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378、イレギュラー
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「ええ、行きましょうラエサルさん。俺たちの新しいアジトに!」
エイジの言葉にラエサルは頷く。
施設の扉から外に出ると85階層からさらに下に向かう一行。
アンジェはラエサルに尋ねる。
「ねえ、ラエサル。その新しいアジトって場所はどこにあるの?」
「ああ、ここから西に向かって4階層下の89階層だ。目的地の精霊の霊廟とやらの真上にあたる場所だな」
それを聞いてエイジは言った。
「それなら丁度いいですね」
「だが、まずはその場所の安全の確認が第一だ。お前たちにも疲れが見える、今無理をしてその試練とやらに挑むにはリスクもあるだろう」
ラエサルの言葉にエイジは頷いた。
「確かに、エリス達も疲れている。一度ゆっくりと体を休めた方がいいか」
エイジはそう言ってエリスたちを見る。
気を張っているからだろう、その眼差しはしっかりとはしているが疲労の色は隠しきれない。
彼女たちに負担をかけないように、魔物との戦いはラエサルとキーラ、そしてエイジが中心となって戦っていく。
エイジはエレメンタルフュージョンをしながら精霊たちに様々な報告を伝える。
これからの戦いがさらに熾烈を極める可能性があることも。
リイムとミイムはエイジに答えた。
『分かったわエイジ。でも私、貴方についていく!』
『ミイムもエイジと一緒に行くです! ミイムはエイジと一緒にいたいです!!』
『リイム、ミイム、ありがとな』
エイジに礼を言われて嬉しそうな二人。
一方でファルティーシアはエイジに言った。
『精霊呪縛術式。なるほど、エイジそれで貴方の強さの秘密の一つが分かった気がします』
『俺の強さの秘密? どういうことですか、ファルティーシアさん』
エイジは首を傾げた。
ファルティーシアはそれに答えるように言う。
『リカルドは貴方たちに言ったのですよね?「貴方たちの魂は縛られている。そして、それに気が付いていない」と』
『ええ、ファルティーシアさん。それにラエサルさんたちが、その呪縛から解放されかけているって』
エイジの言葉にファルティーシアは暫く考え込むと。
『そして、エリスが真実の大門の中で出会った女王ララリシアと呼ばれる人物は「この光が、かつて地上に住む全ての人間達の精霊の力を封じた。精霊呪縛術式、再び悲劇を繰り返さない為に作られた魂の足枷よ」と言ったそうですね?』
『エリスからそう聞きました、間違いないと思います』
ファルティーシアはエイジに言う。
『つまり、この世界の人間にはかつて女王ララリシアたちの手によって何らかの術がかけられていることになる。内に宿る精霊の力を最大限には発揮できないようにね。己の兄がもたらした滅びの光景を目の当たりにして、彼女はそれを選ばざるをえなかったのでしょう。再び彼のような男が現れぬように』
『でもファルティーシアさん、そんなことが出来るんですか?』
『私には到底思いつかない。しかも、それはこの地にすむ人々、その子々孫々に受け継がれていることになる。一体どんなことをすればそれが可能なのか……魔法科学、当時の知識がどれほどのものであったのかを物語っていますね』
ファルティーシアの言葉にエイジも頷いた。
『確かに、凄い文明だったんだろうな。俺にも想像もつかないや』
そういいながらエイジはふと疑問を感じた。
ファルティーシアは先程、貴方の強さの秘密が分かったと言った。
それはどういう事だろうか?
『ファルティーシアさん、さっきの言葉の意味は一体……』
エイジがファルティーシアに問いかけると、ファルティーシアは笑った。
『精霊使いと呼ばれる者達、彼らは内なる精霊の力ではなく精霊と融合することでその力を発揮する。エイジ、それは分かりますね』
『ええ、実際にリイムやミイム、そしてファルティーシアさんの力を借りて俺は今こんな場所でも戦えている』
ファルティーシアはエイジに答える。
『精霊との相性、エイジ、貴方はそれが高すぎるのですよ。普通の精霊使いではありえないほどね』
『俺が? 一体どうして……』
エイジの疑問にファルティーシアは静かに彼を見つめると。
『分かりませんか? エイジ。貴方が精霊呪縛術式に縛られてない存在だからですよ。内なる精霊の力を抑え込むそれは、精霊使いとしての力さえも制限する。精霊の力を抑制するのが目的の術だとしたら、ある意味当然のことだと言えます』
エイジはハッとした。
(そうか、俺はこの世界の人間じゃない。だからか?)
それに気が付いたとき、エイジはもう一つの疑問にぶつかった。
なぜそれをファルティーシアが知っているのかという疑問だ。
『ファルティーシアさん、どうして……』
『初めて第三の目を開いたときに、貴方の精神と私は少しの間ではありますが完全に一つになった。その時分かったのです、貴方は元々この世界の人間ではないと』
それを聞いてエイジは思わず言葉を失った。
この秘密は誰にも打ち明けてはいない。
話しても到底信じてもらえない事実だ。
知っている者がいるとしたら、メグたちウォータードルフィンだけだろう。
エイジの世界を見て、好奇心故にそれを新たに記録した者達。
あの時、エイジは確かに彼らと精神を一部共有していた。
それと同じようなことが、ファルティーシアの間にもあったのだろう。
『つまり貴方は人でありながら精霊呪縛術式、その呪縛を受けていない存在だということです。リカルドが貴方をイレギュラーと呼んだのはそれが理由でしょう』
エイジの言葉にラエサルは頷く。
施設の扉から外に出ると85階層からさらに下に向かう一行。
アンジェはラエサルに尋ねる。
「ねえ、ラエサル。その新しいアジトって場所はどこにあるの?」
「ああ、ここから西に向かって4階層下の89階層だ。目的地の精霊の霊廟とやらの真上にあたる場所だな」
それを聞いてエイジは言った。
「それなら丁度いいですね」
「だが、まずはその場所の安全の確認が第一だ。お前たちにも疲れが見える、今無理をしてその試練とやらに挑むにはリスクもあるだろう」
ラエサルの言葉にエイジは頷いた。
「確かに、エリス達も疲れている。一度ゆっくりと体を休めた方がいいか」
エイジはそう言ってエリスたちを見る。
気を張っているからだろう、その眼差しはしっかりとはしているが疲労の色は隠しきれない。
彼女たちに負担をかけないように、魔物との戦いはラエサルとキーラ、そしてエイジが中心となって戦っていく。
エイジはエレメンタルフュージョンをしながら精霊たちに様々な報告を伝える。
これからの戦いがさらに熾烈を極める可能性があることも。
リイムとミイムはエイジに答えた。
『分かったわエイジ。でも私、貴方についていく!』
『ミイムもエイジと一緒に行くです! ミイムはエイジと一緒にいたいです!!』
『リイム、ミイム、ありがとな』
エイジに礼を言われて嬉しそうな二人。
一方でファルティーシアはエイジに言った。
『精霊呪縛術式。なるほど、エイジそれで貴方の強さの秘密の一つが分かった気がします』
『俺の強さの秘密? どういうことですか、ファルティーシアさん』
エイジは首を傾げた。
ファルティーシアはそれに答えるように言う。
『リカルドは貴方たちに言ったのですよね?「貴方たちの魂は縛られている。そして、それに気が付いていない」と』
『ええ、ファルティーシアさん。それにラエサルさんたちが、その呪縛から解放されかけているって』
エイジの言葉にファルティーシアは暫く考え込むと。
『そして、エリスが真実の大門の中で出会った女王ララリシアと呼ばれる人物は「この光が、かつて地上に住む全ての人間達の精霊の力を封じた。精霊呪縛術式、再び悲劇を繰り返さない為に作られた魂の足枷よ」と言ったそうですね?』
『エリスからそう聞きました、間違いないと思います』
ファルティーシアはエイジに言う。
『つまり、この世界の人間にはかつて女王ララリシアたちの手によって何らかの術がかけられていることになる。内に宿る精霊の力を最大限には発揮できないようにね。己の兄がもたらした滅びの光景を目の当たりにして、彼女はそれを選ばざるをえなかったのでしょう。再び彼のような男が現れぬように』
『でもファルティーシアさん、そんなことが出来るんですか?』
『私には到底思いつかない。しかも、それはこの地にすむ人々、その子々孫々に受け継がれていることになる。一体どんなことをすればそれが可能なのか……魔法科学、当時の知識がどれほどのものであったのかを物語っていますね』
ファルティーシアの言葉にエイジも頷いた。
『確かに、凄い文明だったんだろうな。俺にも想像もつかないや』
そういいながらエイジはふと疑問を感じた。
ファルティーシアは先程、貴方の強さの秘密が分かったと言った。
それはどういう事だろうか?
『ファルティーシアさん、さっきの言葉の意味は一体……』
エイジがファルティーシアに問いかけると、ファルティーシアは笑った。
『精霊使いと呼ばれる者達、彼らは内なる精霊の力ではなく精霊と融合することでその力を発揮する。エイジ、それは分かりますね』
『ええ、実際にリイムやミイム、そしてファルティーシアさんの力を借りて俺は今こんな場所でも戦えている』
ファルティーシアはエイジに答える。
『精霊との相性、エイジ、貴方はそれが高すぎるのですよ。普通の精霊使いではありえないほどね』
『俺が? 一体どうして……』
エイジの疑問にファルティーシアは静かに彼を見つめると。
『分かりませんか? エイジ。貴方が精霊呪縛術式に縛られてない存在だからですよ。内なる精霊の力を抑え込むそれは、精霊使いとしての力さえも制限する。精霊の力を抑制するのが目的の術だとしたら、ある意味当然のことだと言えます』
エイジはハッとした。
(そうか、俺はこの世界の人間じゃない。だからか?)
それに気が付いたとき、エイジはもう一つの疑問にぶつかった。
なぜそれをファルティーシアが知っているのかという疑問だ。
『ファルティーシアさん、どうして……』
『初めて第三の目を開いたときに、貴方の精神と私は少しの間ではありますが完全に一つになった。その時分かったのです、貴方は元々この世界の人間ではないと』
それを聞いてエイジは思わず言葉を失った。
この秘密は誰にも打ち明けてはいない。
話しても到底信じてもらえない事実だ。
知っている者がいるとしたら、メグたちウォータードルフィンだけだろう。
エイジの世界を見て、好奇心故にそれを新たに記録した者達。
あの時、エイジは確かに彼らと精神を一部共有していた。
それと同じようなことが、ファルティーシアの間にもあったのだろう。
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