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56、鍛冶工房へ
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「ええ、カレンさん。それでも構いません!」
会うだけでも会ってみたいもんな。
魔王を倒した武器の一つを作った人だ、凄い鍛冶師であることは間違いない。
もしかしたら、何か話も聞けるかもしれないし。
「うむ! ユウキのたっての願いじゃ。断るわけにもいかぬ。それにどうせあやつのことじゃ、鍛冶工房の二階で酒を飲んで寝ておるじゃろうし」
「へえ、鍛冶工房にいるんですね?」
俺の言葉にカレンさんは優雅に肩をすくめると答えた。
「鍛冶の仕事もせぬのに、200年も、あそこに住みついておってな。困ったものじゃ」
ナナが俺に言う。
「なら丁度いいじゃない、裕樹! どうせ鍛冶工房に行くんだもの。都に行く前に会えるかもね」
「だな。それにしても……」
妙な話だよな。
200年も鍛冶仕事をしてないってことは、もう刀を打つつもりはないんだろうし、ならどうして鍛冶工房から離れないんだろう。
もう剣を打つことに未練がないのなら、俺だったら違うことを始めてる気がする。
「どうしたの? 裕樹」
「ん? なんでもないさナナ」
俺はナナにそう答えると、みんなで一緒に食事の後片付けをする。
調理器具は簡易厨房で作り出した物だから片付けも簡単だ。
レイラが俺に言った。
「それにしても、便利な力ね! ユウキのご飯は美味しいし、討伐系の依頼が楽しみだわ。中には普通じゃ食べられないような、獲物もいるし!」
「へえ、討伐系の依頼ね。そんなのがあるんだな」
「ええ、あるわよ! スカーフェイスだって賞金がかかってたし。近隣の人々の命に関わる、魔物や凶暴な生き物を討伐して欲しいって言う依頼は、報酬も高い代わりに上位の冒険者に集中するもの」
まあ、そりゃそうか。
スカーフェイスみたいな相手を倒そうとしたら下手をしたら命に関わる。
レイラみたいな腕利きの冒険者じゃないと中々受けられない依頼だよな。
「そう考えると、尚更いい武器が必要だな」
戦いの最中に剣が折れましたっていう訳にはいかない。
ナナが俺に言う。
「裕樹、それより身を清めてきなさいよ。気持ちいいわよ。後は私たちがやっておくわ」
「そっか! ありがとなナナ!」
俺はそう言って、その場を離れて滝つぼで身を清める。
「はぁああ! 気持ちいいな」
まだ朝早いから、余計に気分がいい。
すっかり身を清めて俺がみんなのところに帰ると、こちらも片付けも終わっていてククルが手に何かを持って駆けてくる。
「カブトムシいたのです!」
ククルが手にしているのはでっかいカブトムシだ。
「でか!!」
角が三本生えていて日本のカブトムシといよりは、海外のカブトムシにちょっと似てるな。
嬉しそうに俺たちに報告するククルだが、ナナは青ざめて俺の後ろに隠れた。
「ククル! それこっちに持ってこないで!」
「はう~、ナナお姉ちゃんどうしたのです? カブトムシ可愛いのです」
俺にしっかりと抱きついて涙目になっているナナは可愛い。
どうやら、ナナは虫が苦手のようだ。
レイラはそれを見て、そして悪戯っぽい目で笑った。
「ふふん、いつも私のこと食いしん坊だって馬鹿にするくせに、あんたにも弱点はあるのね。ナナ」
「べ、別に苦手じゃないわよ! あんなの」
「はう! 飛んだです!」
差し出したククルの手からカブトムシが空へと飛ぶと、ナナの頭の上にとまる。
ナナの悲鳴が辺りに木霊する中、俺は肩をすくめてそれを手で捕まえると鍛冶工房へ向かうことにした。
会うだけでも会ってみたいもんな。
魔王を倒した武器の一つを作った人だ、凄い鍛冶師であることは間違いない。
もしかしたら、何か話も聞けるかもしれないし。
「うむ! ユウキのたっての願いじゃ。断るわけにもいかぬ。それにどうせあやつのことじゃ、鍛冶工房の二階で酒を飲んで寝ておるじゃろうし」
「へえ、鍛冶工房にいるんですね?」
俺の言葉にカレンさんは優雅に肩をすくめると答えた。
「鍛冶の仕事もせぬのに、200年も、あそこに住みついておってな。困ったものじゃ」
ナナが俺に言う。
「なら丁度いいじゃない、裕樹! どうせ鍛冶工房に行くんだもの。都に行く前に会えるかもね」
「だな。それにしても……」
妙な話だよな。
200年も鍛冶仕事をしてないってことは、もう刀を打つつもりはないんだろうし、ならどうして鍛冶工房から離れないんだろう。
もう剣を打つことに未練がないのなら、俺だったら違うことを始めてる気がする。
「どうしたの? 裕樹」
「ん? なんでもないさナナ」
俺はナナにそう答えると、みんなで一緒に食事の後片付けをする。
調理器具は簡易厨房で作り出した物だから片付けも簡単だ。
レイラが俺に言った。
「それにしても、便利な力ね! ユウキのご飯は美味しいし、討伐系の依頼が楽しみだわ。中には普通じゃ食べられないような、獲物もいるし!」
「へえ、討伐系の依頼ね。そんなのがあるんだな」
「ええ、あるわよ! スカーフェイスだって賞金がかかってたし。近隣の人々の命に関わる、魔物や凶暴な生き物を討伐して欲しいって言う依頼は、報酬も高い代わりに上位の冒険者に集中するもの」
まあ、そりゃそうか。
スカーフェイスみたいな相手を倒そうとしたら下手をしたら命に関わる。
レイラみたいな腕利きの冒険者じゃないと中々受けられない依頼だよな。
「そう考えると、尚更いい武器が必要だな」
戦いの最中に剣が折れましたっていう訳にはいかない。
ナナが俺に言う。
「裕樹、それより身を清めてきなさいよ。気持ちいいわよ。後は私たちがやっておくわ」
「そっか! ありがとなナナ!」
俺はそう言って、その場を離れて滝つぼで身を清める。
「はぁああ! 気持ちいいな」
まだ朝早いから、余計に気分がいい。
すっかり身を清めて俺がみんなのところに帰ると、こちらも片付けも終わっていてククルが手に何かを持って駆けてくる。
「カブトムシいたのです!」
ククルが手にしているのはでっかいカブトムシだ。
「でか!!」
角が三本生えていて日本のカブトムシといよりは、海外のカブトムシにちょっと似てるな。
嬉しそうに俺たちに報告するククルだが、ナナは青ざめて俺の後ろに隠れた。
「ククル! それこっちに持ってこないで!」
「はう~、ナナお姉ちゃんどうしたのです? カブトムシ可愛いのです」
俺にしっかりと抱きついて涙目になっているナナは可愛い。
どうやら、ナナは虫が苦手のようだ。
レイラはそれを見て、そして悪戯っぽい目で笑った。
「ふふん、いつも私のこと食いしん坊だって馬鹿にするくせに、あんたにも弱点はあるのね。ナナ」
「べ、別に苦手じゃないわよ! あんなの」
「はう! 飛んだです!」
差し出したククルの手からカブトムシが空へと飛ぶと、ナナの頭の上にとまる。
ナナの悲鳴が辺りに木霊する中、俺は肩をすくめてそれを手で捕まえると鍛冶工房へ向かうことにした。
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