神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太

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45、人形と設計図

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 俺が彫ったのは木彫りの人形だ。
 ククルそっくりに彫ってある。

「凄いのです! ククルなのです!!」

「模型を作るなら、人形があった方がピンとくるだろ?」

 愛らしい顔と、元気に尻尾を振っているように見える生き生きしたその姿は我ながら自信作だ。
 木彫りの人形と言うレベルを遥かに超えた出来栄えに自分でも驚くぐらいだ。
 ククルにそれを渡すと、大事にぎゅっと手に持って何度も眺めた後、嬉しそうにあたりを駆け回る。

「ふぁああ! ククルのお人形なのです! お兄ちゃんに作ってもらったのです!」

 カレンさんはそれを見つめて、楽しそうに笑う。

「ほほ、よかったのうククル。なんとも愛らしい人形じゃこと! そなたいると、驚いてばかりでまるでわらわも乙女になった気分になるえ。わらわにも彫ってくりゃれ」

「ええ、もちろん!」

 ナナとレイラがジト目で俺を見つめている。

「ちょっと! 私のは?」

「そうよ! 私が先よ!」

「はは……順番に彫るから待ってろって」

 俺はまた手ごろな木の枝を切ると、三人の人形も作っていく。
 ちょっと気が強いところはあるけど、何だかんだいつも俺を励ましてくれる明るいナナ。
 それに、食いしん坊で元気いっぱいの冒険者レイラ。
 そして、まるであやかしのように妖艶な美しさを持っているカレンさん。
 それぞれの人形を渡すと、三人とも嬉しそうに目を輝かせる。

「ありがとう、裕樹!」

「凄いわね! まるで生きてるみたい」

「ほんにのう! ほほほ、尻尾や耳までほんにようできておる」

 カレンさんの人形は優雅に三本の尾を振っているようにさえ見える出来だ。
 レイラもそうだけど、この世界に来て初めて獣人を見たからな。
 初めて見るケモ耳と大きな尻尾、つい細部までこだわってしまう。

 その後、俺は大工の特殊スキルの設計図を使って皆の意見も聞きながら家の設計図を書いていく。
 ナナが俺に言う。

「一階には厨房とそれから皆で過ごせる大きなリビングも欲しいわね、そこでご飯も食べれるようにしたいし」

「ああ、風呂も欲しいよな」

「そうね」

 やっぱりこうして自分の家を作る話をするのは楽しい。
 レイラも楽しそうに設計図を指さした。

「厨房は大きくしてほしいわ! そしたら、ユウキがいろんな料理を作れるでしょ?」

「ほほ、そうじゃな。それに、里の者も遊びにくるやもしれぬ。皆の集まるところはもう少し広い方がよいの」

「確かに、そうなると結構大きな家になるな」

 森で作った家は一晩過ごすための簡易的なものだったけど、今回はかなり本格的になりそうだ。
 カレンさんも招くことを考えると家というよりは、ちょとしたお屋敷に近いな。
 これは大工としての腕がなる。
 ククルは自分の人形を大事に手に持って俺を見つめる。

「ククルのお部屋はどこなのです?」

「ああ、ククルの部屋はここさ」

 俺は二階の部分を指さした。

「えへへ、ククルのお部屋なのです!」

 そう言ってククルは、自分の人形を図面の上に置く。
 みんなの家を作る話に加われて楽しくて仕方ない様子だ。

 基本、一階が皆の共有のスペース、二階はそれぞれの部屋になっている。

 まあククルはまだ小さいからカレンさんやナナと一緒の部屋で過ごすことになるだろうけど、自分の部屋が作ってもらえるってことが嬉しそうだから用意してやりたいよな。
 カレンさんナナと一緒に遊べる少し広めの子供部屋がいいだろう。
 ナナが俺に言う。

「お客さんが泊まるかもしれないから、客室もいるわね」

「ああそうか! ありがとう、ナナ」

 カレンさんがそんな俺たちを横目で見ながら悪戯っぽく笑う。

「ほほ、こうしてると、まるでそなたたちはこれから新居を作る夫婦みたいじゃな」

 その言葉に俺とナナは顔を見合わせると、こちらを見つめるナナが真っ赤になっていく。

「な、何見てるのよ裕樹! 一緒には暮らすけど、ふ、夫婦とかそんなんじゃないんだから。勘違いしないでよね!」

「なんだよ、そ、そんなこと分かってるって」

「わ、分かればいいのよ分かれば。お風呂とか覗いたら絶対許さないだから!」

「覗くわけないだろ!」

「分かんないわよ、滝の時は私の裸見たくせに!」

 変なことをいうから、あの時の森の妖精のように美しいナナやレイラの姿が脳裏に浮かぶ。
 レイラが俺をジト目で睨みながら言う。

「何思い出してるの? ユウキ」

「違うって、あれは事故みたいなものだろ?」

「「どうだか!」」

 二人はそういってツンとしながらも、嬉しそうに皆の家の設計図を眺める。
 まあ、こんな可愛い奥さんがいたら楽しいんだろうけどさ、俺たちは相棒だもんな。
 皆の意見を聞いて、俺は設計図をその都度書き直していくと頷いた。

「さてと、これで大体の意見は出そろったな。それじゃあ早速模型を作ってみるか!」

 ククルは人形をしっかりと手に持って、立ち上がった俺を見上げると嬉しそうに言う。

「お人形さんのお家を作って欲しいのです!」

「ああ、ククル」

 俺はそう答えると、早速作業に取り掛かることにした。
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