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373、奪われたもの
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「ララリシア、私はラエサルよりもずっと前に貴方に会っている。貴方はもう覚えてはいないでしょうけどね」
「リカルド!!」
精霊の住処で出会った男の出現に、エリスは思わず声を上げた。
そして、身構える。
それを眺めながら、リカルドは笑みを浮かべる。
「あの『殺せずの聖女』が探す『もう一つの薔薇』。それがトラスフィナの王女だと言うことは分かっていましたが、精霊の住処で貴方の技を見た時は驚きましたよ。それに女王ララリシアの記憶をここまで鮮明に引き出すとは。その真紅の髪、自分の娘に貴方を重ねたのでしょうかね」
「一体何を言っているの……貴方は一体何者なの!?」
まるであの光景を一緒に見ていたかのような口ぶりにエリスは怯えた。
リカルドはその問いには答えずに──
「もしやと思ったのですが期待以上でしたよ。あのイレギュラーの少年といい貴方といい、興味深い存在です。お蔭で収穫がありました、感謝しますよ」
リカルドは静かに、エリスとララリシアに近づいてくる。
(どうして……体が動かない)
エリスは自分の中の何かが、目の前の男に押さえつけられていくのを感じた。
男が持つその剣の力に。
思わずその場に膝を付く。
リカルドはエリスの隣を通り過ぎると、ララリシアに歩み寄る。
呆然とリカルドを見上げるララリシア。
「どういうこと? ラエサルの前に貴方に私が会っているって、そんなはずがないわ……」
そんなはずはない。
悠久の眠りについて、初めて出会ったのはラエサルのはずだ。
ララリシアはそう言いながらも、自分の言っている言葉が偽りであることに気が付いた。
理屈ではない、分かるのだ。
目の前の男の言っていることが真実だと。
一体いつ?
思い出せない。
リカルドの右手に印が浮かび上がり、その手はララリシアの額にそっと添えられた。
「あの時は、まだ魂の覚醒は不完全だった。エリス、貴方のお蔭ですよ。ふふ、完全な形の魂の欠片、確かに貰い受けました」
その瞬間──
ララリシアは苦し気に呻いく。
「うぁあああ!!」
青い髪の少女の体が痙攣しているのが分かる。
「やめて!!」
その場に倒れるララリシアを見て、エリスは叫んだ。
エリスはリカルドの手に輝く光を見た。
「美しい、これが女王ララリシアの魂。欠片といえども十分な価値はある」
エリスは苦し気に声を上げる。
「一体貴方は何者なの? なぜこんなことを」
「貴方と同じ精霊王の血を引く者、とだけ言っておきましょうか。ふふ、エリスまた会いましょう」
気が付くとエリスは、あの研究施設の中に戻っていた。
リカルドが手にした光が、真実の門を消し去ってしまったかのように。
辺りを見渡すが、あの巨大な門もいにしえのローゼディアの都の光景はもう存在していない。
崩れるように床に倒れているララリシア。
そして、エイジたちも皆その場に倒れている。
「エイジ!!」
思わずエリスはエイジの元に駆け寄った。
呼吸と脈を確かめる。
そして安堵の吐息を漏らした。
周囲を見渡すとリカルドの姿はもうない。
「う、ううん……」
「エイジ! エイジ、気が付いたのね!」
いにしえの昔ここで起きた恐ろしいこと、そしてあのリカルドという男。
思い出すとエリスは思わず体が震えた。
その怯えから逃れるかのように、エリスはエイジの体をギュッと抱き締めていた。
「リカルド!!」
精霊の住処で出会った男の出現に、エリスは思わず声を上げた。
そして、身構える。
それを眺めながら、リカルドは笑みを浮かべる。
「あの『殺せずの聖女』が探す『もう一つの薔薇』。それがトラスフィナの王女だと言うことは分かっていましたが、精霊の住処で貴方の技を見た時は驚きましたよ。それに女王ララリシアの記憶をここまで鮮明に引き出すとは。その真紅の髪、自分の娘に貴方を重ねたのでしょうかね」
「一体何を言っているの……貴方は一体何者なの!?」
まるであの光景を一緒に見ていたかのような口ぶりにエリスは怯えた。
リカルドはその問いには答えずに──
「もしやと思ったのですが期待以上でしたよ。あのイレギュラーの少年といい貴方といい、興味深い存在です。お蔭で収穫がありました、感謝しますよ」
リカルドは静かに、エリスとララリシアに近づいてくる。
(どうして……体が動かない)
エリスは自分の中の何かが、目の前の男に押さえつけられていくのを感じた。
男が持つその剣の力に。
思わずその場に膝を付く。
リカルドはエリスの隣を通り過ぎると、ララリシアに歩み寄る。
呆然とリカルドを見上げるララリシア。
「どういうこと? ラエサルの前に貴方に私が会っているって、そんなはずがないわ……」
そんなはずはない。
悠久の眠りについて、初めて出会ったのはラエサルのはずだ。
ララリシアはそう言いながらも、自分の言っている言葉が偽りであることに気が付いた。
理屈ではない、分かるのだ。
目の前の男の言っていることが真実だと。
一体いつ?
思い出せない。
リカルドの右手に印が浮かび上がり、その手はララリシアの額にそっと添えられた。
「あの時は、まだ魂の覚醒は不完全だった。エリス、貴方のお蔭ですよ。ふふ、完全な形の魂の欠片、確かに貰い受けました」
その瞬間──
ララリシアは苦し気に呻いく。
「うぁあああ!!」
青い髪の少女の体が痙攣しているのが分かる。
「やめて!!」
その場に倒れるララリシアを見て、エリスは叫んだ。
エリスはリカルドの手に輝く光を見た。
「美しい、これが女王ララリシアの魂。欠片といえども十分な価値はある」
エリスは苦し気に声を上げる。
「一体貴方は何者なの? なぜこんなことを」
「貴方と同じ精霊王の血を引く者、とだけ言っておきましょうか。ふふ、エリスまた会いましょう」
気が付くとエリスは、あの研究施設の中に戻っていた。
リカルドが手にした光が、真実の門を消し去ってしまったかのように。
辺りを見渡すが、あの巨大な門もいにしえのローゼディアの都の光景はもう存在していない。
崩れるように床に倒れているララリシア。
そして、エイジたちも皆その場に倒れている。
「エイジ!!」
思わずエリスはエイジの元に駆け寄った。
呼吸と脈を確かめる。
そして安堵の吐息を漏らした。
周囲を見渡すとリカルドの姿はもうない。
「う、ううん……」
「エイジ! エイジ、気が付いたのね!」
いにしえの昔ここで起きた恐ろしいこと、そしてあのリカルドという男。
思い出すとエリスは思わず体が震えた。
その怯えから逃れるかのように、エリスはエイジの体をギュッと抱き締めていた。
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