見て、フレアやシルフィは希望の光を見出したような声を上げた。

「見て、シルフィ! ロザミアたちが!」
「ええ! ロザミア、ミネルバ、レイア、それにゼキレオス! そうよフレア、戦っているのは私たちだけじゃない!!」

 ジークたちや精霊たちではなく、眼下に見える巨大な地下庭園の中で全身全霊の力を込めて剣を振るう仲間たちの姿に、フレアとシルフィは奮い立つ。
 精霊たちに対峙しているジュリアンは、ミネルバたちを眺めながら笑みを浮かべた。

「ふふ、あの繭を切り裂くほどの力に目覚めるとは、見事なものですね。もし彼女たちで人魔錬成の実験をしていたのならば、邪龍と化したレオナールよりも遥かにいい結果が得られたでしょうに。実に残念です」

 それを聞いてシルフィが牙を剥いた。

「実験ですって! そのおぞましい実験で一体どれほどの命を犠牲ぎせいにしてきたの!?」

 フレアは怒りに満ちた目でジュリアンに言い放つ。

「ロザミアたちが私に勇気をくれたわ! 私たちは負けない! ジュリアン、貴方はここで私たちが倒す!!」

 神獣オベルティアスも精霊たちと共にジュリアンを取り囲んでいる。

「この命が尽きたとしてもな!」

 ジュリアンはそんな彼らに問いかけた。

「出来ますか? 最後まで足掻あがくその姿は美しい。ですが、レディンが言ったように、貴方たちを待つのは逃れられない死です」
「黙りなさい! ジュリアン!!」

 目の前の男に対する怒りがフレアの可憐な顔を怒りに染める。
 そして、その背に湧き上がった炎は輝きを増し、白い光と化していく。

「ほむら! 私にもう一度未来をひらく力を!!」

 フレアの右手の薙刀が白い炎に包まれていった。
 その輝きが頂点に達した時、フレアの体にヤマトの古の神の力が宿る。
 美しい後光が華奢きゃしゃな体の後ろで輝くと、フレアはジュリアンに向かって一直線に突き進む。

鬼神霊装きしんれいそうアマテラス! 陽光滅魔ようこうめつま太刀たち!!」

 オベルティアスはその輝きを見て思わず目を見開く。
 初めて自分と戦った時のフレアとは比べ物にならない力だ。

(あの小娘がよくここまでの力を、見事なものだ。これならばジュリアンといえど滅するしかあるまい!)

 その考えが正しいことを証明するかのように、フレアが鮮やかに振るった刃がジュリアンの法衣の胸元を大きく切り裂いた。
 だが、ジュリアンの目はフレアの動きをしっかりと捉えている。
 法衣から覗く女性のような美しく白い肌には、浅く切り傷が刻まれていた。

「やりますね。まさか、四英雄以外にこの私の体に傷をつける者がいるとは。フレアと言いましたね、貴方は本当に素晴らしい」

 ジュリアンは自分の懐に飛び込んできたフレアをそのまま優雅に抱き留める。
 思いがけないその行動に、フレアは一瞬動きを止めた。
 すると強烈な力がフレアの体を拘束する。

「うっ! うぁあああああ!!」

 彼女の体を拘束したのは、いつの間にかジュリアンの腰から生えてきた龍の尾だ。
 それが、巨大なむちのようにフレアの体をからめとっている。
 神龍の尾が華奢な体を締め上げ、フレアに悲鳴を上げさせる。

「うぁああああ!!!」
「いかん!」
「フレア!!!」

 彼女の苦しげな姿を見て、シルフィとオベルティアスがジュリアンへと襲い掛かる。
 ジュリアンは強烈な力を放つ尾の先をフレアの細い首に巻きつかせ、シルフィたちに言う。

「いいのですか? それ以上動けば、この娘の首をへし折りますよ?」

 嫣然えんぜんと笑みを浮かべながらも、その目は冷酷そのものだ。
 もし従わなければ、言葉通りフレアの命はないと悟り、シルフィとオベルティアスは身をひるがえし後ろへと下がる。

「おのれ、卑劣な!」
「ジュリアン!!」

 怒りに満ちたシルフィの表情を眺めながら、ジュリアンはフレアに顔を寄せる。
 自分が仲間の足かせになっていることに、フレアは唇を噛み締める。
 ジュリアンを睨み、掠れ声を上げた。

「こ、殺しなさい……ジークやみんなのためならこの命、惜しくなんかないわ!」
「いい覚悟です。その誇り高さが私の興味をそそらせる」

 そう言うと、ジュリアンはフレアの瞳を覗き込み、まるで悪魔がささやくように彼女の耳元で妖艶ようえんな唇を開く。

「そんな貴方がもし、仲間を裏切って彼らに刃を向けるようなことになればどうでしょう? ふふ、貴方にとっては死ぬよりも受け入れがたいことでしょうね」
「ふざけないで! 誰がそんな!」

 龍の尾で首を締め上げられながらも、フレアは怒りの眼差まなざしでそう答える。
 当然だろう。真っすぐで誰よりも仲間思いのフレアが、彼らを裏切ることなどあり得ない。
 このまま首をへし折られるとしても受け入れるはずがない話だ。
 だが──

「言ったはずですよ。賢者の石の力を甘く見ない方がいいと」

 ジュリアンの目が妖しい光を帯びると、額の賢者の石が光を放ち始める。
 そして自分の額をフレアの額に近づけた。

(何をするつもりなの!?)

 フレアは必死に体をよじるが、凄まじい力で拘束されているため身動きが出来ない。
 ジュリアンはそんなフレアに語り掛ける。

「ふふ、せいぜい抵抗してみせてください。その方が私は楽しめる」

 その瞬間、フレアは自分の中に何かが入り込もうとしているのを感じた。
 自分の中を何かが侵食していくおぞましい感覚に身を震わせる。

「──!!!」

 フレアは自分の意志を塗り替えられていくような気がして、声も出せずに大きく体を反らす。
 それはかつて、ジュリアンの差し金によって、ミネルバが黒い宝玉に支配された時の状況によく似ている。
 だが、賢者の石はそれよりも遥かに強い力でフレアを支配しようと、精神への侵食を続けた。

「素晴らしい。貴方が必死に抵抗しているのが分かりますよ。これほどの意志の強さを持つ者は少ない。貴方の仲間たちへの思いを感じます。そんな貴方だからこそ闇に染まっていく姿は美しい」
「うっ! ぐぅううう!!!」

 フレアの顔が苦悶くもんに歪み、手足が激しく痙攣けいれんする。
 鬼の血を引く証である手の爪が伸び、額の角が大きくなっていく。
 そして、彼女が纏う炎が次第に黒く染まっていった。

「殺せ! 殺してぇええ!!」

 そんなフレアの姿を見てシルフィは叫んだ。

「フレア!!!」

 そして、彼女を締め上げている龍の尾を見て絶望する。

(どうすれば、一体どうすればいいの? もし、あの男が言うようにフレアが……)

 フレアを助けに飛び込めば、彼女の首は神龍の尾によってへし折られる。
 だが、このまま何もしなければ、ジュリアンに支配されたフレアと戦うことになるかもしれない。
 シルフィは悲痛な思いでフレアを見つめる。

(そうなったら、私に出来るの? フレアに牙を向けるなんて)

 シルフィにとってフレアは妹も同然だ。
 牙を剥き、ましてや命を奪うなどあり得ない。
 シルフィの葛藤かっとうする表情にフレアは涙を流す。
 だが、ジュリアンの支配がそんなフレアを容赦なく侵食し、彼女の纏う炎を完全に黒く染め上げていった。
 心の中に制御出来ない怒りが湧き上がっていく。
 幼い頃、鬼の血を引く者として理不尽りふじんに祖父母に殴られ殺されそうになったこと。
 そして、たった一人で森の奥に入って泣きながら暮らしたこと。
 その怒りが、悲しみが、フレアの心を闇に染めていく。

「いや……ほむら、ジーク……シルフィ」

 自分を悲しみと寂しさから救い出してくれたほむらの手を、ジークやシルフィたちとの大切な思い出を全て闇に塗りつぶされていくような感覚に、フレアは叫んだ。

「いやぁああああああああ!!!」

 血の涙を流しながらその体は黒く染まっていく。
 そして、自分の中の温かい心が死んでいく気がして絶望した。
 その瞬間──
 フレアは何者かが突如現れ、ジュリアンの龍の尾を切り裂くのを見た。
 そして優しく彼女をその腕に抱きかかえる。
 その顔を見てフレアは涙を流す。

「ジーク……」

 ジュリアンでさえフレアの首の骨を折ることが出来ないほどの速さで、彼女を救い出したのはジークだ。


 あの状況でこんな真似が出来るのは彼しかいないだろう。

「フレア」

 優しく彼女を見つめるジークの瞳を見て、フレアは呟いた。

「どうして……」

 フレアの目から大粒の涙が零れ出た。
 時の流れがまるでスローモーションのように感じる。
 今、ジークが自分の傍にいるということは、レディンと戦うジークたちの絶対防御の布陣が崩れたことを意味する。
 それがもたらす結果が何なのかをよく知るフレアは、全身が凍り付く思いだった。
 龍の尾を切り落とされただけで、辛うじて後方へ逃れたジュリアンが、笑みを浮かべる。

「ふふ、世界より仲間を選んだようですね。獅子王ジーク、貴方らしい。ですがこれで終わりです」

 フレアは、ジークが彼女をその腕から離すのを感じた。
 彼がフレアを突き放したのは、彼女を守るためだ。
 フレアはそれを悟って悲鳴を上げた。

「いやぁああああ!! ジークぅうううう!!!」

 その悲鳴と同時にジークの胸を鋭い刃が貫いていた。
 フレアはジークに向かって手を伸ばした。
 ジークを貫いたのは、レディンの背から長く伸びた翼の一枚だ。
 その光景にシルフィは思わず声を失い、オベルティアスは息を呑んだ。
 地上にいるゼキレオスたちもあまりの出来事に呆然と立ち尽くした。
 レディンの声が響く。

「倒魔流秘奥義、陽炎。くくく、どうだジーク、己の奥義で葬られる気分は」

 陽炎を使いジークの背後、それもエルフィウスにとっても死角になる位置に現れたレディンの翼は、ジークを貫いたまま地面へと串刺しにする。
 一方でエルフィウスもレディンの翼で肩口を貫かれ、まるではりつけにされるがごとく地下庭園の壁に打ち付けられていた。

「主よ!!」

 オベルティアスが悲痛な叫び声を上げる。
 絶体絶命の状況の中、ジークは体を貫かれたまま再び剣を握る手に力を込めた。

「ぐぅうう!」

 壁に磔にされたエルフィウスも最後の力を振り絞るように、剣を握り締めている。
 彼らを見下ろしながらレディンは高慢な笑みを浮かべた。

「ほう、急所を外したか、しぶとい連中だ。だが丁度いい。ジーク、そのままそこで水の女神が死ぬのを眺めているがいい」

 その瞬間、レディンの残りの四枚の翼がアクアリーテに襲い掛かる。
 それはまるで白と黒の死神の鎌だ。

「ふふ、ふはは! 死ぬが良い!!」

 翼は無残にも、祈りを捧げる彼女の両手を吹き飛ばし、同時に胴と首をも刎ね飛ばした。
 シルフィとフレアは絶望に目を見開く。

「そんな!」
「いやぁあああ!!!」

 あまりにも凄惨な光景に、皆息を呑み、オリビアは悲鳴を上げてその場に崩れ落ちる。
 そして、ロザミアが絶叫した。

「ティアナぁああああああ!!!」

 その悲痛な声は、彼らの敗北を告げるかのように辺りに響き渡っていった。




 2 水の女神


 ロザミアさんの声が聞こえる。
 私はレディンによって切り裂かれた自分の体を見つめていた。
 私はティアナ。そして二千年前、アクアリーテと呼ばれていた。
 幼い頃に父と母が流行はやりやまいで死んでしまった後、私は一人でエルフの森の奥の洞窟どうくつに住んでいた。
 母はエルフの長老の息子からの求婚を断り、父と結婚した。
 それがきっかけで母たちは村を追われ、森の奥の洞窟でひっそりと暮らしながら私を産んだと聞いた。
 母は亡くなる前、幼い私の手を握り締めて言った。

「アクアリーテ、エルフの村へ行きなさい。罪をおかしたのは私たちだけ。貴方には罪はないわ。きっと長老たちも貴方を受け入れてくれる」
「やだもん……アクア、お母さんとお父さんとずっと一緒にいるもん!」

 父が優しく私の髪を撫でる。

「許してくれ、アクア。私たちのせいでお前までこんなところで……だが、お前がいてくれたことでどれだけ幸せだったか」
「お父さん、死なないで……お母さん」

 私は両親の傍でただずっと手を握っていることしか出来なかった。
 気が付くと二人の体は冷たくなっていた。私はとても悲しくなって二人の体に身を寄せて大声を上げて泣いた。
 ずっとずっと泣いて、何日か経った後、私は小さな手で一生懸命に二人のお墓を掘った。
 前に母と一緒に飼っていた小鳥が亡くなった時に、母から教わった。
 亡くなった後はこうして土にかえしてあげるのだと。
 そして、悲しくなったらそこにやってきて話しかけるのだと。

「お母さん、お父さん……」

 こうして土に還してあげたら、二人は私に答えてくれるだろうか。
 話しかけたらいつものように笑ってくれるだろうか。
 私はボロボロと涙を零した。
 傷だらけになった両手で、病気のせいでやせ細った両親の亡骸なきがらを引きずるように運ぶと、二人を土に還すために洞窟の傍に埋めた。
 そして、洞窟近くの泉のほとりに転がる小さな白い石を、幾つも運んでお墓の上に飾り付けた。
 エルフの村の人たちが見たら、お墓とは呼べないようなみすぼらしい墓標ぼひょうと笑うかもしれない。
 でも、それがまだ六歳だった私に出来る精一杯だった。
 私は二人の声が聞きたくて、毎日お墓に花を手向たむけた。
 そんなある日、一人の老人が私のところへやってきた。
 彼はエルフの村の長老だと名乗った。

「アクアリーテよ、村に来るが良い。おきてゆえにそなたの両親を村に入れることはかなわなかったが、そなたには罪はない。幼子がこのような場所で暮らすのは辛かろう」

 私は彼の言葉に首を横に振った。
 だって、私のお母さんとお父さんがいるのはここだから。ここだけだから。
 かたくなに首を横に振り続ける私を見て、立ち尽くす長老の後ろから一人の背の高いエルフがやってくる。
 私を見下ろすと冷たい眼差しで言った。


しおりを挟む
表紙へ
感想 114

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。