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目指せ!王都
新しい名前
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ルームさんを褒め称えたいが、疲れ極まってるのでお茶を飲んだら風呂へと向かう。
湯船に浸かるとそのまま寝落ちそうだから、ざっと洗うだけにする。新品になったスキンケア用品を肌に塗り、部屋に戻るとシーツ引っぺがして新しいものに取り替えた。
シーツや服、下着類は洗濯機に入れておく。
「お嬢、流石に今日はベッド返してもらうわ」
悪いけど寝るならラグに毛布敷いて寝てと伝えると、私はスコンと意識を落とした。
朝起きると午前四時半過ぎだった。お嬢様は宣言通りラグに転がっている。……貴族のお姫様を床に転がすのはちょっと申し訳ない。
とは思いつつ、洗面所に向かって顔を洗って着替える。
五時から朝市をやっているらしいので、そこで食材を手に入れたい。
ルームから出ると、既に青空が広がっているようだった。
外に出る前に寝藁の敷かれたベッドで適当にゴロゴロして、寝たような偽装工作を行っておく。意味があるかは分からん!でもとりあえずやる。
シワなどがついたところで、部屋を出て市場へ向かう。
朝特有のひんやりとした空気に少し身震いし、歩き出す。
この村に住む女性たちとすれ違いながら、市場に向かえば朝一番のせいかあまり混んではいなかった。
市場の大きさもさほど大きいものではなく、村で生産されたものの余剰分を売っているという風情だった。
市場を覗き込んで必要な分を鑑定しつつ買っていく。特産だという柑橘類、ラスペルジュ(アスパラガス)、ルシュ(キャベツ)、オホシ(ルバーブ)……ルバーブ!?
おお……とりあえず買っとくか。
それからパセリと卵を買って、合計小銀貨二枚と大銅貨三枚。
卵が買えたのは嬉しい。でも怖いから洗浄かけておくわ。
マジックバッグに入れて宿に戻る。んー、屋台でもあったら買い食いでもしようと思ったけど、無かったからしゃーない、今日もインスタント済ませるか。
大人だった朝飯抜きでも自己責任だけどね!ノラとお嬢様の保護者は北野亜美だからね!
ちゃんと成長させる義務があると思うのよ。
まだ、転生生活一週間経っていないせいか意識がいまいち『ノラ』と『北野亜美』で統合してない感じ。
自分の体ではなくノラの体を借りてる感覚が強い。
まあ、追々この感覚も無くなっていくでしょ。
一の鐘まで時間が無いので急いで宿に戻って、部屋でルームを発動させる。
買った野菜と卵は冷蔵庫に入れて、常温保存のできる柑橘類は籠に入れておく。これならお嬢様も簡単に食べられるでしょ。
今日もレンチンしたおにぎり一個を食べると、昨日買った皮袋の水筒を取り出し、洗浄をかけて水道の水を入れる。
水筒を腰につけ急いで眉毛を描いたら、お嬢様の寝起きのふにゃふにゃした「いってらっしゃい」に「行ってきます!」と言葉を返して、部屋を出た。
宿の女将さんに鍵を返して、乗り合い馬車の停留所へと行けば既に馬車が停まっていた。
「おはようございます」
挨拶して昨日とは違う御者に領都で購入したチケット代わりの特殊な木簡を見せる。
この木簡が有れば、一ヵ月以内ならどの便でも王都に行けるシステムだ。便利だが価格がややお高い。
「はいよー。王都までね。出発までちょい待ってろ」
「はーい」
チップと馬の餌代として中銅貨二枚を支払い馬車に乗り込む。一番乗りだった。
昨日一緒になった夫婦と行商人っぽいお兄さんが乗り込み一の鐘が鳴って暫くして馬車は動き出した。
あー、早くサリバン領を出たい。
こんな感じの旅をして六日。
順調に行けばサリバン領の隣にある、エイシャール領へと辿り着く。
大きな領ではないが北からの合流地点であり、領都の近くにはダンジョンがあることから賑わっている。
「問題は名前だよね」
「そこは問題じゃないわ」
運動できないせいかちょっとぽっちゃりしてきたお嬢様が言う。夜こっそり散歩ぐらいはしてるけど、一日中ルーム内はキツいと思う。
「問題じゃない?」
「ここで名付ければ良いのよ。貴方、自分がノラだとは思って無いのでしょう」
「かと言って、魂の名前である亜美とも思えないんですよね……」
「まあ、魂と肉体に齟齬があるもの」
「それで名付けとは?」
「新しい名前で新しく生きなさいってことよ。だから、貴方は今からノアよ」
しらっと新しい名前を付けられた。
ノラとアミでノアかー。
ああ、うん。確かに新しい名前の方が生きやすそうだ。
じゃあ、私もきちんと話しないとね。
「お嬢様はこれからどうするの?」
「……どうしようかしらね」
「王都まで一緒に行ってくれるなら、母方のお家までは届けるよ。貴族をこのまま辞めたいなら一緒にソーマラビアに行ったっていい、エイシャールで冒険者だってなれる」
ユーフェミアはどうしたい?
そう聞けば、お嬢様は息を呑んだ。
そして、何度か口を開こうとして躊躇する動作を繰り返し、一度目を瞑る。
「自由に、自由なりたい。好きなことを好きなだけ、自由にやってみたい」
「じゃあ、やろう」
貴族としての義務とかあるんだろうけど、ぶん投げていいんじゃない?
お嬢様、未成年だし。元日本人の感覚では十四歳ならもっと遊ぶべきだと思う。
「エイシャール冒険者ルートは、サリバン領から近すぎて不安だね。一緒にソーマラビア行こうぜ」
強気でもいきなり今まで旅してきた相方が居なくなると言うのは不安だったのか、ほっと安堵した表情になる。
「ユーフェミアって平民じゃ、立派すぎる名前じゃない?」
「そうかしら?」
「これからユフィって呼ぶわ。それならまだ平民でも違和感ないでしょ」
こうして改めてノアとしてこの世界に足をつけた私は、ユフィと共に冒険者を名乗ることとなる。
湯船に浸かるとそのまま寝落ちそうだから、ざっと洗うだけにする。新品になったスキンケア用品を肌に塗り、部屋に戻るとシーツ引っぺがして新しいものに取り替えた。
シーツや服、下着類は洗濯機に入れておく。
「お嬢、流石に今日はベッド返してもらうわ」
悪いけど寝るならラグに毛布敷いて寝てと伝えると、私はスコンと意識を落とした。
朝起きると午前四時半過ぎだった。お嬢様は宣言通りラグに転がっている。……貴族のお姫様を床に転がすのはちょっと申し訳ない。
とは思いつつ、洗面所に向かって顔を洗って着替える。
五時から朝市をやっているらしいので、そこで食材を手に入れたい。
ルームから出ると、既に青空が広がっているようだった。
外に出る前に寝藁の敷かれたベッドで適当にゴロゴロして、寝たような偽装工作を行っておく。意味があるかは分からん!でもとりあえずやる。
シワなどがついたところで、部屋を出て市場へ向かう。
朝特有のひんやりとした空気に少し身震いし、歩き出す。
この村に住む女性たちとすれ違いながら、市場に向かえば朝一番のせいかあまり混んではいなかった。
市場の大きさもさほど大きいものではなく、村で生産されたものの余剰分を売っているという風情だった。
市場を覗き込んで必要な分を鑑定しつつ買っていく。特産だという柑橘類、ラスペルジュ(アスパラガス)、ルシュ(キャベツ)、オホシ(ルバーブ)……ルバーブ!?
おお……とりあえず買っとくか。
それからパセリと卵を買って、合計小銀貨二枚と大銅貨三枚。
卵が買えたのは嬉しい。でも怖いから洗浄かけておくわ。
マジックバッグに入れて宿に戻る。んー、屋台でもあったら買い食いでもしようと思ったけど、無かったからしゃーない、今日もインスタント済ませるか。
大人だった朝飯抜きでも自己責任だけどね!ノラとお嬢様の保護者は北野亜美だからね!
ちゃんと成長させる義務があると思うのよ。
まだ、転生生活一週間経っていないせいか意識がいまいち『ノラ』と『北野亜美』で統合してない感じ。
自分の体ではなくノラの体を借りてる感覚が強い。
まあ、追々この感覚も無くなっていくでしょ。
一の鐘まで時間が無いので急いで宿に戻って、部屋でルームを発動させる。
買った野菜と卵は冷蔵庫に入れて、常温保存のできる柑橘類は籠に入れておく。これならお嬢様も簡単に食べられるでしょ。
今日もレンチンしたおにぎり一個を食べると、昨日買った皮袋の水筒を取り出し、洗浄をかけて水道の水を入れる。
水筒を腰につけ急いで眉毛を描いたら、お嬢様の寝起きのふにゃふにゃした「いってらっしゃい」に「行ってきます!」と言葉を返して、部屋を出た。
宿の女将さんに鍵を返して、乗り合い馬車の停留所へと行けば既に馬車が停まっていた。
「おはようございます」
挨拶して昨日とは違う御者に領都で購入したチケット代わりの特殊な木簡を見せる。
この木簡が有れば、一ヵ月以内ならどの便でも王都に行けるシステムだ。便利だが価格がややお高い。
「はいよー。王都までね。出発までちょい待ってろ」
「はーい」
チップと馬の餌代として中銅貨二枚を支払い馬車に乗り込む。一番乗りだった。
昨日一緒になった夫婦と行商人っぽいお兄さんが乗り込み一の鐘が鳴って暫くして馬車は動き出した。
あー、早くサリバン領を出たい。
こんな感じの旅をして六日。
順調に行けばサリバン領の隣にある、エイシャール領へと辿り着く。
大きな領ではないが北からの合流地点であり、領都の近くにはダンジョンがあることから賑わっている。
「問題は名前だよね」
「そこは問題じゃないわ」
運動できないせいかちょっとぽっちゃりしてきたお嬢様が言う。夜こっそり散歩ぐらいはしてるけど、一日中ルーム内はキツいと思う。
「問題じゃない?」
「ここで名付ければ良いのよ。貴方、自分がノラだとは思って無いのでしょう」
「かと言って、魂の名前である亜美とも思えないんですよね……」
「まあ、魂と肉体に齟齬があるもの」
「それで名付けとは?」
「新しい名前で新しく生きなさいってことよ。だから、貴方は今からノアよ」
しらっと新しい名前を付けられた。
ノラとアミでノアかー。
ああ、うん。確かに新しい名前の方が生きやすそうだ。
じゃあ、私もきちんと話しないとね。
「お嬢様はこれからどうするの?」
「……どうしようかしらね」
「王都まで一緒に行ってくれるなら、母方のお家までは届けるよ。貴族をこのまま辞めたいなら一緒にソーマラビアに行ったっていい、エイシャールで冒険者だってなれる」
ユーフェミアはどうしたい?
そう聞けば、お嬢様は息を呑んだ。
そして、何度か口を開こうとして躊躇する動作を繰り返し、一度目を瞑る。
「自由に、自由なりたい。好きなことを好きなだけ、自由にやってみたい」
「じゃあ、やろう」
貴族としての義務とかあるんだろうけど、ぶん投げていいんじゃない?
お嬢様、未成年だし。元日本人の感覚では十四歳ならもっと遊ぶべきだと思う。
「エイシャール冒険者ルートは、サリバン領から近すぎて不安だね。一緒にソーマラビア行こうぜ」
強気でもいきなり今まで旅してきた相方が居なくなると言うのは不安だったのか、ほっと安堵した表情になる。
「ユーフェミアって平民じゃ、立派すぎる名前じゃない?」
「そうかしら?」
「これからユフィって呼ぶわ。それならまだ平民でも違和感ないでしょ」
こうして改めてノアとしてこの世界に足をつけた私は、ユフィと共に冒険者を名乗ることとなる。
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