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374、人形の涙
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「エリス……」
エイジは、自分を抱き締める真紅の髪の少女を見つめた。
そして、ハッとした様に周囲を見渡した。
「リカルドは!?」
「消えたわ、私にまた会おうって言い残して。でも、エイジもあの男に会ったの!?」
エリスの言葉にエイジは頷く。
「ああ……」
エイジたちは、リカルドからかつてこの地で何が起きたのかを聞かされた。
精霊呪縛術式。
バルドデオスに奪われた精霊王の力。
精霊王の血族たちの戦い。
そして、ローゼディアが滅んだわけも。
思わず、傍に倒れているララリシアを見つめる。
「ララリシアが、かつてローゼディアの女王だったともあいつは言っていた」
門が強い光を放ち始めた時、リカルドはエイジたちを置いて静かに門の中に消えたのだ。
まるで、その光が目的だったかのように。
エイジたちも後を追ったが、門が放つ光に跳ね返されそれ以上は進むことが出来なかったのを覚えている。
(あいつは、振り返って確かに言った。精霊王の血をひかぬ者は決してここから先には進めないと)
エイジは思わず拳を握りしめる、何も出来なかった自分を思い出したのだ。
エリスは驚いたように呟いた。
「そんなことまで」
「ああ、あの男は自分が精霊王の血を引いていると確かに言った。それにエリスも……」
エリスはエイジを見つめた。
そして、その手を強く握りしめる。
「エイジ、私はこの目で見たわ。精霊王を捕らえその力で天空王を名乗ったバルドデオスの姿を。黒く禍々しい光を放つ巨大な竜だった」
「天空王……」
「ええ、恐ろしい姿だった。今よりも遥かに進んだ文明が次々に破壊されて……精霊たちも、そして精霊の血を引く者たちも次々に殺されていったわ」
怯えるようにエイジに身を寄せるエリス。
そして、その体をしっかりと抱き締めるエイジ。
「くっ……うう」
その時、ラエサルが目を覚ましゆっくりと体を起こすのが見える。
キーラやアンジェ。
そして、リアナやオリビアも目を覚ます。
彼らは一斉に立ち上がり、周囲を警戒した。
「リカルドは!?」
そう言って身構えるアンジェ。
ラエサルとキーラは冷静に状況を判断して呟いた。
「……どうやら、ここにはもういないようだな」
「ええ、私の蜘蛛たちも何の反応もしていない」
Sランク最強クラスの二人の冒険者の言葉に、思わず安堵の溜め息を漏らすリアナたち。
エリスは、自分が見たことをかいつまんで彼らに話した。
キーラが呆然とした顔でエリスを見つめる。
「精霊呪縛術式……リカルドが言った言葉と同じだわ。それに、あの男は私たちにも精霊の血が流れていると言った」
アンジェも頷く。
「その封印から、魂が解放されつつある人間がいるって」
オリビアは、まだ信じられないような顔をしながら言った。
「天空の都市、そんな高度な文明が過去にあったなんて。そこには、魔法科学が発達した世界を廃墟にするような力があったとでもいうの?」
リアナは、まだ目を覚まさないララリシアを見つめる。
先程、治療のためにリアナが様子を確認したが呼吸も鼓動も正常だ。
だが意識はまだ戻っていない。
「ララリシア……可哀想、そんなに長い時をたった一人で」
ラエサルは、そっとララリシアを抱きかかえると髪を撫でた。
その目から涙が一筋零れているからだ。
それは、かつてこの地で戦った女王ララリシアが流した涙なのか、それともこの地に封じられたが如く生き続けてきた人工生命体が流した涙なのか。
青い髪の少女の目がゆっくりと開いていく。
「ラエサル……」
静かにそう呟くララリシア。
「ああ、ララリシア。俺だ」
力強くそう答える男の声に、安心したのかギュッとラエサルにしがみついた。
その少女を見てエリスは気が付いた。
あの門の中で見たララリシアとは違う。
女王と呼ぶのに相応しい気配が消えてしまっている。
まるで、もう一つの人格が消え去ってしまったかのようだ。
(あの光と一緒に)
リカルドの手にあった輝きをエリスは思い出した。
女王ララリシアの魂の欠片。
それでは、いまここにいる少女は誰なのだろうか。
人間に見えるがただの人工生命体、つくられた機械人形に過ぎないのか。
「違うわ……きっと」
エリスはそっと呟いた。
そこに魂があるのかは分からない。
でも、魂が消えたはずの彼女はこうして生きて動いている。
悠久の眠りを覚ましてくれた男性に、しっかりと身を寄せている少女を見てエリスはそう思った。
エイジは、自分を抱き締める真紅の髪の少女を見つめた。
そして、ハッとした様に周囲を見渡した。
「リカルドは!?」
「消えたわ、私にまた会おうって言い残して。でも、エイジもあの男に会ったの!?」
エリスの言葉にエイジは頷く。
「ああ……」
エイジたちは、リカルドからかつてこの地で何が起きたのかを聞かされた。
精霊呪縛術式。
バルドデオスに奪われた精霊王の力。
精霊王の血族たちの戦い。
そして、ローゼディアが滅んだわけも。
思わず、傍に倒れているララリシアを見つめる。
「ララリシアが、かつてローゼディアの女王だったともあいつは言っていた」
門が強い光を放ち始めた時、リカルドはエイジたちを置いて静かに門の中に消えたのだ。
まるで、その光が目的だったかのように。
エイジたちも後を追ったが、門が放つ光に跳ね返されそれ以上は進むことが出来なかったのを覚えている。
(あいつは、振り返って確かに言った。精霊王の血をひかぬ者は決してここから先には進めないと)
エイジは思わず拳を握りしめる、何も出来なかった自分を思い出したのだ。
エリスは驚いたように呟いた。
「そんなことまで」
「ああ、あの男は自分が精霊王の血を引いていると確かに言った。それにエリスも……」
エリスはエイジを見つめた。
そして、その手を強く握りしめる。
「エイジ、私はこの目で見たわ。精霊王を捕らえその力で天空王を名乗ったバルドデオスの姿を。黒く禍々しい光を放つ巨大な竜だった」
「天空王……」
「ええ、恐ろしい姿だった。今よりも遥かに進んだ文明が次々に破壊されて……精霊たちも、そして精霊の血を引く者たちも次々に殺されていったわ」
怯えるようにエイジに身を寄せるエリス。
そして、その体をしっかりと抱き締めるエイジ。
「くっ……うう」
その時、ラエサルが目を覚ましゆっくりと体を起こすのが見える。
キーラやアンジェ。
そして、リアナやオリビアも目を覚ます。
彼らは一斉に立ち上がり、周囲を警戒した。
「リカルドは!?」
そう言って身構えるアンジェ。
ラエサルとキーラは冷静に状況を判断して呟いた。
「……どうやら、ここにはもういないようだな」
「ええ、私の蜘蛛たちも何の反応もしていない」
Sランク最強クラスの二人の冒険者の言葉に、思わず安堵の溜め息を漏らすリアナたち。
エリスは、自分が見たことをかいつまんで彼らに話した。
キーラが呆然とした顔でエリスを見つめる。
「精霊呪縛術式……リカルドが言った言葉と同じだわ。それに、あの男は私たちにも精霊の血が流れていると言った」
アンジェも頷く。
「その封印から、魂が解放されつつある人間がいるって」
オリビアは、まだ信じられないような顔をしながら言った。
「天空の都市、そんな高度な文明が過去にあったなんて。そこには、魔法科学が発達した世界を廃墟にするような力があったとでもいうの?」
リアナは、まだ目を覚まさないララリシアを見つめる。
先程、治療のためにリアナが様子を確認したが呼吸も鼓動も正常だ。
だが意識はまだ戻っていない。
「ララリシア……可哀想、そんなに長い時をたった一人で」
ラエサルは、そっとララリシアを抱きかかえると髪を撫でた。
その目から涙が一筋零れているからだ。
それは、かつてこの地で戦った女王ララリシアが流した涙なのか、それともこの地に封じられたが如く生き続けてきた人工生命体が流した涙なのか。
青い髪の少女の目がゆっくりと開いていく。
「ラエサル……」
静かにそう呟くララリシア。
「ああ、ララリシア。俺だ」
力強くそう答える男の声に、安心したのかギュッとラエサルにしがみついた。
その少女を見てエリスは気が付いた。
あの門の中で見たララリシアとは違う。
女王と呼ぶのに相応しい気配が消えてしまっている。
まるで、もう一つの人格が消え去ってしまったかのようだ。
(あの光と一緒に)
リカルドの手にあった輝きをエリスは思い出した。
女王ララリシアの魂の欠片。
それでは、いまここにいる少女は誰なのだろうか。
人間に見えるがただの人工生命体、つくられた機械人形に過ぎないのか。
「違うわ……きっと」
エリスはそっと呟いた。
そこに魂があるのかは分からない。
でも、魂が消えたはずの彼女はこうして生きて動いている。
悠久の眠りを覚ましてくれた男性に、しっかりと身を寄せている少女を見てエリスはそう思った。
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