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連載
237、統率する者
巨大な女王蟻がそう叫ぶと同時に、その宿主である真紅のドラゴンはエリクに向かって突進した。
正確に言えばそうなるように、この広間に入ってからエリクが立ち振る舞ってきたのだ。
集団の中心に立ち、あからさまに皆に指示を出す。
相手の群れに君臨するモノに、こちらの群れのリーダーが誰なのかということを示した。
それ故に、支配者であるクイーンの怒りが、自分に向けられていることは承知している。
「生憎、こちらの群れは皆とても頼りになりましてね。私を気にかけている暇などありませんよ」
エリクはそう口にする。
同時に、前方に意識を集中しているクイーンの背中に白と赤の光が輝いた。
敵の背後に回り込み疾走したアンジェとオリビアが、クイーンの胴体と頭の隙間を剣で貫いて魔法剣から魔力を放っている。
『紅』と『ソード・オブ・エンジェル』の輝きが増す。
「「はぁああああああ!!」」
女王の体が反り返り、巨大な羽根が二人を払いのけようと羽ばたく。
ギィイイイイイイイイイイ!!
だが!
鮮やかなヒットアンドアウェイ。
クイーンが咆哮した時には、もう二人はそこにはいなかった。
空中でクルリと一回転し、音もなく着地するアンジェ。
そして、そのすぐ横に舞い降りるオリビア。
「ふん! 中々やるじゃない、オリビア!」
「貴方もね、アンジェ」
可憐なダークエルフの舞姫と、美しいエンジェルナイト。
その見事な連携。
寄生生物への攻撃に、宿主である巨大なリザードドラゴンの体が反り返り叫び声を上げている。
「今よ! シェリル」
「分かってるにゃ、エリス! ファイヤーランス!!」
二筋の炎の槍が、赤いドラゴンの口腔を突き抜ける。
巨大な尾が左右に振り回された。
これでも絶命しないのは、クイーンの分泌液と支配がもたらした肉体の強化ゆえだろう。
それどころか深い傷を負ったことで、益々凶暴になっている。
「なんて生命力なの!」
「アンジェ、一度下がるわよ危険だわ!」
身構えるアンジェとオリビアの守るように立つエイジとライアン。
仲間に向かって振り下ろされる尾撃。
エイジの大剣が迎撃の一閃を放つ!
ザン!!
袈裟切りで、太い尾を両断する。
(速ええ……こいつのここぞって時の気迫と集中力は並みじゃねえ)
ライアンは思わず舌を巻いた。
エイジはそのまま身を低くして踏み込むと、大剣をしまい同時に片手剣を抜く。
もはや完全にAランクの剣士と言ってもいいだろう。
いつしまい、いつ抜いたのかと思えるほどの速さ。
エリクはそれ見て嘆息した。
「もう彼は私よりも強いですね」
赤いドラゴンのアギトが、エイジをかみ砕く。
「「エイジ!」」
思わず声を上げるエリスとリアナ!
クイーンの分泌液で、最大限まで強化されたその動き。
それはもはや、他の個体とは別次元の魔物と言ってもいいだろう。
ギィイイイイイイイイイ!!
獲物をしとめた事に満足して、残忍な笑いを浮かべているようにさえ見える女王の姿。
だが、アギトにかみ砕かれたのは、少年の残像に過ぎない。
その時には既に、それをかわして力強く踏み込んだエイジの剣が美しい十字を描いていた。
「おおおおおおおお!! クロススラッシュ!」
刹那の攻防。
迷いもなく踏み込んだ少年の技量と勇気。
「お見事!」
討伐隊の隊長は、思わず心からの賞賛を口にした。
断末魔の咆哮を上げる宿主、その体に融合するがごとく寄生している生物。
その体も白い炎で焼かれていく。
エリクは思った。
(彼には、私には見えていない世界が見えている。直にAランクの領域を超えるでしょうね。Sランクの冒険者、いやもしかしたらそれ以上の存在になるかもしれない)
正確に言えばそうなるように、この広間に入ってからエリクが立ち振る舞ってきたのだ。
集団の中心に立ち、あからさまに皆に指示を出す。
相手の群れに君臨するモノに、こちらの群れのリーダーが誰なのかということを示した。
それ故に、支配者であるクイーンの怒りが、自分に向けられていることは承知している。
「生憎、こちらの群れは皆とても頼りになりましてね。私を気にかけている暇などありませんよ」
エリクはそう口にする。
同時に、前方に意識を集中しているクイーンの背中に白と赤の光が輝いた。
敵の背後に回り込み疾走したアンジェとオリビアが、クイーンの胴体と頭の隙間を剣で貫いて魔法剣から魔力を放っている。
『紅』と『ソード・オブ・エンジェル』の輝きが増す。
「「はぁああああああ!!」」
女王の体が反り返り、巨大な羽根が二人を払いのけようと羽ばたく。
ギィイイイイイイイイイイ!!
だが!
鮮やかなヒットアンドアウェイ。
クイーンが咆哮した時には、もう二人はそこにはいなかった。
空中でクルリと一回転し、音もなく着地するアンジェ。
そして、そのすぐ横に舞い降りるオリビア。
「ふん! 中々やるじゃない、オリビア!」
「貴方もね、アンジェ」
可憐なダークエルフの舞姫と、美しいエンジェルナイト。
その見事な連携。
寄生生物への攻撃に、宿主である巨大なリザードドラゴンの体が反り返り叫び声を上げている。
「今よ! シェリル」
「分かってるにゃ、エリス! ファイヤーランス!!」
二筋の炎の槍が、赤いドラゴンの口腔を突き抜ける。
巨大な尾が左右に振り回された。
これでも絶命しないのは、クイーンの分泌液と支配がもたらした肉体の強化ゆえだろう。
それどころか深い傷を負ったことで、益々凶暴になっている。
「なんて生命力なの!」
「アンジェ、一度下がるわよ危険だわ!」
身構えるアンジェとオリビアの守るように立つエイジとライアン。
仲間に向かって振り下ろされる尾撃。
エイジの大剣が迎撃の一閃を放つ!
ザン!!
袈裟切りで、太い尾を両断する。
(速ええ……こいつのここぞって時の気迫と集中力は並みじゃねえ)
ライアンは思わず舌を巻いた。
エイジはそのまま身を低くして踏み込むと、大剣をしまい同時に片手剣を抜く。
もはや完全にAランクの剣士と言ってもいいだろう。
いつしまい、いつ抜いたのかと思えるほどの速さ。
エリクはそれ見て嘆息した。
「もう彼は私よりも強いですね」
赤いドラゴンのアギトが、エイジをかみ砕く。
「「エイジ!」」
思わず声を上げるエリスとリアナ!
クイーンの分泌液で、最大限まで強化されたその動き。
それはもはや、他の個体とは別次元の魔物と言ってもいいだろう。
ギィイイイイイイイイイ!!
獲物をしとめた事に満足して、残忍な笑いを浮かべているようにさえ見える女王の姿。
だが、アギトにかみ砕かれたのは、少年の残像に過ぎない。
その時には既に、それをかわして力強く踏み込んだエイジの剣が美しい十字を描いていた。
「おおおおおおおお!! クロススラッシュ!」
刹那の攻防。
迷いもなく踏み込んだ少年の技量と勇気。
「お見事!」
討伐隊の隊長は、思わず心からの賞賛を口にした。
断末魔の咆哮を上げる宿主、その体に融合するがごとく寄生している生物。
その体も白い炎で焼かれていく。
エリクは思った。
(彼には、私には見えていない世界が見えている。直にAランクの領域を超えるでしょうね。Sランクの冒険者、いやもしかしたらそれ以上の存在になるかもしれない)
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