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第七話 歯牙にも掛けぬ窮地
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短い休暇が明け早速集会所に行ったが、俺の姿を見るや否やメイラさんに怪訝な顔をされ、ため息をつかれた。
「あなた、本当に二日しか休まなかったのね…もっと休んでくれる事を期待したんだけど。まぁあなたが良いならいいわ、でも体は大事にしてね?いい?」
とても釘を打たれたが、言われずとも分かっている。全ては俺の責任だ。魔が差して危険とされる存在に近付き、運良く型に嵌めることができただけに過ぎない。本来なら死んでいてもおかしくなかった。しかも毒だって血の性質だけに作用するもので、身体を直接害する物ではなかったのにも救われている。
「わかってます」
俺は申し訳なさそうに顔を下に向けたが、ここから去る気は毛頭ない。するとメイラさんは、仕方ないと言った風に一つのクエストを薦めてきた。
「オルミボスの蜜集め?」
休暇の中、料理の研究の側に『モンスター総覧書』で読んでいた。『オルミボス』とは、蟻の様な形態で全身茶色のモンスターで、全長は通常60から80センチ。頭と腹の間にある脚の生えた節の背中から二本の枝の様な突起が生えている。六本脚故に逃げ足が早く、捕まえる事は困難。腹内部には少量の内臓が下側に張り付く様に収まっており、腹の空いた空間に蜜を貯める。腹は伸縮性があり、口吻によって吸われた蜜は腹が直径100センチ以上になるまで溜めておくことができる。そして蜜は仲間内で決めた貯蔵庫とした木の幹の中に大量に貯める。
「これならいいんじゃないかしら?リハビリにちょうど良いと思うわ」
メイラさんの声のトーンは高く柔らかかった。とことん俺を気にかけている様だった。
「分かりました。じゃあそれで」
このクエストは最悪オルミボスの巣、もとい貯蔵庫から蜜を採れば済む話だ。戦闘になる事は本当に臨時の時だけだろう。
「りょーかーい」
メイラさんのふんわりした声と、ハンコを打つ静かな音を聞き、俺は森に向かった。場所はラネムーゾと戦った三日前の時にあたりは付いているからそこへ。この森で一番目立つ巨木の向こうの、地に陽が届かないじめっとした所にその姿はあった。
オルミボスは基本的に4~6体でグループを作り、グループ一つにつき一つの木を蜜の貯蔵樹としている。この場所は背の低い木々が多く並ぶ暗い密林地帯。もうそこかしこから、出所の分からない蜜の甘い匂いが漂って来るが、オルミボスの姿は見えない。
「あ、これか?」
しかし蜜の貯蔵庫はすぐに見つけられた。よくよく見れば蜜が少しずつ漏れていて分かりやすい。本当はオルミボスを追跡して巣を見つけようと思ったが、先に貯蔵樹を見つけられた。今回のクエスト達成条件は追従するカーゴの背中の大瓶(約20L)に蜜を八割以上入れた物三本分の納品で、思った以上に必要だ。よって、今回もカーゴ同伴でクエストを受けている。
『ソノヨウデ。サァ、瓶ヲ取ッテ採取ヲ。ワタクシハ命令上近付ケマセンノデ』
そう言われて早速蜜を回収するが、これがまたやりにくい。蜂蜜と同じかそれ以上に粘度が高くて早く流れ落ちず集まらない。しかも、この木一本だけでは全然足りる気がしない。
幹の中の空洞は案外細く、伴って内蔵される蜜も少なかった。しかし一瓶と半分は集まっていたから、これをまた同じ時間繰り返せば良い。しかし正直に言うと骨が折れる作業だった。集まった分をカーゴに運ぶが、中に入った蜜約16リットル、かなり重いのは言うまでもなく、たった一つでも精一杯だった。こんなだからみんなやりたくない訳だ。
カーゴに運び終わった後に、俺の体にはどっと疲労感が押し寄せた。これで運ぶのは任せられるからそれで良いのだが、この蜜、一つ16リットルだが比重は水より絶対重い。20キロは確実に超えていたし、なんなら30キロにも迫るか超えていると感じる始末だ。
蜜溜めの木は脆く繊細だから、隣の木に寄り掛かって背伸びをした。このクエストはリハビリにしては酷すぎると思ったが、確かに戦闘しない分疲労の種類はまた違い、それは普通に生活する上でとても健康的な物だった。
疲れを癒しながらしばらくぼうっとしていると、どこからか物音が近付いて来た。不規則に地面を刺す音がいくつも。何かと思って音の方を注視すると、球状で琥珀色の塊が草の根を掻き分けてこちらに向かって来ていた。それは本で見た通りの膨張した腹で、その下にオルミボスが五匹列を成していた。琥珀色の球はオルミボスの胸の節、その背中から生えた枝の様な突起に乗っている。
そしてついに目が合った、隊列の先頭のオルミボスだ。低い所から見上げて来る視線が刺さる。先頭が止まると、瞬時に後列の奴らも止まり、距離にして12メートルか、静かな睨み合いが始まってしまった。
「…カーゴ、こういう時どうすれば?」
俺は小さな声でカーゴに訊きながら寄り掛かった木を離れゆっくりと歩き出す。
『オルミボスノ蜜ハ貯蔵樹カラ得ルヨリモ、生体カラ得ル方ガ美味トサレテイル。マタアノ持チ量デスカラ量ハ十分…判断ハ委ネマスヨ』
同じく小さな声でカーゴは言葉を返した。それを受けて俺は真っ黒な瞳を見つめ返しながら考え、一つしかない答えを強烈に打ち出した。
「お前らぁー!蜜寄越せぇー!!」
俺は吠えながら力強く駆け出した。美味いのなら盗らない理由は無いだろう。オルミボスらも体を即座に反転させ逃げた。また追いかけることになったが、蟻型にしては大きい体に直径だけでその長さの倍くらいある腹はこの上なく目に付き追いやすかった。しかし森の住人はなぜにここまで逃げる奴らが多いのだろうか。隠れやすいこの環境か、隣人のせいだろうか。
それはともかくとして、俺はシィエルやコーネノの時と同じく木々を縫い、木を登り、飛び移ったりしてオルミボス達を追った。今回の大変な所は、奴ら一匹一匹がバラバラに捕まらない様に動き、且つ仲間同士が一定の距離を行き来しながら注意を分散し標的を絞れない事だ。
俺がある一匹に近付けば別の一匹が下がりヘイトを買い、注目が分散した所で手の届かない場所に逃れる。そうして代わる代わる、必要に応じて協力し、極めて捕まえづらい陣形を維持していた。「全く、あんなに蜜の入った重い腹でよく動けるものだ」と思った。
コーネノやシィエルよりも足は遅い。俺のレベルも少しは上がったし、走ってでも追いつけそうだと思った。しかし実際は上手く撒かれ続けている。オルミボスのいる辺りは特に樹々が多くて、更に低い。『翔』を使わない理由は、こう言ったここらの森林の特徴のせいで、まともにスピードは出せないし、出したくも無い。
「ん?減ってる…!」
ある時、気が付いてしまった。周辺の気配が一つ減っていると。追いかけるうちにその気配は一つ、また一つと感知網から出て行った。恐らく陣形の外側にいた奴から、脱出する瞬間を気づかれない様順々に離れたのだろう。
終ぞ二匹だけの分隊になり果て交代もクソもなくなった。しかし逃げ方がこれまでに比べて単純になった反面、スピードが一挙に、格段に上がった。残った二匹のレベルが高いのか、スピードはコーネノ以上、シィエル未満まで上がっていた。もし腹に蜜が入っていなければ、シィエルより速くなるだろう。
(未熟な仲間から先に逃したのか。流石蟻だ、仲間意識と言うか、チームで動いている自覚がある)
しかし何処へ向かっているのか見当も付かない。もう追いかけ続けて10分経とうかという頃なのに、ぐるぐると森を回っているだけの様に感じる。また俺が最も重要と見ているリーダーらしきオルミボスも最後まで残っていた。そいつは腹を最も大きく膨らませ、琥珀は透明で輝いて見える。何故早くに逃れないのか、俺にとって甚だ疑問だ。
『ギリリッ』
二匹だけになってそう時間が経たないうちに、オルミボスのどちらか一匹から耳障りなクリック音が発せられた。それが聞こえた直後に、凡庸な琥珀の個体がとある木を駆け上がり姿を眩ました。その木は太く歪に育っていて、知恵の輪の様な幹の隙間にオルミボスは自身の体と蜜でたっぷりの腹をくぐらせた。蜜壺たる腹は基本球状だが、押されて簡単に変形するほど柔らかい癖にとても頑丈らしい。ぐにぃっと木にめり込んだと思えば、薄暗い森の影に消えていたのだ。
後は首魁らしきオルミボスだけ、俄然逃げ足の速くなった奴を追った。奴は今まで選ばなかった様な道も逃げ道として選び、やがて木々の少ない道に出た。道と言えど、獣道の様にうっすらと踏み慣らされた微かな不毛の地だった。しかし十分に空間は開けた、歪な樹木も無い、ようやく『翔』が心置きなく使える。俺はグンと跳躍し、『翔』で追跡し距離を徐々に詰めていく。伸ばす手には『絡み』も芽生え、オルミボスを丸ごと掴まんとしていた。
(イケるッ!)
絡みが育ち、手縄にしては上物なそれを振りかざす。再三言うが、今回はあくまでも蜜が目的、オルミボスを討とうなどと考えていない。故に傷付けぬ加減で、しかし素早く確実に絡め取ろうと考えていた。だがそれを知らぬ奴は、最後にとっとおきを披露した。
「キィィィィーーーー!!!」
「あぁッ!」
オルミボスはいきなり甲高く顎を鳴らした、牙同士を強く擦り付けすり減らして。それは金属音にも似ていて、静かな森にどこまでも響き渡った。
俺は脳まで震えそうなその音に苦しむ最中、無意識に、うつ伏せに頭を地に埋めていた。絡みを伸ばす手を引き耳を塞ごうかと考えたが、そんなことはしなかったし、その前に金属音は止んだ。
耳を劈く不快音で乱れていた絡みを即座に集中させ、俺はオルミボスを捕らえようとした。だがその時、不思議な感覚があった。地に伏せているはずなのに、足先から『落ちる』感覚に襲われたのだ。
「何だっ」
ズリっと腹這いのまま体ごと振り返り足元を見ると、そこには大口を開けた大地が見えた。まさに今、俺を飲み込もうと土もろとも吸い込んでいた。縁を足場に踏ん張れるほど穴は小さくなく、いや、少しずつ大きくなり続け、何も支えの無かった俺はすぐに落ちた。絡みの対象を即座にオルミボスから直上の木の枝に切り替え、強く長く伸ばしたが、ツルは虚しく寸断され、俺は穴に完全に落ちた。閉じていく穴の先にオルミボスの牙と、初めて見る刃のついた触手が見えた。そして俺は理解した。
「嵌められた…」
落された地の底は意外と広く、全体的に壺の様な形状だった。足場にして立っているこの場所以外、内壁には歯のようなものが規則的に並んでいる。噛む用途より、返の方が役割として適しているだろう。後になって思い返せば、一緒に飲み込まれた土が足場になって一応足で立てていたみたいだった。
俺はこれが食人植物であるとすぐに察した。『モンスター総覧書』でも言及があった存在。恐らく森で最も警戒しなければならない落とし穴だ。名前は長く覚えていないが、森中の弱いモンスターと協力し、比較的強者の中級以上のモンスターを基本的には捕食する。今の様に、場合によっては人間も捕食の対象になる。姿は縦2メートル超、横1メートル超のウツボカズラ、ただしモンスターらしく筋肉があり、見えた触手も閉じた口もそれで動いているらしい。風属性及び自然たる木属性のモンスターで、弱点は炎。事前情報として申し分無い知識はある。しかしそれでも気になってしまう事があった。
「…臭ぇ…」
消化液の臭いと何か別の臭いが複数混じり、鼻が曲がりそうだった。その正体不明の臭いが何であるかは考えたくも無いが、考えまいとするほど頭の中で言葉と像が明晰になってくる。しかしここからどうするか迷う。一か八かで試すのもありかと思い、俺は現在の限界まで高めた出力の火を放つ。
「『灼豪」
これは俺の世界の火魔法系列の中で最強を冠する魔法だ。同じ量の魔素、魔力を用いた際にはこれが一番灼き、焦がし、破壊するのに適する。それに伴い複雑な術式が存在し、描き方、構成、間合いの管理があり、運用は非常に難しく戦争時代か、ダイナマイト代わりの掘削道具としてしか使われていない。だが一度でも構造を理解し頭に叩き込む事ができれば、念ずるだけで発動できる。この場合の欠点と言えば、術式を用いた時よりも多く魔力を使う事くらいだ。それは炸裂前、発生しただけで立ち込めていた臭気を消し、撃ち放たれると数十センチの前進の後爆発四散。俺は炎の奔流に包まれた。
(空気の壁を作ったとは言え熱いな)
自爆対策に何も用意していないはずはない。圧縮した空気、特に気体中にありふれた窒素を集め防壁を作る。窒素は便利だ、それ一つで完結した気体故、これ以上の変化は無い物質だから。しかし隔たりがあるとて熱は伝わり、一瞬で汗が噴き出て、壺の内側は黒煙に満ちる。魔法は役目を終えたらスッと離散していく。灼豪も例外に漏れず、薄らと晴れていく。
「うっそだろ…」
しかし期待を裏切り見えてきたのは、信じられない光景。何もダメージを受けていないように見える内壁だった。そこには少しの焦げ目も埃もついていなかった。無傷でさらに影響無し。ダイナマイト代わりの爆風を受けて膨張さえしていない。火は木から成る、火は木を取り込み火を生む。それ故木属性モンスターは火の糧となる。そんな相性があると言うのにこのモンスターは平然としている。例え水属性であっても多少なりともダメージは通るはずなのに。
「うっ…!」
軽く衝撃を受けていると、遂に内壁の上部から消化液が分泌され始めた。しかし俺は消化されると言う絶望より、その悪臭に悶絶した。アンモニアとエタノールを合わせた様な、鼻が壊れそうな刺激臭だった。
その後もあらゆる方法で破壊、脱出を試みたが、その全てが無意味だった。口をこじ開けようにも万力の如く力で閉ざされ、何度やろうと内壁にはダメージは通らなかった。まさに袋のネズミ、いずれ消化液でここは満たされ俺は死ぬ。消火には数ヶ月かかるそうだし、その前に窒息か餓死、もしくは水分不足で干からびてだ。
「…分かった、それで良いんだな」
脱出するためにはこれしか無いと、聞こえて来る声に従った。これは俺が生まれ持った魔石以外の力。俺がこの世界に来れた理由。何にも動じない相手には、世の理の外の力を。
暗く閉ざされたモンスターの口の中が、ふと照らし出される。淡い光は確かな光となり、この身に収束していく。やがて光は俺の右手の爪に集結し、推移は終わった。俺は獣の様に長く鋭利となった爪を天へ掲げ、一思いに振り下ろす。
「『大車輪』」
そこには何も居なかった。オルミボスは去り、鳥など他のモンスターも見当たらない。静寂が支配する森の一角に、一瞬だけ光が瞬いた。音も無くそこにあったものは全て消え去り、爪痕だけが残った。モンスターも大地も歪んで割れ、縦向きの円盤状に穴がぽっかりと空いていた。次第に地形がボロボロと大音をたてて崩れて、穴の下側が埋まっていった。
地形が安定した頃、その傍に俺は這い出て体についた塵や埃を軽く払った。言われた通り脱出には成功したが、周りを見てもオルミボスは見えなかった。このデカいモンスターを使って俺を綺麗に撒いたのだ。しかし、行きそうな所は一つしか無いだろう。
「あ、蜜溜めに帰るか?」
最後に『隊長』と分かれてから件の貯蔵樹に戻ると、仲間が三匹とも集まっていた。顎をカチカチと鳴らす事で意思の疎通を行い、互いの安否を喜んだ。とある一匹が木の幹に登り、一番上に設けられた注入口に顎を当てようとした時、全員が突如現れた気配に気付いた。凍りつく後方の三匹、たじろぎ木の暗がりを注視したまま後ずさる樹上の一匹。二歩三歩と下がった折、それは唐突に、吠えながら姿を現した。
「貴様らァ!蜜寄越せェー!!」
『キィィィィ!!』
オルミボスは甲高く顎を鳴らして、あたかも叫んだ様だった。追いかけられ、だが一度は撒いた相手が目の前に戻って来たのだ。もし俺が同じ事をされたって叫んだだろう。もうオルミボス達に逃げる気は無いし、諦めた様に降参し蜜を差し出して来た。残りの瓶一個半分の蜜を直接、ゆっくりではあったが注いでくれた。注ぎ終わるまで彼らが小刻みに震えていたのがとても印象的だった。
「ありがとなーお前らー」
樹抽の蜜、それと新鮮な蜜の混成、純粋な蜜のみの三種を手に、俺は上機嫌に手を振ってお礼を言いながらその場を去った。彼らが持っていた蜜は結構多く、残り必要な分は二匹の蜜で事足りた。因みにどこぞに行ったのか不明だったカーゴは、ずっと近くの程よい茂みの中でスリープしていたらしい。俺がオルミボスを脅したその時にひょこっと現れたのだ。それから蜜の受け渡しをしていた。
『アレハ、流石ニ恐ロシイト思イマス』
姿を現してから今まで何も言わなかったカーゴがふと話しかけて来た。珍しく震えた声だ。
「なんだよカーゴ、良いだろ?脅迫も交渉の内だぜ。って言うかどこ行ってたんだ?」
俺の横に並び、カーゴは言った。
『アヤツラハ必ズ戻ッテ来ルノデ、居ナイト思ワセル為ニ隠レテイマシタ。更ニ言エバ、感知ニ引ッカカラナイ程度マデ動力ヲ抑エテネ。完全ニ眠ルト貴方ニ気付ケマセンカラネ、カナリ高度ナ技術ナノデスヨ』
俺には『エッヘン!』と言う彼の声が聞こえた気がしたし、得意げになっているなと思った。ランプが見た事のない色になっているのが良い証拠だ。
「そうか…頑張ったんだな」
俺は彼に微笑みかけて歩き出した。いつもの様に転身せず、上機嫌なカーゴと何食わぬ雑談をしながらマニラウに戻った。せっかくの休暇の後だし、急ぐ理由も普段から無い。こんな時間も良いなと、少しだけそう思っただけだった。
とても恐ろしい人間の餓鬼が去ってから少し時間が過ぎた頃、最も琥珀の綺麗だった隊長が貯蔵庫である木へと戻った。何があったのか知る由もない為、外傷も無いのにぐったりした仲間を見て『どうしたんだ?』と言いたそうな顔をしていた。以後、あの人間と幾度も顔を合わせるとも知らずに。
「あなた、本当に二日しか休まなかったのね…もっと休んでくれる事を期待したんだけど。まぁあなたが良いならいいわ、でも体は大事にしてね?いい?」
とても釘を打たれたが、言われずとも分かっている。全ては俺の責任だ。魔が差して危険とされる存在に近付き、運良く型に嵌めることができただけに過ぎない。本来なら死んでいてもおかしくなかった。しかも毒だって血の性質だけに作用するもので、身体を直接害する物ではなかったのにも救われている。
「わかってます」
俺は申し訳なさそうに顔を下に向けたが、ここから去る気は毛頭ない。するとメイラさんは、仕方ないと言った風に一つのクエストを薦めてきた。
「オルミボスの蜜集め?」
休暇の中、料理の研究の側に『モンスター総覧書』で読んでいた。『オルミボス』とは、蟻の様な形態で全身茶色のモンスターで、全長は通常60から80センチ。頭と腹の間にある脚の生えた節の背中から二本の枝の様な突起が生えている。六本脚故に逃げ足が早く、捕まえる事は困難。腹内部には少量の内臓が下側に張り付く様に収まっており、腹の空いた空間に蜜を貯める。腹は伸縮性があり、口吻によって吸われた蜜は腹が直径100センチ以上になるまで溜めておくことができる。そして蜜は仲間内で決めた貯蔵庫とした木の幹の中に大量に貯める。
「これならいいんじゃないかしら?リハビリにちょうど良いと思うわ」
メイラさんの声のトーンは高く柔らかかった。とことん俺を気にかけている様だった。
「分かりました。じゃあそれで」
このクエストは最悪オルミボスの巣、もとい貯蔵庫から蜜を採れば済む話だ。戦闘になる事は本当に臨時の時だけだろう。
「りょーかーい」
メイラさんのふんわりした声と、ハンコを打つ静かな音を聞き、俺は森に向かった。場所はラネムーゾと戦った三日前の時にあたりは付いているからそこへ。この森で一番目立つ巨木の向こうの、地に陽が届かないじめっとした所にその姿はあった。
オルミボスは基本的に4~6体でグループを作り、グループ一つにつき一つの木を蜜の貯蔵樹としている。この場所は背の低い木々が多く並ぶ暗い密林地帯。もうそこかしこから、出所の分からない蜜の甘い匂いが漂って来るが、オルミボスの姿は見えない。
「あ、これか?」
しかし蜜の貯蔵庫はすぐに見つけられた。よくよく見れば蜜が少しずつ漏れていて分かりやすい。本当はオルミボスを追跡して巣を見つけようと思ったが、先に貯蔵樹を見つけられた。今回のクエスト達成条件は追従するカーゴの背中の大瓶(約20L)に蜜を八割以上入れた物三本分の納品で、思った以上に必要だ。よって、今回もカーゴ同伴でクエストを受けている。
『ソノヨウデ。サァ、瓶ヲ取ッテ採取ヲ。ワタクシハ命令上近付ケマセンノデ』
そう言われて早速蜜を回収するが、これがまたやりにくい。蜂蜜と同じかそれ以上に粘度が高くて早く流れ落ちず集まらない。しかも、この木一本だけでは全然足りる気がしない。
幹の中の空洞は案外細く、伴って内蔵される蜜も少なかった。しかし一瓶と半分は集まっていたから、これをまた同じ時間繰り返せば良い。しかし正直に言うと骨が折れる作業だった。集まった分をカーゴに運ぶが、中に入った蜜約16リットル、かなり重いのは言うまでもなく、たった一つでも精一杯だった。こんなだからみんなやりたくない訳だ。
カーゴに運び終わった後に、俺の体にはどっと疲労感が押し寄せた。これで運ぶのは任せられるからそれで良いのだが、この蜜、一つ16リットルだが比重は水より絶対重い。20キロは確実に超えていたし、なんなら30キロにも迫るか超えていると感じる始末だ。
蜜溜めの木は脆く繊細だから、隣の木に寄り掛かって背伸びをした。このクエストはリハビリにしては酷すぎると思ったが、確かに戦闘しない分疲労の種類はまた違い、それは普通に生活する上でとても健康的な物だった。
疲れを癒しながらしばらくぼうっとしていると、どこからか物音が近付いて来た。不規則に地面を刺す音がいくつも。何かと思って音の方を注視すると、球状で琥珀色の塊が草の根を掻き分けてこちらに向かって来ていた。それは本で見た通りの膨張した腹で、その下にオルミボスが五匹列を成していた。琥珀色の球はオルミボスの胸の節、その背中から生えた枝の様な突起に乗っている。
そしてついに目が合った、隊列の先頭のオルミボスだ。低い所から見上げて来る視線が刺さる。先頭が止まると、瞬時に後列の奴らも止まり、距離にして12メートルか、静かな睨み合いが始まってしまった。
「…カーゴ、こういう時どうすれば?」
俺は小さな声でカーゴに訊きながら寄り掛かった木を離れゆっくりと歩き出す。
『オルミボスノ蜜ハ貯蔵樹カラ得ルヨリモ、生体カラ得ル方ガ美味トサレテイル。マタアノ持チ量デスカラ量ハ十分…判断ハ委ネマスヨ』
同じく小さな声でカーゴは言葉を返した。それを受けて俺は真っ黒な瞳を見つめ返しながら考え、一つしかない答えを強烈に打ち出した。
「お前らぁー!蜜寄越せぇー!!」
俺は吠えながら力強く駆け出した。美味いのなら盗らない理由は無いだろう。オルミボスらも体を即座に反転させ逃げた。また追いかけることになったが、蟻型にしては大きい体に直径だけでその長さの倍くらいある腹はこの上なく目に付き追いやすかった。しかし森の住人はなぜにここまで逃げる奴らが多いのだろうか。隠れやすいこの環境か、隣人のせいだろうか。
それはともかくとして、俺はシィエルやコーネノの時と同じく木々を縫い、木を登り、飛び移ったりしてオルミボス達を追った。今回の大変な所は、奴ら一匹一匹がバラバラに捕まらない様に動き、且つ仲間同士が一定の距離を行き来しながら注意を分散し標的を絞れない事だ。
俺がある一匹に近付けば別の一匹が下がりヘイトを買い、注目が分散した所で手の届かない場所に逃れる。そうして代わる代わる、必要に応じて協力し、極めて捕まえづらい陣形を維持していた。「全く、あんなに蜜の入った重い腹でよく動けるものだ」と思った。
コーネノやシィエルよりも足は遅い。俺のレベルも少しは上がったし、走ってでも追いつけそうだと思った。しかし実際は上手く撒かれ続けている。オルミボスのいる辺りは特に樹々が多くて、更に低い。『翔』を使わない理由は、こう言ったここらの森林の特徴のせいで、まともにスピードは出せないし、出したくも無い。
「ん?減ってる…!」
ある時、気が付いてしまった。周辺の気配が一つ減っていると。追いかけるうちにその気配は一つ、また一つと感知網から出て行った。恐らく陣形の外側にいた奴から、脱出する瞬間を気づかれない様順々に離れたのだろう。
終ぞ二匹だけの分隊になり果て交代もクソもなくなった。しかし逃げ方がこれまでに比べて単純になった反面、スピードが一挙に、格段に上がった。残った二匹のレベルが高いのか、スピードはコーネノ以上、シィエル未満まで上がっていた。もし腹に蜜が入っていなければ、シィエルより速くなるだろう。
(未熟な仲間から先に逃したのか。流石蟻だ、仲間意識と言うか、チームで動いている自覚がある)
しかし何処へ向かっているのか見当も付かない。もう追いかけ続けて10分経とうかという頃なのに、ぐるぐると森を回っているだけの様に感じる。また俺が最も重要と見ているリーダーらしきオルミボスも最後まで残っていた。そいつは腹を最も大きく膨らませ、琥珀は透明で輝いて見える。何故早くに逃れないのか、俺にとって甚だ疑問だ。
『ギリリッ』
二匹だけになってそう時間が経たないうちに、オルミボスのどちらか一匹から耳障りなクリック音が発せられた。それが聞こえた直後に、凡庸な琥珀の個体がとある木を駆け上がり姿を眩ました。その木は太く歪に育っていて、知恵の輪の様な幹の隙間にオルミボスは自身の体と蜜でたっぷりの腹をくぐらせた。蜜壺たる腹は基本球状だが、押されて簡単に変形するほど柔らかい癖にとても頑丈らしい。ぐにぃっと木にめり込んだと思えば、薄暗い森の影に消えていたのだ。
後は首魁らしきオルミボスだけ、俄然逃げ足の速くなった奴を追った。奴は今まで選ばなかった様な道も逃げ道として選び、やがて木々の少ない道に出た。道と言えど、獣道の様にうっすらと踏み慣らされた微かな不毛の地だった。しかし十分に空間は開けた、歪な樹木も無い、ようやく『翔』が心置きなく使える。俺はグンと跳躍し、『翔』で追跡し距離を徐々に詰めていく。伸ばす手には『絡み』も芽生え、オルミボスを丸ごと掴まんとしていた。
(イケるッ!)
絡みが育ち、手縄にしては上物なそれを振りかざす。再三言うが、今回はあくまでも蜜が目的、オルミボスを討とうなどと考えていない。故に傷付けぬ加減で、しかし素早く確実に絡め取ろうと考えていた。だがそれを知らぬ奴は、最後にとっとおきを披露した。
「キィィィィーーーー!!!」
「あぁッ!」
オルミボスはいきなり甲高く顎を鳴らした、牙同士を強く擦り付けすり減らして。それは金属音にも似ていて、静かな森にどこまでも響き渡った。
俺は脳まで震えそうなその音に苦しむ最中、無意識に、うつ伏せに頭を地に埋めていた。絡みを伸ばす手を引き耳を塞ごうかと考えたが、そんなことはしなかったし、その前に金属音は止んだ。
耳を劈く不快音で乱れていた絡みを即座に集中させ、俺はオルミボスを捕らえようとした。だがその時、不思議な感覚があった。地に伏せているはずなのに、足先から『落ちる』感覚に襲われたのだ。
「何だっ」
ズリっと腹這いのまま体ごと振り返り足元を見ると、そこには大口を開けた大地が見えた。まさに今、俺を飲み込もうと土もろとも吸い込んでいた。縁を足場に踏ん張れるほど穴は小さくなく、いや、少しずつ大きくなり続け、何も支えの無かった俺はすぐに落ちた。絡みの対象を即座にオルミボスから直上の木の枝に切り替え、強く長く伸ばしたが、ツルは虚しく寸断され、俺は穴に完全に落ちた。閉じていく穴の先にオルミボスの牙と、初めて見る刃のついた触手が見えた。そして俺は理解した。
「嵌められた…」
落された地の底は意外と広く、全体的に壺の様な形状だった。足場にして立っているこの場所以外、内壁には歯のようなものが規則的に並んでいる。噛む用途より、返の方が役割として適しているだろう。後になって思い返せば、一緒に飲み込まれた土が足場になって一応足で立てていたみたいだった。
俺はこれが食人植物であるとすぐに察した。『モンスター総覧書』でも言及があった存在。恐らく森で最も警戒しなければならない落とし穴だ。名前は長く覚えていないが、森中の弱いモンスターと協力し、比較的強者の中級以上のモンスターを基本的には捕食する。今の様に、場合によっては人間も捕食の対象になる。姿は縦2メートル超、横1メートル超のウツボカズラ、ただしモンスターらしく筋肉があり、見えた触手も閉じた口もそれで動いているらしい。風属性及び自然たる木属性のモンスターで、弱点は炎。事前情報として申し分無い知識はある。しかしそれでも気になってしまう事があった。
「…臭ぇ…」
消化液の臭いと何か別の臭いが複数混じり、鼻が曲がりそうだった。その正体不明の臭いが何であるかは考えたくも無いが、考えまいとするほど頭の中で言葉と像が明晰になってくる。しかしここからどうするか迷う。一か八かで試すのもありかと思い、俺は現在の限界まで高めた出力の火を放つ。
「『灼豪」
これは俺の世界の火魔法系列の中で最強を冠する魔法だ。同じ量の魔素、魔力を用いた際にはこれが一番灼き、焦がし、破壊するのに適する。それに伴い複雑な術式が存在し、描き方、構成、間合いの管理があり、運用は非常に難しく戦争時代か、ダイナマイト代わりの掘削道具としてしか使われていない。だが一度でも構造を理解し頭に叩き込む事ができれば、念ずるだけで発動できる。この場合の欠点と言えば、術式を用いた時よりも多く魔力を使う事くらいだ。それは炸裂前、発生しただけで立ち込めていた臭気を消し、撃ち放たれると数十センチの前進の後爆発四散。俺は炎の奔流に包まれた。
(空気の壁を作ったとは言え熱いな)
自爆対策に何も用意していないはずはない。圧縮した空気、特に気体中にありふれた窒素を集め防壁を作る。窒素は便利だ、それ一つで完結した気体故、これ以上の変化は無い物質だから。しかし隔たりがあるとて熱は伝わり、一瞬で汗が噴き出て、壺の内側は黒煙に満ちる。魔法は役目を終えたらスッと離散していく。灼豪も例外に漏れず、薄らと晴れていく。
「うっそだろ…」
しかし期待を裏切り見えてきたのは、信じられない光景。何もダメージを受けていないように見える内壁だった。そこには少しの焦げ目も埃もついていなかった。無傷でさらに影響無し。ダイナマイト代わりの爆風を受けて膨張さえしていない。火は木から成る、火は木を取り込み火を生む。それ故木属性モンスターは火の糧となる。そんな相性があると言うのにこのモンスターは平然としている。例え水属性であっても多少なりともダメージは通るはずなのに。
「うっ…!」
軽く衝撃を受けていると、遂に内壁の上部から消化液が分泌され始めた。しかし俺は消化されると言う絶望より、その悪臭に悶絶した。アンモニアとエタノールを合わせた様な、鼻が壊れそうな刺激臭だった。
その後もあらゆる方法で破壊、脱出を試みたが、その全てが無意味だった。口をこじ開けようにも万力の如く力で閉ざされ、何度やろうと内壁にはダメージは通らなかった。まさに袋のネズミ、いずれ消化液でここは満たされ俺は死ぬ。消火には数ヶ月かかるそうだし、その前に窒息か餓死、もしくは水分不足で干からびてだ。
「…分かった、それで良いんだな」
脱出するためにはこれしか無いと、聞こえて来る声に従った。これは俺が生まれ持った魔石以外の力。俺がこの世界に来れた理由。何にも動じない相手には、世の理の外の力を。
暗く閉ざされたモンスターの口の中が、ふと照らし出される。淡い光は確かな光となり、この身に収束していく。やがて光は俺の右手の爪に集結し、推移は終わった。俺は獣の様に長く鋭利となった爪を天へ掲げ、一思いに振り下ろす。
「『大車輪』」
そこには何も居なかった。オルミボスは去り、鳥など他のモンスターも見当たらない。静寂が支配する森の一角に、一瞬だけ光が瞬いた。音も無くそこにあったものは全て消え去り、爪痕だけが残った。モンスターも大地も歪んで割れ、縦向きの円盤状に穴がぽっかりと空いていた。次第に地形がボロボロと大音をたてて崩れて、穴の下側が埋まっていった。
地形が安定した頃、その傍に俺は這い出て体についた塵や埃を軽く払った。言われた通り脱出には成功したが、周りを見てもオルミボスは見えなかった。このデカいモンスターを使って俺を綺麗に撒いたのだ。しかし、行きそうな所は一つしか無いだろう。
「あ、蜜溜めに帰るか?」
最後に『隊長』と分かれてから件の貯蔵樹に戻ると、仲間が三匹とも集まっていた。顎をカチカチと鳴らす事で意思の疎通を行い、互いの安否を喜んだ。とある一匹が木の幹に登り、一番上に設けられた注入口に顎を当てようとした時、全員が突如現れた気配に気付いた。凍りつく後方の三匹、たじろぎ木の暗がりを注視したまま後ずさる樹上の一匹。二歩三歩と下がった折、それは唐突に、吠えながら姿を現した。
「貴様らァ!蜜寄越せェー!!」
『キィィィィ!!』
オルミボスは甲高く顎を鳴らして、あたかも叫んだ様だった。追いかけられ、だが一度は撒いた相手が目の前に戻って来たのだ。もし俺が同じ事をされたって叫んだだろう。もうオルミボス達に逃げる気は無いし、諦めた様に降参し蜜を差し出して来た。残りの瓶一個半分の蜜を直接、ゆっくりではあったが注いでくれた。注ぎ終わるまで彼らが小刻みに震えていたのがとても印象的だった。
「ありがとなーお前らー」
樹抽の蜜、それと新鮮な蜜の混成、純粋な蜜のみの三種を手に、俺は上機嫌に手を振ってお礼を言いながらその場を去った。彼らが持っていた蜜は結構多く、残り必要な分は二匹の蜜で事足りた。因みにどこぞに行ったのか不明だったカーゴは、ずっと近くの程よい茂みの中でスリープしていたらしい。俺がオルミボスを脅したその時にひょこっと現れたのだ。それから蜜の受け渡しをしていた。
『アレハ、流石ニ恐ロシイト思イマス』
姿を現してから今まで何も言わなかったカーゴがふと話しかけて来た。珍しく震えた声だ。
「なんだよカーゴ、良いだろ?脅迫も交渉の内だぜ。って言うかどこ行ってたんだ?」
俺の横に並び、カーゴは言った。
『アヤツラハ必ズ戻ッテ来ルノデ、居ナイト思ワセル為ニ隠レテイマシタ。更ニ言エバ、感知ニ引ッカカラナイ程度マデ動力ヲ抑エテネ。完全ニ眠ルト貴方ニ気付ケマセンカラネ、カナリ高度ナ技術ナノデスヨ』
俺には『エッヘン!』と言う彼の声が聞こえた気がしたし、得意げになっているなと思った。ランプが見た事のない色になっているのが良い証拠だ。
「そうか…頑張ったんだな」
俺は彼に微笑みかけて歩き出した。いつもの様に転身せず、上機嫌なカーゴと何食わぬ雑談をしながらマニラウに戻った。せっかくの休暇の後だし、急ぐ理由も普段から無い。こんな時間も良いなと、少しだけそう思っただけだった。
とても恐ろしい人間の餓鬼が去ってから少し時間が過ぎた頃、最も琥珀の綺麗だった隊長が貯蔵庫である木へと戻った。何があったのか知る由もない為、外傷も無いのにぐったりした仲間を見て『どうしたんだ?』と言いたそうな顔をしていた。以後、あの人間と幾度も顔を合わせるとも知らずに。
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