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連載
294、再会の時
「よく来たなエイジ、待っていたぞ」
ラエサルのその言葉に、エイジたちは一斉に祭壇の下まで駆け寄った。
祭壇の上から一行を眺める男の姿。
それは紛れもなくラエサル・バルーディンその人である。
エイジは思わず祭壇を見上げて叫んだ。
「ラエサルさん! 一体どうしてここに?」
そして、改めて彼の傍に倒れる魔物の姿を見つめる。
(何て鮮やかな切り口だ。一体どれほどの腕があればあそこまで見事に……この人はやっぱり凄い!)
アンジェがエイジの傍まで駆け寄ると、胸を張って言う。
「だから言ったでしょ? ラエサルは私を心配してきてくれたのよ。ふふ、過保護なんだから」
そう言いながらも嬉しそうなアンジェ。
ラエサルが自分を心配してくれたと思うと、嬉しくて仕方ないのだろう。
アンジェは思う。
実際に昨日だって、酷い冒険者たちに囲まれたときに助けに来てくれた。
幼い頃に父を亡くし、母親の顔しか知らないアンジェにとってはラエサルは特別な存在だ。
お父さんがこんな人だったらと何度思ったことだろう。
アンジェはラエサルに報告したいことを矢継ぎ早に口にする。
「ねえ、ラエサル、私とっても強くなったのよ。エリスやリアナだって、それにねエイジなんて凄く強くなったんだから! 見て、ここはもう地下60階層だもの、私たちだってこれからはラエサルが白王の薔薇を手に入れる手伝いが出来るわ!」
それを聞いてライアンたちが目を丸くする。
「白王の薔薇って……お前たちの目的ってあれのことだったのか?」
「ふにゃ~、驚きにゃ。そりゃあ強くなりたい訳だにゃ」
オリビアはエイジを見つめる。
「白王の薔薇? 貴方には他の冒険者みたいな欲があるようには見えないけど、一体どうしてそんな物を」
白王の薔薇を狙うものは、大抵は欲に満ちた目をしている。
だが目の前の少年からはそれが感じられない。
そのことが不思議に思えたのだ。
パーティメンバーの会話を聞いて、慌てるアンジェ。
「あ……ごめんなさいエイジ」
アンジェは思わずシュンとする。
こんな場所でラエサルに会えた嬉しさで、思わず口が滑ったのだろう。
エイジはエリスと顔を見合わせると、ふぅと溜め息をついた。
「いいさ、アンジェ。ライアンたちは信頼が出来る。俺の加護の力だって知ってるんだ、構わないさ」
エリスが王女であることさえ話さなければ、そこまでは問題がないだろうとエイジは思った。
エリスやリアナも同意見のようで、苦笑はしているが怒ってはいない様子である。
それよりも今は、思わぬ人物にここで出会えた喜びの方が遥かに勝る。
(ここでラエサルさんに会えるなんて!)
エイジは思う。
話したいことが沢山ある。
自分たちが、地下60階層より先に進めるようになったこと。
そして、白王の存在に関する知識。
それをラエサルに話せば、薔薇に関しても何か手がかりが掴めるかもしれない。
(リカルドさんに会いに行くにしても、ラエサルさんがいてくれるのといてくれないのでは全く違うだろう)
二人は知り合いだ。
得体のしれないところがあるリカルドに会う時に、ラエサルがいてくれると心強い。
オリビアが奪われた『鍵』と呼ばれる遺物に、リカルドが絡んでいる可能性がある以上尚更である。
「ラエサルさん。俺白王のことで情報を手に入れたんだ。それに『鍵』や『封印』って呼ばれる遺物のことも」
祭壇に向かう階段を上りながら、ラエサルに語り掛けるエイジ。
静かにそれを見おろしているラエサル。
エイジは感じた。
(どうしたんだラエサルさん? 何だ……何か変な感じがする)
そんなエイジの横を、アンジェが軽やかに駆けあがっていく。
「もう、本当にどうしたのよラエサル。そんなところに突っ立ったままで、変なラエサル!」
ラエサルに駆け寄るアンジェ。
その瞬間──!
エイジの瞳はラエサルの右手がブレるように動くのを、辛うじて捉えた。
「駄目だ、アンジェ!!」
エイジは思わずそう叫んで、アンジェを追って階段を駆け上がっていた。
ラエサルのその言葉に、エイジたちは一斉に祭壇の下まで駆け寄った。
祭壇の上から一行を眺める男の姿。
それは紛れもなくラエサル・バルーディンその人である。
エイジは思わず祭壇を見上げて叫んだ。
「ラエサルさん! 一体どうしてここに?」
そして、改めて彼の傍に倒れる魔物の姿を見つめる。
(何て鮮やかな切り口だ。一体どれほどの腕があればあそこまで見事に……この人はやっぱり凄い!)
アンジェがエイジの傍まで駆け寄ると、胸を張って言う。
「だから言ったでしょ? ラエサルは私を心配してきてくれたのよ。ふふ、過保護なんだから」
そう言いながらも嬉しそうなアンジェ。
ラエサルが自分を心配してくれたと思うと、嬉しくて仕方ないのだろう。
アンジェは思う。
実際に昨日だって、酷い冒険者たちに囲まれたときに助けに来てくれた。
幼い頃に父を亡くし、母親の顔しか知らないアンジェにとってはラエサルは特別な存在だ。
お父さんがこんな人だったらと何度思ったことだろう。
アンジェはラエサルに報告したいことを矢継ぎ早に口にする。
「ねえ、ラエサル、私とっても強くなったのよ。エリスやリアナだって、それにねエイジなんて凄く強くなったんだから! 見て、ここはもう地下60階層だもの、私たちだってこれからはラエサルが白王の薔薇を手に入れる手伝いが出来るわ!」
それを聞いてライアンたちが目を丸くする。
「白王の薔薇って……お前たちの目的ってあれのことだったのか?」
「ふにゃ~、驚きにゃ。そりゃあ強くなりたい訳だにゃ」
オリビアはエイジを見つめる。
「白王の薔薇? 貴方には他の冒険者みたいな欲があるようには見えないけど、一体どうしてそんな物を」
白王の薔薇を狙うものは、大抵は欲に満ちた目をしている。
だが目の前の少年からはそれが感じられない。
そのことが不思議に思えたのだ。
パーティメンバーの会話を聞いて、慌てるアンジェ。
「あ……ごめんなさいエイジ」
アンジェは思わずシュンとする。
こんな場所でラエサルに会えた嬉しさで、思わず口が滑ったのだろう。
エイジはエリスと顔を見合わせると、ふぅと溜め息をついた。
「いいさ、アンジェ。ライアンたちは信頼が出来る。俺の加護の力だって知ってるんだ、構わないさ」
エリスが王女であることさえ話さなければ、そこまでは問題がないだろうとエイジは思った。
エリスやリアナも同意見のようで、苦笑はしているが怒ってはいない様子である。
それよりも今は、思わぬ人物にここで出会えた喜びの方が遥かに勝る。
(ここでラエサルさんに会えるなんて!)
エイジは思う。
話したいことが沢山ある。
自分たちが、地下60階層より先に進めるようになったこと。
そして、白王の存在に関する知識。
それをラエサルに話せば、薔薇に関しても何か手がかりが掴めるかもしれない。
(リカルドさんに会いに行くにしても、ラエサルさんがいてくれるのといてくれないのでは全く違うだろう)
二人は知り合いだ。
得体のしれないところがあるリカルドに会う時に、ラエサルがいてくれると心強い。
オリビアが奪われた『鍵』と呼ばれる遺物に、リカルドが絡んでいる可能性がある以上尚更である。
「ラエサルさん。俺白王のことで情報を手に入れたんだ。それに『鍵』や『封印』って呼ばれる遺物のことも」
祭壇に向かう階段を上りながら、ラエサルに語り掛けるエイジ。
静かにそれを見おろしているラエサル。
エイジは感じた。
(どうしたんだラエサルさん? 何だ……何か変な感じがする)
そんなエイジの横を、アンジェが軽やかに駆けあがっていく。
「もう、本当にどうしたのよラエサル。そんなところに突っ立ったままで、変なラエサル!」
ラエサルに駆け寄るアンジェ。
その瞬間──!
エイジの瞳はラエサルの右手がブレるように動くのを、辛うじて捉えた。
「駄目だ、アンジェ!!」
エイジは思わずそう叫んで、アンジェを追って階段を駆け上がっていた。
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