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秘薬ちゃん+αのお話
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「…この辺かな」
『あ、あれそうじゃないか?』
一度帰宅した私は、家に今日買った荷物を置いて、アチュリアの元へ向かいます。今日はいつもの木の洞や洞窟に居なかったので少し手こずりましたが、何とか見つかりました。
しかし…ここは……?
「あ、おねーさまー!!こっちこっち!!」
いつも以上ににこやかな赤い少女は、乱暴な迄に鮮やかな色彩の花束を抱えて、こちらに走ってきます。
そして驚く事に、彼女のあほ毛には先程の黒い鳥が止まっていたのです。
「あのね!あのね!この子がわたしをここに連れてきてくれたんだ!!それでね!ここ綺麗なお花とかたっくさんあってね!!」
「そ、そうなんだ?えーと…この鳥さんはどうしたの?」
「ぴすっ!ぴすっ!」
「んー?えーと、薬草とか取ってたら、街の方から飛んできて、そしたらこっち来てって言われた気がして」
『……』
「成程…そっか、この鳥さんには感謝しなきゃね、アチュ。こういう時はなんて言うの?」
「ありがと!鳥さん!」
「ひゅるるるん、ひゅるるる」
「おねーさま、なんて言ってる?」
「どういたしまして、だって」
「そっかー!」
それから私はアチュリアに今日の依頼品を伝え、一緒に採取を行いました。そしてアイテムポーチがいっぱいになった頃、木から漏れ出す陽の光も朱に染まり、お腹の虫も声を上げだします。
「そろそろ帰ろっか、アチュ。荷物も沢山だし、今日も疲れたでしょう?」
「えーっと…これをこうしてー……んー?」
地べたに尻餅を着いたお嬢さんは、必死にせこせこと何かを編み込み作っている。
「……?どうしたの?」
「あっ、そっか。じゃあこーしてー、出来た!はい、おねーさまにプレゼント!!」
そう言う彼女の両の手には、少し歪ながらも完成された花の冠があった。辺りの色とりどりな花を丹精込めて編んだ物だろう。私に渡すその白い手は、草の汁や土で酷く汚れている。
「こ、これ。私…に?」
「うん!!毎日頑張ってるおねーさまに、少しでもおれい!いつもありがとう!!」
少女はお日様のような笑顔でにっこりと私に微笑み、花の冠を私の頭に乗せます。
「今日のおねーさまはお姫様、わたしはおねーさまを守る狩人様!!さ、ギルドに案内しますよ、お姫様っ!!」
「…ふふふっ、エスコートは頼みますよ。狩人様」
敬愛する妹が差し伸べるその手を取り、夕陽に照らされながら街へと向かいます。勿論、あの鳥さんも一緒です。
ギルドで規定の品数納品して、報酬を受け取り、夜ご飯の材料を買ってお家に帰ります。
落ちていくお日様と、頭に乗せた冠に、手のひらに感じる暖かさが心地好くて。
今日もいい日だったなって、そう感じます。
お家に着いたら、お風呂を沸かして、晩御飯の用意をして……鳥さんは何を食べるんだろう。パンとかで良いのかな、なんて考えながら、私達は帰路に着きました。
その晩の事。私は”かみさま”の声に起こされました。
『……あの鳥、どこかへ行ったぞ』
あの鳥って…昼間に治した鳥さんですか?少し寂しいですがもう夜ですし、巣へと帰ったのでしょうか
『あぁ…そうだと良いね』
……と言うと
『言っていただろう?あの狂龍が拡げた綻びはまだ完全に塞がっていないと』
…それが…っ、まさか……
『あぁ、あんな鳥はこの世界には”存在しない”何処かの世界から迷い込んだのは確実だろう』
……もし、私が治してしまったせいでまた……っ
『いや、そうと考えるのはまだ早いさ。もし私の仮説通り、ハンターさんとやらが綻びに呑まれて別の世界に飛ばされてしまったとすれば、ここへと迷い込んだフォーリナーは一つの足掛かりとも言えるだろう。それに多大なる恩も売れたんだ。ここはひとつ気楽に考えようじゃないか。それに…』
それに…?
『もし最悪なことが起こっても君だけは生きて返してもらえるさ、はっはっは!!』
……笑い事じゃないんですけど
『あたしにとっちゃこの世界の事全部が笑い事さ、まぁ君が死んだら少しくらいは悲しんであげるよ、はははっ!』
そりゃどーも…
『あ、あれそうじゃないか?』
一度帰宅した私は、家に今日買った荷物を置いて、アチュリアの元へ向かいます。今日はいつもの木の洞や洞窟に居なかったので少し手こずりましたが、何とか見つかりました。
しかし…ここは……?
「あ、おねーさまー!!こっちこっち!!」
いつも以上ににこやかな赤い少女は、乱暴な迄に鮮やかな色彩の花束を抱えて、こちらに走ってきます。
そして驚く事に、彼女のあほ毛には先程の黒い鳥が止まっていたのです。
「あのね!あのね!この子がわたしをここに連れてきてくれたんだ!!それでね!ここ綺麗なお花とかたっくさんあってね!!」
「そ、そうなんだ?えーと…この鳥さんはどうしたの?」
「ぴすっ!ぴすっ!」
「んー?えーと、薬草とか取ってたら、街の方から飛んできて、そしたらこっち来てって言われた気がして」
『……』
「成程…そっか、この鳥さんには感謝しなきゃね、アチュ。こういう時はなんて言うの?」
「ありがと!鳥さん!」
「ひゅるるるん、ひゅるるる」
「おねーさま、なんて言ってる?」
「どういたしまして、だって」
「そっかー!」
それから私はアチュリアに今日の依頼品を伝え、一緒に採取を行いました。そしてアイテムポーチがいっぱいになった頃、木から漏れ出す陽の光も朱に染まり、お腹の虫も声を上げだします。
「そろそろ帰ろっか、アチュ。荷物も沢山だし、今日も疲れたでしょう?」
「えーっと…これをこうしてー……んー?」
地べたに尻餅を着いたお嬢さんは、必死にせこせこと何かを編み込み作っている。
「……?どうしたの?」
「あっ、そっか。じゃあこーしてー、出来た!はい、おねーさまにプレゼント!!」
そう言う彼女の両の手には、少し歪ながらも完成された花の冠があった。辺りの色とりどりな花を丹精込めて編んだ物だろう。私に渡すその白い手は、草の汁や土で酷く汚れている。
「こ、これ。私…に?」
「うん!!毎日頑張ってるおねーさまに、少しでもおれい!いつもありがとう!!」
少女はお日様のような笑顔でにっこりと私に微笑み、花の冠を私の頭に乗せます。
「今日のおねーさまはお姫様、わたしはおねーさまを守る狩人様!!さ、ギルドに案内しますよ、お姫様っ!!」
「…ふふふっ、エスコートは頼みますよ。狩人様」
敬愛する妹が差し伸べるその手を取り、夕陽に照らされながら街へと向かいます。勿論、あの鳥さんも一緒です。
ギルドで規定の品数納品して、報酬を受け取り、夜ご飯の材料を買ってお家に帰ります。
落ちていくお日様と、頭に乗せた冠に、手のひらに感じる暖かさが心地好くて。
今日もいい日だったなって、そう感じます。
お家に着いたら、お風呂を沸かして、晩御飯の用意をして……鳥さんは何を食べるんだろう。パンとかで良いのかな、なんて考えながら、私達は帰路に着きました。
その晩の事。私は”かみさま”の声に起こされました。
『……あの鳥、どこかへ行ったぞ』
あの鳥って…昼間に治した鳥さんですか?少し寂しいですがもう夜ですし、巣へと帰ったのでしょうか
『あぁ…そうだと良いね』
……と言うと
『言っていただろう?あの狂龍が拡げた綻びはまだ完全に塞がっていないと』
…それが…っ、まさか……
『あぁ、あんな鳥はこの世界には”存在しない”何処かの世界から迷い込んだのは確実だろう』
……もし、私が治してしまったせいでまた……っ
『いや、そうと考えるのはまだ早いさ。もし私の仮説通り、ハンターさんとやらが綻びに呑まれて別の世界に飛ばされてしまったとすれば、ここへと迷い込んだフォーリナーは一つの足掛かりとも言えるだろう。それに多大なる恩も売れたんだ。ここはひとつ気楽に考えようじゃないか。それに…』
それに…?
『もし最悪なことが起こっても君だけは生きて返してもらえるさ、はっはっは!!』
……笑い事じゃないんですけど
『あたしにとっちゃこの世界の事全部が笑い事さ、まぁ君が死んだら少しくらいは悲しんであげるよ、はははっ!』
そりゃどーも…
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